芯が詰まらずふがふがだった白菜は収穫することができないので、畑に放置したまま一冬を過ごさせた。
雪でぺしゃんこになるのは防げるかも知れないとPPひもで縛っておいたから、2m越えの積雪でも生きていた。
ひもを外したら未熟ながらも春の光を受けてわずかに成長して薹立ちもして花が咲き始めた。
農事の先輩である蜂仲間が『白菜の薹菜を食べられるのは作っている者だけの特権』と先日言っていた。
キャベツの薹菜は以前食べたけれど、白菜の薹立ちは今回初めてだったような気がする。
特権というほどの味なのかと、さっと茹でてつまみ食いしたところ、確かに意外な美味しさで、1本まるまる食べてしまった。
この頃、薹菜に関しては三月菜、五月菜、野沢菜と毎日どれかを食べているので微妙な違いだって分かる。
それぞれにそれぞれの甘さとほんのりとした苦さがあるのだが、白菜のそれは白菜の旨さもあり甘さだけの美味しさ。
白菜の薹菜は他人に分けるほど出来ないし、生産者だけがたまたま味わえる特権であった。
それとも、高級料亭では『雪下白菜莟菜の御浸しでございます』などと供されているのかも。