シジュウカラ(四十雀)でもヤマガラ(山雀)でも良いし、スズメ(雀)でも仕方ないかと巣箱を取り付けた。
古い牛乳箱を、街なか近くに住んでいる従姉(私は早生まれだが同学年)が、『これ要らない?』などと呉れたもの。
彼女の母親の実家が、いま私が独りで冬以外を過ごして畑をやったりニホンミツバチで遊んだりする、わが家。
子供の頃は頻繁に行き来していた仲なので、うちの裏にでも小鳥の巣箱として使ったらどうかと想ったらしい。
半世紀以上前には誰が取り付けたのか、杉の木に巣箱が設置してあり、出入り口の穴が大きいものだからムササビのねぐらになっていたものだった。
昼間はいつも穴から茶色の尻尾がぶらんと下がっていて、夜になると柿の木や欅の上から、ルルルルという鳴き声がして、懐中電灯を向けると目が光った。
それはともかく、小鳥だけの巣箱にすべしと小さな穴を空け、止り木まで付けて杉にくくりつけた。
今春の営巣時期を逃したのなら来年にと期待するけれど、営巣したとしてもカラスに狙われるのではないかと、いま思いついた。
蓋を開けるくらいのことはするだろうから、開かないようにしなくてはならないし、止り木は余計だったかも知れない。
台所から観られたら楽しかろうと勝手な思い込みで、観やすい場所に設置したけれど、小鳥の立場ならカラスが入り込めない奥まった所が良いはずだ。
ヘビも天敵で、この太い杉なら登れないだろうと、そこだけは考えたが、カラス対策は考え無しだった。
従姉の気持ちを酌んで体裁を繕ったけれど肝心の小鳥のことは考えていない、今どきの政治のようだ。