今まで迂闊にも気づかなかったのだが、近所の友人が『トウマメには蜜蜂がいっぺ来らぁ』と教えてくれた。
うちの田舎ではトウモロコシをトウマメと古くから言っているけれど、だんだんとトウモロコシと正確に言う人もでてきた。
そんなことより、蜜蜂にもいろいろ種類はあるわけで、わがニホンミツバチかどうかと、よそさんの畑に見に行ってきた。
私は数年前に一度作ったけれど、タヌキかハクビシンかに収穫直前をやられて、作るのをやめた。
風媒花であるトウモロコシの穂は、しゃらしゃらはらはらと風に揺れていて、確かにニホンミツバチが4、5本の花に1匹くらいの割でいた。
一箇所に留まるのは一瞬なので撮りにくいが、それぞれが花粉団子を脚に着けていて、微細な花粉をせっせと集めていると分かる。
検索すると、大規模なトウモロコシ畑では、アワノメイガ(粟瞑蛾)の被害を防ぐ農薬を使うので、ミツバチは舌をだして死ぬらしい。
うちの周りで作られているトウモロコシはどこも全てが自家用で、作る皆さんは獣害被害だけを警戒してネットを周りにめぐらせる。
自家用だから薬を使うというようなことをしないはずで、そういう話も聞いたことがないので安心ではある。
ネットを張る支柱にシオヤアブ(塩谷虻)が止まっているのを見つけたので、よく観ると、わがニホンミツバチを抱え込んでいた。
このアブは昆虫を襲う昆虫としてはほぼ最強で、スズメバチさえも捕らえて体内を溶かす毒液を注入して吸うという。
ミツバチなんかわけもなく捕まるはずで食餌中なのであった。
夢中の様子で近づいても逃げないから、背後から潰してやろうと指に力を溜めてぱっちんをしたが、寸前に逃げられ中指の爪を支柱に打ち付けた。
敵討ちならず、あいたたと手を振るおマヌケをやってしまい、残念な気分をしばらく引きずった。