透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

名前

2009-05-10 | A あれこれ

 

 しばらく前に読み終えた和辻哲郎の『風土』岩波文庫は、学生時代に単行本で読んでいた。その本を探していたが、いままで見つからなかった。でもさっき、ようやく見つけた。探しているところとは全く別の棚にあった。書棚を少し整理しないと本が見つからない。

ずっと気になっていたからよかった。箱入りの単行本だが、ちょうど文庫と同じ定価、700円だった。

 

 この作家が女性だとは知らなかった。読み始めて、とても女性的な文章だなと思った。途中であとがきを読んでみると**このお話を書くきっかけになったのは、旦那の何気ない一言と担当者さんの熱意です。**とあった。旦那・・・、そうか女性作家なんだ、と気がついた。カバーをよく見るとHIRO ARIKAWAとあった。浩は「ひろし」ではなく、「ひろ」と読むのだ。

山口瞳は若い人には馴染みのない作家だと思うが、よく女性と間違われたらしい。桜庭一樹は女性と思われるのがいやで、あえて男の名前にしたといつか本人がテレビ番組で語っていた。北村薫の本を女性作家のコーナーで見かけたこともある。性別不明な名前ってどうだろう。

電車が舞台の小説、なるほどこれはありだなと思う。敢えて内容には触れないでおく。作品の雰囲気がこの本を貸してくれたMさんの人柄となんとなく重なるような気がした。読む本は人柄を表すのだろう。とすると、私は一体どんなイメージで伝わっているのだろう・・・。


路上観察 本棟造り

2009-05-10 | A あれこれ
 ここ、松本平の民家といえば本棟造り。ゆるやかな勾配の大きな切妻屋根、幅の広い破風、棟端飾りの大きな烏おどし(雀おどり)、妻面(正面)2階の格子窓、柱と貫による壁面構成などが特徴として挙げられる。洗練された力強い意匠。


        塩尻市内にて路上観察 090510

所用で出かけた塩尻市内の山際の集落で路上観察した。まだ何棟も本棟造りの民家が残っているが、今や板葺きの屋根などもちろん無く、烏おどしや破風を鋼板で包んでしまっているものがほとんど。残念だがメンテナンスのことを考えると仕方がない。
         
この民家は正面の庇が瓦葺だが、昔は石置き柿(こけら)葺きだったはずだ(先日見学した松本の高橋家住宅は瓦葺に改修されていた屋根を本来の石置き柿葺きに戻していた)。



ここでも塀に注目。腰壁が幅二間の下見板張りのパネルになっていて高橋家住宅同様、取り外しが出来るようになっている。パネルのジョイント部分は上下2ヶ所、L形の受け金物で留めている(写真)。パネル上端部の位置には塀に木の水切が付けてある。パネルの裏側に雨水が入らないようにする配慮か。丁寧な造りだ。

この春に馬籠宿に出かけた際に見かけた蔵にも板張りのパネルが設置されていたが、特に注目もしなかった。残念。

あることに注目し始めると、今まで見えなかったものが浮かび上がって来る。やはり漫然と見るだけではダメだ。

十和田市現代美術館

2009-05-10 | A あれこれ



「U1さんGWはどこかに出かけましたか」
「そういう質問にはGW中は遠出もせず、巣ごもり状態だった、って答えて終らせてはいけないんだね。同じ質問をして欲しいって見抜かないと。きっとKちゃんはどこかにでかけたんでしょ。で、どこに行ってきたの」
「はは、そうなんだ・・・。自分に同じ質問をして欲しいっていう気持ちが出てしまうんですか。実は東北旅行してきました。連休目一杯使って」
「やっぱりね。東北か、いいな。前から東北には行きたいって思っているんだよね」
「盛岡まで新幹線で行って、あとは友だちと車で角館と弘前に行ってきました。十和田市現代美術館にも行きましたよ」

「あの美術館、観てきたんだ」
「面白かったですよ」
「写真、いっぱい撮った?」
「ええ、でも建物はあまり撮ってないです。写真、へたっぴぃだし」
「見たいな。いまカメラ持ってない?」
「持ってない。持ってても全部の写真は見せませ~ん」

「露天風呂で写真を撮ったとか?」
「そうで~す」
「それ、見たい」
「やだ。美術館のパンフレットならあります」



「そう、このプランね」
「なんだか白い箱を適当に並べたって感じ、でした。ガラスの廊下が暑かったです。美術館ってもっと重厚なイメージがあるんだけど、そういうのとは全然違ってました」
「重厚って、ルーブル美術館のような? 渡り廊下、やはり暑かった? 空調も効かないだろうしね」
「暑かったです。温室みたいでした。真っ赤な蜘蛛かな、大きな作品が屋外にあって、目立ってました。壁が白だから、よけいそうなのかも。それが気に入って写真、何枚か撮りました」
「椿昇っていう作家のだね、パンフレットに載ってる」

「あ、そう。これです。この美術館って展示作品の方が先に出来ていたんですか?それとも美術館が先?」
「どうなんだろうね。既に作品が出来ていて、それにあわせて展示空間の大きさを決めたのもあるかも知れないね。それと、完成した空間を見て、作品をイメージしたのもあるかも知れない」
「建築と作品の関係がピッタリ決まってるって思いました。エントランスホールの床も作品だと思いますけど、すごくきれいでした。パンフレットに載ってますけど」
「これね。壁と天井が真っ白だから、床の色が引き立つね。現代アートってやはり都市や建築と切り離せない関係にあるから。きれいだね。実際に観てみたいな。東北か、行きたい・・・」