透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

間宮林蔵

2009-05-23 | A 読書日記
世界地図に名前を残したたった一人の日本人

 今からちょうど200年前、当時半島なのか島なのか不明だった(樺太半島説が有力だった)樺太を二度探検して、半島ではなく島であることを確認した世界最初の人物、間宮林蔵。彼の生涯を描いた吉村昭の長編小説『間宮林蔵』/講談社文庫を読み終えた。



世界の果てともいわれていた樺太、間宮林蔵の調査の旅は困難を極めた。彼の人生の前半はこの奇跡の調査行によって役人からも街の人々からも畏敬の目でみられるが、幕府の隠密として生きた後半は、どうも芳しくないように思えた。シーボルト事件の密告者と噂され、転居を繰り返さなければならないほど世間の冷たい視線を浴びる。

悲しみを癒そうと久しぶりに訪れた生家、両親が亡くなって空家となっていた生家は朽ち果てていた・・・。人生の明暗、浮き沈み・・・。

久しぶりに読んだ吉村昭。新潮文庫に収録されている作品はほとんど読んだが、講談社文庫は初めて。間宮林蔵の晩年の孤独感を味わうには秋に読むのがいいかもしれない。

民家は面白い!

2009-05-23 | A あれこれ
■ 白馬岳は春になると代掻き馬の雪形が現れることに由来する名前。この代馬に白馬と漢字をあてた。白馬岳を「はくばだけ」と読む人がいるのは残念。地元の白馬村は「はくばむら」だが、白馬岳は「しろうまだけ」だ。

さて、今回はその白馬村で先日路上観察した蔵。



積雪荷重に耐えられるように柱で補強している。雪除けのために板をあてがうこともある(下は以前載せた写真)。貫(横材)を「はぜ」としても使い、藁束をかけている蔵も見かける。雪除けとしても有効だろう、あるいは実際そのためかもしれない。

今回は妻垂れに注目した。しばらく前、塩尻市内で見かけた蔵と同様、この蔵にも妻垂れが付いている。



雨や雪から蔵の外壁を保護するためにいろいろな対策を講じている。下の写真は高知県は安芸市内の蔵(民家 昔の記録)。多雨地域のため壁に水切庇をつけている。地方によってこれだけデザインが違う。だから民家は面白い!