透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

朝カフェで「本所おけら長屋 六」(C1)を読む

2020-08-25 | A 読書日記



 『本所おけら長屋』第6巻 畠山健二(PHP文芸文庫2019年第13刷)を読み始めた。この巻には5編の短編が収録されている。その第1編「しおあじ」を読んだ。

**「覚えていてくれたんだね、あの握り飯のことを。あの夜のことは、今でもはっきりと覚えているよ。引き戸の隙間から覗いたら、又坊が膝を抱えて泣いてた。たぶんお腹が空いていたんだろうね。あたしの両親からは、あの家の子には関わるなって釘を刺されていたから、親の目を盗んで握り飯を作ったんだ。あたしは、先に食べたからってごまかしてね。その夜はお腹が空いてねえ。そしたら、又坊のことをますます放っておけないと思った。あの子の苦しさや悲しさはこんなもんじゃない。まだ五歳かそこらの子供が空腹に耐えるのは、どれだけつらいことだろうって。島田の旦那、おけら長屋で暮らせるあたしたちは幸せ者ですね。そんな悲しい気持ちになることはありませんから」(60頁)

又造(又坊)とお染さんとの二十二年ぶりの再会。この手の人情噺には弱い。朝カフェ、スタバで読んでいて、涙が頬を伝わった。周りにお客さんがいなくてよかった。


C1:図書カードで購入した本(1冊目)


「アポロ13」

2020-08-25 | H ぼくはこんな本を読んできた

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『アポロ13』ジム・ラベル&ジェフリー・クルーガー(新潮文庫1996年11刷)

 **「ヒューストン、トラブル発生だ」1970年4月13日、アポロ13号は月まであと一歩という段階で考えられない大事故を起こした。酸素タンク、燃料電池、電力ラインが爆発損傷し、3名のパイロットが宇宙に取り残される危機に陥ったのだ。(後略)** 以上カバー裏面の文章より引用。

SF映画のような展開。大事故から奇跡の生還。13という数字が良くなかったということも言われた。この本によると、打ち上げは1970年4月11日の13時13分(ヒューストン時間)だったそうだ。

同じアポロ13号の事故を扱った単行本が書棚にある。『アポロ13号 奇跡の生還』ヘンリー・クーパーJr 立花 隆 訳(新潮社1994年3刷)。



この本には次のような件(くだり)がある。**宇宙飛行士も、管制官たちもほとんどが二〇代、三〇代だったのである。飛行主任として地上スタッフを取りしきり、この危機を切り抜けた現場の最高責任者、ジーン・クランツは三六歳だったのである。**(まえがき) アポロ計画は若いスタッフたちが担ったプロジェクトだった。アメリカの宇宙技術を支える人材の凄さを示していると思う。宇宙技術だけでなく、他分野も同様なのだろう。