透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「わが愛する山々」深田久弥

2020-08-10 | H ぼくはこんな本を読んできた

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 きょう8月10日は山の日だから山にちなんだ本を載せようと思う。山と聞いて直ちに浮かぶのは深田久弥の『日本百名山』だが、この本は既に載せた(過去ログ)。で、やはり深田久弥の『わが愛する山々』(新潮文庫1978年13刷)を載せる。

深田久弥はあとがきに次のように書いている。**昔から注目された有名な山はあらかた登った。近頃はもっぱらあまり世に知られない、しかし山の立派さにおいては決して有名な山に劣らない、そういう山を探しだしては登っている。** この本にはそのような山、21座の山行記が収録されている。




文庫ではないが山にちなんだ本では『車窓の山旅・中央線から見える山』山村正光(実業之日本社1985年第9刷発行)が書棚にある。この本の著者・山村氏はプロフィールによると、昭和20年12月に国鉄に入り、以来40年間、主に中央線の車掌として新宿―松本間をおよそ4000回乗務したという。山村氏は日本山岳会の会員。

この本は中央線、山の逆旅(車窓からうしろに去り行く景色を楽しむ旅のこと)の記録を収めている。なお山村氏は中央線の車窓から見える山として130座!取り上げている。ちなみにラスト10座は鉢盛山、鉢伏山、鍋冠山(*1)、燕岳、仙丈岳(*2)、王ヶ鼻、常念岳、大滝山、有明山、乗鞍岳。


*1 鍋冠山は松本清張の『火の路』にでてくる。過去ログ 
   このブログカバーに使っているスケッチのクジラの背中のような形の山(ブログタイトルの下の山)。
*2 仙丈岳は南アルプスの高峰(3,033m)。
*3 北杜夫は『神々の消えた土地』(新潮社)で乗鞍岳について次のように書いている。**塩尻の駅を過ぎると、西の窓に忘れることのできぬ北アルプス連峰が遥かに連なっているのを、係恋の情を抱いて私は望見した。黒い谿間の彼方に聳える全身真白な乗鞍岳は、あたかもあえかな女神が裸体を露わにしているかのようであった。**(84頁)


「論理と思想構造」沢田充茂

2020-08-10 | H ぼくはこんな本を読んできた

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『論理と思想構造』沢田充茂(講談社学術新書1977年第1刷発行)

 難しい書名だが、若いころはこんな本も読んでいた。内容が理解できてもできなくても読んでいた。この本は1978年12月に松本で買い求めている。

例によってカバー裏面の本書紹介文から引く。

**著者は本書の前半で、確実な知識に到達する合理的な方法としての「現代論理学」の考え方を提示し、歴史的発展過程をあとづけ、後半では、その新しい視点から今日の文明現象を問いつめる。(中略)本書は現代の知的先端に位置する読者に、新しい思索の方法と文明の未来を眺望する視点を指し示す、最も有効な「哲学のすすめ」である。**

講談社学術文庫を読むことはなくなってしまった。脳がすっかり老いて難しい本を欲しなくなった・・・。

読みたいと思う本を読みたいときに読む。それで良い。