透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

朝カフェ読書

2020-08-06 | A 読書日記

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 しばらく前から『坊っちゃん』を読みたいと思っていた。自室の書棚に無かったので、今朝(6日)TSUTAYA北松本店で探した。新潮文庫の棚、無い。ならば角川の棚、無い。集英社文庫の棚、有った。 カバー裏面を見ると定価 本体260円+税という表示が。安い。今どきどんなに薄い文庫でも500円くらいするのでは。ちなみに巻末に年譜が載っているこの本は221頁ある。なんだか得した気分に。カバーに描かれた坊っちゃんはぼくが抱いているイメージとは違って、大人しそうでいかにも優等生といった感じ。

早速買い求めて、朝カフェスタバへ。馴染みの店員さんに「お久しぶりです」と声をかけられる。いつも通りホットのショートを手にいつもの席に着き、『かくれた次元』エドワード・ホール(みすず書房)を読む。

この本を読み終えたら『坊っちゃん』を読むつもり。なんだか中学生の夏休みの宿題みたいだな。


 


「漱石文学における「甘え」の研究」土居健郎

2020-08-06 | H ぼくはこんな本を読んできた




『漱石文学における「甘え」の研究』土居健郎(角川文庫1973年7版発行)

 日本文化論の名著と評される『甘えの構造』(弘文堂1974年59版発行)の著者・土居健郎がその「甘え」理論により浮きぼりにする漱石文学の作中人物論。

本書で論じられているのは「坊ちゃん」「坑夫」「三四郎」「それから」「門」「彼岸過迄」「行人」「こころ」「道草」「明暗」 以上の作品。

**またわれわれは日夜人間関係の束縛の中に呻吟し、それを切りたくとも切れないでいるが、「坊ちゃん」は勇猛果敢にすべての束縛する関係を断ち切るので、彼に声援を送りたいような気持に駆られる。要するに「坊ちゃん」はわれわれ日本人すべての者が内心に秘めている夢を実現している。「坊ちゃん」がかくも一般の人気を博するようになった理由はまさにここに存していると考えられるのである。**(28頁)

2冊とも20代で読んだ。なぜ20代で読んだ本を多く残したのだろう・・・。遠い昔を懐かしむ気持ちが強いのかもしれない。