透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「日本百名山」

2022-07-20 | A 読書日記

 5月28日、もう2カ月近く前のことだが、NHKラジオの「石丸謙二郎の山カフェ」という番組で、鉄道を入れることを条件にして百名山を撮っているカメラマン・徳永靖さんの話を聞いた。

鉄道写真を撮ることを趣味にしている人(撮り鉄と呼ばれている)は多いし、山岳写真を撮る人も多い。だが、百名山を撮るとき鉄道を入れることを条件にしている人は少ないと思う。百名山、100座の内、既に98座は撮影することができたという。では残りの2座はどこか? 北海道の日高山脈の幌尻岳(ぽろしりだけ)と九州は屋久島の宮之浦岳だそうだ。幌尻岳は根室本線か室蘭本線の列車を入れて撮影できそうとのこと。地図を見て、確かに撮れそうだなと思った。屋久島には鉄道がないが、薩摩半島の指宿枕崎線から宮之浦岳が見えるという情報があるようだが、条件が良くなければ見えないだろう。百名山と鉄道の写真集を出版して欲しいなぁ。


『日本百名山』深田久弥(新潮文庫1978年発行、1995年31刷)

この放送を聞いて、深田久弥の『日本百名山』をまた読んでみようかな、と思った。で、昨日(19日)の朝カフェで読み始めた。百名山を北海道の利尻岳から屋久島の宮之浦岳(*1)まで、山容や山行の様子などをそれぞれ簡潔に数ページで紹介している。山好きな人なら一度は読んでいる本ではないか。


*1 この本では宮ノ浦岳と表記している。



千曲市のマンホール蓋

火の見櫓を入れてマンホール蓋を撮っている人っているのかな・・・。世の中広いからいるだろうな。厳しい条件を設定して、狭い世界に入り込む人って多いと思う。


森林がCO2の排出源になる

2022-07-19 | D 新聞を読んで

 信濃毎日新聞朝刊1面のコラム「斜面」、7月13日の**地球温暖化は森林をCO2(二酸化炭素)の排出源に変えてしまう―。**という内容には驚いた。

植物は呼吸で酸素を取り入れてCO2を排出している。その一方で光合成をして、CO2を吸収し、酸素を排出している。植物は気温が一定の値を超えると光合成の能力が下がり、呼吸は高温になるほど活発になるのだそうだ。ということは、ある気温になるとCO2の排出量が吸収量を上回ることになる・・・。この気温は植物の種類によって異なるそうだが、このまま気温上昇が続けば今世紀末には地球上の植物の半分がCO2の排出源になるとコラムに書かれている。アマゾンの熱帯雨林でもCO2の排出源になっている地帯が既にあるという。

植物がCO2の排出量を増加させ、そのことで地球温暖化を促進することになってしまう・・・。

(同紙7月17日付朝刊の記事の見出し)

地球温暖化は農作物にも影響して、既に長野県でもコメやレタス、リンゴなど18品目に影響がみられるそうだ。そのうち長野県は信州リンゴではなく信州ミカンの産地として知られるようになるかも、などと冗談を言ってはいけない。まじめに、まじめに。

植物がすべてCO2の排出源となって、宇宙船地球号が酸素不足になる?!などと言う事態は信じたくない、SFの世界に留めておかなければならない。

(同紙7月19日付朝刊の記事の見出し)

地球温暖化はこのところ毎年のように甚大な被害をもたらす集中豪雨とも大いに関係しているのだろうし、欧米各地で、いや、日本でも最高気温が40度を超えるような日があることにも関係しているのだろう。

もしかしたらコロナ禍だって地球温暖化と無関係ではないのかもしれない。このことは「風が吹けば桶屋が儲かる」ということを説明するよりも長くて複雑な理路によって説明することになるのかもしれないけれど・・・(*1)。


*1 コロナ禍によって人の移動が制限されたために、短期的ではあるがCO2の排出が抑制されたとも言われている。


 

 


「横笛」

2022-07-18 | G 源氏物語

「横笛 親友の夢にあらわれた柏木の遺言」

 柏木の一周忌の法要が営まれた。その後こと、夕霧は柏木の妻の落葉の宮とその母・御息所を一条宮邸に見舞った。静かに琴を奏する宮邸は夕霧の邸とは大違い。御息所は柏木が大切にしていた横笛を夕霧に送る。夜遅くに夕霧が邸に帰ってみるとみな眠っている。雲居雁(夕霧の妻)も起きて来ない。

**「大将の君はあの女宮にご執心で、それであんなに親切になさっているのですよ」と北の方(雲居雁)に女房たちが告げ口したので、こうして夜更けまで大将が出かけているのもなんだか憎らしく、帰ってきたもの音を聞いたものの、眠ったふりをしているらしく・・・。**(488頁)と事情が説明されている。ここで大将とは夕霧のこと、女宮とは落葉の宮のこと。読んでいて時々、あれこの人誰だっけとなるので念のため。

その夜、夕霧の夢に柏木が出てくる。**笛竹に吹き寄る風のことならば末の世長きねに伝へなむ**と柏木が読む。(489頁)**(前略)願わくば末永く私の子孫に伝えてほしい。**と訳されている。それは誰かと問おうとすると、赤ん坊がひどく泣き出したので目が覚めてしまう。夕霧は横笛をどうしたものかと思いあぐねて、六条院に光君(父親)を訪ねる。そこで薫を見た夕霧は目元や口元が柏木に似ていると思う。

夕霧から夢の話を聞いた光君は、横笛は自分が預かるべきものだと答える。夕霧は柏木の遺言を伝え、真相を聞き出そうとする。光君は、夕霧はやはり気が付いているのだなと思う。だが、心当たりがない、ととぼけて答えようとしなかった・・・。

この帖では横笛が血脈を象徴するものとして扱われている。これは紫式部の冴えたアイデアだと思う。このことだけ書いておけば良いかな・・・。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔 
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋                


「どくとるマンボウ途中下車」

2022-07-18 | A 読書日記

『黄いろい船』
『どくとるマンボウ青春記』
『どくとるマンボウ途中下車』 
『どくとるマンボウ追想記』
『どくとるマンボウ昆虫記』
『どくとるマンボウ航海記』
『夜と霧の隅で』
『白きたおやかな峰』 
『楡家の人びと』

 上掲した北 杜夫の作品を10年ほど前に再読している。これらの作品を思い浮かべると、北 杜夫が追憶の作家だということが分かる。時にユーモアを交え、時に羽化したばかりの蜻蛉のようなとでも形容したらいいのか、繊細でナイーブな独特の表現で追憶が綴られている。

280

しばらく前から『どくとるマンボウ途中下車』(中公文庫1973年)をまた読んでいたが、昨夜(17日)読み終えた。

**さて、機はエンジンを片方ずつ全開させてテストした。私はそのエンジンの響きにじっと耳をすませて、不調の徴があったらすぐさまパイロットのところへ言いに行こうとベルトを外しかけた。だが、まずまずの響きのようだった。パイロットもそう思ったのだろう、機は滑走を開始し、私の祈りのせいもあって、無事に空に浮かびあがった。**(57頁)こんなユーモアのある文章は他の作家に書けないだろう。北さんはごく自然にこんな表現になるのだろう。

**小説というものはつくづく便利なもので、主人公が町角をぶらぶらしていると、必ずや心にひめやかにたゆたっている女性とばったり出会う。**(163頁)と北さんは書く。何年振りかであった太郎と花子はこの後一緒にラーメンを食べにいく、というように話はスムーズに進行してゆく。でも現実はなかかなこうはいかない、と北さんが指摘した後に続く文章に、黄色の鉛筆でごく薄く傍線が引いてある。**太郎と花子は双曲線のように近づくかと見えるが、やがて遥かな空間に溶け去って、二度とまみえることはないのである。**(163頁)この件、確かにそうだなと思ってあの頃引いたものだろう・・・、きっとそうだ。


 


「柏木」

2022-07-16 | G 源氏物語


撮影日2022.07.15 朝5時ころ

「柏木 秘密を背負った男子の誕生」

 『源氏物語』の「若菜  上、下」を読み終えて、しばらく間が空いたが昨日(15日)次の帖の「柏木」を読んだ。この帖のトーンは上掲写真のように暗い。

柏木(督の君)は、光君(六条の院)に女三の宮(光君の妻)との密通が知られてしまい、ずっと病に伏せたままだ。冒頭の文章を読むと、柏木がうつ状態だということが分かる。自分が死んでしまえば、光君も大目に見てくれるだろう・・・、と思う。

柏木は病床から女三の宮に最後の手紙を送る。**今これまでと私を葬る炎も燃えくすぶって、いつまでもあきらめきれない恋の火だけがこの世に残り続けるでしょう**(444頁)という意味の歌に思いを託して。

光君の機嫌が悪いことなどがやり切れず、女三の宮はなかなか返事を書こうとしなかったが、小侍従に催促されてようやく返事を書く。**立ち添ひて消えやしなまし憂きことを思ひ乱るる煙くらべに**(447頁) 私も一緒に煙となって消えてしまいたい思いです。空に立ち昇る煙(恋心)はどちらが強いか比べるためにも。柏木はこの返歌がとてもうれしくて(そうだろうなぁ、分かる)、この歌だけがこの世の思い出なんだろうな、と思う。

女三の宮が男の子を出産する。薫。ここで無知をさらける。僕は薫は光君の子どもだと思っていた。物語でもこのような扱いだが、光君は実の父親ではないということはずっと知らなかった・・・。当然と言えば当然だが、光君は生まれてきた子(柏木によく似ている)を心から慈しむ風でもいない。

この先のことを憂い、女三の宮は出家を願うようになる。姫宮は食欲もなく、次第にやつれていく・・・。あの六条御息所の死霊の仕業だということが分かる。またしても六条御息所。物語における六条御息所の役目、作者の意図を考えなくては・・・。

娘のことを案じた朱雀院は出家の身だが夜の闇をついて山をおりてくる。で、光君を反対を押し切って娘を出家させる。朱雀院は**これ以上ないほど安心だと思って姫宮を預け、光君もそれを承諾したのに、それほど愛情も深くはなく、期待していたようではない様子だということを、この何年も何かにつけて噂に聞いて心を痛めていた。**(454頁)のだった。

柏木は女三の宮の出産と出家を知り衰弱、生きる力を失う。見舞い来た夕霧に柏木は次のようなことを言い遺す(ふたりは幼馴染でずっと仲良くしてきている)。光君(夕霧の父親)との間に思わぬ行き違いがあったが、自分が死んだ後でも許してもらえるのなら嬉しいということを伝えて欲しい、それから残される妻の落葉の宮(女二の宮、女三の宮の姉)のことが心配だから後をよろしく頼む、と。柏木は泡が消えてしまように息を引き取る。

夕霧は遺言に従い、落葉の宮とその母の一条御息所を弔問する。御息所と対面した夕霧が述べるお悔やみの言葉、**「このたびのご不幸を嘆く私の気持ちは、(中略)督の君にもどんなに深く心残りがあっただろうと察しますと、悲しみが尽きません」**(467,8頁)には感心した。こんな挨拶ができるなんてやはり夕霧は優秀だ。

世間は柏木の死を深く悲しんだ。光君の思いは複雑だ。**女三の宮の生んだ若君を、自分の心の内だけでは、督の君の形見と思っているけれども、ほかの人は思いも寄らないことなので、まったく甲斐のないことである。**(475頁)

秋つ方になれば、この君は、ゐざりなど。**秋の頃になると、この若君ははいはいなどをするようになり・・・。**(475頁) この帖はこのように結ばれている。

華やかな平安貴族の暮らしぶりが描かれていた頃とは違い、人の内面、抱える悩みなどが描かれる。言うまでもなく『源氏物語』は浮ついた恋愛小説などとは全く違う。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔 
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋  



群馬の火の見櫓レビュー 2

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい


 15 沼田市利根町大原     16 沼田市利根町日影南郷   17 沼田市白沢町平出


 18 昭和村糸井        19 沼田市岩本町       20 高崎市箕郷町柏木沢


 21 安中市上間仁田      22 甘楽町福島        23 下仁田町宮室


 24 南牧村磐戸        25 南牧村小沢


7月8日(金)


群馬の火の見櫓レビュー 1

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい


 1 嬬恋村三原         2 嬬恋村今井        3 みなかみ町月夜野
 

 4 みなかみ町月夜野      5 みなかみ町政所(?)   6 沼田市中発知町


 7 川場村門前              8 川場村川場湯原       9 沼田市知沢町


 10 片品村越本        11 片品村越本        12 片品村土出


 13 沼田市利根町老神     14 沼田市利根町大楊


7月7日(木)






最後の火の見櫓

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい

群馬の火の見櫓 25

 今月(7月)7日,8日の二日間、群馬の火の見櫓めぐりで出合った25基。本稿が最後、25基目の火の見櫓。


1374 甘楽郡南牧村小沢 3脚切妻〇型 撮影日2022.07.08 午後4時15分ころ

南牧村役場目指して国道45号を進む。前方視界に一瞬火の見櫓が入った、上の写真のように。だが、車は急に止まれない。役場まで行って、帰りに観ようと思った。で、この先の磐戸で前稿の火の見櫓と出合ったという次第。南牧村役場には午後4時10分頃着いた。自宅から役場までの走行距離は約470km。さて、これから引き返してちらっと見えた火の見櫓を見たら帰ろう・・・。





少し歩いて、こんな風に見えるところに着いた。これも「高さかせぎ」だ。遠くまで見通せること、という条件を優先して場所を決めたのかもしれない。このような立地はもちろん長野県にもある。





火の見櫓に切妻屋根って違和感がある。方向性を強く感じさせる形は櫓(柱が3本以上ある立体構造で方向性を感じさせない)とは合わない。やはり円錐や角錐のような方向性を感じさせない屋根が合う。


帰りは群馬銀行下仁田支店近くの交差点を午後4時半ころ左折、国道254号で長野県へ。県境の長いトンネルを抜けると佐久であった。その後、カーナビの案内に素直に従って国道254号の終点(過去ログ)を通過、夜8時ころ帰宅した。2日間の走行距離は603km、歩数は13,857歩だった。

鉄分補給の二日間、疲れたけれど楽しかった。


 


「高さかせぎ」

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい

群馬の火の見櫓 24


1373 甘楽郡南牧村磐戸 4脚4〇型(高さかせぎ)撮影日2022.07.08 午後4時近く

 国道45号は南牧川沿いの谷あいを奥へ奥へと続き、途中で分岐して上野村に至る。上野村と言えば御巣鷹山、1985年8月12日に日本航空のジャンボジェット機が墜落した大事故の現場となった山だ。

さて、この火の見櫓は上記分岐点の少し手前の道路よりだいぶ高い所に立つ「高さかせぎ」だ。上掲写真のように前方視界に入ってきた。この場所から少し進み、適当な場所に車を停めて歩いて戻ってきて観察した。二日間とも思いの外歩数が多いのはこのようなことにも因るのだろう。


擁壁の階段を登って火の見櫓のところまで行ってみた。


火の見櫓から集落を一望できることが分かる。




見張り台の床面の構成。巴型(↓)も好いと思ったが、これもなかなか好い。マンホール蓋もそうだが、見張り台の床も円形であることをちゃんと活かしたデザイン、円形だからこそできる魅力的なデザインが好いと思っている。


1366(群馬の火の見櫓 17)沼田市白沢町平出


逆U形のアーチ部材で補強された脚部


 


下仁田町の火の見櫓

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい

群馬の火の見櫓 23

 甘楽町から国道254号で下仁田町へ向かう。この国道は東京の文京区は東京ドームの近くの始点から松本市の郊外の終点までを結んでいる(過去ログ)。 途中、上信電鉄の踏切を通った。動く鉄も好きだが、あくまでも動かない鉄めぐりが目的なので、電車観察はパス。更に南牧村の役場を目指して県道45号を進む。

川(南牧川)に沿って集落が点在してるこの村の地理的状況は川場村や片品村と同じで、私の「なんとなく直感的理論」によると火の見櫓が何基か立っていて、しかもそれを見つけやすいはずだ。

南牧村入りする前にこの火の見櫓と出合った。県道沿いに立つ背の低い火の見櫓だ。


1372 甘楽郡下仁田町宮室 3脚3〇型 撮影日2022.07.08 午後3時半ころ


高さかせぎとは反対で、道路より低い所に立っている。なぜ? 


既に半鐘は撤去されていて、サイレンが主(ぬし)になっている。屋根、ちっちゃ。


脚は雑草の中。3角形の水平構面なのにブレースを設置している。これって構造的には不要なのでは・・・。いや、構面の補強になるのかな。


 


甘楽町のマンホール蓋

2022-07-14 | B 地面の蓋っておもしろい




甘楽町のマンホール蓋 同町福島にて 撮影日2022.07.08

 蓋が円形であることを意識したデザイン。外側の円形の帯に町の花・ソメイヨシノが描かれ、内側の円には町の木・アカマツをバックに町の鳥・キジが描かれている。下側に かんら おすい と表記。


こちらは汚水ますのコンクリート蓋


 


甘楽町福島の火の見櫓

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい

群馬の火の見櫓 22

 高崎市から富岡市を経由して甘楽町に向かう。このルートは予め決めていた。火の見大好き長井さんに、この火の見櫓を紹介されたので、カーナビで甘楽町の図書館を目的地に設定した。図書館の隣という分かりやすい立地の火の見櫓。高崎市の洋菓子店・ミリオンからおよそ1時間かかった。ここに直行すれば、3,40分ほどで着く距離だろうが、遠回りしたので。


1371 甘楽郡甘楽町福島 4脚4〇型 撮影日2022.07.08 午後2時ころ


梯子桟の数と間隔(ピッチ)から見張り台のおよその高さを求めた。結果は12m。設置されている銘板から竣工が1952年(昭和27年)8月だと分かった。



 

この火の見櫓はかなり古いだろう。ごつい火の見櫓は古いものが多いことを経験的に知っている。

屋根のてっぺんの飾りに方位を示す円環があることを長井さんから聞いていた。





3角形の櫓の水平構面は横架材3辺の長さが決まれば形はひとつに定まり変形しない。4角形の櫓は変形の可能性がある。4辺の長さが決まっても形はひとつに定まらないので。この火の見櫓は水平構面内の変形を考慮して火打梁を入れ、さらに交叉ブレースまで入れている。古い火の見櫓にはこのように用心深く造られているものが少なくないように思う。


鋼管の梯子桟。この位太ければつかみやすいと思う。脚の上の水平構面にも火打ち梁とブレースを設置している。



脚部。今回の群馬の火の見櫓めぐりで、短い脚をいくつも見てきた。この脚も短いが、今まで見てきた短脚とは違う。脚の下側が後から埋められたのではないか。周りの様子を確認する。



火の見櫓の建設当時は敷地のレベルが右側の土地と同じレベルだった。その後、消防用の建物の建て替えの際に盛土造成した結果、今のレベルまで高くなった。それで脚の下側が埋まった。 このような推測をした。



 


安中市上間仁田の火の見櫓

2022-07-14 | A 火の見櫓っておもしろい

群馬の火の見櫓 21 

高崎市倉賀野にある洋菓子店ミリオンを後に国道17号、18号を通って安中市役所へ。更に甘楽町へ向かう途中でこの火の見櫓と出合った。


1370 安中市上間仁田 4脚6〇型 撮影日2022.07.14 午後1時半ころ



第一印象は長野県の火の見櫓と似ている、だった。櫓の形や屋根と見張り台の大きさとバランス。脚部、これまで見てきた群馬県の火の見櫓の短い脚とは姿形が違う。下側の梯子も櫓内に設置してあるし、踊り場にも手すりが設置してある。踊り場は櫓の一面だけ外側まで張り出しているが、このような形のものは長野県にもある。



4角形の櫓と6角形の屋根の組合せは多くはないと思うが、珍しいと言うほどでもない。軒先の飾り・蕨手はただ単に屋根の補強下地の端部処理ということにとどまらない意味があると思う。神輿の屋根と同形の飾りの意味は・・・。



踊り場を櫓の一面だけにバルコニーのように張り出した「カンガルーポケット」。長野県の東信でよく見かける型だ。



なかなか美しい脚ではないか。


 


群馬の火の見ヤグラーさん

2022-07-14 | C 名刺 今日の1枚

174枚目

360

 鉄道ファンの数は100万人とも200万人とも言われている。では火の見櫓大好きという人はどのくらい? 2,000人から3000人くらい(*1)、いやもっと少ないかもしれない。1,500人くらいか・・・(*2)。

高崎市倉賀野町のミリオンという洋菓子店の代表、長井 真さんは数少ない火の見櫓大好きな方のお一人。SNSで火の見櫓情報を発信しておられるので、ネット上では知り合いだ。今のご時世、ネット上の知り合いになることは容易。せっかく群馬に行くのだからお店を訪ねて面会しようと思っていた。高崎市の中心市街地を通り(馴れない大通りの運転は緊張した)、ナビのおかげで迷うことなく、12時ころお店に到着した。


やぐらポーズの長井さん 撮影2022.07.08 昼の12時過ぎ

アポなしにも関わらず、仕事中にも関わらず歓待していただいた。名刺交換。群馬県内全域の火の見櫓が脳内にきっちりインプットされているのではないか、長井さんと話をしていて感じた。リアルな知り合いになれてうれしかった。

お土産までいただき、恐縮す。再会の機会があることを願う。


 

*1 50人×47都道府県=2350人 
*2 30人×47(同上)=1410人