和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

伝。

2010-11-13 | 前書・後書。
注文してあった「堺利彦伝」(中公文庫)が手には入り、
文庫のうしろの解説を読もうとしたわけです。
すると、黒岩比佐子氏の解説の前に、
荒畑寒村「先師のおもかげ」という文もあるのでした。

黒岩比佐子著「パンとペン」(講談社)には

「『寒村自伝』のなかで『先生』と呼ばれているのは、堺利彦ただ一人である。生前の寒村と交友があった瀬戸内寂聴氏は『久闊多罪 ―― 荒畑寒村の手紙』の解説で、『寒村は終生、堺利彦を敬慕していた。私は寒村が涙をためて、堺利彦の人柄をほめ、追慕するのを幾度か目にしている』と述べている。・・・」(p270)

ところで、話はかわるのですが、
「高橋是清自伝」というのが、あります。
私は読んでないのですが、それの解説でおもしろい箇所がありました。
中公文庫「高橋是清自伝」下での解説は小島直記氏。そのはじまりは、

「いわゆる自叙伝も数多いが、その中からベスト・テンを選ぶとなると、福沢諭吉の『福翁自伝』、河上肇の『自叙伝』とならんで、『高橋是清自伝』が入るにちがいない、と私は信じ、そのことをひとにも語ってきた。・・・・」とあります。

おもしろいと思ったのは、
「近代日本の百冊を選ぶ」(講談社)で、
「高橋是清自伝」の解説を書いているのが、百目鬼恭三郎氏。
そのはじまりはというと、こうでした。


「日本人の自伝を1冊選ぶとなると、福沢諭吉の『福翁自伝』か、荒畑寒村の『寒村自伝』をあげるのが正統であるにちがいない。これらは伝記的な興味をもたない読者が読んでも、すこぶる面白い。一種の文学作品といってもいいだろう。・・・」

ちなみに、「近代日本の百冊を選ぶ」では、河上肇著「自叙伝」はありますが、「寒村自伝」は入っておりませんでした。「堺利彦伝」もなし。

ところで、堺利彦訳「野生の呼声」が読みたくなり、古本屋へと注文。
コメント
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