和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

両手をひろげ。

2010-11-06 | Weblog
黒岩比佐子氏の本は2~3冊しか読んでいないのでした。
そんな私にも、わかる感じをうけるのは、
テーマを踏みはずさないということなのだと思います。
ひとりで、書かれておられる。ひとりで立っておられる。
そこから、編集という仕事への地続きの手ごたえをおもちで、
さらには、書くことへの基本のテーマを離さずにおられる。
ちょうど、磁場に、砂鉄が円を描くように資料が並びはじめ。
そんな、臨場感を読む者へ味読させていただける。
そこに、文壇を発想しない矜持でもって、立つ強さをお持ちで。
それが、文壇の視点では、うかがえない裾野に下り立つような、
いわば、第一歩を読者に共有させていただける。
そんな、共感を抱かせてくれるのでした。
たとえば、村井弦斎・国木田独歩・堺利彦と並べて、
3人の文を思うにつけ、視点の独創性が透けて見えるようです。
白い紙に、ひとり両手をひろげて佇む。そこに資料が描き始める方向を丹念になぞってゆく。そんな静かな情熱を、読む私にもたらしてくれる。ここに、あらたに掘り起こすにたる系譜を、たかだかと掲げられたのだと。そんなことを、ぼんやりと思うのでした。

自分の舌足らずな言葉を恥じるばかりですが、
備忘録として、書き込んでおきます。
コメント
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