和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

蛇笏の夏見舞。

2016-07-29 | 詩歌
7月17日の毎日新聞「今週の本棚」で
荒川洋治氏が「飯田蛇笏全句集」(角川ソフィア文庫)の
書評をしておりました。印象に残ったので、
さっそくネット注文したのが
ようやく27日に届きました(笑)。

読もうとめくると、
漢字が辞書を片手じゃないと読めない。
うん。こういう場合は
パラパラと拾い読みに限ります(笑)。

夏を探してめくってみました。


 

うす箋に愁ひもつづり夏見舞

風鈴屋老の弱腰たてにけり

繭売つて骨身のゆるむ夫婦かな

暑中ただもろ乳垂りて母老いし



首なげて帰省子弱はる日中かな

送り火をはたはたとふむ妻子かな

子もなくて墓参いとへる夫婦かな

桐の葉に夕だちをきく書斎かな


あな痩せし耳のうしろよ夏女

水盤に行李とく妻や夏ごろも

風鈴の夜陰に鳴りて半夏かな

日も月も大雪渓の真夏空

夏来れば夏をちからにホ句の鬼

山ふかむほどに日鮮か夏来る

向日葵や炎夏死おもふいさぎよし

生き疲れてただ寝る犬や夏の月

炎天を槍のごとくに涼気すぐ


蝉しぐれもろ手を揚げて措きどなし

深山の月夜にあへる蝉しぐれ

世に古るは一峡一寺蝉のこゑ


雲四方に夏大いなる甲斐に棲む

夏旅や俄か鐘きく善光寺


  信州なにがしの郷をよぎりて

やまぎりにぬれて踊るや音頭取

紫陽花に八月の山たかからず


  大正八年六月二十六日家郷を発して
  日本アルプスの幽境白骨山中の温泉
  に向ふ。途中・・・

夏山や又大川にめぐりあふ

旅人に秋日のつよし東大寺


遠泳やむかひ浪うつ二三段

中年の家わすれねど海水着

   プール参観

水光にけたけた笑ふ裸かな


紫蘇の葉や裏ふく風の朝夕べ












コメント
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