3冊が思い浮かぶ。
梅棹忠夫著「知的生産の技術」(岩波新書・1969年)
藤本ますみ著「知的生産者たちの現場」(講談社・1984年)
鷲尾賢也著「編集とはどのような仕事なのか」(トランスビュー・2004年)
はい。藤本ますみさんの本を読み直す。
『知的生産の技術』を真ん中に置いて、
3冊が、ひとかたまりとなって読める。
うん。まずは藤本ますみさんの本から引用。
藤本ますみさんの仕事は梅棹忠夫氏の秘書。
身近に接した、梅棹氏の人となりが鮮やか。
その「第三章 知的生産の奥義」に
「『若い人はいずれ、それぞれの立場で原稿を
かかんならんようになるのやから、いっぺんは
編集の仕事にたずさわっておいたほうがいい』
というのが、先生(梅棹)の持論であった。
小さな研究室のなかに、いくつも事務局をひきうけてくるのは、
その持論を実行するためでもあったのではないかと思う。
というのは、それぞれの事務局はたいていなんらかの
出版物を編集していたからだ。」(p261)
ここに『季刊人類学』が出てきておりました。
「季刊とはいえ、250ページをこえる『季刊人類学』の世話は、
なかなかたいへんである。事務局担当者も忙しかったが、
編集委員も投稿原稿を読み、採用のきまった論文には、
原則としてコメントをつけることになっていたから、
新しい仕事がふえた。そういう用事を片づけておいて、
一方で自分自身の論文もかかなければならないのだから、
編集委員にとって、『季刊人類学』はたいへんな負担である。
いうまでもないことだが、編集委員たちの協力は無料サービスであった。
それどころか、持ち出しになることさえある。にもかかわらず・・・」
(~p262)
この藤本ますみさんの本は、講談社から出ておりました。
講談社に勤めていた鷲尾賢也氏の本には、こうあります。
「『季刊人類学』という雑誌を社会思想社からひきついで、
編集実務を講談社が引き受けていた。当然赤字であるが、
今西錦司、梅棹忠夫以下のいわゆる文化人類学関係の
著者獲得の一方法としてはじめたと聞いている。
その結果、岩田慶治、佐々木高明、米山俊直、谷泰、
松原正毅といった方々と長い間、おつきあいが生まれた。」
(p211・「編集とはどのような仕事なのか」)
ちなみに、岩田慶治著作集は、講談社から出ておりました。
はい。この3冊の結びつき方が面白い。
遅筆・梅棹忠夫のキツネつきをはじめ、
魅力を何回かに分けて、ピックアップ。
何とか目移りする前に当ブログで紹介。
本と本との結びつきは忘れないように。