和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

若い人はいずれ。

2021-07-15 | 本棚並べ
3冊が思い浮かぶ。

梅棹忠夫著「知的生産の技術」(岩波新書・1969年)
藤本ますみ著「知的生産者たちの現場」(講談社・1984年)
鷲尾賢也著「編集とはどのような仕事なのか」(トランスビュー・2004年)

はい。藤本ますみさんの本を読み直す。
『知的生産の技術』を真ん中に置いて、
3冊が、ひとかたまりとなって読める。

うん。まずは藤本ますみさんの本から引用。
藤本ますみさんの仕事は梅棹忠夫氏の秘書。
身近に接した、梅棹氏の人となりが鮮やか。
その「第三章 知的生産の奥義」に

「『若い人はいずれ、それぞれの立場で原稿を
かかんならんようになるのやから、いっぺんは
編集の仕事にたずさわっておいたほうがいい』
というのが、先生(梅棹)の持論であった。

小さな研究室のなかに、いくつも事務局をひきうけてくるのは、
その持論を実行するためでもあったのではないかと思う。
というのは、それぞれの事務局はたいていなんらかの
出版物を編集していたからだ。」(p261)

ここに『季刊人類学』が出てきておりました。

「季刊とはいえ、250ページをこえる『季刊人類学』の世話は、
なかなかたいへんである。事務局担当者も忙しかったが、
編集委員も投稿原稿を読み、採用のきまった論文には、
原則としてコメントをつけることになっていたから、
新しい仕事がふえた。そういう用事を片づけておいて、
一方で自分自身の論文もかかなければならないのだから、
編集委員にとって、『季刊人類学』はたいへんな負担である。

いうまでもないことだが、編集委員たちの協力は無料サービスであった。
それどころか、持ち出しになることさえある。にもかかわらず・・・」
(~p262)

この藤本ますみさんの本は、講談社から出ておりました。
講談社に勤めていた鷲尾賢也氏の本には、こうあります。

「『季刊人類学』という雑誌を社会思想社からひきついで、
編集実務を講談社が引き受けていた。当然赤字であるが、
今西錦司、梅棹忠夫以下のいわゆる文化人類学関係の
著者獲得の一方法としてはじめたと聞いている。
その結果、岩田慶治、佐々木高明、米山俊直、谷泰、
松原正毅といった方々と長い間、おつきあいが生まれた。」
(p211・「編集とはどのような仕事なのか」)

ちなみに、岩田慶治著作集は、講談社から出ておりました。

はい。この3冊の結びつき方が面白い。
遅筆・梅棹忠夫のキツネつきをはじめ、
魅力を何回かに分けて、ピックアップ。

何とか目移りする前に当ブログで紹介。
本と本との結びつきは忘れないように。

コメント (2)
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