古本。太田信一郎著「東京のわらべうた」
(東京新聞出版局・昭和58年)が200円。
東京というか関東一円のわらべうたを取りあげた一冊。
はい。最後の著者紹介が楽しいので引用しておきます。
「大正14年11月横浜市戸塚区飯島町生まれ。
昭和30年代後半から、本業の噴水工事業を経営の傍ら、
わらべ唄の採集を始め、関東一円を妻とともに歩く。
・・・・」
「はじめに」は、こうはじまります。
「昭和30年代ぐらいまでの東京は、まだ戦前から引き継がれてきた
郊外がそこここにありましたし、ちょっと足を延ばせば、
武蔵野の欅の林を見渡し、寒風の中に早春の揚げ雲雀を聴きながら
白雲の富士を遠望することも容易でした。
郊外や野原には、必ず子供たちの遊ぶ姿がありましたし、
町々の空き地や路地では、子供たちの賑やかな声が聞かれました。」
はい。そのまま「はじめに」を引用しつづけたい気持ちになります。
けれども、ここまでにして、本文からの紹介をすることに。
うん。タヌキにしましょう。
「狸にちなんで名高いのが、
千葉県木更津は証誠寺と群馬県館林の茂林寺(もりんじ)。
証誠寺はご存じの狸囃子、茂林寺は分福茶釜です。
狸囃子の方は天下に知られた童謡『証城寺の狸囃子』
(野口雨情詩・中山晋平曲)がありますが、
茂林寺にも『分福茶釜の歌』があるのです。・・・」(p70)
ちなみに、寺の名の証誠寺は、詩には証城寺となっております。
宗派はというと、浄土真宗証誠寺と、茂林寺は禅宗で、
この本にその記述があります。著者が足を運んで調べられております。
え~と。こんな箇所はタイムリーな引用になるのかもしれません。
証城寺に関する記述に出てきます。
「ところで終戦後まもなく登場したNHKラジオの
英会話、平川唯一氏のあの『カム・カム・エブリボディー』
の曲がこれで、32年ごろから黒人歌手アーサー・キットが
歌って爆発的に売れた『お腹の空いたアライグマ』というのが
この歌。ハスキーな声でコエコエコエと歌ったのを覚えている
方もたくさんいらっしゃいましょう。
政子(住職の奥さん)夫人によると終戦当時に、
進駐軍が気に入って歌わせた日本の歌が三つあり、
一つは佐渡おけさ、
一つは炭坑節、
一つがこの証城寺だったといいます。」(p109)
この本には、野口雨情の詩と、それを曲にのるように
歌詞をかえた中山晋平の歌詞とが並べて載っております。
はい。最後は、歌詞をそのままに引用。
証城寺の狸囃子
証、証、証城寺
証城寺の庭は
ツ、ツ、月夜だ
皆出て来い来い来い
己等の友達ァ
ぽんぽこぽんのぽん
負けるな、負けるな
和尚さんに負けるな
来い、来い来い、来い来い来い
皆出て、来い来い来い
証、証、証城寺
証城寺の萩は
ツ、ツ、月夜に花盛り
己等は浮かれて(己等の友達ァ)
ぽんぽこぽんのぽん