和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『私立探偵』的な立ち位置。

2012-08-26 | 幸田文
注文してあった岩波現代文庫「増補 幸田文対話(上)」から
とりあえず、解説(堀江敏幸)を読んでみる。
そういえば、
オリンピックの際に、NHKBSプレミアムで、
シャーロックホームズ2をやっていたのでした。
主人公が、相手のちょっとした服や指の汚れなどから、
即座に、その周辺のことを言い当てる場面が、
今回のテーマに重なってゆくのでした。
うん。そんなこんなが面白かったのでした。

さてっと、堀江敏幸さんの解説を読んでいたら、
こんな箇所があるのでした。

「専門の書にあたり、研究の成果を吸収しながらも、露伴は全身全霊で素人たらんとした。将棋の名人の木村義雄が断言したとおり、露伴は『素人の天才』であって、ものを見る眼を、警部や刑事ではなく『私立探偵』的な立ち位置で養ってきたのである。父と娘の逸話のひとつに、一種の推理ゲームがあったとの証言は、その意味で無視することができない。十七、八歳の頃、幸田文は露伴と列車に乗るたびに、乗客がどういう人間かを、身なりやたたずまいから類推していた。卓越した観察眼は、最初から備わっていたわけではなく、反復によって磨き上げられたのである。彼女は来客の履き物を見て、どの道を歩いてきたかを当ててみせた。ついていた花粉から正解を導き出して、褒められたこともあるという。」(p328)

え~と。
幸田露伴・幸田文親子を思うと、
「地震雷火事オヤジ」という言葉が、思い浮かぶのでした。

まあ、そんなことを思っていたら、
今日の産経新聞読書欄に
日下公人氏が書評を寄せておられる。

「父、坂井三郎」(産経新聞出版)の書評。
日下氏はこう紹介されております。

「・・・・お嬢さんの道子さんが書いた戦後の坂井三郎である。
戦後の生活苦と戦う姿はリストラされた大企業の社員と重なり、
米軍将兵との交際は迷走する民主党の政治家や外務省の人に
読ませたい日本人の根本精神を見せている。
お嬢さんに対する教育も『常在戦場』の精神で、
しかも戦闘機パイロットは空中に浮んで
何もかも自分一人でするから
子供教育もすべてが具体的で、
日頃から準備しておけ、ということばかりである。
よくお嬢さんがついていったものだと
そちらの方に感嘆するが、
ともかく坂井三郎は戦後も戦い続けていたのだと
頭が下がる思いである。・・・」

そして、こうも指摘しておりました。

「読者は本気で読み、
本気でついていかないと
64機撃墜の天才的偉人に
学ぶことはできない。」

う~ん。
推理もへったくれもなく。
さっそく注文(笑)。

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