「メゾンドヒミコ」は2004年の犬童監督作品。個人的にゲイというのは肌に合わないが、傑作だと思う。オダギリジョーと柴咲コウの二人が主演だ。ゲイの老人ホームという特殊な設定の中、個性的な男たちを登場させる。主演二人で成り立つ映画ではなく、名脇役の存在がこの映画の質をあげている。全般的に流れているムードはやさしい。ゲイ嫌いが見ても不愉快ではない。
零細企業の事務員柴咲コウのもとに若い男オダギリジョーが訪ねてくる。彼女の父こと田中泯が癌で余命幾ばくもないと言い、父の経営する老人ホームを手伝わないかと誘う。しかしその父は自分と母親を捨て、銀座ゲイバー「卑弥呼」を切り持った男であった。「何で?」という彼女であった。でもお金に困っていた。結局日当3万の日給をちらつかされ、海辺の老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」の門をくぐる。そこには想像を絶する個性的な住人ばかりが暮らしていた
彼女は住人の個性の強さに驚いた。生まれ変わったらバレリーナと相撲部屋の女将になることを夢見る陽気な老人ニューハーフ・ルビイ、洋裁が上手く女性的で心優しい男、元・小学校の教員で今は将棋が趣味の男、ホームのパトロンの元・部下で、家庭菜園に精を出す男、ギターがうまく背中には鮮やかな刺青を入れている男、ゲイバー「卑弥呼」の元・従業員などなど。実の父・卑弥呼は娘との予期せぬ再会に戸惑った。日曜日ごとにホームに出向いた。最初は距離を保っていた。しかし、その裏側に隠された孤独や悩みを知るようになるが。。。。
映画「八日目の蝉」に個性の強い写真館の主が出てくる。映画館で一瞬誰かと気付かなかった。名優田中泯である。そもそもは舞踏家で映画に初めて出たのが「たそがれ清兵衛」である。主演の真田が最後に対決する剣の達人を演じた。まさに凄味を感じさせる演技であった。「メゾンドヒミコ」ではそれとは真逆の「ゲイバー」の元ママ役である。これがまた似合っている。銀座のママというのは独特の貫禄があるものである。そういう雰囲気を醸し出す。なんてうまいんだろうか。田中泯をみるだけでも価値のある映画ばかりだ。
あとの脇役たちで目立ったのはニューハーフ・ルビイである。歌澤寅右衛門という老人俳優が演じる。抜群にうまい。底抜けの明るさに圧倒される。柳沢慎一も久しぶりに見た。40年代くらいまでは良くテレビに出ていたものだ。元教員という役が板にはまっている。そんな連中の中で柴咲コウはスッピンで演じる。みんなに「ブス」なんて言われたことないと思われる彼女が、いかにも色あせた事務員を演じる。OLではない。いわゆる事務員だ。意地っ張りなところがいじらしい。もしかして彼女のベストかもしれない。
そんな連中と横浜のクラブに出かけた時の映像はこの映画の一つのヤマであろう。ダンスホールというべきであろうか?独特のステップに合わせて昔の歌を男女入り混じって踊る。「星降る街角」「また逢う日まで」をいかにも楽しそうに踊る姿は、見ている自分の気持ちも高揚させる。軽快に踊るバックの人たちもいい。オダギリジョーとコスプレの柴咲コウの二人も本当に楽しそうにステップを踏んで踊る。いいシーンだ。
そういう中盤を経て、終盤にしんみりと持っていくところは映画づくりのうまさを感じた。それを支える細野晴臣の音楽もシーサイドのロケーションにもあい素晴らしかった。
零細企業の事務員柴咲コウのもとに若い男オダギリジョーが訪ねてくる。彼女の父こと田中泯が癌で余命幾ばくもないと言い、父の経営する老人ホームを手伝わないかと誘う。しかしその父は自分と母親を捨て、銀座ゲイバー「卑弥呼」を切り持った男であった。「何で?」という彼女であった。でもお金に困っていた。結局日当3万の日給をちらつかされ、海辺の老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」の門をくぐる。そこには想像を絶する個性的な住人ばかりが暮らしていた
彼女は住人の個性の強さに驚いた。生まれ変わったらバレリーナと相撲部屋の女将になることを夢見る陽気な老人ニューハーフ・ルビイ、洋裁が上手く女性的で心優しい男、元・小学校の教員で今は将棋が趣味の男、ホームのパトロンの元・部下で、家庭菜園に精を出す男、ギターがうまく背中には鮮やかな刺青を入れている男、ゲイバー「卑弥呼」の元・従業員などなど。実の父・卑弥呼は娘との予期せぬ再会に戸惑った。日曜日ごとにホームに出向いた。最初は距離を保っていた。しかし、その裏側に隠された孤独や悩みを知るようになるが。。。。
映画「八日目の蝉」に個性の強い写真館の主が出てくる。映画館で一瞬誰かと気付かなかった。名優田中泯である。そもそもは舞踏家で映画に初めて出たのが「たそがれ清兵衛」である。主演の真田が最後に対決する剣の達人を演じた。まさに凄味を感じさせる演技であった。「メゾンドヒミコ」ではそれとは真逆の「ゲイバー」の元ママ役である。これがまた似合っている。銀座のママというのは独特の貫禄があるものである。そういう雰囲気を醸し出す。なんてうまいんだろうか。田中泯をみるだけでも価値のある映画ばかりだ。
あとの脇役たちで目立ったのはニューハーフ・ルビイである。歌澤寅右衛門という老人俳優が演じる。抜群にうまい。底抜けの明るさに圧倒される。柳沢慎一も久しぶりに見た。40年代くらいまでは良くテレビに出ていたものだ。元教員という役が板にはまっている。そんな連中の中で柴咲コウはスッピンで演じる。みんなに「ブス」なんて言われたことないと思われる彼女が、いかにも色あせた事務員を演じる。OLではない。いわゆる事務員だ。意地っ張りなところがいじらしい。もしかして彼女のベストかもしれない。
そんな連中と横浜のクラブに出かけた時の映像はこの映画の一つのヤマであろう。ダンスホールというべきであろうか?独特のステップに合わせて昔の歌を男女入り混じって踊る。「星降る街角」「また逢う日まで」をいかにも楽しそうに踊る姿は、見ている自分の気持ちも高揚させる。軽快に踊るバックの人たちもいい。オダギリジョーとコスプレの柴咲コウの二人も本当に楽しそうにステップを踏んで踊る。いいシーンだ。
そういう中盤を経て、終盤にしんみりと持っていくところは映画づくりのうまさを感じた。それを支える細野晴臣の音楽もシーサイドのロケーションにもあい素晴らしかった。