映画とライフデザイン

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映画「危険なプロット」 フランソワ・オゾン

2014-05-11 10:03:25 | 映画(フランス映画 )
映画「危険なプロット」は現代フランス映画を代表する監督フランソワ・オゾンの2012年の作品
このところフランス映画を見ることが多い。ハリウッド大作と比較するとシンプルに普通の人間関係を取り扱うことが多い。
登場人物の心理状態をサスペンスタッチで描くこういう映画に魅かれる。

小説家崩れの高校の国語教員と文才のある高校生との関わりをオゾン監督らしいスリルあふれるサイコサスペンスドラマに仕上げている。

舞台はフランスのある高校だ。元小説家志望の国語教師ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒への課題作文を読んでいた。2行しか書いていない稚拙な作文が多い中で、クロード(エルンスト・ウンハウワー)という少年の書いた文才のある作文を見つける。
同級生ラファの家族を描写する文章が、実にうまく書けていることにジェルマンは驚く。ラファの母親を「中産階級の女」と呼んだり、描写のニヒルさにジェルマンの妻ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)は「この子は心に問題があるのでは?」と思う。

文章のうまいクロードに作家になる手ほどきをしたいという思いから、ジェルマンはクロードに作文の個人授業を始める。自分の果たせなかった夢を彼に託すかのように発奮する。クラスメートの家庭について皮肉っぽく綴るクロードの作文は、いつも「つづく」という文字で終わっている。

友人ラファはバスケットボールが好き、父親も同様だ。クロードは時々家によってラファが苦手の数学を教えていた。しかし、たびたび家に立ち寄るクロードに不穏な雰囲気を感じた母親(エマニュエル・セニエ)は家庭教師を雇ったらどうかと父親に話す。その話をこっそり盗み聞きしたクロードは、このままだとラファの家族関係を引き続き文章にするのが無理だと感じる。その事情をジェルマンに話す。そして数学の定期試験の問題用紙をこっそり持ち出せないかとジェルマンに頼むのだ。もしいい点数が取れたなら、自分はそのままこの家にいて、ラファの家のことを書くことができると。。。


1.シェエラザード(シェヘラザード)
村上春樹の新作短編集「女のいない男たち」「シェエラザード」という作品がある。自分もブログアップした。「千夜一夜物語」で王様に夜な夜な物語を語るシェエラザードという王妃がいる。「シェエラザード」は本来殺される運命にある女だが、じらしじらし物語を「続く」で終えながら語り、生き延びていく。村上の作品はある場所にかくまわれた男に、自分の奇妙な昔話を語る女を「シェエラザード」にたとえて描いている小説だ。この映画でも「シェヘラザード」としてセリフの中に登場する。

ここでも、少年クロードは国語教師に自分が忍び込んだ家の話を話す。いつも「続く」で終わっていく文章を読みながら、国語教師は次を読みたいと思う。その欲望は強くなっていくわけだ。「知りたい」という欲求をじらされればされるほど、よけい追いたくなる。とどのつまりはとんでもない要求までのんでしまうのだ。

2.フランソワ・オゾン監督
「リッキー」「スイミングプール」をはじめとして、いくつもここでブログアップしてきた。流れはいつものフランソワ作品と同じである。一瞬万事うまくいくようになった後で、地に落とす。しかも登場人物の妄想、嫉妬、野心が絡み合っていく。ここが彼のうまさである。それぞれの作品に好き嫌いはあれど新作を見逃せることができない監督だ。


3.クラスメートの母親
クラスメートの母親に魅かれるという経験は自分もある。中学生くらいなら母親は30代後半から40代前半だ。年齢的にはまだまだ女として現役で、今の自分の年齢からすると射程距離だ。
クロードは、ラファの一家にどんどん深入りし始める。ラファの家に通えなくなりそうになると、大胆な行動にも出る。そのうちに、クラスメートの母親に惹かれるてしまう。ここでクラスメートの母親を演じるエマニュエル・セニエは巨匠ロマン・ポランスキー監督の妻である。自分が中学や高校の時に彼女にはまっただろうかと考えると疑問だけど。。。

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