映画とライフデザイン

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映画「明日の食卓」 菅野美穂&尾野真千子

2021-05-30 06:41:18 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「明日の食卓」を映画館で観てきました。


「明日の食卓」ではの久々映画登場の菅野美穂、ここのところの活躍が著しい尾野真千子に加えて高畑充希の3人の女優がメインで登場するという。期待して映画館に向かう。
それぞれに石橋ユウという10才の男の子を持つ3人の母親が、家族に起きる諸事に悪戦苦闘するオムニバス映画的作品である。ほぼ同時進行で動くが3人は交わらず、別々の話として独立している。


結果的にはイマイチであった。
予備知識がなく映画を観たが、原作はあるという。男がすべて悪いというように捉えて女性受けを狙ったように思えるセリフとストーリーは、たぶん女流作家だろうなあと思ったら、案の定そうだった。脚本も女性である。男性から見ると、あまりに不自然なセリフと展開でちょっとあきれた。久々の期待外れであった。残念。

⒈菅野美穂
夫はカメラマンで、男の子2人の家族の専業主婦である。兄弟ケンカを静めるのに母親はおおわらわだ。子育てをブログで公表していて、アクセスも多く世間のママたちに支持されている。そういう中で、フリーのライターになるチャンスを得る。

家事との両立は難しいが、何とか頑張る。そんな時に、夫が今までレギュラーだった仕事からおろされる。夫にも子育てに協力をと頼んできた。しかし、仕事がなくなってからもあまり協力的でない。むしろ、妻に子育ては母親の仕事で何で家にいないんだともいう。まったく家族がかみ合わなくなるのだ。


菅野美穂も二児の母親となり、若干雰囲気もお母さんぽく変わった。男兄弟だけの母親は何かと子育てが大変である。そんな母親像をうまく演じていると思う。でもツッコミを入れると、やがて離婚に向けて進んでいくが、この父親は失職までの話から言えば、もうちょっと理解があってまともな人物のような気がする。でも、突然変異させて修羅場をつくり強引に離婚に結びつけようとしているのに、ちょっとストーリーに無理があるように見える。

⒉尾野真千子
富士山の見える静岡の街で、遠距離通勤を選んだ夫が母親宅の隣りに一戸建てを建てて、成績優秀な息子ユウと暮らしている。義母(真行寺君枝)からはお互い干渉せずに暮らそうと言われている。

いわゆる「よい子」の息子が、一緒によく遊んでいる混血の少年をいじめていると、先方の母親からクレームの電話が入る。自分の息子に限ってと思い確かめるとそんなことはしないと息子に泣かれる。どうも別の子がいじめているらしい。でも、学校に呼ばれて事情を聴かれる。そこで初めて息子が別の子に指示していじめさせていることがわかる。しかも、息子は薄ら笑い。そのあと息子が義母を虐待する場面にも出くわすのである。


尾野真千子も風俗嬢やキャバクラ嬢をやって生計を立てるシングルマザーなんて役柄が続いた。それぞれ面倒そうな役だった。今度が姑との軽い葛藤はあれど1番普通そうな母親に見えた。結局は息子の異常性が浮き彫りになるし、夫のマザコン性をあえて強調させるいかにも女性っぽい話に仕上がっている。ただ、ここでツッコミ入れると、最後に向けて母子一緒に泣いたりしているけど、実は最後まで息子ユウの異常性は解決していないのだ。この後神戸で起きた変態惨殺的事件犯しても不思議でない。


⒊高畑充希
大阪在住でコンビニで長時間勤務して、それ以外の時間は工場で働く。同様にユウという息子がいる母親だ。金銭的にギリギリでやりくりするもっともシングルマザーらしいシングルマザーだ。自分の母親(烏丸せつこ)からの援助は受けないと突っ張っている。金がないくせにこういう女ってよくいるよね。


弟がいて、誕生日を狙ってやってきて結局はカネをせびる。ない袖はふれないが小遣い銭を渡す。でも、そんな時に工場からリストラされてしまうのだ。あなたなら若いから勤め先はあるでしょうというばかりに。しかも、そんな窮地に弟がいない隙にやってきて通帳を持ち逃げする。息子の同級生の母親からはデリヘルやらないかと言われ、断るとあんたはカッコつけていると罵倒される。

こういうのはこの手のシングルマザーストーリーにはよくある話かもしれない。確かにこれだけじゃ一本の映画は作れないけどね。


そんな3つの話を交差させて上に、突然同じユウという名の息子を持つ服役囚の大島優子を少しだけ登場させる。映画を観終わった後もここで登場させる意味がさっぱりわからない。いずれにせよ、ストーリーを広げながら全部辻褄が合わない中途半端な作品にしてしまった感がある。女性監督の西川美和監督作品とは大きなレベル差を感じる。

⒋烏丸せつこと真行寺君枝
自分の若い頃はいい女として相当もてはやされた2人である。
烏丸せつこには自分たちの世代はあの巨乳に相当お世話になったと思う。大杉漣の遺作「教誨師にも支離滅裂な死刑囚として出ていた。元クラリオンガールの面影はもうない。ずいぶん年とったなあと思ったけど、今回も同じだ。逆に、いわゆるコテコテ大阪弁話すナニワのオバちゃんが実にうまい。同じような役柄あったら、また指名されるんじゃないだろうか?


真行寺君枝は自分の家の近くにある高校に通っていた。切れ長の目で「ゆれるまなざし」にみんなドキドキした。でも、村上春樹のデビュー作の映画化風の歌を聴けは申し訳ないが、イマイチだった。出てくるカフェがショボすぎて、読んでいてビールを飲みたくなるような小説の雰囲気がまったく出ていない。それでも、その後地味にいろんな作品にも出ているし、ヌードにもなった。あの真行寺君枝が認知症じみた義母の役とはお互いに年取ったなあと言いたい。



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