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映画「灼熱の魂」を見た。カナダ映画である。
うーん凄い映画だ。今年見た映画では一番だと思う。
中東の国レバノン出身の劇作家が作った戯曲の映画化だという。レバノン、カナダを結び、あるレバノン出身の一人の女性の人生を振り返っていく。ストーリーは食材をうまくからめた高級フレンチ料理のような手の込んだものだ。序盤から伏線をちりばめながら、少しずつラストに接近する。重層構造の筋立てにいくつものエピソードをからませる。レバノンを映す映像美もすばらしく、筋立て、映像、演技いずれも完ぺきに近い映画だと思う。
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カナダケベックが舞台だ。一人の中東レバノン出身の女性が亡くなった。プールで具合が悪くなり、突如として病状悪化したのであった。
その遺言の内容を聞きに、子である双子の姉弟が公証人の元へ行く。財産分与についてはお互い均等にということが当たり前に語られた後、公証人から2人の姉弟の父親と兄に渡される手紙の存在を知らされ2人は驚いた。父親と兄はレバノンにいるという。2人に手渡ししてくれという遺言だった。
手紙の存在に戸惑うが、数学者である姉は指導教授からも心に迷いがあると純粋数学はできないよと言われ、レバノンにルーツ探しに行くことを決めた。手掛かりは母親の一枚の昔の写真である。
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舞台は過去にさかのぼり、母親の若い頃を映し出す。キリスト教徒の集落でイスラム思想の活動家の男と付き合っていた彼女だったが、男は射殺されてしまう。その時彼女は懐妊していたのであった。地元の隣組からは白い目で見られた彼女は祖母のもと、自宅にて出産した。その子は祖母が育てることとして、彼女は地元を出て行った。
地元を出て行ったあと、彼女は親類の援助で大学へ行く。しばらくすると、レバノンは内戦からむ宗教闘争に入った。そんな中故郷に戻った彼女は、内戦で村がぐちゃぐちゃになっていることを知る。生んだ子もいない。
過激な活動家として組織のために活動するのであるが。。。
舞台はまた現代へ。レバノンに行った姉は指導教授から紹介された数学者にあう。これはなんの役にも立たない。昔のことを知っていると思われる人物を追いかけると同時に、母の故郷へ向かう。昔のことを振り返る話を村の女性にすると、母はよく思われていないことがわかる。そんな中わずかな手掛かりを求めて国内を歩き回っていくが。。。
過去と現在を並行的に映しだしながら、じっくりとストーリーを作り上げていく。
カット割りのスピードは普通だが、それぞれのセリフには余韻を感じさせる絶妙の間の取り方を感じる。重量感がある。
映画ではいきなりレバノンの風景が映る。乾ききったエリアの中に一本のヤシの木が立っている。そして建物の中で子供たちが立ち並ぶ中、バリカンで髪の毛が刈り取られるシーンがいきなり映る。どういうことなんだろう?と思いながらも、全く関係のないシーンが続くのでラストになるまで、このシーンの存在をすっかり忘れていた。その意味がわかるのは最後に接近した時である。
こんな感じで、最終に一つに結びつけるためのエピソード的シーンがいくつか主要ストーリーの中に入り込んでいく。正直一回見ただけで、ストーリーの全貌を把握するのはかなり至難の技だと思う。理解不能のところを再確認したり、レバノンの歴史をチェックした方が頭にすんなり入る。
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宗教闘争を示す殺し合いのシーンはかなり過激だ。キリスト教とイスラムの対決だ。イスラム教徒たちを乗せたバスが、武装したキリスト教徒たちに襲われるシーンはドキッとする。
皆殺しになりそうになる前に、主人公が十字架を見せて一人かろうじて逃げる。バスの中に一人の子供がいて主人公は助けようとするが、彼女の子供でないと見抜いた襲撃した相手に子供が射殺される。このシーンは無宗教の日本人には信じられないような場面だろう。宗教闘争の根深さを感じる。
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映画がはじまってすぐフランス語が語られるのに気付く。あれ?と思うが、レバノンの歴史を知るとなるほどだとわかる。以前はフランス領であったのだ。しかも、カナダケベック州はフランス語圏である。そうなのかと理解する。こういった形で内部闘争の絶えないレバノンからカナダへ移民できている人たちは多いのであろう。
中東系の美人というのはエキゾティックできれいだ。主人公の体当たりの演技には驚いた。
イヤー凄い映画だなあ。
映画を見たという実感が身体中で感じられる傑作でした。
うーん凄い映画だ。今年見た映画では一番だと思う。
中東の国レバノン出身の劇作家が作った戯曲の映画化だという。レバノン、カナダを結び、あるレバノン出身の一人の女性の人生を振り返っていく。ストーリーは食材をうまくからめた高級フレンチ料理のような手の込んだものだ。序盤から伏線をちりばめながら、少しずつラストに接近する。重層構造の筋立てにいくつものエピソードをからませる。レバノンを映す映像美もすばらしく、筋立て、映像、演技いずれも完ぺきに近い映画だと思う。
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カナダケベックが舞台だ。一人の中東レバノン出身の女性が亡くなった。プールで具合が悪くなり、突如として病状悪化したのであった。
その遺言の内容を聞きに、子である双子の姉弟が公証人の元へ行く。財産分与についてはお互い均等にということが当たり前に語られた後、公証人から2人の姉弟の父親と兄に渡される手紙の存在を知らされ2人は驚いた。父親と兄はレバノンにいるという。2人に手渡ししてくれという遺言だった。
手紙の存在に戸惑うが、数学者である姉は指導教授からも心に迷いがあると純粋数学はできないよと言われ、レバノンにルーツ探しに行くことを決めた。手掛かりは母親の一枚の昔の写真である。
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舞台は過去にさかのぼり、母親の若い頃を映し出す。キリスト教徒の集落でイスラム思想の活動家の男と付き合っていた彼女だったが、男は射殺されてしまう。その時彼女は懐妊していたのであった。地元の隣組からは白い目で見られた彼女は祖母のもと、自宅にて出産した。その子は祖母が育てることとして、彼女は地元を出て行った。
地元を出て行ったあと、彼女は親類の援助で大学へ行く。しばらくすると、レバノンは内戦からむ宗教闘争に入った。そんな中故郷に戻った彼女は、内戦で村がぐちゃぐちゃになっていることを知る。生んだ子もいない。
過激な活動家として組織のために活動するのであるが。。。
舞台はまた現代へ。レバノンに行った姉は指導教授から紹介された数学者にあう。これはなんの役にも立たない。昔のことを知っていると思われる人物を追いかけると同時に、母の故郷へ向かう。昔のことを振り返る話を村の女性にすると、母はよく思われていないことがわかる。そんな中わずかな手掛かりを求めて国内を歩き回っていくが。。。
過去と現在を並行的に映しだしながら、じっくりとストーリーを作り上げていく。
カット割りのスピードは普通だが、それぞれのセリフには余韻を感じさせる絶妙の間の取り方を感じる。重量感がある。
映画ではいきなりレバノンの風景が映る。乾ききったエリアの中に一本のヤシの木が立っている。そして建物の中で子供たちが立ち並ぶ中、バリカンで髪の毛が刈り取られるシーンがいきなり映る。どういうことなんだろう?と思いながらも、全く関係のないシーンが続くのでラストになるまで、このシーンの存在をすっかり忘れていた。その意味がわかるのは最後に接近した時である。
こんな感じで、最終に一つに結びつけるためのエピソード的シーンがいくつか主要ストーリーの中に入り込んでいく。正直一回見ただけで、ストーリーの全貌を把握するのはかなり至難の技だと思う。理解不能のところを再確認したり、レバノンの歴史をチェックした方が頭にすんなり入る。
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宗教闘争を示す殺し合いのシーンはかなり過激だ。キリスト教とイスラムの対決だ。イスラム教徒たちを乗せたバスが、武装したキリスト教徒たちに襲われるシーンはドキッとする。
皆殺しになりそうになる前に、主人公が十字架を見せて一人かろうじて逃げる。バスの中に一人の子供がいて主人公は助けようとするが、彼女の子供でないと見抜いた襲撃した相手に子供が射殺される。このシーンは無宗教の日本人には信じられないような場面だろう。宗教闘争の根深さを感じる。
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映画がはじまってすぐフランス語が語られるのに気付く。あれ?と思うが、レバノンの歴史を知るとなるほどだとわかる。以前はフランス領であったのだ。しかも、カナダケベック州はフランス語圏である。そうなのかと理解する。こういった形で内部闘争の絶えないレバノンからカナダへ移民できている人たちは多いのであろう。
中東系の美人というのはエキゾティックできれいだ。主人公の体当たりの演技には驚いた。
イヤー凄い映画だなあ。
映画を見たという実感が身体中で感じられる傑作でした。