映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

エデンより彼方に ジュリアン・ムーア

2010-02-03 21:56:04 | 映画(洋画:2000年以降主演女性)
紅葉がこんなに美しい外国映画って観たことがない。しかもジュリアン・ムーアが美しい。アメリカ東部のハートフォードに暮らすごく普通の主婦が家庭崩壊に出くわす話だ。美しい風景と美術がすばらしくゴールデンエイジのアメリカを素敵に描いている。

1957年アメリカ東部の都市に暮らすジュリアン・ムーアは夫が電器会社の重役で恵まれた生活をおくっていた。地元の新聞にも幸せな主婦として紹介されていた。そんなある日夫が仕事で帰りが遅くなるという知らせが来る。気を利かせて夕食を会社に届けに行った。ところが、夫の部屋に入ると夫が見知らぬ男性と抱き合っているところに遭遇する。。。

ここから映画は2方向に渡ってストーリーが展開される。お抱え黒人庭師であるデニス・へイスバートの存在もからみ、じっくりとジュリアン・ムーアとその家族を中心に描いていく。

色彩感覚がすばらしい。秋から冬にかけてのアメリカ東部の街を舞台にして美しい紅葉を前面に出していく。実にきれいだ。その色を基調に衣装も赤系のウォームカラーだ。登場人物に乗車させる50年代の自動車も色合いがきれいだ。ジュリアン・ムーアは薄い水色、パトリシア・クラークソンにはオレンジピンクの素敵な色の車に乗せる。ともに美しい。


しかし、黒人人種差別と男性同性愛の題材が中心になってきて、話が徐々にいやらしくなっていく。ホームドラマにとどまらない悲しいサガを描く。主要な登場人物がみな良い。「マンデラの名もなき看守」でマンデラ役を演じた黒人俳優デニス・へイスバートがここでもすばらしい。ジュリアン・ムーアと二人で黒人バーに入るシーンが素敵に見えた。

ディテイルにこだわった映画だ。衣装、美術そして音楽も実に50年代を見事に模写している。映画音楽を大ベテランエルマー・バーンスタインに託しているのも良い。彼は50年代すでに当代きっての映画音楽の大家だった。グレゴリー・ペックの「アラバマ物語」がダブルところがあると思ったが、その音楽もエルマー・バーンスタインだった。エルマーはこの映画の2年後亡くなる。製作者はそこまでこだわってこの映画をつくった。そういう小技が利いたところに脱帽する。

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