映画とライフデザイン

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映画「水を抱く女」クリスティアン・ペッツォルト&パウラ・ベーア

2021-04-06 20:18:04 | 映画(自分好みベスト100)
映画「水を抱く女」を映画館で観てきました。

中盤から終盤にかけての展開はお見事、ファンタジーの匂いもにじませながら単なるラブストーリーに終わらせない。「水を抱く女」は見応えのあるよくできた作品である。


大学の第二外国語はフランス語でドイツは言葉も含めて縁が薄い。それでも、ドイツのクリスティアン・ペッツォルト監督の作品は「東ベルリンから来た女」「あの日のように抱きしめて」で取り上げたが、いずれも良かった。主演女優に存在感があった。その新作となれば気になる。予備知識ほぼゼロで見にいく。

映画が始まってすぐの、男女の会話の意味がわからない。頭の中が整理つかない。主人公がベルリン観光案内をしているところまでで少しわかる。男との関係どうなるのか?と思った後に、グシャッと水槽が破壊する場面になる。一瞬ビクつくが、これは映画でいくつも起きるサプライズでは序ノ口であった。こんなきっかけで恋が生まれる観光ガイドと潜水夫の恋なのね。と映像を追った。

いくつかトラブルが起きる。途中から急展開して、予想外の流れとなる。え!この次どうなるんだろう。これで打ち止めか。次に起きることを予測しながら観ていく。 こう感じさせるのが映画の醍醐味だ。おもしろい!!

別れ話をしている男女が映る。女ウンディーネ(パウラ・ベーア)はベルリンの住宅都市開発省の職員で、観光客にベルリンの街模型を見せながら街の歴史を語る仕事だ。その案内を聞いて感動した若者クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)がいて、カフェで話しかけてきた。ところが、若者がうっかりカフェの水槽にぶつかり、水槽は割れてウンディーネも巻き込まれて一緒に水浸しになる。男は潜水夫だった。そんなきっかけで親しくなり、ウンディーネは元彼氏を忘れて恋に没頭する。


そんなある日、元彼氏が復縁を申し出る。当然拒絶する。しかし、その様子を察した如く潜水夫クリストフからウンディーネに電話がかかってくる。別に何もやましいことはない。汚名を晴らすために潜水夫のもとに向かうと、なんと、クリストフは潜水中にアクシデントがあり入院しているのだ。しかも、危篤状態だ。酸素不足で意識不明となっているのであるが。。。

⒈水がテーマの映画
原題は主人公の女性の名前、「ウンディーネ」である。外国映画ではよくあるパターンであるが、日本映画では原題通りにつけずに題名をつくる。「水を抱く女」とはよく考えたものだ。適切だと思う。ベルリンの街の説明には水は関係ないが2人が親しくなるきっかけはぶつかって水槽を破壊することだ。男の職業が潜水夫であることも加えて、水への縁が深くなる。ぶつかって破壊する水槽の中には潜水夫の模型がある。この模型がキーポイント、すなわち映画のマクガフィンになる。


ファンタジーの色彩があって水がテーマだとなると、とっさにシェイプオブウォーターを連想した。言葉が不自由な女性と半魚人との恋である。まったく違うストーリーなのに根本に流れる基調が似ている。同じように不思議な世界に導いてくれる。


⒉展開の巧妙さ
恋物語が進む。潜水夫にならって、ウンディーネも水に潜る。大きなナマズにつられて溺れてしまう。ビージーズの「ステインアライブ」に合わせて潜水夫はウンディーネのくちびるを思いっきり吸う。潜水夫が強引に息を復活させて生き返る。恋が深まる。こんなあたりはありきたりのラブストーリーだ。

これだけのトラブルかと思ったら、途中からトラブルだらけになる。元恋人が出現して当惑した後で、今度は潜水夫にトラブルが起きる。危篤状態だ。しかも、現実と夢が交差する事象を引き起こす。ミステリーの匂いもする。


基調は主人公2人であるが、ウンディーネの元恋人、潜水夫の同僚で潜水夫に思いを寄せる女性の2人を巧みにストーリーの中に混ぜていく。このさじ加減が実にうまくストーリーに味付けを加える。

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