山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

甲府市白山の夕暮れ  平成30年11月15日

2018年11月16日 | 山梨無名山
 職場から見る帯那山界隈の山肌は紅葉真っ盛りに見える。そろそろ湯村山から白山にかけての尾根も色付いている頃だろう。何度か夕映えの紅葉の尾根の撮影に出かけてはいるが出遅れたり霞んでいたり富士山が見えなかったりと期待しているような良い景色は撮れていない。空が晴れ渡りすっきりとした富士山が見えるこの日は絶好の狙い目だった。しかし、車両点検に車を出してあったため受け取りに行ったのが午後3時過ぎ、さらに職場に戻って仕事を片付けカメラ機材を積んで出発したのは午後4時近くになってしまう。もはや日没ギリギリに目的地に到着できるかどうか危うい時間になってしまう。さらに、駐車場から現地までを短絡しようと藪を歩いたところ、草むらの中に隠れていた有刺鉄線に足を引っかけて転倒し、脛と腿に擦り傷を多数負うこととなりズボンにも穴が開くというおまけが付いた。


    日没にはなんとか間に合ったがもはや甲府の市街地は日が陰っている。


    期待していた湯村山からの尾根は思っていたほど紅葉が進んでおらず、夕映えの紅葉はおあずけになる。


    日没迫る甲府市街


    久しぶりに見るスッキリとした富士山。


    夕映えの富士山


    残照


    上弦の月が昇る


    夕暮れの甲府盆地

 関東の富士見百選に選ばれている白山から見る甲府盆地越しの富士山は何度見ても美しい。折角空気が澄んで絶好の撮影日和だったのだが、紅葉の尾根はまたしてもおあずけとなってしまった。あと1~2週間先になりそうだ。
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秋の恒例となっている山梨県県南部のスルガジョウロウホトトギス  平成30年9月22日

2018年09月24日 | 山梨無名山
 当初は9月初旬に行く予定だったのだが夏が暑かったために秋の花は若干開花が遅れると予想して日程を変更した。山岳連盟の希望者とともに総勢7名で観察に出かける。林道を少し奥まで車で入って時間短縮を目論んだが入り口からわずかのところで道がえぐれているうえに倒木が横たわっておりほとんど距離を稼げずに歩くことになってしまう。しかも雨が降ったばかりで道が湿っており、車を下りた林道脇からもうヤマヒルが襲ってくる。


    ホトトギス満開


    シラヒゲソウは若干時期を過ぎていた。


    川の対岸のシラヒゲソウ群落


    シラヒゲソウ群落


    白い髭が可愛らしい花


    現地に到着して唖然。この場所は岩壁の苔ごと脱落してしまっていて株数が激減していたうえに咲いた花がほとんど見当たらない。大ピンチ!


    さらに沢の奥の自生地に行ってみる。こちらはいつもと変わらず綺麗に咲いていた。


    岩壁に垂れ下がる姿が美しいスルガジョウロウホトトギス。ちょうど見頃。


    鮮やかな黄色、花の中には茶色い斑点がある。


    別の場所。


    イワシャジンと一緒に咲いていた。


    この場所もたくさん咲いていた場所は苔と一緒に脱落して激減してしまっていた。


    しかしずっと上のほうに咲いている株は増えているように見える。

 岩壁に咲くジョウロウホトトギスは岩や苔の脱落とともに落ちてしまう運命にあるのだろう。着生植物と同様にこのような植物の宿命なのだと思う。これは自然の遷移で起こるものなので防ぎようが無いように思う。長い間そのような遷移を辿って来たのであろうから、このまま消滅ということはそう簡単には起きないであろうと考えている。今後も見守りつつ経過観察が必要であろう。

 帰り際にちょっと立ち寄りした。


    サルオガゼ?櫛形山のものとはちょっと違うように見えなくもない。


    ムギラン


    マメヅタラン

 一人でヤマヒル20匹撃退が目標だったがわずかに及ばず。足元はメンバー同士で気を付けながら歩き、ヤマヒルが付いたらすぐにアルコールスプレーで撃退したので誰もやられなかったが、ストックから昇って来たのか一人だけ手首に吸い付かれた人が居た。上半身に着くヤマヒルは防御が困難なのではないかと考えている。



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編笠山から権現岳へ 編笠山に咲く花たち  平成30年8月11日‐12日

2018年08月14日 | 山梨無名山
 権現岳小屋泊りで編笠山山頂を経由して権現岳に登ったが、目的はペルセウス座流星群だけではなく昨年の9月に訪れた際にもう終わっていた花を見るという目的もあった。編笠山中腹でミヤマフタバランと思わしき花を発見したのだが既に花が散っており確認しておきたかったのがひとつ、もうひとつは権現岳に至る途中のガレ場にシコタンハコベという絶滅危惧種の花があるのを発見し、綺麗な状態のものを撮っておきたいと思っている。まずは前半の編笠山である。

 朝7時に観音平を出発する。下の駐車場は満車だったが上の駐車場はまだ余裕があった。花を探しながら写真を撮りながらの山行なので権現岳小屋到着4時を想定してかなりゆっくりの登山である。


    途中の雲海展望台。空は青空、雲の向こうに富士山が浮かんでいる。


    さっそく現れたピンク色の可愛らしい花。


    ミヤマモジズリ。ラン科の植物。


    固まって咲いている花にも出会えた。


    押手川の分岐点


    ここから本格的な編笠山への登りとなる。ツガ林と苔の生えた八ヶ岳らしい森の景色の中を登って行く。


    キソチドリが固まって咲いていた。


    そんな環境のところにはこの花も咲いている。


    目的の花のひとつ、ミヤマフタバラン。残念ながら花期は少し過ぎていた。


    地味なマニア向けの花。しかし出会えるととても嬉しくなる。

 目的の花のひとつ、ミヤマフタバランに出会うことが出来た。昨年は結実した花と葉を見つけたがやはり間違い無くミヤマフタバランだった。この先はハシゴを登って樹林帯を抜け出て森林限界を超えるのだが、さらに傾斜がきつくなって登るのが大変である。


    苦手のハシゴ。息が上がる。


    ハシゴのあたりからヒゴタイの花がたくさん現れる。このあたりは総苞片が緑のものが多く、ヤハズヒゴタイあるいは高山型のミヤマヒゴタイだろう。


    森林限界を超えて編笠山山頂付近のヒゴタイ。総苞片や茎が黒く葉の切れ込みがはっきりしている。ここまで来るとタカネヒゴタイと言って良いと思う。


    ミヤマアキノキリンソウ


    シナノオトギリ


    終わりかけているが、タカネマツムシソウだと思う。タカネマツムシソウとマツムシソウの区別が良くわからない。山梨県レッドデータブックではタカネはDD(情報不足)になっている。


    編笠山山頂。人が多かったのでスルーして青年小屋まで下りる。


    見下ろす青年小屋と権現岳。真ん中の尖っているのはギボシでその右側にあるゴツゴツした山が権現岳。


    ミヤマアカバナ。ほとんどが結実していた。


    青年小屋に到着。

 12時45分に青年小屋到着した。1時までにここを出発の予定だったので若干到着が遅れた。午後からは雨の予報だったのでここで天候が悪化していれば青年小屋泊りも考えていたが空を見上げる限りでは青空が見えており大丈夫そうだ。ここで昼食をとり休憩し、権現岳を目指す。(花咲く権現岳に続く)


    

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花咲く北信の山、岩菅山(後編)  平成30年7月16日

2018年07月18日 | 山梨無名山
 かなりゆっくり歩いて草むらの中を覗き込んでは写真を撮って登って来たので、予定では12時に到着するはずだった岩菅山山頂は1時間以上もオーバーして1時15分到着となった。ゆっくり休んで居られる時間では無くなってしまったので小休止して裏岩菅山を目指すことにした。しかしその先の稜線もお花畑が広がっており全く足が進まずさらには暑さと3連登の疲れも出てきて裏岩菅山山頂目前でバテバテである。


    岩菅山から見る裏岩菅山。近そうにも遠そうにも見える。標高は向こうのほうが高い。なにせ志賀高原最高峰である。


    クルマユリが点々と咲いている。


    クルマユリ


    そしてこちらの稜線もホソバノキソチドリがたくさん咲いていた。


    ホソバノキソチドリと裏岩菅山


    コバイケイソウと岩菅山の稜線


    コバイケイソウと奥志賀の山並。正面は大高山か?


    コバイケイソウとシラネニンジンのお花畑


    西側はスキーゲレンデのたくさんある焼額山。


    裏岩菅山に到着。時間は3時10分。

 途中で小分けに食事をとっていたが裏岩菅山でやっとまともに食事をとり、20分ほど休憩した。時刻は3時半となり、ずっと抱えて歩いて来た三脚をたたんで下山である。しかし戻りながら見る岩菅山への稜線の景色はまた登りの時とは一味違って素晴らしく、ついついシャッターを切るために立ち止まりなかなか足が進まない。約1時間かかって岩菅山に戻った。時刻は4時半、予定よりも30分ほどオーバーしているが道は明瞭なので夕暮れを過ぎたとしても下山は問題無い。


    岩菅山山頂にある避難小屋。


    なかなか快適そうだが水場が無いのが難点。


    下山しながら見つけたヨモギ。あまり見慣れないヨモギだが、調べてみたらヒトツバヨモギというものらしい。たぶん山梨県には無い。


    日没迫る頃に用水路沿いでまたまた珍しい(北信では珍しく無い?)花を発見。オオレイジンソウ。薄暗くてシャッタースピードが遅いので三脚を出した。

 途中で電話がかかってきたりしてやや時間を費やしたが、ヘッドライト点灯するギリギリの7時10分に登山口に到着した。残っていたのは当然の如く私の車だけだった。さほどの移動距離ではなかったが11時間も山の中に居たことになる。残念ながらいちばんお目当てだった花は全く見つかりそうな気がしなかったが、山梨県では見られない花にたくさん出会うことが出来て、かかった時間以上に有意義な山行だったと思う。高速を飛ばして10時前には甲府に到着した。


 こんな花にも出会えた。


    ここで出会えるとは思わなかった。さすがは北信の山!


    ほとんど蕾だったが咲き始めた新鮮な株もあった。


    山梨では富士山麓でしか見たことが無い貴重な白いラン、アリドオシラン。北信では普通にあるのだろうか?1ヶ所だけだったが数は結構あった。


    何これ?できそこないのヤマアジサイか?と思ったが・・・


    トリーミング。先端が少し白く開いているものがあるが、これで花が咲いている状態らしい。初めて見るヤマシグレ(スイカズラ科ガマズミ属)という花。


    こっちは少しブレている。もっときっちり撮っておくんだった。

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保護柵の効果を確認に行く(続編) 大蔵高丸からハマイバ丸  平成30年6月24日

2018年06月25日 | 山梨無名山
 保護柵が設置されて3年を迎える大蔵高丸からハマイバ丸界隈は柵の中の植生はだいぶ回復してきている。特にアザミ類の復活は目を見張るものがあり、驚くほどの数のセイタカトウヒレンが姿を現している。その保護柵の中に今年見てみたいと思っていた花が咲いているのをブログ仲間の記事から知った。梨ヶ原あたりで運が良ければ見られるのではないかと思っていたのだが以外にもこちらの山域にも生育しており、山梨県レッドデータブックのメッシュには入っていない場所だった。


    見たかったのがこのヒメイズイ。梨ヶ原か高座山あたりにあるのではないかと思っていたのだが以外にもこちらにもあった。


    2008年版では絶滅危惧Ⅱ類だったが2018年版では準絶滅危惧種になった花。思っていた以上にたくさんあって驚いた。

 もう1種類フナバラソウという花を探していたのだがとうとう発見できなかった。

 さらにもうひとつ、存在を確認しておきたかったのがムラサキという花である。自身のブログの記録を検索してみるとこの花に出会ったのは平成24年6月で、その頃にはまだこの山域には保護柵が設置されておらず貴重な赤紫色のランの花が咲かなくなってきた頃でもあった。その数年後に保護柵が設置されたがムラサキを目撃した斜面は保護柵の外だったため、おそらくは食害に遭って消滅しているのではないかとずっと心配していた。しかし幸運にもその斜面には以前とあまり変わらずにその花が咲いていてくれた。


    食害による消滅を心配していたが以外にもあっさりと花が見つかった。


    周辺を見渡すとちょうど見頃の花が数株あった。


    ムラサキ。じっくりと見てみると美しい花。根が紫色の染料になるらしい。


    新調したEosM用の28㎜マクロレンズに変える。解像度は十分。小型で軽くて使いやすいのが良い。さらに暗い場所でも撮影可能なリングライトが搭載されている。


    スーパーマクロモード。超接写が可能となる。


    これだけ写ってくれれば十分。

 他の斜面にもあるのではないかと2時間ほど探してみたがこの場所以外では発見できなかった。山梨県絶滅危惧種ⅠB類だけあって、あまり数は多く無さそうである。

 もう1種類、ゴールデンウィークの頃に見た花がその後どうなっているのか立ち寄ってみた。シロカネソウの仲間なので鯖の尾のような種を付けているのではないかと興味があった。しかし、この季節になると他の下草が増えていてなかなか目的の花の葉っぱが見つけられずに一苦労する。


    薄暗い谷の中でようやく発見。探しものはチチブシロカネソウ。


    鯖の尾のような種では無かった。既に種がはじけた後のようだ。


    別株。まだ種が残っている。


    スーパーマクロモード。蒴果と呼ぶのだろうか?

 ヒメイズイと出会えたことも嬉しかったが、ムラサキが咲き残っていてくれたことは本当に嬉しかった。周辺にはワラビがたくさん生えているが食害と思わしきちぎれた痕跡が多数見られた。(あるいは人が採取していった跡か?)時間がとれるならば、秋にアザミの仲間が咲いている季節にもう一度訪れてみたい。
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植生の保護と保護柵の効果について(後編) ~三ツ峠勉強会④~

2018年06月19日 | 山梨無名山
 今回は個人的に保護柵で囲った場所がどうなのか、その効果と植物の保護効果について述べたい。このブログの読者の方ならば私の行っている保護活動についてほぼご存知かと思うが、改めてここで総括してみたいと思う。

 個人的に保護ネットを設置した山域は4ヶ所あり、うまくいっているところもあればそうでは無い場所もある。まずは効果のあった場所2ヶ所について記載する。


 茅ヶ岳オキナグサ保護作戦

 本来は毒草のはずなので食害とは無縁だったはずのオキナグサだが、咲き始めの花芽や出始めたばかりの新芽が食害に遭うようになり1輪も咲かせること無く終わってしまった年があった。3年間食べ続けられると絶滅してしまう危険性が高く、昨年の平成29年4月に保護柵を設置した。


    平成27年5月、茅ヶ岳ではたくさんのオキナグサが咲いた。


    茅ヶ岳のオキナグサ


    ところが、平成28年4月には花どころか葉もほとんど見当たらない。


    良く見れば出始めた新芽が食害に遭っていた。これはまずい。翌年の春、新芽が出る前に保護柵で囲うことにする。


    平成29年4月に設置した保護柵。荷揚げと設置と補修のため3度現地に足を運んだ。


    平成29年5月、食害に遭うことなく花が咲いた。上を向いて喜んでいるように見える茅ヶ岳のオキナグサ。


    花数はだいぶ減ってしまっているがひとまずは保護に成功する。


    保護柵は冬を越せずに倒壊してしまい、平成30年4月補修作業を行う。


    補修して強化された柵。


    平成30年5月、この年も食害に遭わずに花が咲いてくれた。


    訪問時期が遅かったが、たくさん咲いてくれたオキナグサ。


    前年の2倍くらいの花が咲いた。囲った甲斐があった。

 茅ヶ岳のオキナグサ保護作戦は想定していた以上の効果が上がり、平成30年は前年を遥かに上回る数の花が咲いてくれた。直接の食害で花が咲かなくなった植物に対しては保護柵の効果が絶大であることがわかる。ただ、素人がやっている保護柵なので強化したつもりの保護柵だったが6月には既に部分的に倒壊してしまっている。食害に遭うのは新芽と花芽の頃なので今年はこれで良しとして、また来年の春に修復しなければならない。


 カモメラン保護作戦

 御坂山塊のカモメランであるが、盗掘も然ることながらそれ以上に鹿の食害による2次的な変化で山肌が乾燥化し、カモメランは花を咲かせなくなりさらには葉数も減少し始め、場所によっては消滅してしまった群落もある。人の踏み荒らしも目立つため平成29年5月に2ヶ所保護柵を設置して囲い込んだ。直接の食害は少なく、この囲い込み作戦でどこまで効果が出るのかはかなり疑問があったのだが、現時点でこれ以外に有効な手段は思いつかなかった。


    平成26年6月、かつてはたくさん咲いていた御坂山塊のカモメランだが、その後減少の一途をたどる。


    平成29年6月に設置した保護柵その1


    同その2。こちらの場所はユキザサやツルシロカネソウ、ショウマ類など種々の植物を囲い込んだ。


    平成28年に設置した人避けのロープ。人には有効だったが動物には全く無効だった。後に被害に遭うことになってしまう。


    平成29年5月に設置した保護柵だが、なんとか一冬越してくれた。平成30年5月に撮影したもの。その後修復、補強作業を行った。


    平成30年6月、保護柵の中のカモメラン。見事に咲いてくれた。囲う前の2年前が1株、囲った年の昨年が3株、そして今年は9株咲いてくれた。


    囲いの中はこの山塊に特有なちょっと変わったカモメランが咲いている。


    もう1ヶ所の柵の中も見事に咲いてくれた。


    明らかに昨年よりは増えている。


    それでは柵の外はどうなのだろうか?食害で食べられたと思われる花穂。


    直接の葉の食害も散見される。


    何よりも問題なのはこの乾燥化してしまった山肌だろう。


    そして保護ロープで囲った場所は・・・平成29年8月に大規模な食害に遭ってほとんど葉が見られなくなってしまった。


    平成29年8月の様子。足跡と思われる穴と食いちぎられたカモメランの葉。これで終わってしまったかと思ったが・・・


    平成30年6月の様子。花はほとんど咲かなかったが根は残っていたようで葉は出てくれた。それでも前年の半分ほど、70株くらいに減ってしまった。


    今後の食害を避けるために新たに保護柵で囲う。数年できっと復活してくれると信じている。

 この場所のカモメランを見にやって来る登山者に配慮して保護ロープだけ張っておいた最大の群生地は鹿の食害で大打撃を受けてしまったが、根だけは残っていてくれたようでまだ救いはありそうである。他の2ヶ所は明らかに保護柵設置の効果が出ており、おそらくは食害に遭った場所も数年で復活してくれるだろうと信じている。保護柵を設置した当初はどれだけの効果が出るのか疑問があったのだが、設置後2年にして明らかな効果が出ていることが証明された。



 花咲じじい作戦

 この作戦は平成24年6月に花を咲かせて以来咲かなくなってしまった某所のアツモリソウを復活させて咲かせてやろうという作戦である。平成27年から作戦が始動し、今年で4年目を迎えるが残念ながら思ったほどの効果が上げられていない。


    平成24年6月、3輪の花を咲かせたアツモリソウ。


    今にして思えばこの時既に花の色が薄く元気が無い。危険信号を発していたのだろうが気付かなかった。


    平成25年6月、葉は出たが花芽は付いていなかった。


    平成26年6月、元気のない葉がなんとか出てくれたが・・・


    その前の年からテンニンソウやスゲの除去作業を開始していたが、平成28年6月、とうとう何も出なくなってしまう。鹿の食害跡が目立つ。


    平成29年4月、保護柵で囲い込む。


    平成29年6月、なんとか葉が出てくれて一安心する。


    平成30年6月、保護柵は破損無く一冬を越した。草が茂ったがテンニンソウが増えたように思う。


    昨年以上に元気な葉を出してくれるだろうと期待していたのだが・・・今年は葉が出ていない。残念無念・・・。

 前年の秋にもテンニンソウとスゲの除去作業を行ってはいたのだが、不十分だったのかも知れない。残念ながら今年はアツモリソウの葉が確認できなかった。株自体が年老いていて元気が無い可能性もあるのだがテンニンソウをはじめとする他の植物がはびこっていて栄養分を取られてしまっている可能性も高い。秋になったらもう少し丁寧に周辺の草を除去してまた来年に備えたいと思っている。

 保護柵の効果は期待できるのだがそれが全てでは無く、植生維持のための手入れをしてやることも必要なのだと思う。しかしどれをどこまで除去すれば良いのか?除去を行うこと自体が植生を乱しているのではないか?など、植物の保護はわからないことだらけである。これからも十分な観察を行いつつ多方面からの情報を集めて保護について考えて行動しなければならないと思う。





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山梨・神奈川・東京都の県境を歩く 生藤山  平成30年5月5日

2018年05月05日 | 山梨無名山
 あまり訪れたことが無い上野原市の山を歩いてみた。このあたりはまた違った植生の植物があるかも知れない。軍刀利神社というところに駐車場があり、半バリアンス尾根を下って周回できるらしい。探している植物もレッドデータブック2018年版の記載で見るとこの山域に生育しているらしい。まだ車の修理が終わっておらずカーナビ無しの代車なので山用GPSにルートを登録して出かけるが、見にくい山用GPSでは登録ルートが良く見えず、2度も曲がる道を間違えて30分以上時間をロスしてしまう。早い時間にサクッと周回してくるはずだったが、歩き始めは9時半になってしまう。


    軍刀利神社の駐車場。


    少し上には水洗のトイレが設置されている。


    駐車場の脇に咲くセリバヒエンソウ。


    ニョイスミレ


    ツルカノコソウ(オミナエシ科オミナエシ属)だと思う。


    クルマムグラ


    軍刀利神社の階段


    階段の周辺はウワバミソウとホウチャクソウがたくさんあった。


    軍刀利神社


    軍刀利神社の境内にあった葉。真ん中に蕾が付いている。イナモリソウか?


    さらに進むと軍刀利神社奥の院があった。


    カツラの大木が立つ軍刀利神社奥の院


    カツラの御神木


    周辺ではクワガタソウが満開。


    奥の院を過ぎるとその先は植林帯の単調な登りになる。ナガバノスミレサイシンとアケボノスミレの葉がたくさんある他は目ぼしい花は見つからず。


    稜線に抜け出ると驚くほどに立派な道が付いていた。生藤山に向かう。


    生藤山の最後の登りは急登。


    到着。ベンチがあって人が多かったのですぐに下りて三国山に向かう。


    生藤山山頂の木の隙間から富士山が見える。


    三国山山頂。ベンチが設置されている。


    三国山から見る富士山。


    ここは山梨県、神奈川県、東京都の1都2県の境界。三角点の周りをぐるり1周して5秒にして1都2県を巡り歩く。

 ゴールデンウィークということもあってか、多くの登山客が訪れていた。バスを利用しての軍刀利神社からの登山者も多数おり、ほとんどの人に抜かれて私が最後尾になった。それでも、2時間ほどで三国山に到着できた。ここで昼食をとって休憩するが、混雑しそうな雰囲気だったので食べて速攻で出発する。


    グッと下ったかと思ったらお決まりの理不尽な昇り。


    登り着いたところに軍刀利神社元社がある。


    その先の熊倉山。ベンチがあり小休憩。こちら側はほとんど人に会わない。

 熊倉山の先にこの山から派生する尾根に行く道が出ているはずだ。GPS片手にルートを探すと、やや荒れた細い道があった。


    左が下りてきた熊倉山からの道。右に水平に延びる荒れた道がある。


    尾根に乗ってしまうとしっかりした道があった。


    急下りの植林帯


    赤色鮮やかなヤマツツジ


    派生する細い道があったので、色気を出して沢に下りてみたが・・・


    荒れた沢で目ぼしいものは何も見つからず。


    カンアオイ


    花を撮影したが横に居た蜘蛛には全く気付かず。


    長泉寺に出る。


    境内に咲いていたホウチャクソウ。

 午後2時10分に長泉寺に抜け出て、あとは車道を20分ほど歩いて軍刀利神社の駐車場に戻った。

 今回探していたのは先日の続きのトウゴクサバノオである。高尾山に近いことから、この界隈ならば生育しているのではないかと沢を登るルートを探してこちらを訪れてみたが、残念ながら出会えなかった。しかし、何も収穫が無かったわけでは無い。


    出会ったことが無いこの葉っぱ。


    薄い網目模様が入っておりシュスラン属の葉であることは間違い無さそうだ。

 きわめて少数の株数しか確認できなかったが、どんな花が咲いてくれるのか楽しみである。
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身延のスカイツリー 醍醐山(634,8m)を廻る  平成30年4月1日

2018年04月03日 | 山梨無名山
 醍醐山を愛する会の会長は私が参加している山梨県山岳連盟自然保護グループのリーダーを務めている磯野さんという方である。自然保護活動の他にも山を愛して山登りを啓蒙されている活動の素晴らしさには頭が下がる。以前からすすめられていたこの醍醐山に、そろそろスミレが咲く時期だろうと思い訪れてみた。


    出発点は甲斐常葉駅。駅前の身延町営駐車場に車を止めさせてもらう。


    駐車場の脇には紫色のスミレがたくさん。


    ノジスミレ。


    駅の前には醍醐山の案内板が立てられている。


    随所に設置されている標識に従って道を進む。


    道路脇に咲いていたタンポポは萼片が反り返っておらず二ホンタンポポ。


    二ホンタンポポ。


    そのすぐ近くには萼片が反り返ったセイヨウタンポポが咲いていた。この界隈は両者が混在している。花を見ると微妙に違い、セイヨウのほうがゴージャス。


    ここにもノジスミレがたくさん。


    廃屋と満開の桜。この先から登山道に入る。


    満開の桜の向こうには下部の盟主五老峰が聳え立つ。


    登山道入り口に咲いていたタチツボスミレ。


    落ち葉がいっぱいの登山道を行く。


    ウバユリの葉はあちらこちらに見られる。


    たぶんこれはイカリソウの葉。


    樹林帯の切れ間が開けて五老峰が見える。


    濃い紫色のスミレ発見。アカネスミレと思ったが・・・


    良く見てみると花の側弁に毛が無い。葉の形もちょっと違う。どうやらノジスミレらしい。


    鳩打ち峠のトンネルから登るルートの分岐点。


    その界隈で見つけた葉っぱ。2回3出複葉(に見える)なのでセリバオウレンかと期待したが・・・


    この時期に咲いていないのもおかしい。帰ってから図鑑で調べてみると、どうやら正体はセントウソウ(セリ科)らしい。


    クロモジが満開。


    クロモジの花


    ユキザサの葉


    あと200m。100mおきに看板が立っている。


    山頂直下の展望台。正面に八ヶ岳が遠望出来るらしいが、春霞で見えず。


    山頂に到着。


    休憩する東屋が立っている。

 9時に甲斐常葉駅を出発し、途中で花を探しながら右往左往したり沢に下りたりとあちらこちらに立ち寄りながら来たので3時間かかって12時に山頂到着した。休憩東屋は先客が居たので休憩せずにその先にある展望台に立ち寄ってみた。


    新緑の道をくぐり抜けて展望台に行く。


    展望台から見下ろす富士川と身延山。さらにその向こうの大きな山は前日登った七面山。


    ここにあったのもタチツボスミレ。

 山頂に戻って昼食をとる。整備された歩き易い山なのに出会ったのは東屋で休憩していた2人だけだった。もう少しスミレが咲いているだろうと思ったのだが時期が早かったようで、出会ったのはタチツボスミレとノジスミレだけだった。

 12時40分に下山開始する。反対側の下部温泉駅に下山するのだが、電車の時間が2時4分だったはずだ。その次は4時になる。少し急げば十分に間に合う時間だが・・・なかなかそううまくは行かず、またしても林の中や沢の中を不審者のように(実際に不審者か?)ウロウロとさまよい歩くことになる。


    山頂に咲いていたウグイスカグラ


    下部温泉駅に向かって下山。


    整備されているがこちら側は傾斜がきつい。


    石碑があり、近くには神社があった。


    中腹にある廃屋。


    この廃屋を利用してトイレが設置されていた。近傍に梅の木があり、着生植物を探したが何も無し。


    さらに下りて行くと沢に合流した。


    沢と言ったらネコノメソウ・・・と少し遡上してみたが、苔しか見当たらず。


    最後の橋を渡る。


    道路に出た。


    民家の脇に咲いていた桃(?)の花とムシカリ。

 下部温泉駅が川の向こうに見えてきたところで午後2時を過ぎ、乗る予定だった電車が走り過ぎて行った。次の電車は午後4時、2時間も待つのは退屈なので一駅歩いて戻ることにした。途中の河原で休憩しながら、2時50分に甲斐常葉駅に戻る。


    下部温泉ホテルとその向こうに聳え立つ五老峰。もう何年も前に山岳会に同行して登ったが、なかなか面白い山だった。


    駅の界隈の桜が満開。大きな桜の木が何本も立っている。

 時期的に早かったようで期待していたスミレはほとんど出会えなかった。この界隈ならばナガバノスミレサイシンが咲いているだろうと思ったのだが葉っぱさえ確認できなかった。山頂付近では数が少ないながらもキンランやギンランが咲くらしいので他にもいろいろな花が咲くだろうと思う。機会があれば、と言いたいところだが、今年中の再訪はたぶん無いだろうと思う。
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雲に邪魔されてキャッツアイ再写ならず 忍野村農道  平成29年12月11日

2017年12月12日 | 山梨無名山
 朝からスッキリとした青空が広がり、昼12時を過ぎてもどの方角から見る富士山ライブカメラでもスッキリとした富士山が見えている。これは昨日失敗した望遠レンズでのキャッツアイ再写に行くしか無いだろう。午後からの内科受診を変更してもらって忍野村に向かう。ところが、昨日とは逆に河口湖まで行くと富士山の山頂に雲が巻いている。かなり微妙な雲行きである。

 前日よりさらに1本遠い農道沿いに車を止めさせてもらいカメラをセットする。前日の失敗を繰り返さないように今回は最初からBorg300mmをセットし、もう1本はCanon70-200mm装着し、主に200㎜で狙う。あまり絞りたくなかったのだが、F18まで絞って1/4000秒でシャッターを切ってもまだ画像が明る過ぎる。EosM2はシャッタースピード最速で1/4000秒なのでこの設定で撮影することにする。


    本日も撮影地は昨日と同じ忍野村の農道。


    なかなかの輝き。これだけ見ると撮影条件は良さそうに見えるが・・・


    300㎜で捉えると山頂には雲が巻いている。かつ、霞がかかっている。


    山頂に太陽がかかる。


    同上


    白山岳に太陽がかかり始める。


    やはり・・・雲で拡散して光芒が出ない。


    おそらく白山岳ど真中に陽が沈んで割れていると思うが・・・


    残念ながら本日は雲に阻まれて太陽が描出出来ず。


    300㎜もほぼ同様な結果だった。


    残念。もう太陽は沈んでいるだろう。

 300㎜望遠レンズのほうをファインダー越しに覗いていると、肉眼では太陽の輪郭がうっすらと見え、白山岳ど真中で割れているのが確認できた。キャッツアイもティアラも雲と霞が大敵なので、よほど条件の良い時でないとなかなか満足の行くものは撮らせてくれない。懲りずにまたチャレンジである。


    普通のダイヤを撮るならばこれくらい見えていれば十分だが、キャッツやティアラはそうは行かない。
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山梨・静岡県境尾根の無名峰 割石に登る  平成29年11月26日

2017年11月28日 | 山梨無名山
 朝霧高原に割石峠という峠がある。そこから竜ヶ岳に至る尾根が山梨県と静岡県の県境であるが、峠から見る限りでは道らしきものは見当たらず、また竜ヶ岳山頂のやや南側に位置するその尾根の派生場所も笹が深くてとても道があるようには見えなかった。しかし、県境なので境界見出し標があり、おそらくは道が付いているはずである。いつか歩いてみたいと思っていたのだが、前日東海自然歩道を歩いている時に側面からこの尾根に登り着くルートらしきものを発見した。ほとんど踏み跡は無いが木が刈り払われて一直線に尾根まで登り着けそうである。時間はまだ午前8時と早いことだし、割石という山まで標高差200m少々である。竜ヶ岳に至るルートがあるのかどうかの確認と展望地下見のために登ってみることにした。


    東海自然歩道から見上げる割石に至る尾根ルート。木が刈り払われている。


    踏み跡は少ないが一直線にルートが伸びている。


    途中から見る林越しの富士山。


    反対側は竜ヶ岳と昨日歩いた竜ヶ岳林道。


    割石峠からの尾根に合流する。ここからは明瞭な道があった。

 割石峠からの県境尾根まで標高差約200m、約50分で登り着いた。分岐点付近には木の隙間があってそこからは富士山山頂を眺めることが出来る。


    木の隙間から見る富士山。


    300㎜望遠。剣ヶ峰の形はまずまずだが、方向的には竜ヶ岳山頂とほぼ同じ角度なのでここから剣ヶ峰ダイヤを狙う旨みはあまり無い。


    さらに先に進むと割石の三角点に到着。

 割石は三角点があるピークなので眺望を期待していたのだが、残念ながら樹林帯の中のピークで富士山は見えなかった。ここからグッとコルに下って小ピークを越え、さらに標高差300mほどを登れば竜ヶ岳に登り着けるはずだ。上部は笹原の大藪だろうが、この割石の周辺は明瞭な道が付いている。おそらくはさほど難無く登れるのではないだろうか。


    今度は割石峠側の尾根を下る。


    途中に富士山の眺望が得られる場所があった。


    急斜面の下に防火水槽か?このあたりから道は不明瞭になる。


    割石峠到着。下りてきたのは向こう側の道無き斜面。不明瞭なのは最初の標高差100mほど、その先は尾根道がある。


    割石峠から見る富士山と富士宮道路。


    道路から見上げる割石(左の奥)。右は竜ヶ岳。

 いつになるかはわからないが、いつかこのあまり人が歩かない県界尾根を竜ヶ岳山頂まで登ってみたいと思っている。尾根の途中にはトウカイスミレと思わしき小さなスミレの葉がたくさん目についた。
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甲斐駒ケ岳に沈む夕陽 大笠山  平成29年5月2日

2017年05月04日 | 山梨無名山
 朝から気持ち良い青空が広がったこの日だったが、さすがに季節が季節だけに1日中青空というわけには行かない。夕方になると薄雲が広がってしまったものの、富士山と南アルプスの山々は雲がかからずにすっきりと見えている。これならば・・・甲斐駒ケ岳山頂に沈む夕陽が見られる。狙うのは割れる甲斐駒ケ岳ダイヤモンドだが、場所が確保できるかどうか・・・? カシミール3Dで調べると愛宕山の上にある大笠山の中腹あたりが良いのだが、この山があまり人気が無いのは折角の眺望なのに大きな電線が通っていて邪魔になることだ。たぶん割れるダイヤの位置は確保できないであろうが、甲斐駒ケ岳に沈む夕陽ならば十分に狙えるだろう。


    大笠山の展望地に到着するが・・・予想通り電線が邪魔。甲斐駒ケ岳で割れるダイヤはもう少し下だが、眺望が得られない。


    夕陽が甲斐駒ケ岳に傾く。


    300㎜望遠だと電線がカットできる。


    甲斐駒ケ岳に沈む夕陽。可能ならば赤くて丸い夕陽を撮りたかったが、この日の空模様では無理。


    200㎜望遠にすると電線が視野に入ってしまう。


    綺麗な夕暮れの空だったが・・・電線は邪魔。


    大笠山山頂。下から20分ほどで登れる。


    噴水の跡のようなものがあるが、眺望は無い。


    展望地に戻る。夕暮れの明かりが灯る甲府盆地。


    暗くなったので電線は目立たなくなったが、やはり邪魔である。

 この下の愛宕山からでも撮影できる日がもうすぐやって来るが、やはりもう少し高度のある山の上から狙いたい。そのほうが夕陽が赤くなるからだ。季節を変えて冬の茅ヶ岳の山塊からでも良いのだが、摩利支天が目立って来て甲斐駒ケ岳の形が三角錐を描かなくなってしまうのが難点だ。
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山梨県最果ての夕暮れダイヤモンド富士 鳥井立  平成28年12月19日

2016年12月20日 | 山梨無名山
 冬至が近くなり、太陽の位置はいちばん低い南側の軌道をとる季節である。道志村の奥、秋山村との境に鳥井立というマイナーな山があり、その山が冬至の時期にダイヤモンド富士となる一番北側、かつ山梨県で一番東側に位置する山となる。マイナーな山であり、歩く人も少なく、果たして富士山の眺望が得られるのかどうかが疑問だったが、ネットで調べてみると山頂付近で富士山の見える場所があることがわかった。カシミール3Dで計算してみると、冬至の前後3日間くらい、白山岳をかすめて夕陽が沈んで行くことがわかる。珍しく午後になっても雲が湧かずに富士山がスッキリと見えており、仕事を片付けて午後から出かけてみることにした。

 高速を使って都留まで行き、峠を越えて道志村から登山口の巌道峠に入る。この林道は全面舗装ではあるが道幅が狭く、しかも蓋がされていない側溝が道路脇にぱっくりと口を開けている。対向車が来ないでくれと祈るしかない。午後2時45分に巌道峠到着し、ここから鳥井立まで1時間弱、ダイヤの時間が4時ごろなので急がないと間に合わなくなってしまう。準備していると、車の近付く音が聞こえたかと思ったらガコンという音が響いた。何かと思えば、峠のところの側溝に軽自動車がタイヤを落としてしまった音だった。しかも前輪・後輪とも側溝にはまり込んでしまっている。脱出を手伝って車を押してみたが、タイヤは側溝の中で空回りするだけで全くビクとも動かない。あきらめてJAFを呼ぶこととなり、私は山に登らせてもらうことにした。時間はもう3時を過ぎている。急がないと間に合わない。


    巌道峠駐車場。右下に見えるのが側溝に落ちてしまった車。後ろ髪引かれる思いで山に登る。


    峠のすぐ上にある鉄塔が立つ展望地。


    富士山が見える。ここからも、時期を選べばダイヤモンド富士が見られる。


    鉄塔をくぐって上に登る。結構な急登の道、息が切れ切れ。


    傾斜が緩くなって小ピークを越えると電波塔の立つピークが見えてきた。あれが鳥井立。


    快適な道が付いているが・・・


    快適ならぬ最後の登り。


    電波塔が立つ鳥井立山頂に到着。


    山頂に掲げられている看板の文句が素晴らしい。そうです、今日は夕陽を見に来たのです。


    しかしこの山頂は展望が得られない。

 必死に登って40分ほどで山頂に到着。速い!と思ったが、GPSに書かれているコースタイムを見ると40分と書かれていた。つまり必死に登ってようやく並のスピードということだ。山頂は展望が得られず、富士山が見えるのは少し戻った斜面の切れ間だ。大きな夕陽が富士山頂に傾いていた。


    少し戻ったこの場所が富士山展望地。狭い。


    木が少し邪魔になるが・・・


    ズームをかければあまり気にならない。300㎜レンズ。


    ここまで距離が離れると夕陽が円く写ってくれる。


    ほぼ真ん中に着地。そして・・・


    白山岳で割れてくれるかどうか・・・?


    残念。若干右だった。


    赤く染まった富士山の夕空。


    雲が流れて行く。「私の心に浮かんだ風景はあなたと同じこの夕陽です」。

 美しい山梨県最果ての夕暮れダイヤモンド富士を堪能させてもらって下山する。巌道峠に到着するとちょうどJAFの車が到着したところで、10分ほどで簡単に車を引き揚げていった。軽自動車の運転手さんにダイヤが撮れたかと聞かれたので、カメラのモニターに撮影した画像を出して自慢して帰路についた。夕方までほとんど富士山に雲が巻かない日はそう滅多にあるものでは無いので、この日は素晴らしい景色にめぐり逢えて良い日だったと思う。
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夕暮れの甲府盆地 甲府市白山  平成28年12月2日

2016年12月03日 | 山梨無名山
 好天となったこの日、早朝の剣ヶ峰から昇るダイヤモンド富士を撮影に行こうと意気込んではいたものの、2日前の当直疲れが全く抜けず目覚ましが鳴ったはずだが止めたのも覚えていない。夕暮れの頃に月齢2.6の細月が山中湖の大平山からちょうど富士山頂に沈むはずだったので、花の都公園界隈の夕暮れダイヤモンド富士を絡めて出かけたのだが、体がだるすぎる。御坂の峠に差し掛かったあたりで空に雲が出始めてしまい、それを理由に大平山を中止して引き返すことにした。何かと理由をつけて山に行かなくなるのは年をとった証拠なのだろう。

 しかしこのまま退散するのも折角の天候がもったいないので、富士山も見えていることだし先日も訪れたばかりの千代田湖の上にある白山を再訪した。


    千代田湖越しに見る茅ヶ岳・曲岳・黒富士山塊。雪を被った山は八ヶ岳。


    休憩東屋が立つ白山展望台。


    展望台から見る南アルプス。午後3時半を回るともう太陽は大きく西に傾いている。


    林の中に遅咲きのヤマツツジが1本。


    白山山頂にある八王子神社


    八王子神社から見下ろす甲府盆地とその向こうに立つ富士山。


    市街地越しに富士山が立つこの構図がこの山の素晴らしいところだ。


    南アルプス

 三脚を担いで写真を撮り歩きながらゆっくり歩いても、25分ほどで富士山の展望台に到着できる。湯村山の尾根に夕陽が当たって赤く染まるのを期待していたのだが、雲が出てしまったために赤い夕陽にはならなかった。紅葉の見ごろは若干過ぎて葉が茶色くなりはじめているが、それでもまだ十分に楽しめる。


    夕映えの尾根。西に出た雲のためあまり染まってくれなかった。


    夕映えの富士山。市街地はもう陽が射さなくなっている。


    200㎜望遠レンズで捉えた夕映えの富士山。


    あまり染まらずに日が暮れる。


    町灯りが灯る頃


    夕焼けもいまひとつ。


    西の空の雲は綺麗に焼けた。やはり山中湖界隈だったかな?

 真っ暗になるまで撮影するつもりだったのだが、レンズバッグの中を見るとヘッドライトが入っていない。先日の鳥ノ胸山で使ってから車の中に置きっぱなしになっているのを忘れていた。足元が見えるうちに撤退する。

 霞がかかることが多い甲府盆地はなかなかすっきりとした富士山は姿を現してくれない。今日はかなり良く見えたほうだろう。先月は2度の雲海が甲府盆地に広がったはずだが、いずれも逃してしまったのはもったいなかったと思う。紅葉の尾根と雲海と富士山がひょっとしたら見られたのかも知れない・・・。   
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霞む甲府盆地と富士山 甲府市白山界隈  平成28年11月26日

2016年11月29日 | 山梨無名山
 折角の好天・・・になるはずだったのだが、朝8時に目が覚めて外を見れば霧におおわれていた。天気予報ではそんなはずではなかったはずだ。富士山ライブカメラをチェックすると山中湖も河口湖も本栖湖も綺麗な富士山が見えている。この時間では完全に出遅れだ。午後の西日を利用して今真っ盛りの紅葉を狙って曲岳あたりに行こうと思うが、その前に千代田湖の上にある白山に立ち寄った。

 朝出ていた霧は晴れてきたが太良峠から見下ろす甲府盆地はまだ霞におおわれていた。もう少し早い時間に来ていればきっと雲海になっていたのだろうが、既に時遅し、富士山にも雲が巻き始めていた。千代田湖のほとりに車を止めて三脚とカメラを担いで展望地に向かう。歩いて15分ほどの行程だ。


    鴨が泳ぐ千代田湖。左が羅漢寺山、右は雪化粧した金峰山。


    日当たりの悪い場所はまだ少し雪が残る。


    白山展望台に到着。霞んだ甲府盆地の向こうに富士山が立つ。


    この尾根は紅葉真っ盛りなのだが、霞んでいるうえに太陽の位置が悪く色が映えない。残念。


    霞む甲府盆地と富士山。いまいち、完全に出遅れの上に霞が多い。


    鳳凰山と甲斐駒ケ岳


    尾根の向こうには白根三山。北岳と間ノ岳が頭の部分だけ出している。


    場所を変えて、茅ヶ岳と雪化粧の八ヶ岳


    白山神社に着いた頃にはもう富士山は雲の中に隠れてしまった。


    常緑では無いと思うが、この季節でも葉が残っているカイイワカガミ。

 お昼近くになった頃には富士山は完全に雲隠れしてしまった。これでは曲岳に登っても眺望は得られないだろう。中止。明日も天気が悪い。敗北感の強い週末となってしまった。
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裏街道を歩いて大平山へ  平成28年9月11日

2016年09月14日 | 山梨無名山
 山岳レインジャーの植物調査の担当になっているため、この日は別の山に紫の花を見に行くはずだった。群馬からはるばるみちほさんたちが来ているはずで、メールをいただいて30分ほど遅れて入山したのだが、いつも観察している場所に行ってみたが紫の花はまだ咲いていなかった。上に登って行こうとしたところでみちほさんから電話が入り、山頂近くでもまだ咲いていないそうだ。ならば・・・合流する予定だったのだが咲いていないとなると調査にもならないので、引き返させてもらうことにして大平山に向かった。昨年別の場所で見つけたレアもの(?)の花が、環境が似通っているので山頂あたりのザレ地にたぶんあると思うのだが・・・??

 いつもならば石割神社から平尾山を経て大平山に行くのだが今回は裏側の花の都公園から登ってみようと思ったのだが、地図を持っていないうえにGPSも見当たらず取り付き口がどこだかわからない。とりあえずは林道を行けるところまで・・・と進むと行き止まり。どうやらこちらでは無いらしい。戻って近くの人家の庭先に居た人に道を聞いてダートの林道を車で登るが、これがなかなかの悪路のため途中にあった脇のスペースに駐車して歩くことにした。おそらくこの林道を登り詰めれば大平山に至る稜線に抜け出るはず。しかし・・・まともに林道を歩くのも面白くないので途中から右側に見える尾根に取り付いてみると、そこには立派な道が・・・!なんと花の都公園から大平山の稜線に至る東海自然歩道だった。


    林道脇のスペースに車を止める。標高は1,000m弱、目指す大平山はそれほど遠くないはずだ。


    林道から右側の尾根に取り付いてみると立派な道があった。


    なんと、これは東海自然歩道!


    しっとりとした静かな道が続く。あまり歩かれている様子は無い。


    ノブキの葉


    こんな実が成っていた。

 大平山に至る稜線に抜け出て、ここで道が左右に分かれる。道標には大平山まで60分と記されており、思ったよりも西側に抜け出たようだ。ここからたんこぶを2つほど越えて大平山に至る。


    大平山に至る稜線に抜け出る。右に行くと大出山を経てホテルマウント富士に至る。


    足元にいろいろな花が咲く。キバナアキギリ。


    イヌヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)


    クルマバナ(シソ科トウバナ属)


    イヌトウバナ(シソ科トウバナ属)


    タチフウロ


    咲き残っていたナデシコ


    ツリフネソウ


    長池山を越えて2つ目のたんこぶ、飯盛山。


    富士山は雲の中。


    向こうの鉄塔が立つピークが大平山。もう少し。

 長池山と飯盛山の間、および飯盛山と大平山の間のコルに林道が抜け出ている。おそらく林道を登り詰めればその場所に抜け出たのだろう。林道は大平山の山頂まで伸びているはずなので、飯盛山の先のコルからはその林道を歩いてみることにする。


    立派な林道。RV車のタイヤの跡がついている。


    途中に咲いていたツルニンジン


    ツリフネソウの群落


    ハンゴンソウ(キク科キオン属)


    種にしてはおかしい。これは虫こぶか?


    キオン(キク科キオン属)


    山頂裏側、フシグロセンノウ


    山頂に咲いていたアザミ、これはポピュラーなノアザミと思われる。


    大株のヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)

 大平山山頂はスルーしてそのままその先にあるザレ地に向かう。ザラザラした土の様子、鹿の食害に遭った草地の様子などから見てまずこの場所にも咲くだろうと思っていたのだが・・・残念ながらお目当ての花は見つからない。


    こんなザラザラした土の斜面にあると思ったのだが・・・


    鹿の足跡だらけ。


    ゲンノショウコ


    ピンク色のゲンノショウコ


    ノアザミがたくさん。これも鹿の好物のはず。


    山頂に戻って昼食。雲行きが怪しくなってきたのでさっさと食事をとって下山。

 あまり目ぼしい花にはめぐり逢えず、探し物もここには無かった。昨年の同じころに石割山界隈を散策している時にそれらしき花を数株見たのだが、別物だったのかも知れない。夕暮れで暗かったので写真を撮っておかなかったのは失敗だったかも知れない。

 探していたのはシラゲヒメジソというシソ科の植物で、昨年見つけた時は何の花だか全くわからなかったのだが、某花の先生が調査に行ってくれてシラゲヒメジソという花であることが判明した。環境的にはほとんど同じに見えるのだが場所が違うと咲かないらしい。雲行きが怪しいが時折青空も見える。ここからさほど遠い場所では無いし、まだ夕暮れまでには時間があることだし、さっさと下山してシラゲヒメジソを見に行ってみることにしよう。





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