山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ダイヤモンドな夕暮れ 高指山  平成27年2月12日

2015年02月16日 | 山梨無名山
 ダイヤモンド富士の撮影に何度か訪れている高指山だが、夕暮れ時のこの界隈はなかなかすっきりと晴れてくれず、満足なものは撮れていない。実は前日の大野山の帰りに登山道を短絡して中腹の別荘地の奥まで車で乗り付け、ダイヤにはギリギリ間に合う時間に出発できたのだが、あまりに霞んで見える富士山と、短絡して山に登るうらめたさがあって止めている。本日も中心から少し右にずれるものの、ダイヤモンド富士の撮影は可能だが、問題なのは空気が澄んでくれるかどうか?山中湖平野のライブカメラで見ると大きな雲がたなびいているが、飛んでくれそうだ。この日を逃すとこの山の冬のダイヤは来年に持ち越しになってしまうので、行ってみることにした。

 午後3時半、登山口近くの空き地に到着。倉庫の駐車場と思われるが、除雪されておらず、使っている様子が無いので車を止めさせてもらう。山頂までは1時間かからないだろうから、4時45分ごろのダイヤの時間には余裕で間に合うはずだ。


    空地に雪を踏んで車を止め、出発。少し雲が多いが、たぶんダイヤが見られるだろう。


    別荘地脇の道は若干雪があるが、アイゼンは不要。


    見えて来た高指山山頂。


    このあたりでも撮れるのだが、山中湖の位置が悪い。


    山頂まであと少し。冬の雰囲気を出すために雪を入れて撮りたいが、あまり雪が無い。


    山頂到着。4時20分。


    山頂からの富士山。ここでも良いのだが、雪の踏み跡がいまひとつ。

 イメージしているのは雪原の向こうに見える山中湖とダイヤモンド富士なのだが、あまり雪が無く踏み跡がついてしまっている。良さそうな場所を探して三脚を立て、カメラを構える。山頂からたなびいていた雲は次第に晴れ、すっきりとした富士山が姿を現していた。


    雪原を入れてこんな感じで撮ってみたいと思う。


    雪原を照らすダイヤモンド  もう少し雪が欲しかった。


    夕暮れにしては霞が少なく、上出来のダイヤモンド富士。


    夕暮れの山中湖とダイヤモンド富士


    この頃になるともはや雪原を照らすには光が足りない。


    最後の輝き


    夕暮れの富士山

 思っていた以上に良い夕暮れになった。さて、時間は5時。これだけ空気が澄んでくれるとこのまま下山するのはもったいない。夕方6時ごろには金星が輝き出すはずだ。まだ1時間ほどあるので、以前から眺望を確かめに行きたかった菰釣山側にある隣のピークまで行ってみることにした。地図には山の名前が書いていなかったが、「富士岬平」というロマンチックな名前がついているらしい。片道20分ほど、往復と休憩時間を入れて1時間ほどだろう。


    鉄塔の脇を通る。


    一旦下ってまた登り返す。


    富士岬平山頂。


    ここからの富士山の眺望もなかなか良い。


    ずっと見ていても飽きることの無い美しい夕暮れの空と富士山。


    高指山から鉄砲木の頭、三国山へと続く稜線。夕暮れの空にアースシャドウが棚引く。

 美しい夕暮れにすっかり酔った後、高指山に戻る。予定通り、6時少し前に到着すると、宵の空に金星が輝き始めていた。都合良いことに、今日が平日のためか飛行機があまり飛んでいない。いつも邪魔になる飛行機雲が全く無いのも珍しい。


    宵の明星 金星が輝き始めた。


    雲が晴れ、澄んだすっきりとした夕空が広がった。


    金星輝く山中の夕暮れ


    三脚を担いで撮り歩きながら下山。


    金星輝く夕暮れの富士山と山中湖

    この界隈の夕暮れでは本日が最も空気が澄んでくれた。十分過ぎるほど楽しませてくれた高指山に感謝したい。
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撮影地の下見に 矢筈山展望地  平成27年1月25日

2015年01月27日 | 山梨無名山
 山梨県の矢筈山の名を知る人はあまりいないだろう。篭坂峠から富士山方向に向かって1時間ほどで行ける山だが、展望の無い林の中の地味なピークでほとんど訪れる人もいないはずだ。もうひとつ、今回初めて訪れて知ったことなのだが、この山域は自衛隊演習場の敷地内にあり、平日は入山が禁止されているのだそうだ。入山できるのは日曜と祭日に限られていることを途中でお会いした狩猟の猟師さんから聞いた。都合良くこの日は日曜日だったので入れてもらうことができた。


    篭坂峠


    加古坂神社の石柱のところから入る。雪があるので念のためアイゼンを装着したが、ほとんど必要無かった。


    すぐ上に神社がある。


    神社の裏手を林道が走っている。タイヤ跡が見えるが、ここを通れるのは自衛隊車と林業関係の人のみ。ゲートは鍵がかかっている。


    もう少し遠いかと思っていたが、20分ほどで展望地に到着した。


    雲がかかってしまっているが、眼前に大きな富士山が構える。見える平らな山は、右が目指す矢筈山、左が大根山。


    ここを下って林の中を進めば矢筈山は簡単に行けるのだが・・・


 加古坂神社のところでお会いした猟師さんに前述の入山できる日が限られていることを聞いた。本日は鹿の狩猟をしていて、銃声の音が聞こえるかもしれないので注意するようにとも言われた。展望地を越えて矢筈山に向かって行くと、その先に別の猟師さんがいた。この先のピークまで行ってみたいのだが行けるかどうかと尋ねたところ、本日は狩猟で既に犬を放っているので、できれば止めて欲しいと言われた。山頂には全くこだわっていないし、目的の展望地とGPS座標もしっかり記録したことだし、ここは引き返すことにした。丁寧な猟師さんで、帽子をとって一礼してくれた。

 インターネットで検索した通りの好展望地があった。遮るものも無く、撮影には好適地だ。3月7日土曜日はあっちの山だが、3月8日、都合良く日曜日に当たるその日、早朝6時ごろこの界隈をうろついていると、良い景色にめぐり会えるかもしれない。
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霧に包まれた甲府盆地 白山から片山界隈  平成26年12月21日

2014年12月25日 | 山梨無名山
 前日の雨と霧は御坂山塊あたりで霧氷になっているのではないかと期待していたが、朝の三つ峠ライブカメラを見るとそうでは無さそうだ。とりあえずは行ってみようということで6時半に自宅を出発すると、見下ろす甲府盆地には面白い光景が広がっていた。駅周辺のビル街に霧が湧いて、ビルの中ほどまでが霧に隠れ、上のほうが霧から飛び出している。数年に1度見る光景ではあるが、休みの日に当たることは無く撮影したことは無い。行く先を変更し、甲府盆地を見下ろしながら富士山が見える好展望地、千代田湖の上にある白山展望台に行くことにする。

 途中で朝日が昇り始めてしまい、少し赤く染まった富士山が見える。千代田湖のほとりに車を止めて展望地に向かうが、途中でカメラにメモリカードが挿入されていないことに気付き引き返し、15分ほど時間をロスしてしまう。展望地に7時半到着すると、先客が1人いた。装備から見てそれなりのカメラマンと見受けられる。岩の上に昇って撮影開始するが、若干時間が遅く、霧は少し引き始めてしまっており、朝日が若干邪魔になる高さまで昇っていた。20分ほど遅かったかもしれない。


    甲府盆地を包んだ霧


    霧の中にビルが浮かんでいるが、少し霧が引き始めている。


    別カット


    朝日が昇り、撮影にはやや邪魔になる。山裾に昇り始めた頃がベストの時間帯だっただろう。


    南アルプス


    1段上の八王子神社に移動して見下ろす。


    同上

 この時に居たのは私と前述のカメラマンの2人だけだった。翌日行きつけの喫茶店に行ってお茶を飲んでいると、新聞に綺麗な写真が載っていると言って見せてもらうと・・・まさにこの時の写真が山梨日日新聞に投稿・掲載されていた。私が到着する前のちょうど駅周辺ビル街に朝日が射しこんだ時の画像だった。この時間に到着していれば、このような景色が見られたのに、ちょっと残念。(後日記事をスキャンして掲載します。)


 時間はまだ8時を回ったばかりだ。いったん千代田湖に下りて、湖畔を歩きながらどこに行くか考えるが、まだ霧の残る甲府盆地を見下ろしながら歩ける場所がベストだ。興因寺山の尾根も近くて良いが、いちばん近いのは千代田湖を隔てて白山の反対側にある武田健康の森だろう。ここは途中の管理棟あたりまでは行ったことがあるがその先は歩いたことが無い。湯村山・白山界隈と同じ環境にあるので、おそらくは春になると様々なスミレやシュンラン、キン・ギンランなどが咲くのだろう。春の下見を兼ねて歩いてみることにする。


    武田健康の森入り口。この上の駐車場まで車で行けるのだが、途中で鎖が張られて入れないこともある。本日は歩く(といっても駐車場まで10分ほど。)


    案内板。上は遊歩道が整備されていて展望台も数か所ある。


    春の小道を行く。


    桜の木が立つ展望地。


    春には桜を前景に富士山が撮影できる。


    同じ場所から見る甲府盆地と富士山。中央下の円い山が湯村山。


    分岐を上に行く。


    整備された立派な遊歩道がある。


    さらに進むとベンチの設置された好展望地。


    展望地から見る甲府盆地と富士山。


    夜景を見るにもこの場所は非常に良い。曲がりくねった川は釜無川。

 千代田湖のほとりから一番向こうにある展望地までは約1kmの行程だ。さらにその先にはバードウォッチング用の小屋が設置されており、休憩所としても利用できる。整備が行き届いた健康の森だが、あまり利用する人(歩く人)がいないのは残念である。

 道を戻って管理棟の立つ片山というピークに登る。ここには森林学習展示館という立派な建物がある。どの程度活用されているのかは知らない。


    森林学習展示館


    片山山頂。ここからの眺めもなかなかのものである。


    茅ヶ岳と八ヶ岳


    茅ヶ岳・曲岳・黒富士山塊


    南アルプス


    金峰山


    富士山は雲が湧き始めた。朝の雲のような霧も消えてしまっている。

 2時間半ほど健康の森を散策し、時間は11時を過ぎていた。富士山の眺望も悪くなってきたことだし、帰ることにする。今度はスミレや桜が咲く春に散策してみたい。

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本家大洞山散策  平成26年10月4日

2014年10月09日 | 山梨無名山
 無名の御坂山系(京戸山系)大洞山は先日訪れたが、山中湖外輪山の大洞山はまだ訪れたことが無い。この山系にある立山展望台はダイヤモンド富士やパール富士の撮影に以前から注目している場所であるが、なかなか訪れる機会が無く、ルートの様子も含めて見ておきたい場所だった。もうひとつ注目しているのがアザミ平の草地だ。変わった花が咲いている(咲いていた)という記録を見たことがあり、行ってみたい場所だった。天候は曇りで富士山の眺望は望めないが、今後再訪する可能性が高い場所なので、ルート調査の意味を含めて行ってみることにした。

 10時ごろに篭坂峠に到着したものの、準備中に強烈な腹痛をおこして一旦退却。コンビニに立ち寄ってトイレを借りるが、その後も腹痛と腹ゴロゴロが続く。出発は10時45分になってしまう。


    墓地の間を通ってコースに入る。


    窪んではいるが、傾斜が緩やかな至って良いハイキングコース。


    立山とアザミ平の分岐点。右に進んで立山を目指す。


    立山東分岐と書かれている。その先にお花畑があるらしいので、須走紅葉台方向に標高差で100mほど下る。


    その先にはハコネギクの群落がたくさんあった。


    樹林帯の中のハコネギク群落。


    開けた草地があるのかと思ったが、ずっと樹林帯の中の道。引き返して立山展望台に行く。


    登山道脇に小さな白い花。もう終わりかけているが、コフウロ。


    トゲの生えた痛そうな実。


    サンショウバラの実だった。美しいバラには実にもトゲがある。


    立山展望台到着。天気が良ければ向こうに富士山が見えるはず。


    こんなところにウメバチソウ。バラの木の間から顔を出していた。


    イブキジャコウソウ? 葉っぱが違うように思う。

 周辺を散策しながら、12時10分に立山展望台に到着した。寄り道しなければ篭坂峠から1時間ほどで到着できそうだ。道はきわめて良く、夜中に歩いても問題無さそうだ。小休憩しておやつを食べると、またしても腹痛がぶり返す。前日回転寿司で生サバを食べ過ぎたかもしれない。


    立山からアザミ平に向かう途中で越える畑尾山。樹林帯の中の静かなピーク。


    周辺にはブナやナラの大木が立つ。


    来年のテーマは着生植物。きっとこんな巨木の木の上に着生しているのだろう。


    アザミ平分岐点。


    アザミ平の草地の中にはウメバチソウが咲いていた。


    大部分がこのような砂礫の荒れ地。


    先ほどの立山展望台と同じ花だろうが、砂礫の中にたくさんあった。これは何?


    アザミ平はロープで保護されているが、中は鹿の踏み跡でいっぱい。これでは植生は保護できない。おそらくはネットで見た珍しい花も絶えているだろう。


    色鮮やかなトリカブト。

 アザミ平の外れから色気を出して森の中へ入り込んだところ、霧で方向を見失いプチ迷子になる。GPS片手に道を探すが、GPSが示す道のところには道は無い。衛星の補足状態が悪いようだ。こんな時はとにかく上に登っていちばん高いところへ・・・と少し登ると道に出た。どこかで登山道を横切っているはずなのだが、霧の立ち込める森の中だったのでわからずに過ぎてしまったようだ。


    霧の立ち込める森の中でプチ迷子。知らないうちに登山道を横切って通り過ぎてしまったようだ。


    静かな広葉樹林の森。霧の立ち込める森もなかなか良い。


    美しいヒメシャラの森。


    大洞山到着。展望の無い森の中のピーク。

 午後2時、大洞山山頂到着。腹痛を起こすのでパンを半分だけ食べて篭坂峠に戻る。眺望は無いが、山中湖外輪山で手付かずの紅葉樹林帯が残る大洞山・三国山界隈は、きっと珍しい花が咲くのだろう。ルートは明瞭、富士山の眺望は立山展望台とアザミ平の2ヶ所で得られることがわかった。 

 

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バリアンスルートを登って京戸山を周回  平成26年10月1日

2014年10月06日 | 山梨無名山
 先日訪れた大洞山(摺針山)と同じ尾根伝いにある京戸山だが、これもまたマイナーな山なので知る人は少ないだろう。近くには山梨百名山の達沢山がある。幻の花探しが目的のひとつだが、まず見つかる可能性はほとんど無いだろう。途中で二手に分かれる林道の片方は登山道につながるが、もう1方はどうなっているのか、おそらくは途中で終わってしまっているのだろうが、その先を登れるのかどうか、興味を持っていた。そしてもうひとつ、確認しておきたい花がそろそろ咲いている頃だろう。歩き始めは11時半になってしまうが尾根まで登り付ければそこからの道は明瞭なので夕暮れを過ぎても歩ける。いざ、出発。


    途中に鳥居と祠があるのに気付く。


    林道脇に咲いていたカタバミ


    シモバシラが群生


    荒れた林道を進む。


    この林道は砂防ダム工事のための道で、ここで終わっていた。

 予想通り、林道はその先の砂防ダムのところで終わっていた。砂防ダムの右側に登ってみると、植林帯の中に何となく道らしきものがあり、ところどころテープが付いている。尾根伝いにひたすら登ると、その上の山腹に林業作業道と思われる細い道が横切っており、それを進むがすぐにその道も谷の中に消えて不明瞭となる。左右の尾根を見上げて、登り易そうな左側の尾根に取り付いて、急登をひたすら登る。右手から合流してくる尾根まで登り着くと、そこには明らかな道があった。GPSで確認するが、その場所の地図には道は付いていなかった。正規の道(といっても点線ルートだが)はもう少し先のようだ。


    砂防ダム左側の樹林帯の中には道らしきものがあり、ところどころテープが付いていた。


    谷筋でルートは消えており、左手の尾根に取り付く。


    急登の尾根だが、木につかまらなくとも登れる。境界見出し標らしき杭が打ってあった。


    右手から合流する尾根が見えてきた。


    尾根まで登り着くと、そこには境界見出し標の杭、そしてまともな道がついていた。


    山上は霧がかかって薄暗い。幻の花はこんなところに生えていると思うのだが・・・やはり無い。


    正規ルートに出る。ここは全く普通の登山道。

 午後2時40分、正規ルートに合流した。ここは歩いたことが無い尾根なので、下山する側とは反対方向に進んでみてルートを確認したが、藪道では無く全く普通に歩ける道だった。ナットウ箱山という広い山頂のところまで行って休憩、遅い昼食となる。


    京戸山は林の中の小ピークで、看板が付いていなければ気付かずに通過してしまいそうだ。


    秋に咲いているのでアキノギンリョウソウか?


    ナットウ箱山。かつては小さな看板が立っていただけだったと記憶しているが、立派な標柱が立っていた。

 ナットウ箱山周辺も探したがやはり探し物の幻の花は無い。見たという話を全く聞いたことが無いので、おそらく正規のルート沿いで探し当てるのはほとんど困難なのだろう。もう花期を過ぎるので、この界隈の散策は今回が最後になるだろう。また来年探してみようと思う。

 時間は3時半を過ぎた。あとはひたすら下山し、1時間ほどで林道ゲートに到着した。



    今回歩いたルート。反時計回りに周回。 累積標高差850m、距離8.7㎞。



 もうひとつ確認しておきたかった花がこれ。秋に咲くハハコグサ。

    予想通り花が咲いていた。


    白い花が咲いたらこれはヤマハハコだったが、黄色い花。




    秋・ノ・ハハ・コ・草。 かつてはたくさんあったらしいが、現在は絶滅に瀕している花。


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姥子山周回  平成26年9月23日

2014年09月30日 | 山梨無名山
 姥子山は雁ヶ腹摺山の南東側に位置する標高1,500mほどの山で、大月市秀麗富岳十二景に指定されている富士山の眺望の良い山である。過去に一度だけ訪れたことがあるが、それはもう7年前の平成19年のことだ。雁ヶ腹摺山から下ってこの山をピストンしたが、その時に山頂の外れにある神社から下降できそうな道らしきものがあったが、かなり急な斜面で少し下ってすぐに引き返してきたことがあった。地図で調べてみると、破線のルートではあるがそこには登山道があるらしい。興味本位ともうひとつはこのあたりに咲くらしい黄色い小さなノギクにひょっとしたら出会えるかもしれないと思い、行ってみることにした。

 車で林道を行けると思っていたのだが、かなり手前でゲートが閉じており通行不能だった。時間は既に11時を過ぎており、林道をあてにして遅い時間の出発だったので、どうやら雁ヶ腹摺山まで行くのは難しそうだ。林道は舗装されているが、支脈のダートの道が分かれていたので興味本位でそちらに行ってみると途中で道は終わっていた。GPSで位置を確認し、最短で正規の林道にたどり着けそうな尾根を登って上にある正規の林道に出る。


    想定外に林道は閉鎖されていた。ずっと林道を行けば姥子山の直下まで行けると思ったのだが、あてが外れた。


    支脈の林道脇にはミソガワソウがたくさん。


    キンミズヒキはおしべが10本。ヒメは5本。


    支脈の林道は途中で終わっていた。右側の藪から尾根に取り付いて上を走る林道に抜ける。


    尾根の途中にあった腐ったバナナ?ではなくて種になったツチアケビ。


    どうやらここの崩落のため通行止めになっているらしい。


    林道脇のブロック塀にはイワタバコがたくさん。


    ホトトギスも咲いていた。

 歩き始めて1時間半ほどのところに左側に登る鉄塔巡視道らしきものがあった。姥子山の道標は立っていないが、GPSで見るとどうやらここが取り付き点らしい。急登を登ると鉄塔の下に抜け、その先に姥子山が姿を現した。


    左側の看板の立っているところに道が付いていた。


    鉄塔の巡視道らしい。


    これはフイリフモトスミレの葉か? 道に沿ってたくさんあった。


    鉄塔に抜け出る。その向こうの尖った山が姥子山東峰。雲がかかって霞んでいる山がおそらく雁ヶ腹摺山。

 鉄塔の下で昼食をとって休憩。姥子山まではもう少しだが、その先は少しばかり籔ルートになり、そして最後は見上げるような急登だ。そして、7年前に途中まで下りて止めた場所に抜け出た。


    テープが付いているが、少し籔っぽいルートになる。


    途中に咲いていたママコナ(おそらくミヤマママコナ)。


    イワカガミの葉がたくさん。


    最後は見上げるような急登。


    神社の祠のところに出た。


    ガクに棘が無いようなので、おそらくミヤマママコナ。


    少し先に行くと姥子山山頂(東峰)の展望地に出る。


    残念ながら富士山は見えず。

 姥子山東峰に到着したのは午後2時20分。3時間ほどかかったことになる。西峰を越えて林道に行くと、舗装工事が行われていた。7年前に来た時はかなりの悪路だったが、現在はほとんどが舗装されているようだ。しかし、工事中でダンプカーが行き来しているので、おそらくは通行止めになっているのだろう。いずれはその先まで全面的に舗装工事が行われるようだ。


    林道に出ると、舗装工事が行われていた。


    工事中の林道。ダンプカーがしばしば通過するのでおそらくは通行止めだろう。


    百間干場・金山峠側に下山。こちらは至って良い道。

 下山しながら沢沿いの岩壁や苔の生えた岩の上を覗き込みながら歩いたが、残念ながら会いたかった花は見つからなかった。林道の近くにあると聞いていたのだが、この林道では無かったのかもしれない。しかし、もしも林道が全面舗装されて法面が削られたりすると、ひょっとしたら自生地が荒らされることになるのでは?と少しばかり心配がよぎった。

 本日は時間が足りず、遭えなく敗退となった。これで花探しは3回連続の空振り、バッターアウト。でも懲りずにまた行くが・・・。



    今回歩いた地図(反時計回りに周回)。  累積標高差840m、距離9.2km
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御坂山塊深部の山へ 大洞山(摺針山)  平成26年9月15日

2014年09月24日 | 山梨無名山
 山梨県の大洞山と聞くと、山中湖の外輪山、三国山から連なる大洞山を思い浮かべる人が多いかと思う。今回訪れた大洞山は御坂山系の中でもあまり知られておらず、訪れる人もあまりいない静かな山である。明瞭な道があるのかどうかもわからなかったが、最近ルート整備が行われたようで、新しい昭文社の地図では点線でルートが描かれている。興味本位が半分、ひょっとしたらめぐり会えるかもしれない花探しが半分で、当日の朝に行ってみることに決める。

 いくつかルートはあるが、今回は標高差が最も少ない笹子峠から入山する。なにせスタート時間がお昼の12時になってしまうので、あまり選択肢が無かったと言っても良い。峠の分岐から山梨百名山の笹子雁ヶ腹摺山と反対の方向に登る。


    笹子峠にある祠。


    峠の分岐点。向こう側から登って来て道標を撮影。「カヤノキビラノ頭」と書かれているが初めて聞く名前。


    いきなりの急登だが、途中にはシモバシラがたくさん咲く。


    シモバシラ

 標高差150mほどの急登を登ると道は平らになり、その先小さなアップダウンを繰り返して少しずつ高度を稼ぐ。藪道を覚悟していたが、以外にもルートは明瞭で良く踏まれていた。要所には新しい道標が立ち、危険個所にはロープが張られていた。これほどに整備されたルートがあるにもかかわらず、あまり知られていない理由のひとつは眺望があまり得られないということだろう。富士山を望むには1本向こう側にある黒岳から節刀ヶ岳の御坂山塊主脈が邪魔するために、おそらくは見えても山頂の部分しか見えないと思われる。ここを歩くのは静かな山歩きが好きなマニアということになるだろう。


    尾根には明瞭な道。


    中尾根の頭の小ピーク。


    いちばん左がカヤノキビラノ頭、中央が無名のピーク、そのずっと右が京戸山だと思う。


    途中にはベンチが設置されていた。


    ママコナがちらほら。


    崩落地にはロープが張られている。


    カヤノキビラノ頭に到着。道標には1時間半と書かれていたが、2時間以上かかった。

 道標にはカヤノキビラノ頭から山梨百名山の達沢山までは1時間20分と書かれていた。そちら方面にも行ってみたかったのだが既に時間は午後2時半。アップダウンを繰り返すルートだけに、帰りの時間を考えると厳しく、今回は大洞山だけ行くことにした。20分ほどでミズナラをはじめとする広葉樹林の美しい大洞山の山頂に到着した。おそらく探し物はこんな落葉が堆積した広葉樹林の林床に生えていると思われる。広い山頂をうろうろと探してみるが、予想通り見つからない。


    大洞山山頂。


    美しい広葉樹林の森が広がる。


    あるとすれば落葉が積もったこんな感じのところに生えていると思うのだが・・・

 次第に雲が巻き始め、霧におおわれ始めた。少し急いで下山する。下山はコースタイムよりやや早い、大洞山から1時間35分で笹子峠に到着した。

 思った以上に良いルートであることがわかった大洞山から京戸山・達沢山界隈のルート。静かに山歩きを楽しむには持って来いのルートで、これから始まる紅葉も存分に楽しめそうだ。花は見つからなかったが、なにせ相手が相手だけにそう簡単には姿を見せてくれないだろう。60数年前に三つ峠山塊で見つかって以来、御坂山塊では見つけられていない幻の花。いつか、山梨県で出会ってみたい。

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幻の花を探して御坂山系の某山へ  平成26年9月7日

2014年09月09日 | 山梨無名山
 この花が本当に御坂山系の山にあるのだろうか?なにせ60数年前に三つ峠山系で見つかって以来この山系では発見されていない花である。長野県では少なくとも3ヶ所の自生地が確認されているようで、咲いていそうな環境はある程度はわかるが、どこの山に行けば見られるのか皆目見当がつかない。花探しのツアーがあったので参加させてもらうことにしたが、花を確認しているわけでは無くそれらしき花の枯れたものを発見したのが7年前だそうだ。年数も経っており、発見できる可能性は少ないと見ているが、もし出会えれば歴史的な発見となる。

 メンバーはツアーリーダーの先生を含めて10人ほど、県外から来られた方がほとんどだ。しかも、山野草に関しては詳しい方ばかり、会話をしていて自分のレベルの低さがわかる。


    林道を歩いて目的地に向かう。


    本日探すのは広葉樹林帯の中。3つ葉が出た木が・・・? 何だか忘れました。


    この木の実は・・・?? これも忘れました。


    ????ヨモギ。 何だったか???


    ヒメキンミズヒキ。キンミズヒキはおしべが10本、これは5本。


    ママコナ。ミヤマママコナとの違いは花の付け根のところに棘があるかないかだそうだ。


    シモバシラはたくさんあったが、ことごとくピンボケとブレブレ。落ち着いて撮影しないとそんなもの。


    ゲンノショウコかと思ったがこれはコフウロと教えていただいた。ピンボケ写真。


    コフウロ。ゲンノショウコに似ているが、こちらは葉が全裂するところが異なる。

 花の勉強をしながら、2時間少々かかって山頂に到着し、ここで昼食となる。休憩しながらもずっと花談義が続くが、山梨県の花以外はほとんど話題に着いて行けない。先生からこれから咲く小さな野菊が意外な場所で数年前に見つかったことなど、情報をいただくことができた。

 さて、目的の花があったという場所はここから標高差にして200mほど下った尾根筋だそうで、急坂を下って目的地に到着するが・・・片側の斜面は伐採が進んでいて、以前に比べると山がだいぶ乾燥してしまっていると言う。10人、20の瞳で右、左の斜面を念入りに探すが、残念ながら目的の花は発見できなかった。


    稜線で見つけたジガバチソウと思われる花の葉っぱ。来年確認に来てみよう。


    同上


    タカオヒゴタイ? 葉の切れ込みが少し浅いように見えるが。

 標高差200mを登り返して山頂に至り、下山となる。予想していたよりもハードな花探しだった。もっとハードだったのは私の車。進入禁止の林道を強硬に昇った際に後輪が岩を踏んでパンクしてしまったのだ。下山後、スペアタイヤに履き替えて帰宅となった。


    話題になったのがこの花。全体に毛が多く、葉の感じもヤマハハコとは少し様子が違う。アキノ・ハハコ・グサ(絶滅危惧種)ではないかと言うが、花が咲いてみないとわからない。


    同じ花ではないかと思うが・・・? ハハコグサは春から初夏に咲くのに対してアキノハハコグサは名の如く秋に咲く。


 7年の歳月が流れ、環境がだいぶ変わって絶えてしまったか、あるいは時期が少し早かったか?いずれにせよ、この山塊にそれらしき花があったことは間違い無いようで、人のあまり入らない別の尾根を探せばひょっとしたらこの幻の花に出会えるかも知れない。その花の名は カ・イ・サ・カ・ネ・ラン。いつか出会ってみたい。



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ミッション、富士山麓の寅・トラ・とらきちを探せ!  平成26年9月7日

2014年09月08日 | 山梨無名山
 今季2度訪れている寅・トラが自生するとの情報がある富士山麓の森だが、目の良いうーさんが探しても発見できなかった。しかし、ブログで検索してみるとおそらくは同じ森と思われる場所で咲いている寅・トラの画像が掲載されている。しかも満開だ。私とうーさんが歩いたGPSの軌道を見ると、もはや探していない斜面は1ヶ所だけしかなく、ここを探して見つからなければ今季はこれであきらめるつもりで出かける。

 ところが、天候悪く、富士山麓の林道に入ると小雨交じりの深い霧で、視界は10mほどしか利かない。この視界の悪さでは花探しどころではないとあきらめて引き返し、別の花を見るために朝霧高原に移動する。しかし、そちらも雨。道の駅でしばらく休むも、目的地の山は黒い雲におおわれて小雨が続く。今日はイケてない、とあきらめて帰ろうとしたところ、富士山の裾野に青空が見え始めた。どうやらこの雲は中腹で厚くて上の方ではさほど酷い天候ではなさそうだ。もう一度富士山山麓の森に向かうと、目的の場所は小雨が降ってはいるもののところどころ青空が見えていた。これならばなんとかなりそうだ。2時間以上時間をロスしてしまい、入山は12時半になってしまう。


    林道脇に咲いていたフジアザミ


    入ってすぐのところの森は伐採されていて明るい森。


    奥に入って行くと倒木だらけの苔の生した少し薄暗い森になる。

 真直ぐ小高い山の上を目指して登るのではなく、花を探しながら大きく回り込んで側面から頂上に至り、そこから斜面をジグザグに下りながら探す作戦をとった。獣道だと思うが、細い踏み跡のようなものが森の中に続いている。


    今日もこれしか見つからないのか?


    ヒメミヤマウズラ


    撮ってくださいと言わんばかりのところに咲いているが、既に花期は過ぎている。


    あったか~!? と思えばギンリョウソウ。

 頂上で遅い昼食をとり、GPSで以前の軌道跡と本日歩いた軌道を見ながら、まだ歩いていない斜面を右往左往しながらジグザグに下る。しかし・・・なんとしても目的の花は見つからない。もうすぐ林道に至ろうかというところまで降りたところで、山腹を巻いて走る古い林業軌道跡らしきものを発見した。その道に従って歩いて行くと、途中から人の踏み跡らしき道が出来ていた。それに従って登って行くと、もう枯れかけたミヤマウズラ・・・と思って近付けば、それこそ探していた花、寅・トラ・キチ・ランではないか。時間はもう午後4時を回っているが、ようやく1株目に出会うことができた。本日初めて三脚を出して撮影する。あたりを歩いてみれば、大きな株が2株並んでいたが、既に花はしおれかけている。


    ようやくお目当ての花を発見。


    ト・ラ・キ・チ・ラン


    その近くに大きな株が2つ並んでいた。


    残念ながら花期はもう過ぎている。


    苦労しましたが、なんとか出会えました。


 GPS軌道を確認してみると、間に小さなガレ場を挟んで私が歩いたのが向こう側の斜面、ガレ場のこちら側を歩いていればもっと早く発見できたのだろう。時間は4時半を過ぎ、この斜面を頂上まで探しながら登るには時間が足りない。今日は(今年は)これで撤退とする。


    樹海の中で本日拾ったゴミ。昨日か本日捨てたと思われるアメやお菓子の袋も落ちていた。

 
 この森ならば高確率で出会えるだろうと思っていた寅さんだが、以外にも苦労した。ずいぶん森を踏み荒らしてしまい、森に申し訳ないと思う。来年来る時は、できるだけ最短の道で会いに来たいと思う。
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ようやく出会えた紫の蝶舞う花 御坂山塊  平成26年7月12日

2014年07月13日 | 山梨無名山
 今年の花探しの筆頭に挙げていたこの花、危ない岩場をザイル下降して探しに行くのを覚悟していたが、以外にもホームグラウンドの御坂山塊にもあることがわかった。相棒のうーさんはこの花を探しに三度この山を訪れ、三度目の正直でようやく開花しているのを確認したと連絡を受けた。おそらくは見頃を迎えていることだろう。台風の影響で傷んでいなければ良いのだが・・・。

 午前の業務を片付けて登山口に到着したのは11時を過ぎていた。蒸し暑い天気、大汗をかきそうなので水は2.5リットル持って行く。樹林帯の尾根を登り、ロープの張られたスリップしそうな急斜面を登り、3時間ほど歩いて大きな岩壁に突き当たる。登山道は岩の裾を巻くようにつけられているが、この岩壁の周辺を念入りに探すと、清楚な薄紫色の花が目に着いた。これだ。以前は御坂山塊にも普通にあったらしいが、盗掘にあって今では自生のものにお目にかかれる機会はほとんど無くなってしまっている。


    笹の生えた樹林帯を登る。笹の中や斜面を覗き込みながら歩くが、目ぼしいものは見つからず。


    ロープのついた急斜面。スリップに要注意。


    日当たりの良い岩壁に突き当たる。この場所は花たちの天国のようだ。


    イワキンバイ


    フジイバラ


    ヤハズハハコ


    ウスユキソウ


    シモツケ

 お目当ての花は昨日山梨県東部の山で見たニョホウチドリに似ているが、こちらの花のほうがか弱そうで色は薄紫色だ。下唇の切れ込みがあちらのチドリよりも深い。


    岩の隙間から生えている花


    初見参、紫の蝶が舞う花 ウチョウラン。


    背丈より高い場所に咲いていた株


    さらに高い位置にも数株


    岩壁によじ登ってその上を覗いてみると、かなり高い位置にも咲いていた。

 全部で10株ほど咲いているのを確認することができた。

 大満足。このまま下山でも良かったのだが、山頂にも立ち寄ってみることにする。もう時間は午後3時半を過ぎているので誰もいないだろうと思っていたのだが、この時間に一人登山者がやって来た。途中でルートを見失い、1時間半ほど時間をロスしてようやく到着したらしい。この山の裏側ルートは歩く人が少なく案内板も無く、ところどころわかりにくい場所がある。私はここで遅い昼食をとってゆっくり休憩し、一足遅れて下山した。


    山頂にはシモツケがたくさん咲く。


    ヒメウツギ


    下山しながらもう一度この清楚で美しい花を眺める。また来年会いましょう。


 今年見たい花の中で最も難しいだろうと思っていたこの花は御坂山塊という意外と近場に咲いていた。先日この界隈を訪れた際に麓に住まれている方とお話しする機会があり、かつてはたくさんあったそうだが盗掘で今では見られなくなってしまったと言っていた。アツモリソウもかつては咲いていたそうだが、完全に絶滅してしまっている。残念なことだ。

 さて、課題をひとつクリアし、次なる課題は寅狩りだ。8月の下旬ごろだろう。

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台風去りて 山梨県東部の山再び  平成26年7月11日

2014年07月13日 | 山梨無名山
 先日はお目当ての花を発見できなかったが、同じ日にその界隈を花見隊メンバーが歩いており、見頃を迎えた花を10株ほど見つけたと連絡を受けた。ブログを拝見して見事な花に感激した。日程がとれればすぐにでも・・・と思っていたが、あいにくの雨とさらに台風接近となってしまった。ところがこの台風8号は遥か南の海上を通過してくれたおかげで、山梨県は雨も風もさほどのことはなかった。台風去って青空が広がり始めたこの日、午後から訪れてみることにした。

 沢を横切り笹の森を抜けて歩くこと3時間弱、笹と草の入り混じる草原に到着し、斜面を念入りに探しながら歩いて行くと・・・あった!しかし、雨の降った後で花弁が痛み始めている。


    沢を渡る。台風の後だが、あまり増水していない。


    笹の繁る森を抜ける。


    苔の生した森の中を横切る。


    そして到着した笹と草の入り混じる草原で、お目当ての花を発見。


    ニョ・ホウ・チ・ド・リ。


    満開だが、雨風のためか花弁が少し痛んでいる。


    こちらの花はもう終わりかけ。


    笹に隠れるように、10株近く咲いていた。


    ガレ場を登って別の場所を探してみると、2~3株発見。


    笹原から懸命に顔を出しているといった感じ。


    赤紫色鮮やかで愛らしい花。

 目的の花を見ることが出来て、十分満足だったが、先日発見できなかったあちら側の斜面も気になる。さらに、台風が過ぎた後で空気が澄み、この季節にしては珍しく夕暮れの富士山が見られそうな空模様だ。富士山の眺望も良い山なので、花を探しながら日没の6時半ごろまで展望地で待ってみることにする。2時間近く歩くが、なんとか間に合いそうだ。

 この日は平日だけあって、こんな夕暮れ近い時間に山の上を歩いている人は誰もいない。完全に独占状態だ。双眼鏡片手に斜面を覗き込みながら登って行くと、意外と登山道から近い場所で2株咲いているのを発見した。しかし、だいぶ花が痛んでしまっている。さらにその近くにもう1株。


    先日発見できなかった場所で見つけた花。上部はまだ蕾だが、開花した花弁は既に痛んでいる。


    同上、接写。


    その近くでもう1株。


    夕暮れ間近な富士山


    残照で赤くなるのを期待したが・・・染まらず。

 富士山の残照が消えたところでヘッドライト装着して下山開始する。もう1ヶ所、咲いている場所を聞いていたが、夕暮れで探せないだろうと思っていたところ、以外にも登山道のすぐ脇に咲いていた。手持ちで撮影できる明るさでは無いので三脚でカメラ固定して、本日最後の花を撮影する。ふと見上げれば、西の空が真っ赤な夕焼けに染まっていた。そして、夕焼けの東の空の雲の上に満月が昇って来た。


    登山道脇に咲いていたニョ・ホウ・チ・ド・リ。


    満開、見頃のはずだが、これも若干痛んでいる。


    東の空の雲の上、満月が昇る。

 樹林帯のまで下りたところでヘッドライト点灯し、あとは黙々と下る。林道近くまで下ったところで、林の中でゴソゴソと動いているものがいる。ライトを照らしてみれば鹿の群れ。5~6頭で笹籔の中を移動中だった。さらに下るとまた数頭。この山はかなり鹿が多いようで、稜線上の広大な草地は甚大な被害を被っていることだろう。

 食害や他の雑草・笹に負けず、これからもずっと咲いて欲しい。女・峰・千・鳥。

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蜂の舞う草EXTRA 御坂山塊

2014年07月11日 | 山梨無名山
 御坂山塊の別の場所にもあの蜂の舞う草があるとの情報をいただいた。今シーズンはこの機会を逃すと見頃を過ぎてしまうので、午後遅い時間になってしまうが訪れてみることにした。訪れた森は鹿の食害もあるのだろうが、木々に適度に光が遮られて山肌は湿度が保たれており、草地が広がっている。道を外れて森の中に入ってみると、クモキリソウ属の小さな葉が数株、花は付いていない若い葉だ。足元に注意しながらあたりを探すと、さらに数株発見できた。こちらは咲いている株もあるが、やや遅い。


    花芽のついていない小さな葉を発見。


    ようやく出会えた蜂の舞う花。


    別株とその向こうに咲き終えた株がひとつ。若干遅かった。

 これとは別の場所にもあると聞いていたのでそちらに行ってみるがどうしても見つからない。情報をいただいた方に電話してさらに詳細に場所を聞き、再三探してようやく探し当ことができた。


    森の中にひっそりと・・・ではなくて大きな株がどっしりと生えている感じ。


    ようやく咲いているところに出会えたジガバチソウ。


    別株


    まさしく蜂が舞っているような花。


    これから咲くであろうこちらの草も楽しみ。おそらく斑点鮫が舞う草だと思う。


 先日訪れた山では消失していて、かなりのショックを覚えたが、まだ咲いている場所があって一安心である。盗掘と食害から逃れて咲き続けて欲しい。
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見つからなかったあの花 山梨県東部の山  平成26年7月6日

2014年07月10日 | 山梨無名山
 三つ峠の植生保護活動に続いて、この日は山梨県山岳連盟自然保護グループが主観となって山梨県東部の山に花を観察に行く計画があった。前回の三つ峠はメンバーの歩くピッチが速く、三脚を出して撮影しているとあっという間に見えなくなるほど遠くまで行ってしまっているため、今回は先に入山して存分に撮影して、途中で他のメンバーを待つという作戦に出た。山岳連盟の報告書を見ても、他の人のブログを見てもおそらくは探すにはあまり苦労はいらないだろうと予想していたのだが・・・、そううまくは行かなかった。

 1時間早く登り始める換算で、8時に登り始める。途中でルートを少し外れて樹林帯の中を歩いたりもしてみたが、目ぼしいものは見つからない。樹林帯を抜けて草地に入ったあたりから、双眼鏡を片手に草地の中を再三覗き込むがそれらしい花は見つからない。


    笹の多く繁る登山道脇。


    森の中に入ってみるが目ぼしいものは見つからず。


    草地の中を双眼鏡を使って再三覗き込むが、それらしき花は見当たらない。


    2時間ほどで稜線の岩場に抜ける。霧が深く視界が悪い。

 稜線の岩のところにザックを置いて、三脚とカメラと双眼鏡を持って再度草地に下ってもう一度探してみるが・・・やはり見つからない。しばらくうろついていたが、そろそろ到着するはずの山岳連盟グループが待てど暮らせどやって来ない。メンバーに連絡しても電話がつながらない。これは逆ルートで登って来るのか?と思って先に進むが、そちら側にも姿が見えない。時間が12時近くになったので、途中の広場で食事しているとメンバーから電話が来た。私と同じルートを登って来たが、見つけたのは蕾の一株だけだったそうだ。私はもはやあきらめていたので、先に下山することを告げてその先は一気に下りた。途中で再度電話があり、別の場所で4株見つけたそうだが、既に行程の半分ほど下りたところだったので、本日はあきらめる。


    レンゲツツジはもう終わっている。


    ベニサラサドウダン


    ここの草地はカヤツリグサ科の草ばかりになってしまっている。改めて見直せば、ここも相当の食害に遭っている山なのだろう。


 午後1時下山。駐車場をプラプラと歩いていると、見慣れた車が停まっていた。後部座席は寝られるように改造してある。この車ってひょっとして・・・電話してみるが通じず、メールを送ったところ、しばらくしてから電話がかかって来た。別の場所で本日お目当てだった花を10株ほど見つけたそうだ。さすが! 

 今回見つからなかった花はこちらのブログでご覧ください。

 山梨のとある山で(2014.7/6)レポ
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アズマシャクナゲ咲く森 小川山八丁平  平成26年6月15日

2014年06月18日 | 山梨無名山
 今年の伊豆のアマギシャクナゲは10年に一度の当たり年だったと聞く。奥秩父のアズマシャクナゲにもかなりの期待をしていた。花見隊2日目は瑞牆山登山道の途中から右に入って八丁平のアズマシャクナゲを見に行くことにした。


    瑞牆山荘駐車場は朝8時で既に満車状態。道路脇にも車が並んでいた。


    登山道脇の湿地にあるクリンソウは年々数が減っているように見える。


    前日の御坂山塊と同様、こちらの花も今年は少ない。


    瑞牆山展望台でさっそく記念撮影。まだ先は長いです。


    富士見平到着。来るたびに綺麗になって行く富士見平小屋。


    本日はテントがいっぱい。

 富士見平小屋に立ち寄って小屋主さんの相川さんに挨拶をして行く。小屋の中に入ると壁に見慣れた写真がずらりと飾られていた。昨年荷揚げした「白き雪山 金峰山」のアルバムに入れた写真を全て額に入れ替えて飾ってくれていた。これには届けた本人がビックリ! まだスペースが空いているからもっと欲しいと言われ、これから検討することにした。今度は瑞牆山の画像を届けられればと思っている。
 小屋主さんにお断りしてクリンソウの咲く水場に行ってみる。今年のクリンソウは外れで、花が少ない。ここにも、盗掘者が現れたことがあるそうだ。ひょっとしたら下のクリンソウもやられているのかもしれない。


    富士見平のクリンソウ


    今年は花数が少ない。

 小屋主さんとの話が尽きず、だいぶ時間を費やしてしまった。八丁平に向かって出発する。途中のシャクナゲはもうほとんど終わってしまっていて、残った花を見る限りでは大当たりという感じでは無い。


    天鳥川下降点から見上げる瑞牆山とアズマシャクナゲ


    小川山登山道から見上げる新緑の瑞牆山


    青空に立つ瑞牆山

 造林小屋跡地で昼食となる。この場所はかつては足の踏み場が無いほどの一面のシロバナノヘビイチゴとキバナノコマノツメのお花畑になっていたが、今ではまばらに咲く程度になってしまった。


    造林小屋跡地。小川が流れ、気持ちの良い広場。


    かつてはびっしり咲いていたシロバナノヘビイチゴも今ではまばらになってしまった。

 八丁平でザックをデポしてその先の秘密のシャクナゲ展望台に行く。このあたりからようやく見ごろを迎えたアズマシャクナゲに出会うことができた。花の色は例年に無く良いのだが、花付きはさほど良い訳では無かった。写真を撮りながら登り、展望台に到着する。


    かつては倒木を何本もまたいで歩いた道は今ではすっかり良い道に変っている。


    アズマシャクナゲ


    今年は花の色が良い。


    森の中に咲くアズマシャクナゲ


    展望台に到着。この場所はまだ少し早そうだ。花付きは決して良いとは言えない。


    アズマシャクナゲ咲く奥秩父の森


    アズマシャクナゲの森


    同上


 存分に撮影して八丁平に戻ると、時間は既に午後2時になってしまった。予定では大日岩を周回って富士見平に戻るはずだったが、帰りが夕暮れになってしまいかねない。ここで折り返して同じ道を戻ることにした。別行動をしていたうーさんは不動の滝から瑞牆山を超えて鷹見岩を往復して富士見平小屋で待っているというメールが届く。週4~5回山歩きしているうーさんは格段に速い。1時間少々で富士見平小屋に到着し、またしても小屋主さんと話が尽きずに大休憩し、下山となった。


 今年のアズマシャクナゲは例年に比べると良い方だが、大当たりと言うわけでは無い。八丁平よりもやや標高が高い瑞牆山でも、見ごろはあと1~2週間というところだろう。
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カモメラン観察に花見隊出動  平成26年6月14日

2014年06月17日 | 山梨無名山
 昨年群生を発見した御坂山塊某所に空飛ぶラン、カモメラン観察に出動した。昨年はたくさん咲いてくれたが今年はどうなのだろうか?そろそろ見頃を迎えている頃だろう。

 11時に登山口近くの空地に集合し、さらに登山口近くまで車で移動して出発する。新緑の鮮やかな森を登って行くが、早朝の石割山の疲れで既にクタクタ。花見隊のスローペースだから登って行けるが、嶺朋クラブのピッチだったら完全に途中リタイアだ。


    5月の杓子山に続いて花見隊出動! この日はcyu2さんの誕生日。おめでとう(?)ございます!


    新緑の森を行く


    登山道脇にニョキッと現れたヒロメノトガリアミガサタケ


    るたんさんが発見!もうひとつのお目当てヒメムヨウラン


    保護色で森と同化して発見しにくい。


    ヒメムヨウラン

 そして本命の空飛ぶランを発見。昨年よりは少なく、踏み跡がだいぶついてしまっている。踏まれてしまった葉っぱもあってごめんなさいといった感じだ。


    カモメラン発見


    花も葉の数も昨年よりは少ないのが気になる。


    カモメラン


    カモメラン群落


    カモメラン!


    カモメラン!!

 この日はカモメラン三昧だったが、クモキリソウ属の葉も確認した。どんな花を着けてくれるのか楽しみだ。


 花数、葉の数とも減少しているのが気になるカモメランだが、昨年は当たり年だったのでこんなものなのかもしれない。これからも花の変化を見届けて行きたい。
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