山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

うろこ雲広がる晩秋の空 韓国岳  平成24年11月16日

2012年11月20日 | 日本百名山
 職員旅行初日の宿泊地は鹿児島市城山観光ホテル、高台に建つ高級ホテルだ。早朝出発して午前中に韓国岳に登ることを考えていたのだが、前日、料亭での食事にありつけなかったことがあり、朝食はホテルで食べてから出発したい。6時に起床して大浴場のお風呂に入り、7時に朝食。だが、この朝食会場がかなり混雑しており、15分ほど待ってようやく食事にありつけた。朝からこんなに食べて良いのかというくらいに食べた後、8時にホテルを出発する。行き先は韓国岳の登山口、えびの高原だ。

    宿泊した鹿児島市城山観光ホテル。温泉の大浴場は桜島を見ながらお風呂に入れる。


    桜島の夜明け。城山観光ホテルから。

 ちょうど10時にえびの高原駐車場に到着した。有料駐車場に車を止め、まずは敷地内にある看板の地図と登山口を確認し出発する。最初はアスファルトの道を歩き、硫黄山の分岐あたりで登山道らしくなる。しかしその先も整備された道が続く。

    えびの高原駐車場。ここは有料だが、道沿いの無料駐車場もあるようだ。


    うろこ雲が空一面に広がった韓国岳。右側が山頂、左は独立した山では無く、爆裂火口の一部。


    硫黄山分岐の手前、整備された道を行く。


    3合目の標柱。1合ごとに標柱が立てられ、距離が記されている。


    4合目から見下ろすえびの高原

 石のゴロゴロしたやや急傾斜のところもあるが、丸太でつくられたステップがうまく設置されている。1時間少々で5合目に到着、小休止後、1時間ほどで山頂に到着した。標高差約500m、2時間ほどの行程だった。8合目から上は広大なミヤマキリシマツツジの群生地となっており、花期に訪れればきっと素晴らしい光景にめぐり会えることだろう。(そのかわり、たぶん人もいっぱい。)

    8合目。雪が降ったらしく、ところどころ白くなっている。


    雪を被ったミヤマキリシマ


    8合目から上はミヤマキリシマの大群落。えびの高原を見下ろす。


    大浪池とミヤマキリシマ

 12時10分山頂到着。向こうにまだ噴煙の柱を何本も上げる新燃岳と三角錐の形が良い高千穂峰が聳え立つ。この日は霞に混じって桜島の火山灰が飛んだようで、景色は霞んで見えた。地元の登山愛好家の方と山頂で話す機会があり、新燃岳が噴火した時の火山灰と噴礫で新燃岳周辺の木々はほとんど枯れてしまったそうだ。風向きで火山灰が多く降った高千穂峰側は登山道に砂礫がかなり積もったが、反面石が露出していた斜面が覆われて歩きやすくなったそうだ。風が強く体感温度は寒かったが、フリースを1枚着るだけでなんとか凌げた。

    うろこ雲流れる新燃岳と高千穂峰


    新燃岳はまだ噴煙を上げている。


    風が強く、薄い髪も逆立つ。

 山頂裏側(爆裂火口側)は鋭く切り立った崖になっており、その下に爆裂火口を見ることができる。誤って落ちたらひとたまりもない。昼食後、登山道から少し外れて爆裂火口周囲を巡る細い踏み跡を8合目付近まで歩いてみた。側面から見る韓国岳山頂はスッパリと切り落ちている。

    山頂から見下ろす爆裂火口。怖くて近付き難い。


    やや回り込んだ場所から見下ろす爆裂火口


    さらに回り込んだ場所から見上げる韓国岳山頂と爆裂火口の一部

 午後1時半ごろ、8合目付近で正規の登山道に下り、下山開始する。山頂付近でかなり時間を費やしたので帰りはあまり休憩することも無くひたすら下山、1時間ほどで駐車場に到着した。駐車場の向こう側に建つおみやげ物屋さんに行くと2階がレストランになっており、ここで登って来た韓国岳を眺めながら、宮崎牛の焼き肉を食べてゆっくり食事をとる。簡単に登れる割には眺望に恵まれた良い山だった。九重山、由布岳と同様に、九州の山はツツジが咲く季節に訪れてみたい山だとつくづく感じた。


 さて、レンタカーを鹿児島空港に戻し、国分駅までタクシーで移動、そこから日豊本線に乗って宮崎に移動した。午後6時半、高千穂見物に行っていた職場のメンバーと合流し、宮崎地鶏のお店で地鶏料理を堪能した。炭焼きもも肉は炭の香りが漂って絶品、アルコールもかなり入ってすっかり上機嫌になる。さらに、本日の宿泊地はシーガイア・シェラトングランデホテルという昨日にも増して高級なホテルだった。ちょうどゴルフのフェニックスオープン(だったか?)が開催されており、石川遼選手も同じホテルに宿泊していたらしい。上階のカクテルバーに移動してさらにもう少しアルコールを飲み、11時半に部屋に戻り寝る。充実した1日だった。

 これで九州の日本百名山は残すところ阿蘇山と屋久島宮之浦岳の2つとなった。いつ行けるかは全く分からないが、今回のようなとりあえず頂上に登って来るような登山では無く、良い季節にじっくりと登ってみたいと願う。
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東シナ海に沈む夕陽 開聞岳  平成24年11月15日

2012年11月19日 | 日本百名山
 職員旅行で九州へ行く機会があった。本来は香港のはずだったのだが、尖閣問題で状況が危うくなったため、6月の時点で香港旅行を中止し、九州の鹿児島・宮崎に変更となった。数年前にも九州旅行があり、その時は1泊2日で九重山に登り、さらに由布岳にも登りたいへん満足な旅行ができた。そして今回も飛行機や食事の時間との調整を行いつつ、開聞岳と韓国岳に登る計画を立てた。旅行メンバーの中に登山する者はおらず、今回は単独の登山となる。
 
 11月15日

 職場に早朝4時15分に集合し、バスで羽田空港へ。そして鹿児島空港には10時過ぎに到着した。さっそく手配したレンタカー会社に電話するが、全く電話が通じず20分ほど繰り返し電話してようやくつながり、鹿児島空港まで迎えに来てもらう。11時過ぎに鹿児島空港出発し、指宿に向かう。登山口の開聞山麓ふれあい公園に到着したのは午後1時となり、あてにしていたバーナーの燃料は手に入れる余裕無く登山口にに来てしまう。運良く公園の売店にお菓子とパンが売っており、これを買って1時20分に出発する。予定では4時ごろに山頂到着し、海に沈む夕陽を眺めてから暗い中を下山するつもりだ。初めて歩く道だが、整備された道で、傾斜がほぼ一定の渦巻状になっており、迷うところは無いと聞いた。

    かいもん山麓ふれあい公園から見上げる開聞岳。形はまさに富士山。


    ツワブキ。山麓にたくさん咲いていた。


    2合目の登山口

 2合目の登山口から登山道に入ると、最初は亜熱帯樹林の中のやや薄暗い森を進む。樫の木を主体としたこの森は、私が生まれ育った千葉の森に良く似ている。5合目で一度展望が開け、大隅半島根元のあたりと長崎鼻が見渡せる。そしてまた樹林帯に入り、今度は7合目あたりで再び視界が開け、長崎鼻先端から、その向こうに大隅半島先端までが見渡せるようになる。そしたまた樹林帯、今度は9合目付近から先ほどとは反対側の薩摩半島枕崎側が見渡せるようになる。こちら側はもう東シナ海だ。

    樹林帯の中の道を行く。


    開聞岳中~下部の亜熱帯樹林帯。千葉の森に良く似ている。


    5合目。展望所になっている。


    5合目から見る長崎鼻と大隅半島


    7合目からの展望。長崎鼻先端と、その向こうに大隅半島の先端まで見渡せる。


    8合目付近にある仙人洞


    8合目付近にあるロープ場


    9合目付近から見る薩摩半島枕崎側。こちらの海は東シナ海。

 9合目付近にはハシゴ場があり、それを過ぎると山頂への最後の急登となる。山頂手前に鳥居の立つ御嶽神社があり、それを過ぎるとすぐに山頂に飛び出す。大きな岩があり、その上からは360度の眺望が得られる。午後4時15分、山頂到着。約3時間の行程だった。

    9合目付近のハシゴ場


    山頂直下の急登。あと少し。


    直下に立つ御嶽神社


    開聞岳山頂。岩の上から標柱と池田湖を見下ろす。


    長崎鼻と大隅半島

 甲府ではこの時期、午後4時半になるともう日が沈んで暗くなってくるが、鹿児島では5時近くまで日が沈まない。影開聞岳が指宿の町に端正な形の影を落としている。しかし、夕陽の沈んで行く東シナ海側は・・・山頂の樹木に阻まれて光る海面が十分に見えない。予定では山頂で日没を迎えるはずだったのだが、ここでは夕陽に染まる海原が十分に見えないので、下山しながら良さげな場所を探すことにする。

    指宿の町に影を落とす開聞岳


    東シナ海に沈み行く夕陽。山頂からだと樹木が邪魔して海面が十分に見えない。

 9合目ハシゴ上、夕陽と海は見えるが左側斜面が近過ぎる。9合目付近の展望地は比較的良いが、もう少し眼下まで海が見えるところが良い。さらに下山するが、その先は樹林帯で展望地が全く見つからず、どんどん陽が沈んで行ってしまう。そして到着した7合目展望地、ちょうど陽が沈むところだったが、ここから見る夕陽は林の中に隠れ、残念ながら見えなかった。かくして、南シナ海にまさに沈まんとする夕陽の撮影は失敗に終わる。

    9合目ハシゴ上から見る夕陽。左斜面がまだ邪魔。


    9合目付近の展望地から見る夕陽。ここは比較的良いが、もう少し海原が広く見えるところが良い。しかし、その先には・・・


    樹林帯から見る夕陽。良い場所が見つからないまま、どんどん夕陽が沈んで行く。


    7合目展望地から見る夕暮れ。夕陽は右の樹林帯ギリギリのところに隠れてしまう。


    長崎鼻と大隅半島の夕暮れ

 初めて登る山で狙い通りの写真を撮るのはなかなか難しいものだ。角度を計算して行ったつもりだったが、狙った場所からは展望が得られなかった。それも止む無し、とにかく下山する。6時半、かいもん山麓ふれあい公園に到着すると、空には一面の星空が広がった。海抜200mにも満たない場所なのに、鹿児島南端まで来ると山梨県の標高1,500mを越えたところから見るような星空だ。ゆっくり見ていたい気持ちもあったのだが、料亭での食事会が旅行の中に組まれている。数カット撮影して宿泊地鹿児島市に向かう。

    5合目から見下ろす指宿市の夜景


    かいもん山麓ふれあい公園から見上げる開聞岳と天の川


 しかし・・・途中で旅行幹事から電話が入る。料亭は2時間の予定で8時半には切り上げるという。カーナビで見ると到着時間は8時半だ。急いでもかなり厳しい時間・・・かなり飛ばしたが料亭近傍に到着したのは8時15分。期待していた料亭「熊襲亭(くまそてい)」の食事はあきらめて、夕食は一人ラーメンを食べることになる。重ねて残念。しかし、タクシーの運転手に連れて行ってもらった「小金太」というラーメン屋、客は地元の人ばかりで味は絶品だった。これには大満足。
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りゅう座流星群の夜 赤城山地蔵岳  平成24年10月7‐8日

2012年10月15日 | 日本百名山
 日光白根山から下山し、日帰り温泉でひと風呂浴びるともう時間は夜の7時半になっていた。日光白根山で出会った若者が今晩は天候回復して凄い星空になりそうだと言っていた通り、空を見上げれば雲が晴れて頭上に夏の大三角形が輝いていた。やはり・・・日光白根山の避難小屋に宿泊すべきではなかったのか。少々後悔する。が、まだあきらめたわけではなかった。9月に一夜を過ごしたがガスに巻かれて夜景も月も不発に終わった赤城山地蔵岳、あそこならば30分もあれば登れる。車を赤城山に向かって走らせる。

 小沼の少し先にある地蔵岳登山口に8時半ごろ到着した。こんな時間なのに車が数台止まっており、登る準備をしているとその後さらに2台やって来た。何かと思えば、マウンテンバイクで山上を走り、ここで回収して帰るための待ち合わせだそうだ。今から登ると言ったら驚いていた。といっても道は良く整備されていた地蔵岳山頂までは30分とかからない。一晩中起きているわけには行かないのでテントを持って行く。10分ほど登って中腹辺りで睡眠導入剤を持ち忘れたことに気付き、取りに戻る。そして地蔵岳山頂に到着したのは午後9時50分、東の空にプレアデス星団、その下に木星が昇って来ていた。9月のガスに巻かれた時とは違い、今度は前橋から関東平野の夜景がきれいに見える。

    前橋市と関東平野の夜景


    同上(ズーム)


    夜空に流れる天の川と夏の大三角形

 テントを設営する前にまず撮影。とにかく夜景が眩しいほどに美しい。夏の大三角形と天の川のところに流星が流れるのを期待してカメラをセットし、再三シャッターを切るが全く流れてくれない。それどころか、周りの空にもほとんど流れず、結局肉眼ではひとつも流星を見ることができなかった。後に撮影画像をパソコンで見ると肉眼では見えないような極小流星が1個だけ写っていた。

    電波塔と天の川(私はNHKの回し者ではありません。)


    この位置で流星が流れるのを期待したが・・・・不発。

 やがて東の空、黒檜山の右手から月が昇り始める。今宵の月はほぼ半月、昇るにつれてあたりを明るく照らし、影が映るほどだ。テント設営して食事をとる間、カメラはオートで連続撮影にセットしておいたが、これはあっという間にレンズが結露して数枚しか撮影出来ていなかった。霧は見えないが見た目よりも湿度が高そうだ。またテントの外に出て撮影していると、気が付けば時間は深夜12時。少し寝ておかないと明日の帰りに響くので、睡眠導入剤を飲んで眠る。

    赤城山に昇る月


    夜景と月とオリオン座

 目覚ましをセットしたのは未明の4時半。この時間はオリオン座と冬の大三角形が南の空高く南中している頃で、空気が澄んでくれれば南の超低空にあのカノープスが見えるはずだ。パソコンソフトの計算上だと群馬の山からだと余裕で見える。期待しつつ予定通り4時半起床して外に出ると・・・あいにくの低空の雲。肉眼ではカノープスは確認できない。しかし、解像度の良いレンズを通してでの画像だと写ることはしばしばある。何カットか撮影して持ち帰り、パソコンで画像調整してみると・・・それらしきものが雲の中に写ってはいる。しかし本当にカノープスかどうかはもっと条件の良い時でなければ確定できない。

    薄明に南中したオリオン座と冬の大三角形と月


    別の画像で低空を拡大してみると・・・それらしき星が雲の中にうっすらと光っている。


    薄明の空高く昇った月とオリオン座と冬の大三角形

 しだいに空が明るみ、星は夜明けの空に消えて行く。そして日の出。見渡してみれば、夜間に見えていた群馬の夜景はすっかり雲におおわれていた。標高1,600mほどの山でこんな一面の雲海が見られるのも珍しい。

    赤城山の夜明け


    日の出


    赤城山地蔵岳のお地蔵さんと電波塔、そしてテント。


    前夜の夜景はすっかり雲海におおわれる。


    雲海躍動する赤城山地蔵岳

 テントに戻って食事し、横になって休んでいるともう登って来た人の足音が聞こえた。登山者の迷惑にならないように6時半にはテントを撤収する。雲海がきれいだったので三脚を担いだまま下山する。朝のテント内の気温はちょうど0℃だったが、木の階段の上にはもう霜が降りていた。

    霜の下りた階段


    小沼を照らす朝日と躍動する雲海


    雲海迫る

 撮り歩きながら1時間近くかけて下山し、7時50分に登山口駐車場に到着した。その頃には地蔵岳山頂を目指すハイカーや、マウンテンバイクを担いで登って行く人たちの姿が見られた。
 車内で2時間ほど眠り、日帰り入浴施設を探して立ち寄る。そして昼食をとり、向かった先は・・・前橋市市民ホール。そこで開催されたのは、またしても1966カルテット演奏会だ。当初は下山後時間があれば立ち寄ろうと思っていたのだが、川越公演があまりにも素晴らしく、こちらの公演もなんとか間に合わせて聴きに行こうと思っていたのだ。日光白根山の避難小屋に宿泊したとすると、おそらくはギリギリの時間になっただろうが、赤城山ならば余裕だ。流星群は不発だったが、素晴らしい演奏を2度聞けたので今回の山行はこれで良しとしよう。    
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紅葉の日光白根山  平成24年10月7日

2012年10月11日 | 日本百名山
 前日の10月6日、川越市民会館で1966カルテットという女性4人グループの演奏会があった。入間に続いて聞きに行くのは2度目となるが、今回は前から3列目中央の絶好の席を確保できた。客席は空席が目立ったが、演奏は素晴らしかった。ビートルズとクイーンの曲をヴァイオリン2台、チェロ1台、ピアノ1台でクラシック調にアレンジして演奏するのだが、原曲など知らなくてもその快適なリズム、弾ける音、躍動する演奏者4人、素晴らしい出来栄えである。特に今回は客席の様子を見てプログラムを一部変更し、11月に発売するマイケル・ジャクソン・クラシックスの中から2曲を演奏したが、そちらの演奏も素晴らしかった。胸にジーンとくる感動を抱きながら、日光白根山菅沼登山口に向かう。

    頂きました。川越公演大ポスターにサイン! 機会がありましたら皆様是非聴きに行ってあげてください。


 沼田インターで高速を下りて食事をとった後、菅沼登山口には午後8時ごろに到着した。天気予報通り、その頃には雨が降り出した。可能ならば暗いうちに弥陀ヶ池あたりまで登り、星空を撮影したかったのだが、この雨は夜明けまで降り続いた。ようやく小雨になった朝6時、車から起き出して準備を始める。次々に登山者の車がやって来て、続々と出発して行く。6時45分、霧雨が降る中をようやく出発する。駐車料金1,000円と表示されているが、料金を徴収するのは入山ゲートのところで、実際には入山者のみ料金をとっているようだ。

    5分ほど歩いて林道終点。ここから登山道。山には雲がかかる。


    山の紅葉


    落ち葉の道  ダケカンバはだいぶ落葉してしまっていた。

 登山道は整備されているが、ゴツゴツの溶岩が露出した急斜面もある。やがて雨は止み、時折覗かせる青空を見上げて晴れることを期待しつつ道を進む。途中から見える山の斜面は紅葉が見頃を迎えているが、曇り空なので色彩がいまひとつぱっとしない。2時間少々歩いて弥陀ヶ池に到着する。池の周辺は紅葉真っ盛り、時折雲が晴れて白根山が全容を現し、弥陀ヶ池に映し出される。

    弥陀ヶ池と日光白根山


    紅葉と日光白根山を映す弥陀ヶ池


    中腹から見下げる弥陀ヶ池

 弥陀ヶ池のほとりで撮影していると、続々と登山者たちがやって来た。この場所まで登ると突然眺望が開け紅葉と白根山が見えるため、皆「おー」という歓声を上げている。ただ、青空が見えず陽が射し込まないのが残念だ。


    雲の巻く日光白根山を見上げる


    弥陀ヶ池と周辺の紅葉  なかなか陽が射さず、20分ほど待って撮影した1枚。


    急斜面を登る。下から見るほど大変な登りではない。

 弥陀ヶ池を過ぎるといよいよ日光白根山の核心部、岩混じりの急登となる。既にたくさんの登山者が斜面に取り付いて行列になっているのが見える。下から見上げると大変そうに見えるが、行ってみると岩の間をうまく道が付けられていて、見た目ほど大変ではなかった。見下げる弥陀ヶ池とその周辺の紅葉が美しいが、雲がかかってなかなかすっきり見えず、中腹で三脚を構え、30分近く陽が射し込んで来るのを待って撮影する。そして山頂に向かうが、急斜面を登った先はあふれんばかりの人だった。


    一瞬の青空と白根山山頂


    山頂周辺は人がたくさん。


    山頂に続く行列。


    行列は山頂付近だけかと思ったら、その後ろまで長い列が続く。


    山頂の白根山神社

 山頂を踏んで下山、と思っていたのだが、側面の岩を登って行列に入ろうとするとその向こうにも遥かに行列が続いていた。割り込むのも申し訳ないので、ここは山頂をあきらめ、その下にある神社をお参りして下山することにした。菅沼登山口よりもロープウェイを使ってアプローチする登山者が多いらしく、山頂周辺はとにかく人だらけ、昼食は五色沼まで下りてから摂ることにする。

(後編=前白根山、金精山経由で下山編に続く)
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遠き山、念願の平ヶ岳へ(後編)  平成24年9月15-16日

2012年09月20日 | 日本百名山
 前日カモシカ山行により姫池を目指したが、雷雲が頭上をおおい、夜9時半に登るのをあきらめて登山道上にツエルトを張ってビバークすることとなった。未明3時に起き出すと、空には一面の星空が広がる。3時半からまた星空を撮影しながら山頂目指して歩き始め、姫池の手前、標高2,000mを越えたあたりの池ノ山山頂直下で夜明けを迎えた。


    朝日射すハイマツと平ヶ岳


    姫池と休憩所(テント場として使用可能)。左が平ヶ岳。

 急登を20分ほど登ると池ノ岳山頂に到着し、すぐ先に姫池があった。それまでの樹林帯の光景とは違って展望が大きく開け、別世界にでも入り込んだかのような気分になる。なんと静かで美しいところだろうか。標高2,100mもの高地、しかも山上にこんな澄んだ池があり、広大な湿原が広がっていること自体が不思議でならない。

    姫池池塘越しの平ヶ岳


    広大な高層湿原


    綿毛になったチングルマ

 三脚を担いだままこの素晴らしい景色を楽しみながら、整備された木道の上をゆっくりと山頂に向かって歩く。長い距離を歩いてきた疲れを忘れさせてしまうような美しい景色だ。

    山頂に向かって延びる木道と広大な湿原。


    三角点は手前の木に囲まれたところに立つ。


    山頂の池塘と八海山、中ノ岳、越後駒ケ岳(左から順)


    至仏山と武尊山、さらにその右には・・・


    至仏山、武尊山、そして富士山まで見える。

 景色を楽しみながら山頂で朝食をとっていると、テント泊の人たちがやって来て、「あそこに富士山が見える」と教えてくれた。近眼の私には最初はどこだかわからなかったが、レンズを通してズームをかけると、確かに富士山だ。この時期にこんなに空気が澄んで遠くまで見える日は珍しい。
 「この先通行止め」の標柱の先に行く踏み跡あり、立ち寄らせていただいた。100mほど進んだところで今度は群馬県と新潟県の2本の標柱がありそこにはこの先立ち入りご遠慮くださいと書かれていた。その先は地図上では藤原山、大水上山を経て中ノ岳、越後駒ケ岳に至る尾根だが、通行禁止になっている。

    山頂の突き辺りには「この先通行止め」の標柱が立つ。先に続く踏み跡がありその先まで行ってみると・・・


    「植生復元事業実施中 この先立ち入りご遠慮ください。群馬県」の標柱があり、ここで引き返す。

 昭文社の地図には平ヶ岳周辺はテント禁止のため早立ちして日帰りするように書かれている。しかし、鷹ノ巣登山口から往復21㎞の距離を日帰りするのは容易なことではない。公にはテント禁止ではあるのだが、三角点付近にある看板を見てみると、「指定地以外でテントを張らないでください」と書かれている。その指定地とは、姫池周辺の休憩所、もうひとつがこの看板のところにある板場なのだろう。非公認ではあろうが、長距離の山行に配慮してテントが張れるように配慮してくれているようだ。

    三角点付近に立つ看板。注意の「3.指定地以外でテントを張らないでください。」と書かれている。テントは絶対禁止ではないようだ。


    看板付近にあるテント場(と思わしき場所)。

 朝8時になると、山頂に続々と登山者がやって来た。こんな早い時間にどうやって登って来られるのか不思議だった。途中ですれ違った若者に尋ねると、朝5時半から登り始めたという。2時間半で登頂・・・鷹ノ巣登山口からではあり得ない時間だ。たまご石に向って歩いて行くとそちら側から続々と登山者がやって来る。これはどうやら裏側の林道の詰めから登って来る人たちらしい。一般車は通行止めでツアーの送迎車が入っているとの話は聞いたことがある。休憩中の方に聞いてみると、銀山平の山小屋に宿泊するとバスで1時間かけて林道詰めまで送ってくれるのだそうだ。本日は3台の送迎バスが出たとも言っていた。

    たまご石への分岐。ここから700m、されど700m。


    オヤマリンドウがたくさん生えているが、好天のこの日も花は開いていない。めったに開花しないこの花。


    たまご石近くの大きな池塘


    あの林の先にたまご石がある。


    ようやく到着、たまご石。


    アップで見ると人の顔のようにも見える。山上の天然スフィンクス。


    戻りながら見る平ヶ岳と燧ケ岳

 たまご石はすぐ近くにあるのかと思っていたが、1㎞弱離れており、20分ほどで到着したものの、かなり遠く感じた。9時半に姫池テント場(休憩所)に戻ると、林道側から登って来た人たちがたくさん休憩してごったがえしていた。この頃には足の速い鷹ノ巣側からの登山者も登って来ていた。小休憩後、この素晴らしい景色に別れを告げて長い道のりを下山開始する。

    姫池と平ヶ岳。この美しい景色に別れを告げ、下山開始。

 昼12時を過ぎた頃から3日間の寝不足の疲れが一気に出始める。とにかく眠い、立ち上がるとクラっとする。水分を十分にとりながら休憩をとりつつ歩くが、全くピッチ上がらず、体の疲れよりも眠気との戦いとなる。山頂の水場で水は1500ml(手持ちと合わせて2L)十分に汲んできたが、台倉清水の水場でさらに500ml汲み、クラクラする頭と足元のスリップに十分注意しながら細尾根を下りる。(なお、登りの際に2ケ所の水場は枯れていて使えないと聞いていたが、台倉清水は流れてはいないものの、えぐれて盆状になった岩の中に周辺からしみ出た水がたまっており、そこから汲むことができた。)午後3時40分、ようやく鷹ノ巣の駐車場に到着した。
 車の中で一寝入りしようと思って車の窓を開けたまま横になったところ、あっという間に蚊の大群に襲われ足は虫刺されだらけとなる。とてもここでは寝られず、檜枝岐の小尾瀬公園まで行って1時間ほど寝る。駒の湯という日帰り温泉で汗を流した後、西那須野インターに向かうがやはり眠く道の駅で2時間ほど睡眠。さらに高速に乗り、栃木県佐野サービスエリアで食事後、今度は爆睡、気が付けば朝の6時、もうすっかり夜が明けていた。甲府到着9時30分、その日は自宅でひたすら寝た。

 登山口までのアプローチも、そして山頂までの距離も遠い平ヶ岳。念願の山にようやく登ることができた。確かに日帰りでは大変だが、テント1泊となると夜叉神峠から登る鳳凰山と同程度(あるいはもう少し軽い)山といった感じだった。山上の池塘が広がる景色はこの世のものとは思えぬほど美しく、苦労して登るに十分値する山である。銀山平山小屋泊で送迎バス利用するのも手軽で良いと思うが、聞くところによると相当人気が高く、年内はもう予約がいっぱいだと聞いた。次に行く機会があれば、今度こそ池塘に映る天の川を撮影してみたいものだ。
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遠き山、念願の平ヶ岳へ(前編)  平成24年9月15-16日

2012年09月18日 | 日本百名山
 新潟県と群馬県の県境にある平ヶ岳は、登山口の檜枝岐までのアプローチが遠く、また、山頂まで11㎞という距離は日帰りで行くには果てしなく遠い。いつかは行ってみたいと思いながらもなかなか行けずにいた山である。9月3連休は珍しく何も仕事が入らずに3日間そっくり休みとなった。この機会に平ヶ岳に行ってみることにしたが、連休2日前の当直が尾を引いて連休初日からかなり眠い。さて、どうなることやら・・・。

 9月15日の連休初日は早朝3時に目が覚めた。起き上がってはみるが、前々日の当直疲れが全く抜けず、眠い上に体が強烈にだるい。ひとまず朝風呂に入って目を覚まし、準備して4時半に自宅を出発する。中央道、圏央道、東北道を経て西那須野インターで降り、檜枝岐に向かう。走行距離約400㎞、カーナビで約7時間の行程だ。しかし、それにしても眠すぎる。東北道まで乗ったは良いが眠すぎてサービスエリアでちょっと横になったつもりだったが、気が付けば2時間も眠っていた。そして目的地檜枝岐の先、鷹ノ巣平ヶ岳登山口に到着したのは午後2時になってしまった。午前中に登り始めて姫池のほとりでテント泊と考えていたが、いくらなんでも午後2時では遅すぎる。ちょうど下山してこられた方がいたのでコース状況を聞いてみると、細尾根を過ぎると上は木道が整備されていて迷うところは無いという。(ちなみにこの方はかなり足が速く、山頂まで4時間半だったそうだ。コースタイムでは7時間半くらいかかる。)車内泊するにも中途半端な時間だし、17日の天候も思わしくなさそうだ。意を決して、ここは得意の夜間登山することにして、午後2時半から登り始める。荷物軽量化のためテントではなくツエルトにして、シュラフを持たずシュラフカバーとウォームアップシーツで一夜を凌ぐことにする。

    平ヶ岳登山口。駐車場は25台ほど駐車可能。


    細尾根を登る。既に陽は西に傾いている。


    細尾根。スリップに注意を払う。


    下台倉山の直下はかなりの急傾斜。ロープが何本も設置されている。

 林道を進むと細い橋を渡り、右側の登山道に入ってすぐに細尾根に取り付く。ここから標高差約700mの急登りが続く。7~8人の下山者とすれ違ったが、皆相当疲れた顔をしている。確かに往復21㎞、累積標高差約1600mは容易くは無い。そして約3時間かけて、まだ明るい午後5時20分、下台倉山に到着した。細尾根はなんとか明るいうちに通過したが、まだ歩いた距離は3分の1にも満たない。稜線には着いたがこの先がまだまだ長いのだ。

    下台倉山到着。時間は午後5時20分。


    夕暮れの燧ケ岳。心地良い夕風が吹く穏やかが夕暮れだったのだが・・・

 隣の台倉山の手前で日没となり、台倉山頂上でヘッドライトを装着する。この頃には燧ケ岳山頂あたりに雲がかかってはいたものの、至って穏やかな天候だった。すっかり暗くなった夜7時過ぎ、林の中から空を見上げると、夏の大三角形を貫くきれいな天の川が空を横切っていた。順調に行けば9時ごろには姫池に映る天の川が見られそうだ、と期待が膨らみ、眠気と闘いながらひたすら姫池目指して歩く。ところが、7時半を過ぎた頃から周辺の空に真っ黒な雲がかかりはじめ、雷鳴こそは響かないものの稲光が光り始めた。最後の登り、池ノ山の登りにさしかかった頃、その黒雲は池ノ山の上にもかかり始め、頭上でピカピカと光り始めた。笹の中に一旦身を潜めてやり過ごし、再び登り始めたが、今度は雷鳴を伴ってさらに激しく光り始めた。標高は1900m、目的地姫池まではあと1時間とかからないだろうが、ここであきらめて林の中まで下りてツエルトを張ってビバークすることにする。9時半、木の枝にツエルトの端を紐で吊るし、中に潜り込んで夕食、10時にシュラフカバーに潜り込んだが、意識を失うかのようにあっという間に眠りについてしまう。
 そして目を覚ましたのは未明2時。汗で濡れた下着と服が冷たくて寒く目を覚ました。外を見れば満天の星空が広がっている。しかしまだかなり眠気が強く、下着を着替えてさらに1時間ほど寝て、3時に起床、ツエルト撤収して3時半にまた歩き出す。東の空に昇った金星が眩しいほどに輝いている。その上にはオリオン座と冬の大三角形、それを貫く冬の天の川が見えている。北西の空にはカシオペア座に向かって夏の天の川が立ちあがっている。

    森に昇ったオリオン座と冬の大三角形。木の間の明るい星が金星、中央上の明るい星は木星。


    北西の空に天の川が垂直に立ち上がる。


    オリオン座と冬の大三角形、さらに金星。中央に見える山は燧ケ岳。


    燧ケ岳に昇るオリオン座と冬の大三角形(拡散フィルター使用)


    カシオペア座と北斗七星(わかりますか?右の低空に登って来た北斗七星、天の川の中にいるカシオペア座)


    池ノ岳に立ち上がる薄明の天の川


    薄明の空と金星


    薄明の空に消え行くオリオン座と冬の大三角形

 4時半にはもう星の輝きは消え始めてしまうので、おそらくは姫池に映る天の川は撮影は困難だろうとこの時点で判断し、眺望の得られる池ノ山山頂直下で日の出を迎えることにした。ちょうど燧ヶ岳の真上にオリオン座と冬の大三角形が昇って来ているところだった。やがて空は薄明の深い青色に変わり、東の空がオレンジ色に輝き出す。次第に星の輝きは朝の空に消え、そして日の出を迎える。何度見ても美しい山上の夜明けだ。(後編に続く)


    夜明け前の平ヶ岳


    夜明け前の燧ケ岳


    夜明けの空①


    夜明けの空②


    山上の日の出


    朝日浴びる平ヶ岳

 (後編は朝の姫池、平ヶ岳の美しい景色を掲載します。ご期待ください。)
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ブルームーン・・・ならず、赤城山地蔵岳  平成24年9月2日

2012年09月06日 | 日本百名山
 8月31日と9月2日の夜は2日間続けて満月になるブルームーンと呼ばれる月が昇る夜だった。赤城山は関東平野のいちばん北側に位置する山で、ここからは前橋市の夜景をはじめ、天気が良ければ関東平野を一望でき、富士山まで見ることができると聞いた。テント規制が無いとはいえ、山上テント泊は決して好ましいこととは言えないが、ブルームーンが照らす特別な夜だけに、今宵は山上で夜景を見ながら寝ることにした。
 小沼に移動して最短距離(約30分)のコースで地蔵岳を目指す。2人用と1人用テント1張りずつを張る予定だったが、2人用テントポールを忘れ、止む無く1人用2張りとビバークツエルト1人用を張ることになる。6時過ぎから登り始めたので、山頂に到着したのは日没過ぎ。平らな場所を探してヘッドライト点灯してテントを張ることになる。途中で月が昇り始めたのが見え、さらに霧の切れ間から町明かりが見えた。今宵の夜景と月を期待しながら夕食をとるが、7時半を過ぎた頃から霧が深くなり、うっすらと霧を通して見えていた月は見えなくなってしまった。さらに夜景も全く見えない状態になる。霧が晴れることを期待して8時半にツエルトに潜り込んで寝る。
 目が覚めたのは未明1時半。外を見ると相変わらずの深い霧で何も見えない。さらに2時半にもう一度外を見るが状況は変わらない。外が明るくなりはじめた4時半に起床して外に出る。電波塔の立ち並ぶ山頂周辺を散策するが視界が悪くて下界の様子は全く見えない。期待していたブルームーンと夜景は不発に終わってしまった。

    霧の巻く地蔵岳電波塔


    薄明の地蔵岳山頂


    山頂の看板と鉄塔


    眼下に夜景が広がるはずだったのだが・・・


    地蔵岳だけに地蔵が立ち並ぶ。


    山頂のケルンと三角点

 5時半、他のメンバーを起こして朝食にする。天候が悪いのであまり登って来る人はいないだろうが、早々にテント撤収して6時半には下山開始する。といっても20分とかからずに小沼駐車場に到着してしまうのだが、いろいろ花が咲いていたので私だけ三脚を担いで撮影しながらゆっくりと下山した。7時20分、駐車場に到着。


    キオン


    アキノキリンソウ


    ツリガネニンジン


    ワレモコウ  これを見ると秋を感じる。


    マツムシソウ


    ウメバチソウ  けっこうたくさん咲いてました。こんなところに・・・と言ったら赤城山に失礼。

 時間が時間だけに入浴施設もまだ開いていないだろうが、ひとまずは温泉をカーナビで探して行ってみることにする。赤城温泉の某宿に行って交渉すると、日帰り入浴は10時半からだそうだが、コンサートが午後2時からあって待っていられない事情を話すと、時間制限付きで入浴させてくれた。さっぱりしたところで、今度は蕎麦屋を探して行ってみるが、午前10時ではまだ始まっておらず、11時のところを10時半に店開きしてくれるとは言われたものの、あきらめて高速道路のサービスエリアで食事することにした。
 12時半、コンサート会場の川越市市民会館に到着、まだ開場まで2時間もあり、川越の町を散策する。古い城下町で昔を偲ばせる建物や商店街が残されている。川越高校の学園祭が盛大に開催されており、そちらにも立ち寄ったが人が多すぎて校舎内に入れず、山岳部の催し物会場まで行くことができなかった。
 
 今回のヴァイオリンコンサートの川井郁子さんは日本でも有数のストラディバリウス奏者だ。演奏も素晴らしいが容姿も淡麗だ。お気に入りの「水百景」や「ジュピター」、さらに最新曲の「ブルーバード」(11月公開、吉永小百合主演映画のテーマ曲)など10数曲をすっかり酔いしれて聞かせていただいた。サイン会では丁寧に一人一人挨拶して握手されており、人柄の良さも伺えた。


    川井郁子さんのCD「Appassionato」ジャケットと自筆のサイン


 さて、次回の群馬界隈の山は10月連休、これも1966カルテットコンサートとセットの予定。りゅう座流星群が来ている日なので天気が良いことを祈りたい。
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盛夏 赤城山  平成24年9月1日

2012年09月05日 | 日本百名山
 7月に訪れた群馬の山、武尊山は前日埼玉県入間市で催された1966カルテットのコンサートとセットだった。そして今回は翌日の9月2日に埼玉県川越市で催される川井郁子ヴァイオリンコンサートとセットだ。甲府を早い時間に出発できれば日光白根山あたりを考えていたが、業務を済ませてからでないと出発できず、さらに起床予定時間を30分も寝過ごすというおまけがついた。さらに、天気予報では空気の状態が不安定で午後には雷雨になってもおかしくない状況だった。空模様を見ながら中央道、関越道を走り、赤城山に行き先を変更する。ここならば天気が急変しても下山が容易だ。植田さんと高山君を数日前に半ば強引に誘って3人で出かけた。
 赤城山の大沼に12時到着。まずは沼を1周して北側のテントサイトを確認するが、黒檜山登山口までやや遠い。さらに、おかしなことに駐車場のど真ん中にテントを設営している人を見かけ、こんな反則技がここではまかり通るのかと不思議に思っていた。地図上では南側もバンガローやテントサイトになっているように見受けられたので、駒ケ岳経由黒檜山登山口に近い大沼南側湖畔の駐車場に車を止める。周辺を探すが、テントは一張りも無く、お土産物屋さんのおばさんに尋ねるとバンガローならあると教えてくれた。沼のボートをやっている人が同じ経営者と聞き、そちらに行って交渉すると、本日はバンガローはやっていないそうで、テントも不可だった。さらに、先ほど見て来たテントサイトは料金がかからないと聞いてびっくり。
 とりあえずは車をその場所に置いて、黒檜山の駒ケ岳コース周回してくることにして出発した。午後1時、歩き出すとすぐに小雨が降り出し、雲が空をおおい出す。本降りと雷にならないことを祈りつつ、登山道へ進む。


    大沼の南側駐車場。広い駐車場で、しかも駐車料金はかからない。赤城山は全て駐車料金がかからないらしい。


    笹原の中をジグザグにつけられた登山道を進む。


    駒ケ岳稜線の直下は急斜面。階段が何本かつけられていて、ルートは良く整備されている。


    もうすぐ稜線に出るところだが、山には霧が巻きつく。

 1時間ほどで駒ケ岳稜線に到着。晴れていれば前橋から関東平野一円の眺望が得られるのだろうが、雲で何も見えない。雨はほぼ止み、雷鳴は聞こえてこない。予定通りその先の駒ケ岳を越えて赤城山最高峰の黒檜山に向かう。


    気持ちの良い笹原が広がる。


    良く整備された快適な稜線歩き。眺望が得られないのが残念だが、その代わりに日が遮られて涼しい。


    駒ケ岳山頂


    マルバタケブキ  この花が咲いているのを見ると、ここも鹿の食害かと思ってしまう。


    生えている木が山梨の山と全く違う。これは何の木?

 駒ケ岳のコルから黒檜山への登りは木の階段がつけられた急登が続く。登りきったところで花見ヶ原からの道と合流し、間もなく黒檜山神社に到着する。ここが山頂かと思ったらそうではなく、山頂はさらにその先、大沼への登山道と合流して10分くらいのところに広い平らな山頂があった。三角点はその中央に設置されていた。午後3時5分、山頂に到着。


    黒檜山神社


    黒檜山山頂(赤城山最高点)

 山頂で休んでいると地元の方と思わしき、この山域にかなり詳しい方が登って来た。いろいろと情報を教えていただき、赤城山は国有地になっていて土地の個人的持ち主がおらず、駐車場もテントも料金をとっていないのだそうだ。さらに、テントサイトはあるものの、実際には他の場所にテントを張ってもあまり文句は言われないそうで、どこにテントを張ってもおそらくは大丈夫だろうという話だった。駐車場のど真ん中にテント設営している人がいるのも納得できる。展望台がさらに5分ほど先にあると聞いていたのでそちらに行ってみたが、ここも霧で何も見えない。昼食をとって下山する。


    黒檜山展望台。沼田から高崎側の眺望が開けるらしいが、何も見えず。

 下山は急傾斜の大沼北東側登山道を下りる。こちらは駒ケ岳経由の登山道とは大違いで、岩がゴロゴロした急斜面の悪路、しかも小雨の後で岩が滑って歩きにくい。中腹で高山君がスリップ転倒するといアクシデントがあったが、全く怪我無く済んだ。下部では大沼の眺望が開け、眼下に赤城山神社と橋を望むことができる。この頃には青空が見えてきたが、山上には若干雲が巻きついていた。午後4時50分、湖畔の道路に下り立つ。登りよりも下りのほうが辛かった。


    下山道は急傾斜、岩ゴツゴツの悪路。


    登山道下部から望む大沼と赤城山神社


    湖畔の道路に到着。下山はスリップと浮き石に気を使い、昇りよりも疲れた。


    赤城山神社に立ち寄る。

 赤城山神社に立ち寄りながら湖畔の道路を歩き、駐車場に到着した。駒ケ岳・黒檜山周回して約4時間20分の行程だった。
 
 さて、昨夜と今宵はブルームーンと言って、2日間続けて満月が昇る日だ。(実際には14夜後半と15夜の月。)おとなしくテントサイトで月を眺めながら寝るか、それともどこか夜景の見えるところで寝るか・・・。(赤城山続編に続く)

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遠かった武尊山  平成24年7月29日

2012年07月31日 | 日本百名山
 前日埼玉県入間市で1966カルテットという若手美人演奏家のコンサートがあった。演奏曲はこのブログ内でも時々YOU-Tubeから載せているビートルズとクイーンをクラシック調にアレンジしたものだ。2ケ月ほど前に座席を予約したので、前から3列目の好位置でコンサートを満喫、トークも演奏も素晴らしかった。

 気分を良くして群馬に向かう。行く先は武尊山。登山口は何ヶ所かあるが、ちょっとしたトレーニングのつもりであまり人が入っていないだろうと予想される川野谷野営場からのルートを選択した。登山口には夕方7時半には到着できそうだったが、空を見ると真黒な雲が広がり、雨が降りそうだ。さらに、日が沈むと雲間に稲光が走っているのが見える。車内泊を予定していたが、これはヤバそうだ。宿を確保してオリンピックを見ながら泊ることにする。テレビ画面のテロップには、群馬県に大雨雷注意報が出されていた。

 翌朝は4時半に起床して川野谷野営場に向かう。広い駐車場兼キャンプ場には誰もおらず、避難小屋にも宿泊した様子は無かった。5時50分、出発する。数日前の当直疲れがまだ抜けないのか、歩き始めから体がだるくて鉛のようだ。少し歩いただけで息が上がり、汗が滝のように流れ出る。不動岳への分岐を過ぎた後から急登が始まるが、とにかく辛い。ピッチを遅くしても、休憩しても呼吸が整わない。

    川野谷野営場と避難小屋。管理人さんがいるのかと思っていたが誰もおらず、自由に使って良いらしい。ただし、トイレは使用不可。


    不動岳の分岐。ここを右に進む。間もなく急登が始まる。


    ロープ場。ここは滑りやすくて慎重に登る。下りのほうが大変。その他に木が1本階段代わりに寄りかけてあるところもあった。


    大きな柏の木。プナやクヌギなど、立派な広葉樹林の木々が立ち並ぶ。


    急登を登りきると道が平らになる。このあたりはツガの樹林帯。


    古い道標が置かれている。この先に進むとオグナ武尊スキー場からの道と合流する。


    ツルアリドオシ。道の脇にちらほらと咲いていた。

 悪戦苦闘すること3時間45分、なんとか標高2,040mの前武尊に到着した。時間は9時35分。絞れば汗が滴る下着を、たまたま持参していた新しいものにここで着替える。ゆっくり休憩していると、4~5人の人たちに追い抜かれた。ここから武尊山までは標高差で約160m、あと少しだと思っていたが全く甘かった。地図で見る限りでは穏やかな尾根歩きかと思っていたのだがそうではなく、岩場をアップダウンする悪路、間違って踏み外せば大変なことになりそうな岩場もある。

    オグナ武尊スキー場の最上部に飛び出す。前武尊はすぐそこに見えるが、なかなか着かない(ように感じた。)


    石像が立つ。


    前武尊岳山頂にやっと到着。「日本武尊像」が立つ。


    前武尊からは一旦下りとなる。眼前に鋭鋒が迫るが、これは登らずに巻き道になっている。


    剣ヶ峰鞍部の道標。真直ぐに岩を登れば岩峰の上に立てるが、そんな余裕全く無し。巻き道を行く。


    剣ヶ峰岩峰の側面に着いていたミヤマダイコンソウの群落

 一旦下ってまた登り返し、剣ヶ峰鞍部からさらにまた崖を下って登り返し、苦節1時間ほどで眺望の良い家の串(標高2,103m)に到着した。この先でようやく目指す武尊山が見えるようになるが、まだ遥か彼方に見える。川場谷野営場から登り5時間で11時山頂と見ていたが、既に時間は10時45分だ。体力の消耗もいつも以上にひどい。ここまで来たからにはもう一頑張り。しかし、またこの道を帰るのかと思うと・・・


    登り返して標高2,103mの家の串に到着。この先でようやく武尊山山頂が見えるようになる。


    右が中の岳、左が目指す武尊山。細尾根が続き、目指す山頂は遥か彼方に見える。


    コメツツジと武尊山

 家の串からまた下りとなり、岩尾根を通過して中の岳目指して登って行くと、中腹であっさり武尊牧場からの道に合流した。中学生と思わしきグループが10人ほどで休憩しており、こちらからのルートがメインルートになっているらしい。中の岳を越えて行くのかと思っていたがここは巻き道になっていた。その先に「菩薩界の水」と書かれた細い水場があり、さらに枯れている鳳の池、たまり水のある三ツ池を通り過ぎて山頂へと向かう。この三ツ池周辺にはキヌガサソウが群生していて、少しだけ疲れを癒してくれた。

    武尊牧場分岐点(中の岳南の分岐点)


    枯れている鳳の池


    三ツ池の周辺に咲いていたキヌガサソウの群落


    キヌガサソウ。ここの花は真っ白。(燧ケ岳では中に薄紫色の紋様がついていた。)

 山頂への最後の登りをほぼ惰性で登り切り、12時15分、武尊山山頂に到着。川野谷野営場から6時間半近くかかったことになる。(ちなみに昭文社地図のコースタイムでは4時間半くらい。)やや混雑している山頂は即座に下りて、その手前のヤマトタケル像が立つ岩のところで昼食をとる。2.5リットル持ってきた水は残が800mlとなってしまう。

    ヤマトタケル像が立つ岩場の横を通り過ぎて山頂へ。あと少し。


    6時間半近くかかってようやく到着した武尊山(沖武尊)山頂。


    ヤマトタケル像の足元にお邪魔して昼食。

 20分ほど昼食と休憩をとり、また長い道を帰る。立ちあがる時に右足の内転筋が攣ってしまい、屈伸運動を十分に行ってから歩き出す。水が足りなそうだったので「菩薩界の水」を汲んだが、300ml汲むのに10分以上かかった。葉屑が少し混ざってしまったが、夏とは思えない冷たくておいしい水だった。あとはひたすら川野谷野営場を目指して歩くだけだ。

    歩いてきた尾根を振り返る。前武尊は右側のピークの裏側になり、ここからでは見えない。これからまたあそこを歩いて帰るのかと思うと・・・先が思いやられる。下に見える水たまりが三ツ池。


    岩場に咲くコキンレイカ(ハクサンオミナエシ)。向こうに見える山はあちら側の剣ヶ峰山。


    剣ヶ峰岩峰の家の串側。鎖がついていて登れそうだったが、とてもそんな元気無し。


    剣ヶ峰岩峰。上に先行した若者が立つ。

 予想通りこちら側のルートを歩く人は少なかったが、あまり歩かれない理由も少しわかった。下りは4時間くらい、午後5時15分に無事下山。

    川野谷野営場に到着。止まっているのは私の車だけ。途中に新しい踏み跡があったので、こちらから入山した人がいたはずだが、おそらくはほんの数人だけだろう。

 トレーニングどころではない、大変な登山だった。標高差、距離とも7月に訪れた桜平から硫黄岳・横岳ルートとあまり変わらなかったのでそれほど苦労しないだろうと思っていたのだが、体調不良以上に歩きにくいルートだった。下調べと、もう少し日常のトレーニングが必要と反省させられた。
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尾瀬ヶ原~燧ケ岳~至仏山 花咲く至仏山へ(3日目)

2012年07月25日 | 日本百名山
 平成24年7月16日

 前日燧ケ岳でメンバーは疲弊、というよりも、テント装備を持っても至仏山は少しきついかもしれず、また、女性1人は見晴の山小屋に宿泊しており、本日鳩待峠で合流することになっている。私はどうしても至仏山のホソバヒナウスユキソウに会いたくて、この日は一人で至仏山に登り、メンバーとは午後1時から2時の間に鳩待峠で合流することにした。
 普通に登れば山頂まで3時間半ほどだろうが、前日の疲れとテント、カメラ機材の重さ、さらに撮影時間を考えると5時間は見たほうが良い。山頂から鳩待峠まで2時間として、11時に山頂、そこから逆算すると5時ごろには出発したほうが良い。テント撤収時間を考えて、朝4時に起床してテント撤収する。朝食は軽くパンで済ませて予定通り5時に出発する。

    朝霧巻く至仏山


    燧ケ岳からの日の出

 3連休でこの日がいちばん天候に恵まれた。薄雲の向こうに青空が広がる。時間が早かったのでまだ歩き始めている人は少なかったが、前日の疲れで若干ふくらはぎに筋肉痛あり、だらだら歩きしていると次々に登山者が登って来て、ことごとく追い抜かれた。森林限界の看板のあたりで休憩して、前日準備しておいた牛丼を食べようとすると・・・無い!アルファ米の白ごはんはあるのだが、牛丼の具がザックの中に見当たらない。おかずになるものはお湯に溶かしてすぐに出来上がるカレーしか無い。しかし、バーナーは他のメンバーの食事準備のために置いてきてしまったのでお湯が沸かせない。止む無く、水で溶かしてみるが全く溶けず、スプーンで崩して混ぜることになる。ごはんにかけて食べてみると・・・ジャリッという食感、やはりうまく溶けてくれない。半分ほど食べてあきらめ、あとはソイジョイで我慢してまた登る。

    木の階段道。登山道はきわめて良く整備されている。


    登山道脇に咲いていたダイモンジソウ


    ここのダイモンジソウはおしべとめしべがカラフルで美しい。


    ここから森林限界。ここで朝食を取ろうとしたが、牛丼の具を紛失。満足に朝食取れず、ショック。

 森林限界を超えると、蛇紋岩の露出したすべりやすい道になる。鎖のついているところもあるが、踏み場所が悪いとツルっと滑ってしまう。続々と登って来る登山者にはことごとく道を譲って最後尾を歩く。

    蛇紋岩の岩にステップが切られている。


    鎖場。ここは若干渋滞した。


    中腹で見つけたウスユキソウ。探しているのはこれではない。

 高度を上げて行くと、ハクサンコザクラがちらほらと咲き出した。さらに登山道脇を見ながら登って行くと、図鑑で予習してきた花が咲いている。オゼソウだ。数本見つけたかと思ったら、さらに上では群落になって咲いているのを見ることができた。さらに、ガイドさん付きの団体の後ろを歩いていると、あまりお目にかかれないクモイイカリソウを発見してくれた。

    ハクサンコザクラの群落


    ハクサンコザクラ


    オゼソウ


    オゼソウ群落


    クモイイカリソウ


    続々と登って行く登山者の行列。そして、見えている稜線の上まで登ると驚くべき光景が・・・

 蛇紋岩のゴロゴロした急登りの登山道を登りつくと、木道の整備された緩い傾斜のところに登り着いた。そしてその周辺には驚くべきお花畑の光景が広がっていた。ホソバヒナウスユキソウがこれでもかというくらいに咲いている。その中には色鮮やかなヨツバシオガマがたくさん、さらにピンク色のキク、ミヤマアズマギクかと思ったら、ガイドさんらしき方がジョウシュウアズマギクと解説していた。谷川岳を中心とした群馬県にだけ咲く花だ。ここで完全に足が止まった。三脚を取り出して、心行くまで撮影する。

    至仏山のお花畑  北岳や八ヶ岳とは全く違うお花畑が広がる。


    赤紫色の花はヨツバシオガマ、ピンクの花はジョウシュウアズマギク、そして白い花が今回のお目当て、ホソバヒナウスユキソウ。


    向こうに見えるのは中岳(左)と越後駒ケ岳


    尾瀬ヶ原を見下ろす


    ジョウシュウアズマギク


    ホソバヒナウスユキソウ


    ヨツバシオガマとホソバツメクサ(?)


    見にくいが、タカネシュロソウ、別名ムラサキタカネアオヤギソウ


    イワイチョウの群落と、これから歩く尾根を望む。

 お花畑にすっかり感動し、三脚を担ぎながらゆっくりと歩いた。そのほかにムシトリスミレやキバナノコマノツメの変種、ジョウシュウコマノツメ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなども咲いていた。蛇紋岩は塩基性(アルカリ性)の岩で、この土壌に咲く花は限られている。標高がほぼ同じくらいの燧ケ岳にはあまり花が咲かず、こちらの至仏山にはたくさん咲くのはこの土壌の違いによるところが大きい。至仏山山頂は10時10分に到着、予定した5時間だ。大混雑していたのでここはスルーして小至仏山まで行き、ここで昼食にする。

    至仏山山頂。大混雑、三角点の標柱見つからず、山頂の石標をなでてきた。


    山頂付近の美しい岩群。下に見えるのは奥利根湖とならまた湖。


    小至仏山と笠ヶ岳


    ヨツバシオガマ群生

 朝食で残っていたカレー混ぜごはんを食べるが、今度はごはんになじんでいて食べられる。さらにソイジョイと小さなパンを食べてゆっくり休憩する。時間は11時を過ぎた。ここから鳩待峠まで約2時間、待ち合わせの時間に到着できそうだ。この先、休憩所もあったのだが、水場で水を補給した以外はほとんど休まずに下る。1時間ほど下ったところで、岩の上でたそがれている男3人を発見、近付いてみれば、ヨッシ-隊の3人ではないか。山小屋に宿泊していた女性1人が予想よりも早く山の鼻に到着したそうで、鳩待峠に早く到着し過ぎてここまで登って来たそうだ。合流して快速なピッチで下山したが、さすがに足が疲れて残り1kmのところでペースダウンし、1時15分ごろに鳩待峠到着した。これでメンバー全員が揃った。

    鳩待峠に下る尾根。建物が見えるところが鳩待峠。


    途中の休憩所は大盛況。


    右の岩の上でたそがれている男性3人、近付けば我らがメンバーだった。

 1時40分ごろのジャンボタクシーに乗り、戸倉スキー場の駐車場に到着。帰りに花咲の湯で温泉につかったが、ここで眠気が襲い、30分ほど寝かせてもらった。予想通りの関越道渋滞に巻き込まれ、甲府には9時半ごろ到着した。
 会いたいと思っていた花にこれほど出会えるのも珍しい。特にショウキランは大収穫だった。さらに至仏山のお花畑、こんなに凄いとは思ってもいなかった。トラブルもあったが、良い山行ができた。
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7月3連休、尾瀬ヶ原~燧ケ岳~至仏山(2日目)

2012年07月24日 | 日本百名山
 平成24年7月15日(2日目)

 前日はなんとか雨に降られずに済んだが、この日は前日よりも雲が厚い。金星と月が接近する未明3時半に起き出し、燧ケ岳の上に昇る月と金星を撮影するが、燧ケ岳山頂には既に雲が巻いている。

    燧ケ岳に昇る月と金星


    夜明け前の燧ケ岳。雲が巻いている。


    これから燧ケ岳に向けて出発。

 本日は移動距離が長く、10時間程度の行動時間が予想されるため、朝4時に起床して自炊で朝食をとり、5時半に小屋を出発する。目指すは燧ケ岳、標高差約900mの登りだ。樹林帯に入り、最初は緩い昇りだがしだいに傾斜がきつくなり、やがて霧の中に突入して視界が悪くなり、想定していた小雨が降り出す。

    霧と小雨の急斜面を登る。


    稜線まで間近。しかし、その後も急登りが続く。


    中腹で見つけたテガタチドリ。

 ペースがあがらず、男性3人には先に行ってもらうことにしたが、後にこれが裏目に出ることとなる。コースタイムでは3時間半ほどだが、女性1人が相当へばってしまい、最初のピーク、柴安山頂に到着したのは10時半、5時間かかったことになる。ひとまずはここが燧ケ岳最高点なので登頂したことにはなるのだろうが、予定では10時までに通過するはずだった。俎を通過して燧ケ岳周回すると相当な時間がかかるので、ここから引き返すという手段もあったのだが・・・しかし、先行した男性3人は既にそのピークにはおらず、先に行ってしまったようだ。そうなると、どこかで待っているかも知れないので先に進むしか無い。あいにく、ドコモの携帯電話は圏外で電話連絡がとれなかった。

    柴安山頂付近に咲いていたハクサンシャクナゲ


    柴安山頂。霧で視界が悪く、尾瀬ヶ原は見えず。


    次のピーク、俎に向けて急斜面を下る。

 早目の昼食をとって、隣の俎(まないたぐら)向けて急斜面を下る。雨で濡れて滑るうえに、残雪が一部残っておりドロドロの泥沼道と化していた。スリップに注意しながら下り、今度は岩混じりの急登りとなる。そして柴安から30分ほどで俎に到着した。ここにも先行した3人はおらず、小休止後さらに先に進むことになる。そしてその先のルートで問題が発生・・・。

    柴安からの下り。一部雪が残る。道は泥沼化。


    イワキンバイの群落


    俎への登り


    俎山頂。後ろにおられる男性の方に、柴安から俎までの間いろいろ面倒を見ていただき、たいへん助かりました。ありがとうございました。

 俎から先に進むがその先もドロドロの道が続く。途中の雪渓の脇にサンカヨウが群生しており、さらにその先に探していた花、キヌガサソウを発見。初めて出会う花に感動する。真っ白な花かと思っていたが、花弁にはうっすらと赤紫色の模様がついていた。ここは三脚を出してきっちりと撮影する。その先に進むと、途中にロープが張られていた。気にせずに先に進むと、長英新道の下り口に到着してしまう。予定ではナデッ窪ルートを下りるはずだったのだが・・・。下に尾瀬沼と沼尻の休憩所が見える。近くにいた人に尋ねると、ナデッ窪ルートは残雪のため通行禁止になっているそうだ。長英新道を下りて尾瀬沼3分の1周するしかない。距離にして約4㎞、1時間以上余計に時間がかかることとなる。果たして何時に山の鼻のテント場に到着することやら。その前に、ヘバっている女性は山の鼻まで歩けるのだろうか??

    雪渓脇のサンカヨウ群落


    キヌガサソウ群落。初めて見る花。


    キヌガサソウ


    見下ろす沼尻。予定ではあそこまで直下りするはずだったのだが・・・

 止む無し、腹を決めて長英新道を下りる。この道はかなり削れていて窪みがひどく、しかもドロドロの道で、きわめて歩きにくい。相当ピッチを落として歩いたつもりだったが、女性2人がなかなか追いついて来ない。12時に長英新道を下り始め、尾瀬沼の分岐点に到着したのは午後2時半になってしまった。女性一人はかなり足が痛そうだ。ここから前日宿泊した見晴までは6.5km、普通に歩けば2時間ほどだろうが、今のピッチでは3時間はかかるだろう。山の鼻までは到底歩けそうもない。考えに考えて、足を痛めた女性一人はなんとか見晴まで頑張って歩いてもらい、山小屋にもう1泊してもらうことにする。もう1人の女性は十分に元気なのでここで先に山の鼻まで行ってもらい、私が夜8時ごろに到着することを先行した3人に伝えてもらうことにした。

    長英新道中腹から見下ろす尾瀬沼。まだ遠い。

 見晴に向かって木道をゆっくりと歩く。あまり景色を楽しんでいる余裕はなかったが、ピッチが遅いので花を探す余裕がある。コバイケイソウやツルコケモモ、ハクサンチドリなどの他に、林の中の道沿いでめったにお目にかかれないショウキランに出会うことができた。3時半、沼尻休憩所を通過、売店は既に終わっていて、水の入ったタンクだけ置かれていた。そしてちょうど日没の午後6時15分、見晴に無事到着、前日と同じく弥四郎小屋に飛び込みで泊めていただくことができた。

    コバイケイソウと尾瀬沼湿原


    ツルコケモモ


    ショウキラン  これにお目にかかれるとは、超ラッキー!!


    尾瀬沼尻の休憩所


    女性1人は弥四郎小屋にもう1泊してもらう。

 小屋にもう1泊してもらった女性は、明日の午後1時から2時の間に鳩待峠バス停で待ち合わせすることにして、一人で戻ってきてもらうことにした。私は夕暮れの尾瀬ヶ原をテクテクと山の鼻に向けて一人歩く。すると、先行した男性の一人が心配して迎えに来てくれた。ピッチを上げて一緒に戻ると明日の至仏山に堪えるので、私が持っている一人用テントのポールとバーナーを持って行ってもらい、もう一張りテント設営してもらうことと、食事の準備をするように指示し、先に戻ってもらうことにした。

    夕暮れ時の尾瀬ヶ原

 日が沈み、暗くなってそろそろヘッドライトが必要な時間になった。昼間の喧噪が嘘のように静かな尾瀬ヶ原、しかも風が無い。まるで、写真を撮ってくれといわんばかりの状況だ。誰もいない尾瀬ヶ原、靴を脱いで靴下で木道をゆっくりと歩く。右手には靴をぶら下げ、左手には三脚とカメラを担ぐ。昼間とは違う夜の尾瀬ヶ原を堪能した。前日、ホタルが飛ぶかもしれないと山小屋で聞いていたが、川の流れる周辺では5~6匹飛んでいるのを見ることができた。

    夕暮れの池糖


    夕暮れのニッコウキスゲと至仏山


    夕暮れの逆さ燧ケ岳を狙ったがこれはいまいち。

 午後8時20分、山の鼻に到着。ちょうど夕食のスパゲッティをゆでているところだった。この日も持ってきたアルコール、今度はホワイトホース(予定が白馬岳だっただけに)ボトル1本だが、さすがにこれは飲み切れず、3分の1ほど残してノックアウト。メンバーはさすがに疲れたようで、明日の至仏山は皆乗り気ではない。私の今回の最大の目的は至仏山に咲くホソバヒナウスユキソウを見ること、明日はなんとしても登りたい。相談の上、私一人で至仏山に行くこととなり、一人用テントで寝て、明朝メンバーより一足先にテント撤収して登ることになった。火力の強い私のバーナーはメンバーの食事を作るのに必要なため、あらかじめアルファ米とレトルト牛丼を作っておいて明朝に備える。
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7月3連休、予定変更して尾瀬へ、 尾瀬ヶ原~燧ケ岳~至仏山

2012年07月23日 | 日本百名山
 今年の7月3連休は白馬岳と予告していたが、気圧配置が悪く雨に降られるのはほぼ確実だ。そこで、山行予定日の数日前から気圧配置と雲画像を見ながら、天気の持ちそうなところを探していた。最も雨が少なそうな場所は・・・福島と群馬あたりだ。

 平成24年7月14日(1日目)

 7月14日、ヨッシ-隊の5人は予定通り朝5時に山梨病院駐車場に集合した。那須岳も候補のひとつだったが、折角メンバーの皆様シュラフやマットなど揃えてくれたのに、テント泊しないのは申し訳ない。しかし、福島・群馬方面でテント設営できる山となると限られてくる。そこで、今回は登らずにテントが張れる尾瀬に行くことに決めた。メンバーの1人を途中で拾い、計6人で尾瀬に向けて出発する。
 予定では鳩待峠から入り、尾瀬ヶ原の見晴まで行ってテント設営、翌日燧ケ岳に登ってもう1泊、最終日は至仏山を越えて鳩待峠に戻るという計画だった。ところが、食事1回分を見晴の山小屋にお願いしようと思って電話してみたところ、見晴のテント場は現在工事中で使えないという。そこで作戦変更、山の鼻のテント場は使えるので、ここにテント1張して余計な荷物を置いて行き、見晴の山小屋に1泊して翌日燧ケ岳に登り、山の鼻テント場まで戻るというコースに変更した。2日目の移動距離が20km近くなってしまうが、さて、いかがなものか??

    鳩待峠。ほとんどの人がハイキングスタイルの中、異様な重装備のヨッシ-隊。


    山の鼻到着。ここにテントを設営して荷物を置いて行く。

 11時、戸倉スキー場到着、バスで鳩待峠に移動し、山の鼻には午後1時ごろに到着した。一人用テントを張ってシュラフやマット、余計な食料などを置いて行く。昼食休憩後、尾瀬ヶ原を散策して見晴に向かう。連休なので宿は混雑しているかと思いきや、当日電話してあっさり宿泊所を確保できた。本日の宿は弥四郎小屋だ。

    尾瀬ヶ原の池糖。浮いている葉はヒツジグサ。


    逆さ燧ケ岳


    離れた池糖にオゼコウホネ発見。2輪発見しました。


    ナガバノモウセンゴケ


    スギナモ流れる川

 三脚を出してゆっくり撮影したかったが、3連休とあって人が多く、とても三脚を立てている余裕など無く、カメラ手持ちで撮影する。たくさん咲いていたピンク色の花は全てトキソウだと思っていたら、色の濃い花はサワランであることを山小屋に到着してから知った。

    トキソウ。たくさん咲いていました。


    こちらはサワラン。色が濃くて鮮やか。


    ヒオウギアヤメと燧ケ岳


    ヒオウギアヤメ群落


    ニッコウキスゲと燧ケ岳


    キンコウカ(黄色い花)と竜宮小屋


    オニノヤガラ。竜宮小屋の先の林で発見。


    もうすぐ見晴。


    何だこれは?花の散った後??調べてみたらクロバナロウゲという花でした。バラ科キジムシロ属。


    見晴到着。正面が本日宿泊地の弥四郎小屋。

 午後4時、宿泊地の弥四郎小屋に到着。受付を済ませて部屋に案内してもらうと、なんと、8畳一部屋を6人で貸し切りだった。混雑を避けるためのテント装備だったのだが、あの重装備はいったい何だったのだろうか?まあ、これも次の山行に向けての経験とトレーニングということで勘弁してもらおう。宿泊して驚いたのは、立派なお風呂が付いているということ。入浴できるのは東電温泉小屋だけかと思っていたら、尾瀬の山小屋はどこでもお風呂が付いているそうだ。そうとは知らず、着替えをテントに置いてきたのはちょっと失敗だった。ゆっくりお風呂に浸かり、6時夕食。おかずはハンバーグだった。その後、夕暮れの尾瀬ヶ原をプチ散策し、部屋に戻って持参した日本酒で乾杯。残すと明日の荷物が重くなるので、とにかく全部(といっても900ml、しかし、飲んだのはほとんど3人だけ)飲んで、ほろ酔い加減をやや過ぎたくらいに酔っぱらったところで、午後9時、就眠する。

    夕暮れの燧ケ岳と見晴の山小屋
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両神山に咲く花たち  平成24年5月12日

2012年05月24日 | 日本百名山
 歩くのが遅いことを逆手にとって、登山道脇や周辺の花を見ながらいつも歩いている。両神山でもコースタイムから2時間の遅れて山頂到着。初めて見る花や名前のわからなかった花もあった。


    フモトスミレ(だと思う)  山梨で見ているものよりもずいぶん大きい。


    こちらは葉に筋模様が入ったフイリフモトスミレ


    ラショウモンカズラ


    ヒイラギソウ  初めて見る花で名前がわからなかった花。葉がクリスマスの時に飾るヒイラギに似ている。


    クワガタソウ  ピンクの小さな花が可愛らしい。


    フタバアオイ  葉が水戸黄門のミツバアオイに似ている。御坂山塊は赤い花が咲くがここは薄ピンク色。


    ミヤマエンレイソウ


    ニリンソウ群落


    エイザンスミレ  ここのエイザンは大きな花のものが多かった。御坂山塊の1.5~2倍はある。


    エイザンスミレ(白花)


    ヒメイチゲ  群落とまでは言えないが、山頂近い林の中にたくさんあった。


    アカヤシオツツジ


    山頂付近の岩場に咲いたアカヤシオツツジ

 標高1,700mほどの山なので、高山植物と言えるほどのものは咲いていないが、種類が豊富で花を探すにも面白い山だった。それにしても・・・人が多い。こういう山は苦手です。
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アカヤシオツツジほころぶ両神山  平成24年5月12日

2012年05月17日 | 日本百名山
 新潟市で学術集会なるものがあり、5月11日、甲府を車で出発してお昼頃に会場到着した。講演聴取もそこそこに、秋田時代の同僚たちと会食し、さらに夕方から山仲間と会食して再び車に乗り、埼玉県秩父市まで戻ってホテルで1泊、11時半ごろにホテル到着し、翌日に備えて早々に寝た。
 翌日の5月12日は早朝5時に起床、両神山の登山口に向かう。人気の山で駐車場が満車になることを予想していたが、やはり3つある駐車場のうち2つは満車で、一番下の駐車場に車を止める。(ここに止められたのはまだ良いほうだったようで、帰り際、もっとずっと下の路上に止めてある車がたくさんあった。)眠気が残る中、6時15分出発。

    3番目の駐車場に車を止める。両神山荘まで歩いて15分ほど。


    両神山荘。ここで左に曲がる。右の道は昭文社地図では点線の籔道らしい。

 両神山荘のところで左に曲がって登山道に入る。神の住む信仰の山らしく、入口には鳥居と神社が立つ。しばらくは平坦な山道、若干の下りとなり、渡渉したあたりから徐々に登りになる。何度か渡渉を繰り返し、左側に沢を見るようになってからやや傾斜の強い登りになる。

    入口のところの鳥居と神社


    何度か渡渉する。増水していなければほとんど靴を濡らさずに渡れる。花はムラサキケマン。


    信仰の山らしく、石仏が道沿いに何体も並んでいる。


    石仏

 道沿いにはニリンソウの花がたくさん咲き、御坂節刀ヶ岳裏道でしか見たことが無かったフタバアオイの葉がたくさんあった。根元を見ると、ドングリの尻のような花が恥ずかしそうに咲いていた。

    フタバアオイ。根元のところに小さな花が咲く。ここの花は薄ピンク色。(御坂山塊は赤い花だった。)


    登山道脇に咲いたミヤマエンレイソウ


    ニリンソウ群落

 2時間ほど歩いたところで「白藤の滝」と書かれた分かれ道があった。時間もあることだし、ちょっと立ち寄って・・・そっちの道に行くと川までかなりの急勾配を下り、これが滝??というような渓谷に降りた。滝といえば滝だがずいぶん小さい。休憩しながらひとまず撮影して帰ろうとすると、下りてきた道(らしきもの)とは別の斜面にピンクのテープが付いているのが目にとまる。あのテープは・・・道無き斜面をテープに向かって直登すると、そこには明らかな道があった。どうやら急斜面を下りずに右に曲がってこの道を行くらしい。その道沿いに進むと・・・あった!白藤の滝。落差30mほどの立派な滝だ。道を誤ったおかげで、往復30分のところを1時間以上も費やしてしまう。

    降り立った渓谷にあったのは・・・小さな滝??


    別の道を見つけて進むと・・・滝があった。


    白藤の滝

 分岐に戻り20分ほど進むと弘法の井戸という水場があった。冷たいおいしい水が流れており、顔も洗わせてもらう。さらに20分ほど歩くと清滝小屋に到着した。綺麗な立派な小屋で、トイレの新築工事中だった。現在営業はされておらず、避難小屋として使われている。中は広くて快適な小屋で、営業していないのがもったいない。時間は10時だった。

    弘法の井戸


    清滝小屋。綺麗で立派な建物。中も綺麗に片付いている。

 休憩して出発すると、小屋のすぐ上に半球ドームのような岩場があった。これが清滝なのだろうか?少量ながら水がしたたっている。近付いてみると鎖が設置されて上に登れるようになっている。ザックを下して登って見ると、一段上には石碑が、さらにその上には石仏が立っていた。かつては修行僧が修練した場所だったのだろう。

    半球ドーム状の岩場。これが清滝?


    鎖を登ると石仏があった。

 その先は鈴が坂と呼ばれる斜面になるが、道がジグザグにつけられていて歩きやすい。道脇にはいつも見かける大きさの2倍はあろうかという大きなエイザンスミレが何株も咲いていた。尾根に登り着いて進むと、さらに傾斜が増し、鎖場やロープ場が何ヶ所も出現する。たくさんの登山者が訪れており、渋滞する鎖場もあった。そして、ちらほらとお目当てのアカヤシオツツジが咲き始める。鎖場を越え、ヒノキの根が露出する斜面を登ると、その上には大きな神社が立っていた。社は2棟立っており、奥の社には繊細な竜の彫刻が施されていた。

    鈴が坂。道はジグザグにうまくつけられている。


    鎖場


    渋滞する場所もあった。アカヤシオツツジが見え始める。


    ヒノキの根が露出した道を登る。


    神社が立つ。ベンチやテーブルが設置され、休憩に適所。

 先に進むとヒノキの樹林帯を抜けて視野が開けるようになってくる。アカヤシオの花が道沿いに咲き始めるが、まだ咲き始めたばかり、かつ、花数が少ない。おそらく今年はハズレ年なのだろう。周辺の山々が見えるようになってくるが、山梨県外に出るとコンパスを見ても山の同定が全くできなくなってしまう。両神山が1,724m、茅ヶ岳と同じくらいの高さなので、近くに見える同じくらいの高さの山はおそらくそれほど有名な山ではないのだろう。

    稜線沿いに咲いたアカヤシオ。花の付きが悪い。


    向こうに見える山は??山梨県外に出ると山の同定が全くできない。勉強不足です。


    アカヤシオツツジと両神山山頂。

 続々とやって来る登山者、下山者に道を譲りながら、三脚を肩に担いで最後の斜面と岩場を登る。山頂は尖った岩場で狭く、そこには入りきれない人であふれていた。三角点を触りたいにもそこまで行けないほどの混雑ぶりだ。岩のいちばん端に寄って山頂が空くのを20分ほど待って、ようやく山頂の岩の上に登ることができた。時間は午後1時、実に7時間もかけてこの山頂まで登って来たことになる。

    両神山山頂


    山頂から見下ろすアカヤシオ


    果敢に山頂の岩に咲くアカヤシオツツジ

 山頂で出会った茨城県某山岳会のグループは、鎖場が連続する八丁峠からの道を登って来たそうで、ルート状況を聞くとザイル無しでつうかできるそうだ。しかし、落石しやすいのでヘルメットはあったほうが良いと教えてくれた。その後も次々に登山者がやって来るので、山頂での休憩は避け、三脚をたたんで下山し、神社のところで軽食をとる。あとはひたすら下るだけ。途中で再び山岳会の人たちと一緒になり、あまり知られていないフタバアオイの花をお礼に教えてあげると、山岳会の人たちだけあってたいへん喜んでくれた。
 午後4時、両神山荘到着、4時15分駐車場に到着した。帰りに道の駅に併設されている両神の湯に立ち寄ると、またしても山岳会の人たちに出会う。大型バスで来ており、帰りの高速道路が混むので急いでいたのか、あっという間に入浴して出発していった。両神山に登って思ったことは、たくさんの登山者が訪れるために道が何本も出来てしまっていて山が傷んでいることを感じた。古くからの道がすぐ下に見えるのに、その道を歩かずに尾根通しの道がメインルートになってしまっている場所があり、そこはすっかり木の根が露出してしまっている。山を愛し、自然を愛し、そしてそれらを守って行くにはどうするべきなのか。登るたびに考えるが、何の答も見つからない。
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紅葉の朝日岳(2日目)、大朝日岳から古寺鉱泉へ

2011年10月20日 | 日本百名山
 平成23年10月9-10日

 大朝日小屋前にテントを張らせていただいた夜、りゅう座流星群を期待していたのだが空は雲におおわれて月も霞んでしまい、流星群を見られるような空にはならなかった。
 翌朝は未明3時に起床した。相変わらずの曇り空で、明るい木星だけが時折薄くなった雲を透けて見えるだけだった。山頂に行くのはあきらめてもうひと寝入りしようとするが、隣りのテントの団体さんが同じ時刻に起床して出発の準備を開始した。しかも、その声がやたらと大きくて寝られたものではない。さすがに周囲のテントの人たちも迷惑して、静かにするようにと怒鳴られていた。山に居るのは自分たちだけではないのだから、周りにも気遣って欲しいものだ。

    薄明の西朝日岳と木星


    朝日連峰の夜明け  見えている山は小朝日岳

 結局は寝られずに4時にテント撤収し、4時半、ヘッドライトを点けて下山を始める。振り返って大朝日岳を眺めつつ、三脚を担ぎながら星が出ないか期待したがとうとう見えずに夜が明けてしまう。大朝日岳の斜面には朝日が差し込んで撮影には良い光が入るのだが、霞が多くてすっきりした写真にはならなかった。その後も三脚を担いで歩き、良い場所を見つけては太陽の光が差し込むのを待ちつつ歩く。小屋はいちばん早く出発したが、後から来た人たちにことごとく追い抜かれた。

    朝日差す大朝日岳


    同上  霞がかかって、PLフィルターをかけてもコントラストと彩度がいまひとつ。


    朝日差す紅葉の小朝日岳

 小朝日岳の山頂で遅い朝食にしようと思っていたのだが、その場所は前日同様に風が強く、やめて鳥原山まで行くことにする。小朝日岳は急登を登るのも大変だが下りるのも大変、鳥原山側の急斜面にはロープが設置されていて、三脚を担いだまま下りるには少し苦労した。空腹はお菓子やソイジョイでひとまず我慢し、稜線の紅葉を楽しみつつ鳥原山まで行く。

    紅葉の朝日連邦  小朝日岳中腹から


    小朝日岳山頂  ここで朝食の予定だったが、風が強くてあきらめる。


    鳥原山中腹から見る大朝日岳(左)と小朝日岳

 10時、鳥原山到着。山頂手前に展望台があり、そこからの朝日連邦の眺望が抜群だ。大朝日岳と小朝日岳が並んで立つ。紅葉も良かったのだが、次第に雲が増えてしまい、山は霞んでしまった。ゆっくり食事をとっている間に前日登りで一緒だった2グループがやって来て、私が食事している間に先に出発した。少し行くと左側に分かれる道があり、その先に鳥原山三角点があった。

    鳥原山展望台  ここで遅い朝食。


    鳥原山展望台から見る大朝日岳と小朝日岳

 整備された木の階段と木道を進んで行くと沼地に出た。ここの紅葉は見事で、ナナカマドの葉が落ちずに真っ赤に紅葉していた。左手に分かれる道があり、その先はどろどろのぬかるんだ道になっていた。しかし、踏み跡がたくさんある。沼地の道を真直ぐ進んでふと振り返ると、道の分岐点に道標が立っており、その泥沼の道こそが古寺鉱泉に至る道だった。折角なので木道を真直ぐに進んでみると、やがて下りになっていた。その先が鳥原小屋なのだろうが、登り返しが疲れそうなので途中まで下って戻り、古寺鉱泉への道を進む。

    古寺鉱泉分岐点の沼地。紅葉が美しい。


    赤く染まったナナカマドの紅葉

 その先の道は明瞭ながら、今まで歩いてきた道に比べるとだいぶ細くなっていた。大小のブナが立ち並ぶ林は心地良く快適だ。途中の水場で休憩し、さらにブナ峠分岐で地図を確認しつつ休憩、さらに古寺鉱泉まであと15分というところで爪先が痛くなり、靴を脱いで休憩。そして、午後1時、ようやく駐車場に到着した。たくさん止めてあった車はまばらにしか残っておらず、路上駐車の車は私の1台しか残っていなかった。それほどたくさんの人に抜かれたという印象は無く、おそらく日帰りの登山者が大勢いたのではないだろうか。

    心地良いブナの森を行く


    同上


    古寺鉱泉到着。前日は向こう側の道を進んだ。これで1周。

 さて、甲府までの帰路は長い。空模様が悪かったのが幸いして夜ぐっすり寝られたので、途中昼寝休憩することも無くひたすら東北道を走る。福島あたりから渋滞に突入、栃木県に入ったあたりで夕暮れとなり、渋滞の黄昏空を眺めていると、大きな流れ星がひとつ流れていった。唯一見た今年のりゅう座流星群だった。甲府には9時半到着。渋滞に巻きこまれた割には早く着いた。
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