山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

紅葉の朝日岳、古寺鉱泉から大朝日岳へ(1日目)

2011年10月18日 | 日本百名山
 平成23年10月9-10日

 10月8日、早朝に霧に巻かれた蔵王熊野岳を往復した後、朝日岳を目指して朝日鉱泉に移動した。カーナビでいちばん近そうな道を選んだのだが、途中から渓谷の脇に刻まれた細い林道となり、舗装はされているものの対向車とのすれ違いに相当苦労し、10時半に朝日鉱泉に到着した。選択した道を間違えたかと思い地図を見直したが、この道で間違いなく、夏の登山シーズンにはバスが通る道だった。それにしても細い。駐車場は既に満杯で路上にずらりと車が止まっていた。ちょうど到着した頃に小雨が降り出し、準備して出発しようとした11時ごろには本格的に降り出してしまった。前夜の寝不足もあり、ここは一旦退却して明朝から登ることにして山形市まで引き返す。帰り際に月山インターチェンジから南下してくる広い道があることを知り、そちらの道を行ってみるとそこから古寺鉱泉と日暮沢の登山口に行く林道が出ていることがわかった。細い林道はできるだけ避けて、明日は古寺鉱泉から大朝日岳を目指すことに決める。この日は山形市内の宿をなんとか確保して夜8時に寝る。

    古寺鉱泉の駐車場


    古寺鉱泉  橋を渡って鉱泉前の道を行く。


    大きなブナの並ぶ登山道を行く。これは合体の樹。


    下部は紅葉にはまだ少し早かった。

 ぐっすり寝て翌朝は4時起床、山形自動車道を月山インターまで行き、そこから南下して古寺鉱泉に到着したのは6時半だった。既に駐車場は満杯、路上にずらりと並ぶ車に並んで車を止める。7時出発、前日とは一変して透き通るような秋空が広がる。5分ほどで古寺鉱泉の建物が右手に見え、橋を渡って古寺鉱泉の前を通って古寺山に向かう登山道に入る。ブナの巨木が立ち並ぶ心地良い森は、川入から登る飯豊連邦に似ている。紅葉にはまだ少し早かったが、高度を上げるにつれて色付きはじめる。

    日暮沢からの合流点手前にある水場。水量は豊富。


    林の隙間から見える古寺山

 水場を過ぎて日暮沢からの尾根と合流した後、ひと登りするともう一つ水場があり、そこから20分ほどで古寺山に到着する。このあたりの紅葉は見頃を迎えており、色付く山肌の向こうに大朝日岳から西朝日岳、竜門山へと連なる山並が大きく見える。そして、眼前にはこれから越える小朝日岳の格好良い三角錐が立つ。山頂を越えずに行く巻き道もあるのだが、時間もあることだし、ここは小朝日岳に登って行くことにする。

    古寺山山頂


    古寺山と朝日連峰(左から大朝日岳、西朝日岳、竜門山)


    古寺山から見る大朝日岳

 急登を頑張って登ると小朝日岳山頂に到着する。山頂は広くて平らで眺望も良く、休憩するには絶好の場所だが、先客がたくさんおり、また風が強かったのでそのまま通過する。大朝日岳側の斜面は紅葉真っ盛り、三脚を取り出して撮影しながら急斜面を下る。下り付いたところから振り返って見る小朝日岳の紅葉は見事で、ちょうど良い西日が当たっていっそう彩が鮮やかだった。再び登りになり、眺望の良い尾根を進むと目指す大朝日岳がどんどん迫って来る。大朝日小屋への最後の登り直下にある銀玉水という水場は冷たくておいしい水が豊富に流れている。小屋の向こう側(西朝日岳とのコル)には金玉水という水場があるが、小屋から往復30分ほどかかるらしく、ここで汲んで行くのが良いと休憩している人に教えてもらった。水が涸れていることを恐れて3リットル背負ってきたが、この山域は水が豊富でその心配が無さそうだ。

    小朝日岳の紅葉と大朝日岳


    錦秋の小朝日岳


    ナナカマドと小朝日岳  ナナカマドが色付き始めてすぐに雪が降り、葉が落ちてしまったと聞く。


    銀玉水  大朝日小屋宿泊の際はここで水を汲んで行くと良い。

 もうひと登りして平らになった尾根の先に大朝日小屋が立つ。到着したのは3時20分、写真を撮りながら相当ゆっくり来たつもりだったが、少し早かった。この日は連休2日目、小屋は大混雑が予想され、それを見越してテントを持って来た。朝日連邦は植生保護のために全域テント禁止で、その代わりに随所に避難小屋が設置されている。この日の混雑を予想して、管理している大江町役場に前日電話で問い合わせたところ、小屋が満杯の場合はテントも止むを得ないという話を聞いていた。早く到着し過ぎると小屋の中で寝ることになってしまうので、登山者が皆到着した後に小屋に入り、混雑しているのでテントを張らせてもらうという作戦だった。さらに、この日はりゅう座流星群が観察できる夜でもあり、空が晴れれば夜間に活動するので周りの人たちに迷惑がかかってしまう。

    ハイマツの斜面と西朝日岳


    うっすらと見えるのは月山


    大朝日岳と大朝日小屋


    夕暮れの影迫る小朝日岳(大朝日小屋前から)

 小屋に到着するや否や、私の姿を見て管理人さんがやって来た。ザックの横にあるテントポールを見て、テント泊かと尋ねて来た。町役場に問い合わせたこと、流星群が来ていること、さらに条件が良ければカノープスという星が山頂から見えるかも知れないということを話すと、快くテント設営を許してくれた。さらに、テントが風で飛ばされないようにと、しっかりした鉄杭まで打ってくれた。さらに、小屋に入りきれないグループのために小屋にある大きなテントを2張、管理人さんが設置してお迎えしていた。親切に、そして快適に過ごせるように登山者を迎えてくれる大朝日小屋の管理人さんには頭が下がった。

    夕暮れの大朝日岳山頂


    夕焼けの空

 さて、テント設置し、食事を済ませ、日暮れを狙って大朝日岳山頂に登る。小屋から20分ほどで到着できる。この時間になると山頂は静かで、2人の先客のみ、1人は茨城県から来られた金融関係のKさん、もう1人は東京から来られた、私の横にテントを張った若者だった。昼間は快晴だったのに、日暮れが近付くにつれて雲が増え、山は霞んでしまった。南側の祝瓶山まではなんとか見えるが飯豊連邦は見えない。月が昇っていたが、次第にその月も霞み始め、期待していた天の川は全く見えなかった。残念ながら星の輝く空と流星群はあきらめざるを得ない空模様になってしまう。

    月が昇る。この尾根に時折ちらりと明かりが見えたが、まさか真っ暗になってから人が登って来るとは・・・


    夕暮れの小朝日岳


    霞んだ空に昇って来た木星。星を撮影したのはこのカットのみ。

 すっかり暗くなった夕方6時、ヘッドライトを点灯して山頂で景色を見ていると、朝日鉱泉から直登する急峻な尾根に時折ちらりと明かりが見える。何の明かりだろうかと思っていたら、6時半、声が聞こえ出し、明かりが次第に近付いて来た。なんと、この暗闇の中を若者2人が山頂に登って来たのだ。しかも1人はヘッドライト無し、首からぶら下げた豆電球のような明かりを頼りに登って来たのだ。月明かりがあって幸いしたようだ。途中でへばってしまい、予想以上に時間がかかってしまったとの事だった。星空は見えそうも無いので、ここは2人を先導して小屋に下りることにした。ちょうどザックの中に懐中電灯にもなるテント用LEDランタンが入っていたので、それを貸してあげた。寝る場所があるのかどうか心配したが、1階の入り口近くになんとか寝場所を確保できて良かった。
 明朝、空が晴れればもう一度山頂へ、という思いも空しく、空は霞におおわれてこの夜は星を見ることはできなかった。
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霧に霞む蔵王  平成23年10月8日

2011年10月14日 | 日本百名山
 平成23年10月8日

 雨雲が去り、澄んだ好天の予報となった10月の3連休。南の低空に輝くあの星を求めて北に遠征することにした。その星とは・・・南極老人性カノープス。3年前に北穂高岳から撮影に成功し、2年前には槍ヶ岳の山頂からも見えることを確認、さらに唐松岳からも見えた。では、さらにその北、東北の山からはどうなのだろうか?アストロガイドのソフトでは蔵王や朝日岳でかろうじて見える位置に昇ってくるはずだが、実際には低空の霞や雲に邪魔されてよほど条件の良い時でなければ見えないだろう。蔵王刈田岳から撮影に成功した人がいるという話を聞いたことがあったので、澄んだ星空を期待して7日の金曜日、午後から蔵王を目指して車を走らせる。
 甲府を午後1時過ぎに出発し、蔵王刈田駐車場に午後8時半ごろに到着した。まだ低気圧の影響が残り、車が揺さぶられるほどの強風が吹き荒れ、すぐ目の前に見える刈田岳すらとても登れるような状態ではなかった。空も思ったほどの星空にはならず、雲がかかり天の川は見えない。この夜の撮影はあきらめて、早々に車の中で寝て明朝に期待することにした。

    お釜行きのリフト。この右横に登山道がある。


    朝の南蔵王の山々。霧と雲に霞む。


    蔵王の紅葉。色付いてはいるが、光が入らず鮮やかには見えない。


    ナナカマドは色付く前に葉が落ちてしまっていた。

 目覚まし時計を未明3時にセットし、起きてみると風は少し納まってきたが空は真っ白、星など全く見えない。りゅう座流星群が見頃を迎えている頃だが、とても観察できるような空では無かった。あきらめてもう一度寝て、次は明るみ始めた6時に起きる。ひとまず山頂の熊野岳は踏んでこようと、6時10分に駐車場を出発する。お釜行きのリフトがあり、その横に登山道があって20分ほど登ると稜線に出る。霧がかかって真っ白、何も見えない。目印が無ければ方向を見失いそうだが、都合良いことに登山道に沿って長い杭が立てられており、道標もしっかりしている。その杭に沿って馬の背を歩いて行くと、30分ほどで熊野神社と避難小屋の分岐点に到着。左に進んで行くと鳥居が見え始め、その先に熊野神社の社が建っていた。避難小屋が設置されていて、中で2人休憩している人がいた。宿泊して星の撮影をするにはこの上なく良い小屋だが、勝手に使ってよいものなのかどうか??熊野岳山頂の標柱は神社の先に立っていた。相変わらず何も見えない。

    リフト山頂駅付近。霧に巻かれて視界不良。


    神社があった。蔵王神社?


    道標と整備された馬の背の登山道


    時折陽が射すが、この程度。


    「お釜」の看板があるが、どこ??


    熊野神社


    霧で霞む熊野岳山頂

 地図で熊野岳山頂は三角形に周回できることを確認し、隣の避難小屋も見に行った。こちらも快適に過ごせる小屋で、ストーブと燃料まで置かれていた。屋内の看板を見ると、やはり緊急時の避難小屋で、やたらに使うのはまずいようだ。お釜を一目見たかったが、結局終始霧に巻かれて全く見えないまま、8時過ぎ、駐車場に戻る。星空も流星群も紅葉も不発に終わってしまった。

    避難小屋


    小屋の中にある利用者心得


    この先に蔵王お釜が見えるはずなのだが・・・とうとうお目にかかれなかった。

 次の目的地、朝日鉱泉に向かうが、山形市内は晴れていた。しかし、振り返って見る蔵王は真っ黒な雲が覆っていた。この日の蔵王はおそらく1日中雲に巻かれていたのだろう。
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垣間見る秋空、黒沢池と妙高山  平成23年9月24日

2011年09月30日 | 日本百名山
 平成23年9月24日

 火打山山頂で夕暮れの7時半まで粘ったが、その後小雪が舞い始め、高谷池テント場に8時半下山してきた。テントの中に入ると、恐れていたことがおこっていた。ピンホールが何個も空いている私のテントの底、水がしみ込んでテントの床が濡れてしまっている。幸いにしてシーツを敷いてある部分はかろうじて大丈夫で、そこに座って食事をとるが、周辺に置いてあったタオルやティッシュペーパー、手袋は水浸しになってしまった。コンビニの袋に荷物を詰め替えて防水対策をとる。防寒のためシュラフカバーを持って来たおかげで、シュラフはなんとか濡らさずに眠ることができた。その夜は小雪混じりの小雨が降ったり止んだりしていた。
 迎えた翌朝は5時に目が覚めた。気温は0.6度だったが、ダウンジャケットとカッパを着るとさほど寒くは感じなかった。もうテントを撤収している人の声が聞こえる。雨は止んでいるが外はどんよりとした曇り空だ。6時まで寝て明るくなったところで朝食をとり、テントを撤収する。メインテナンスを行なっていない私のテントは水を含んでしまい、フライシートも本体もずっしりと重みを増してしまう。ザックを背負うと、登って来たときよりもむしろ重くなっているように感じた。想定外の雪とテントのトラブルでほとんどやる気無し、かつ、空は相変わらずの曇り空、このまま下山も考えたが、ひとまず1時間ほどで行ける隣りの黒沢池まで行ってみることにした。

    高谷池テント場は雨で泥沼状態。靴もズボンも泥だらけになった。


    茶臼山付近から見る火打山は雲が巻くが、秋の青空が垣間見える。


    下に見える黒沢池と、少しだけ姿を見せる妙高山


    黒沢ヒュッテ  これから妙高山に向かうグループの姿が見える。

 重いザックはすぐに慣れた。一旦昇りになり、茶臼山という小ピークを越えると黒沢池への下りになる。曇っていた空はしだいに晴れ始め、時折青空が見えるようになってきた。雲の中から妙高山も顔を覗かせ始める。黒沢池を右下に眺めながら、黒沢ヒュッテに8時半到着した。
 これから妙高山に出発する人たちの姿が何組もあった。山頂まで約2時間半の行程だが、私の足だと3時間くらいはかかるだろう。山頂12時、黒沢池に戻って3時としても下山には十分な時間だ。天候も回復しつつあるので、行ってみることにする。使わないテントやシュラフ、テントマットなどは黒沢池ヒュッテに置いて荷物を軽くし、9時にヒュッテを出発した。

    大倉乗越から見る雲をまとった妙高山


    燕温泉分岐の手前から見上げる妙高山。かなりの急傾斜だ。


    燕温泉分岐。ベンチが設置されていて休憩できる。

 まずは大倉乗越への昇りだ。雨の降った後で道がぬかるんで滑りやすく歩きにくい。登りつくと妙高山の展望が一気に開け、雲を纏った妙高山が眼前に立つ。登ったと思えば今度は急下り、ロープが数本張られた急斜面を登ってきた以上に下る。帰りにまたこの急斜面を登り返すかと思うと、先が思いやられる。川を渡ってようやく燕温泉への分岐点に到着する。ここにはベンチが設置されていて休憩できる。時間は10時10分、ここから妙高山への急登り、高度差にして400m強の登りが待っている。
 石のゴロゴロする急斜面をひたすら登る。休憩するにも良い場所が無く、また、下山してくる人とたくさんすれ違う。下山の人たちにできるだけ道を譲り、その度に休み、ひたすらゆっくりと、呼吸を整えつつ、疲れを残さないように登る。まだ帰りの笹ヶ峰までの長い下りが待っているからだ。

    妙高山への石のゴロゴロした急登り。


    登山道上部から見る妙高山。あの岩の裏側が山頂。


    山頂裏側にある祠

 急斜面を登り切って尾根を右に曲がると祠があった。そこで写真を撮りつつ休憩した後、先に進むと広い山頂にポンと飛び出した。たくさんの人が登ってきており、昼食時間ということもあり休憩していた。金峰山同様、日本百名山なる山は人がいっぱいだ。時間は11時45分だった。三角点のある山頂よりもその向こうにあるピークのほうが7~8mほど標高が高いらしいが、今回はそちらまで行かずに、山頂で記念撮影と周辺の景色を撮って、12時には早々に撤退する。人の多いところはどうも苦手だ。

    妙高山山頂


    隣のピークのほうが標高が高い。


    山頂の岩には少しだけ雪が残っていた。火打山と同様にこちらも雪が降ったようだ。


    山頂から見る火打山方面。相変わらず雲が巻いている。


    先週登った金峰山同様、妙高山も人がいっぱい。


    帰り際、大倉乗越から見る妙高山と長助池。

 あとはひたすら下山。大倉乗越への登り返しはやはり辛く、あとから来た人たちに道を譲ってゆっくりと登る。そして、黒沢ヒュッテには午後2時半に到着した。置いていった荷物をザックに詰めなおし、小休憩と軽い食事をとって3時10分前にはヒュッテを出発する。黒沢池は高谷池や天狗の庭と同様に心の和む美しい場所だ。小さな尾瀬ヶ原といったところだろうか。山々に囲まれた景色、草の生える湿原、紅葉の季節になればきっと心奪われるような景色になることだろう。そして、花の咲くシーズンもきっと素晴らしいだろう。木道の脇には大きなミズバショウの葉やチングルマの綿毛、イワイチョウの葉などがたくさん生えていた。急いで歩くことなどできない。この景色を心に留めつつ、振り返っては写真をとり、名残り惜しみつつ帰路につく。

    黒沢池


    水芭蕉の葉


    チングルマの綿毛


    振り返っては写真を撮り、名残惜しんで黒沢池を去る。

 黒沢池の湿地帯を過ぎてから高谷池の分岐までは少し登りとなり、その先はひたすら下りだ。十二曲がり手前の急斜面さえ明るいうちに通過すれば、あとは明瞭な道で危険箇所は無い。まだ日の明るいうちに楽々その場所を通過し、あとは黒沢橋を渡って木道を足早に歩き、ちょうど日没の5時40分、笹ヶ峰の駐車場に到着した。ゆっくり登ったことが功を奏し、あまり疲れを感じずに下山できた。
 天気予報で晴れの予報を信頼して行った火打・妙高だったが、想定外の雪には少々驚いた。テントの水漏れは予想していたが、降るとは思っていなかったので修理もしていなかった。反省して3連休最終日は自宅でテントに防水をかけ、ピンホールを接着剤で修復して次の山行に備えた。さて、りゅう座流星群とオリオン座流星群のやって来る10月、どこの山で星空を眺めるか、楽しみだ。秋の空気が漂い始め空が澄んできた今日この頃、美しい星空を眺めたいものだ。
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高妻山に流れる天の川、笹ヶ峰から火打山へ 

2011年09月28日 | 日本百名山
 平成23年9月23日

 山梨百名山は約1年半で制した。かつ、スペシャリストの山と言われる鋸岳、笊ヶ岳、笹山(黒河内岳)、鶏冠山の4山は、鋸岳登頂2回を除けばいずれも3度登った。山梨百名山は既に2周半くらい登ったといっても良いかもしれない。しかし・・・それでもまだ満足していない。それは、まだ歩いていないルートがあるからだ。甲斐駒ケ岳から鋸岳のルート、まだ鋸岳第2高点には立っていない。農鳥岳から笹山のルートも、鶏冠山から甲武信ヶ岳のルートも、そして伝付峠から笊ヶ岳のルートもまだだ。いずれも難しいルートだが、これらを踏破しなければ山梨百名山を制したとは言えないのではないだろうか。
 今年の9月、2度の3連休があったが、前半は演奏会と日直で、間に金峰山に登って終わった。後半、第一候補は農鳥岳から笹山のルートだった。奈良田から笹山へのダイレクトルートが数年前に切り開かれ、昭文社の新しい地図にも掲載されるようになった。奈良田を起点に2泊で周回(1泊でも十分に可能)できる。ところが、台風16号の大雨により奈良田に至る道は早川橋の近くで通行止め、かつ、夜叉神から広河原ルートも、伊那側のルートも使えなくなった。それを知ったのが連休前日の木曜日、どこに行くか決まらないまま、アウトドアショップエルクに行って地図を眺める。とりあえず北へ行くことだけ決め、持っていなかった妙高・火打山の地図を買った。
 水曜日の当直疲れが抜けないまま、金曜日、連休初日の朝を迎える。いつもなら目が覚めないのに、不思議とこの日は5時半に目が覚めた。お風呂に入り、それから登山の準備、とりあえずテント泊の装備をザックに詰め込み、7時自宅出発して中央道に乗る。台風が過ぎ、すっきり晴れの天気になると思っていた予想ははずれ、空はどんよりとしている。長野方面に向かって走って行くと、南アルプスは雲に覆われているが八ヶ岳は見え始めていた。ならばできるだけ北へ、ということで、ここで妙高・火打山にテント泊で行くことに決める。

    笹ヶ峰の火打山登山口


    整備された木道が続く


    川を渡る。この先から傾斜が強くなってくる。


    中腹のブナの森


    ブナの森を過ぎるとオオシラビソの林に変わる。

 妙高山への登り口はいくつかあるが、火打山にも行きやすい笹ヶ峰のルートを選択し、駐車場に向かう。10時半に到着、準備して11時に出発した。テント場のある高谷池、あるいは黒沢池まで、約4時間の行程だ。整備された木道がしばらく続き、川を渡ったところで急登りになる。十二曲がりというジグザグの急登を登り切り、ここで緩くなるのかと思ったら本当の急登はその先にあり、崖のような岩が待っていた。ここを登ってしまうと高谷池(火打山方面)と黒沢池(妙高山方面)の分岐となる。山頂までの時間は火打山のほうが早かったので、ここは高谷池に行くことに決める。

    高谷池(火打山方面)と黒沢池(妙高山方面)の分岐


    小雨が降り、雲に巻かれる火打山。右に見える小屋が高谷池ヒュッテ。


    高谷池周辺は笹とシラビソの森。


    テント場から見る高谷池と火打山


    反対側から見る高谷池ヒュッテとテント場

 分岐を過ぎたあたりで雨が降り出した。天気予報はあてにならないものだ。スパッツを持ってこなかったので、ズボンの裾は泥だらけになってしまった。3時、ほぼ予定通りに高谷池のテント場に到着した。テント場はほぼ満杯で、一番奥にようやく2張ほどできるくらいのスペースが空いているだけだった。テント設営し、4時少し前から火打山山頂を目指して出発する。約2時間で山頂、となると下山してくるのは夜7時を回る。が、それも計画のうちだ。山頂からどんな夜景が見えるのか見てみたかった。

    色付きはじめた火打山


    同上


    天狗の庭展望所


    火打山を映す天狗の庭の池

 当然の如く、この時間から山頂に登って行くのは私だけだった。天狗の庭という湿原は少しだけ紅葉し始めており、火打山を水面に映す心洗われるような美しい場所だった。下山してくる人たちとは10人くらいすれ違った。最後に出会った2人の若者男女が、山頂直下で雷鳥に出会ったと教えてくれた。もともとはこの山には雷鳥はいなかったはずなのだが、どこからか飛んで来たらしく、住み着くようになったと聞く。夕陽の差し込む天狗の庭と登るほどに姿を露わにする妙高山を振り返っては写真を撮りつつ、山頂を目指す。

    火打山中腹から見る夕暮れの天狗の庭と妙高山


    山頂直下で出会った雷鳥


    きれいなEarth shadowが出た妙高山


    日没を少し過ぎた午後6時、山頂到着。雲に巻かれて真っ白。


    東側に広がる町灯り。


    雲が巻く夕暮れの妙高山

 山頂まであと10分ほどのところで足元から雷鳥が姿を現した。私の姿を見ると足早に逃げ去ってしまい、10mほど離れた場所でなんとか撮影することができた。山頂に到着したのはちょうど6時ごろだった。流れ行く雲に覆われてしばらくは何も見えなかったが、待っていると時折雲の切れた隙間から高妻山が見えた。日本海側はやや厚い雲がかかり、まずいことに雷鳴が時折響いてくる。町明かりが灯り始める頃まで寒い中を辛抱して空を眺めていたが、なかなか晴れず、あきらめて下山し始めた。10分ほど下りたところで妙高山がすっきりと見え始めた。さらにその南から西側を見ると、雲がすっかり飛んですっきりと空が見え始めていた。再び山頂に戻ってみると、南西の空に傾いたさそり座が全容を現していた。夕暮れの青い空に天の川もうっすらと見え始めている。再び三脚を構えて待っていると、7時を過ぎた頃から目を見張るような星空が広がった。高妻山から昇る白い天の川が頭の真上を横切り、夏の大三角形を貫いている。久しぶりに見る夏の天の川だ。撮影に熱中するが、南アルプスと同様、こんな北の山に来ても飛行機がたくさん飛び交い、これをカットすることができない。

    夕暮れのさそり座と天の川  左下に見える山は高妻山・戸隠山山塊。


    高妻山に流れる天の川


    火打山の星空  カシオペア座を狙ったが、一部画像に入りきらず。右手に光るのは雷雲。


    妙高山と町灯り


    高妻山を流れる天の川  このカットを最後に雪が舞い始め、下山する。

 7時半ごろ、雲が増えてきたかと思ったらあっという間に山頂は雲に巻かれてしまった。さらに雨、ではなくて小雪が舞い始めた。ここで撮影は終了、止む無く下山する。木道はうっすらと雪を被り、スリップするため、木道の横の石のところを歩いて下山する。途中に2~3人用のテントが張られていたのには驚いた。テント場がいっぱいで張れず、おそらくここまで登って来たのだろう。許されるなら、私も天気の良い日に山頂で一夜を過ごし、この山からでもひょっとしたら見えるかもしれないカノープスを眺めてみたいと思った。
 8時半、無事にテント場到着。それから夕食をとって寝たのだが、その夜はずっと小雨と小雪が舞っていた。いつも条件の悪い場所でテント設営しているため、私のテントの底には小穴がたくさん開いてしまっている。そこから雨水が入り込み、テントの中はえらいことに・・・(翌日の妙高山に続く)
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残雪の飯豊本山(後編)

2010年07月08日 | 日本百名山
残雪の飯豊本山(後編)

 車内で一泊し、早朝川入から飯豊本山目指して出発した。種蒔山でようやく飯豊本山が全容を見せるようになり、切合小屋に12時半に到着した。

    切合小屋の先の登山道に咲くショウジョウバカマ

 ここから再び雪渓の登りになる。種蒔山ほどの急で危険な登りでは無いが、結構長い雪渓だ。アイゼン無しでキックステップで登ったので余計に体力を消耗する。登りつくと今度は下りになり、草履塚という見晴らしの良い場所に到着し、飯豊大日岳がドンと大きく聳え立って見える。小休憩して進むと、このルートの名所、御秘所の岩場が眼下に見えるようになる。その尾根を登りつけば、いよいよ飯豊本山は間近となる。

    飯豊本山(中央のなだらかな隆起)と御秘所の岩場(草履塚から)


    姥権現の先の稜線に咲いていたミヤマキンバイと大日岳

 御秘所の手前に姥権現という岩の所に地蔵が祭られた場所がある。ハクサンイチゲがようやくちらほらとほころび始めたところだった。大群落を期待していたのだが、まだ時期的に早かったようだ。地図で見ると御秘所を過ぎたあたりにヒナウスユキソウが咲いているらしいので探してみたが、これも芽らしきものが生えていただけで花を見ることはできなかった。頑張って急な岩場を登りつくと、そこにテント場らしき平らな場所があり、石の積まれた展望台があった。水場を示す道標があったので、そちらに水を汲みに行くと・・・水場は完全に雪の下、場所すら確認できなかった。僅かに登って飯豊本山小屋に到着した。時間は午後3時40分、私の足にしてはまずまずの時間だ。

    飯豊本山小屋

 本山小屋に荷物を置いて、三脚とカメラとおやつだけ持って飯豊本山山頂に向かう。小屋から山頂までは15分から20分ほどで到着する。一度歩いてみたいと思っているダイクラ尾根が右手に長く延びている。山頂から大日岳を見ると、まだ雪がたくさん、そしてその右手に連なる北股岳、門内岳の稜線も雪がたっぷりだ。これではおそらく向こうの尾根筋も花は咲いていないだろう。

    飯豊本山山頂.午後4時到着.


    飯豊本山から見る大日岳.まだ雪がたっぷり.


    北股岳から門内岳の山々.残雪たっぷり,花はまだだろう.

 山頂でのんびりした後、小屋に戻る途中で、先ほど三国岳でお会いした地元の方とすれ違った。というよりは、山頂方向ではなくて御西岳へのトラバース道方向に進んで行った。何かと思えば、後に小屋でお話してわかったのだが、そちら側に池塔があって、そこで水が汲めるのだという。さすがに地元の方は詳しい。私は水を確保するために本山小屋に置いてあったスコップを借りて小屋の東側にある雪渓を掘って、深部にあるきれいな雪を取り出してそれを溶かして使用した。岩崎さんとおっしゃるその方は、大きなザックの中はほとんどがアルコール類ばかり(だったと思う)。この辺りの小屋の管理人さんたちは皆知り合いらしく、本山小屋に酒類を置いて行くために持ってきたという。私もあやかってお酒をいただいたのだが、これがまた今までに飲んだことのない変わった酒、蜂蜜を発酵して作った「みいど」という酒だった。ワインに近いような味にほんのりと蜂蜜の香りがする。岩崎さんは普段は農家をされているが、冬季は酒蔵に勤めているそうで、その酒蔵で作っている稀少なお酒だそうだ。売っている場所を聞くと、さっそく酒蔵の社長さんに電話して聞いてくれたのだが、結局は酒屋まで買いに行くことなく、下山後、岩崎さんのご自宅にお邪魔させていただき、稀少な「みいど」(商品名は美禄の森)2本を譲っていただき、さらに会津の地酒「蔵」あらばしりを一升瓶でいただいてしまった。甲府に帰った後、当院職員を誘って5人でこの2つの酒を賞味したが、どちらも物凄く美味かった。美禄の森は言うまでも無いのだが、蔵のあらばしりはコクのある甘系統の酒で、冷やして飲むと最高だ。(2人は途中で酔いつぶれてリタイア・・・)

    夕暮れの大日岳.飯豊本山小屋から

 いただいたお酒ですっかり酔っ払った私は、翌朝(といっても未明2時ごろ)に昇っている天の川と、月に照らされた山の景色を撮影するため、8時過ぎには早々に寝かせてもらった。この日小屋に泊まっていたのは私と岩崎さん、そしてもう1人、地元の方でスキーを担いで来られた方(名前は忘れてしまいました)の3人。この飯豊連邦が地元の人たちに大変愛されている山だということをつくづく感じた。山梨の山もこうであって欲しいと思った。
 未明1時半に目を覚まし、外に出てみると・・・霧が立ち込める真っ白な世界、星どころの騒ぎではなく、ヘッドライトだとほんの数メートルしか視界が利かない。しかし、空を見上げるとうっすらと月明かりが見え、さほど厚い霧ではなさそうだ。じっと待っていると、時折星が見え出す。そして遂に、西の方向に飯豊大日岳が姿を現した。空は曇り空、時折雲がピカピカと光を放ち、稲妻が走っているのがわかる。ちょうど月が昇って来た時間で、大日岳が月光で浮かび上がって見える。星空の設定で何枚か撮影し、その後15分間露光を設定して小屋に戻り、休憩していると、20分くらい立った頃だろうか、突然ザーッという雨とはちょっと違う音が小屋の屋根と窓を叩く。急いで外に出ると・・・なんと、6月だというのにあられに近い雪が降っていた。山は隠れてしまい、ここで夜の撮影は終りとなる。

    落雷一閃,月光照らす飯豊大日岳  右手の町に落雷が映っている.

 再びシュラフに潜って横になり、ちょっとウトウトして次は5時に起きた。外はみぞれ混じりの小雨、天気予報からして回復の可能性は低いので、さっさと帰り支度して5時半に小屋を出た。切合小屋まで下りると雨は上がっており、大日岳の下3分の2が姿を現してきた。朝食を取りつつそこで1時間ほど三脚を構えて待ったが、結局全容を見せることはなかった。

    朝の飯豊連峰は霧の中.


    ほころび始めたハクサンイチゲ  姥権現付近.

 三国岳でゆっくり休んでいると、岩崎さんともう1人の方が追いついてきて、そこから先は3人で一緒に下山した。(スキーヤーの方は地蔵山から別コースで滑って下りた。)12時40分、川入駐車場到着。下山後、岩崎さんと私は飯豊の湯に立ち寄って汗を流した後、前述の如く岩崎さんのご自宅にお邪魔させてもらった。写真はいまひとつだったが、この地域の方々の人柄の良さも存分に味わうことができ、最高の山旅ができた。飯豊連邦、すっかり気に入ってしまった。

    アカヤシオツツジ  さらば飯豊,また来ます.

(今回の山行は、私のブログにリンクしている「outdoorlife 山歩き」のsanaeさんのページ、および「三脚マンと弱力女の登山日記」のブログを参考にさせていただきました。)
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残雪の飯豊本山(前篇)

2010年07月04日 | 日本百名山
 平成22年6月4‐5日

 例年まともに夏休みがとれないので、今年は前倒しして6月に2日間休みをとった。木・金曜の休みをとり、水曜日の午後から4日半の休みとなる・・・はずだった。しかし、またしても例年の如く3人の緊急入院患者様を抱えることとなり、1泊2日しか日程はとれなくなってしまう。仕事柄止む無し。最終的には木曜日午後に登山口の福島県会津若松の川入に移動、車内泊して金曜日早朝から飯豊本山目指して出発することとなる。実質的な行動時間が8~9時間、休憩や写真撮影時間を入れると約11~12時間の長丁場となる。果たして、最近取り組んでいるトレーニングの成果は発揮されるのか?
 川入到着したのは日没少し過ぎた午後7時過ぎ。キャンプ場になっていて、トイレや炊事場がついている立派な施設だった。駐車している車が2台、車内にはいないので、おそらくは飯豊山に入山している人なのだろう。コンビニで買い込んだ弁当と地酒で夕食を済ませ、8時には早々に寝る。空は星が少しだけ見えるうっすら曇り空だ。天気予報では明日は天気持ちそうだが、果たしてどうなるのか?星空は出てくれるだろうか?

 6月4日 天候晴れ時々曇り
 早朝4時に目を覚まし、ヘッドライト無しで歩ける4時半に出発する。10分ほど林道を進むと大きな杉の木があり、そこから登山道に入る。少しばかりの急登が始まるが、予想していたよりも緩い。丹沢山系大室山に似た大きなブナの木が林立した林の中をひたすら登る。足元を見れば、ピンク色の可愛らしい花がちらちらと見え出す。イワウチワだ。山梨県では上野原の坪山くらいしか自生しているところを知らないが、この山にはごく普通に生えている。それに混じって、これまたこんなにたくさん生えるのかというくらいにショウジョウバカマが咲いている。

    飯豊山の川入側登山道入口となる御沢の大杉


    登山道下部の新緑のブナ林


    イワウチワの群生と地蔵山

 地蔵山が見える稜線に抜けたところで大きな雪渓に突入した。運が良いことに私を追い越していった単独登山者の人がおり、その人の足跡のおかげで方向を見失うことなく歩けた。雪渓を抜けると、今度はカタクリの大群落だ。山梨県のそれとは全く違う、赤紫色の濃い大きな花が咲いている。そしていよいよ、このルート最大の難所、剣が峰を経て三国山への登りとなる。岩の急登で両側がそげ落ちているが、危険な個所には鎖がとりつけられていた。しかし、強風時や雨で滑る時は要注意だろう。再三三脚を立てながら、存分に写真を撮影しながら歩いてきたが、ほぼ予定通りの10時、三国山の避難小屋に到着した。

    真っ白なダケカンバと残雪の飯豊連峰


    飯豊の空


    カタクリの花と三国岳

 三国山山頂にはこの季節になってもまだ山桜が咲いており、その向こうにようやく飯豊連峰最高峰の大日岳が見えるようになってきた。ここで軽食をとりつつ大休憩していると、同じコースをもう一人単独登山者が登ってきた。話し方からして地元の方、本日は飯豊本山小屋に泊まるというので、私がテントを張らなければ本日は同じ小屋泊まりということになる。(満天の星空になった時は写真撮影のためガタガタするので、同じ小屋の宿泊者に迷惑になってしまうため、テントを張ろうと持ってきた。)これから先のルートや見渡す山々について詳しかったので、情報を聞いて私が先に出発した。(後にこの方には山の上のみならず、下山してからも大変ご厄介になることとなる。)

    シラネアオイ


    アカヤシオツツジとこれから目指す三国岳


    三国岳避難小屋とこれから目指す飯豊本山方面


    三国岳山頂に咲いていたカタクリ


    三国岳の山桜と飯豊連峰最高峰大日岳


    稜線でほころび始めたアカヤシオツツジと大日岳

 雪渓と土の登山道が入り交じるようなルートとなり、ところどころひび割れて今にも崩れそうなクレバスの横を慎重に通過しつつ、飯豊本山を目指す。驚いたのは種蒔山への登りの斜面だ。とても登れそうもない雪の急斜面につきあたり、そこでぱったりと足跡が途絶えている。果たして先行した人はどこをどう登ったのか?足元を良く見ると、左側に雪で傾いた木々の枝が横たわっており、その枝につかまりながら雪渓の端を登ったようだ。そこしか登れそうなところは見あたらなかった。距離にして10mくらいだが、ここはちょっと苦労した。そして登り付くと・・・一気に展望が開け、残雪たっぷりの飯豊本山が全容を見せるようになる。雪渓の下には切合(きりあわせ)小屋が見える。雪渓の中を切合小屋目指して真っ直ぐに進み、小屋の手前の水場で再び大休憩する。時間は12時半、順調に来てはいるが、見上げる飯豊本山はまだ遠い。(1日目後編に続く)

    種蒔山から見上げる残雪の飯豊本山

 (『山梨百名山から見る風景』ファンの皆様、ブログ更新が大変遅れてしまっていて申し訳ありません。シャクナゲ咲く瑞牆山、さらには飯豊門内岳、キタダケソウ咲く北岳とこの後訪れているのですが雑務が多くなかなか書けない状況です。申し訳ありません。
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好天、紅葉の九重山(2日目) 平成21年10月23日

2009年10月29日 | 日本百名山
 平成21年10月23日 天候晴れ

 朝から雲ひとつない好天となった九重山。すがすがしい朝の空気を吸いながら、朝6時半に法華院温泉を後にする。九州本土最高峰の中岳や久住山に行く道は数本あるのだが、今回は展望の良さそうな東側の鉾立峠から白口岳を経由して中岳、久住山を回るルートをとった。メンバー4人のうち2人はほぼ初心者と言って良いが、1人はトレランランナーでいざという時は走って救助を呼びに行ってもらえる強力なメンバーだ。

    法華院温泉出発。鉾立峠から白口岳へ。


    鉾立峠の朝


    朝日を浴びる白口岳

 朝日で赤く染まる山の稜線を見上げながら鉾立峠に登りつくと、東側には静かな霞が平地を覆い、阿蘇外輪山の一部が霞の上に浮いていた。山の上でこそ見ることができるすがすがしい朝の景色が広がる。ここから先、白口岳へはしだいと急登りになる。いつものスローペースで、30分に1回休憩を交えながら、疲労を残さないように登る。1時間半ほどで白口岳到着、中岳や久住山側の眺望が一気に開ける。目の前に迫る中岳の山頂には数人人が立っているのが見える。真っ青な空と、大船山をはじめとする周囲の山々の紅葉はちょうど見頃を迎えており、最高の眺望を楽しむことができた。

    白口岳から見る中岳


    稲星山の裾を巻いて中岳に向かう道。背丈以上もある低木のトンネルを進む。

 稲星山の裾を回りこむようにして中岳に向うが、この道は時にススキの薮、また背丈以上の高さの低木のドームがあったりと、なかなか楽しめる道だった。中岳への登りはこれまた見上げるような急登りで、ロープやハシゴのついているところもあった。頂上では5~6人の人たちが休憩しており、さらに御池側から続々と登って来る人たちの姿が見えた。ゆっくり休んでおやつを食べ、向かいに見える久住山目指して進む。

    稲星山を背に中岳に登る。遠く見えるのは阿蘇山。


    九州本土最高峰、中岳ゲット!


    これから登る久住山と御池

 ゆっくりしすぎて、予定よりも1時間近く遅れてしまっている。長者原のバス時間が15時37分なので、遅くても13時には下山開始しないと私たちの足では間に合わない。昼食時間を考えると、山頂には12時までには到着したい。そこで、久住山分岐でザックを置き、空身で山頂に行くことにした。私は一足先に山頂に行き、写真撮影を済ませて三脚をセットして記念撮影の準備を整え、3人の到着を待つことにした。12時10分ごろ久住山山頂に全員揃い、記念撮影を済ませて私は速攻で分岐まで下り、昼食の準備にとりかかる。本日のメニューは、山での定番、カップラーメン。ちょうどお湯が沸いた頃に3人が戻ってきたので、お湯を注いで3分待つ。トレランの高橋先生が水を1リットル余計に持ってきてくれてあったので、その水で食後のコーヒーを作って飲んだ。時間はちょうど1時、さて、下山だ。

    中岳を映す御池


    久住山から見る星生山(左)と、噴煙を上げる硫黄山


    山頂はたくさんの人が集う。


    久住山(日本百名山)ゲット!

 下りのルートは久住分かれから諏蛾守越を経て長者原に至るルートをとる。ピッチを上げて歩きたかったのだが、1人足が痛いのか、一向にピッチが上がらず、コースタイムで諏蛾守越まで40分のところを1時間以上かかってしまった。後にわかったのだが、新調した靴の靴紐の締め方が悪かったようで、足首の甲のあたりが真っ赤になって靴擦れ寸前の状態になっていた。諏蛾守越で既に時間は午後2時半、あと1時間で長者原に到着できるのだろうか?

    久住別れ。ここから諏蛾守越に下りる。


    諏蛾守越の手前、噴煙が間近に見える。(場所の名前忘れてしまいました。)

 硫黄山の山腹から吹き上がる白い噴煙を左手に見ながら、石のゴロゴロした道を下りて行くとやがて広い林道に出る。このあたりからようやくピッチが上がり始め、バスに間に合うかどうか微妙な時間になってきた。トレランの高橋先生に一足先に走ってバス停まで行ってもらって、5分以内ならばバスを止めて待っていてもらうことにした。高橋先生は時間ギリギリにバス停到着したようだが、もう行ってしまったようだという。午後3時40分、バス時間より3分遅れて私たちもバス停に到着した。あきらめて次のバス時間をチェックし、足湯にでも浸かりに行こうかと思っていたその時、50mほど離れた上のバス停に九州横断バスが到着した。どうやら普通のバスと九州横断バスはバス停が違うらしい。ザックを大急ぎで担いで走ってバス停に向かい、なんとか予定のバスに乗ることができた。そういえば、山の上でめったに咲いているところを見かけないオヤマリンドウがこの日は一斉に花を開いていて、今日は良いことがありそうだと話しながら歩いていたのを思い出す。バスが5分遅れたおかげで予定の便に乗ることができたのだ。

    諏蛾守避難小屋。小屋というよりは休憩所といった感じだった。


    間近に見える硫黄山の噴煙

 由布院駅前で下車し、テクテクと由布院の街中を歩いて宿泊先の秀峰館というホテルに行き、旅行の班長に無事到着したことを連絡する。一風呂浴びて、午後6時半から職員旅行第1班、総勢約30名が集合して宴会となる。(といっても挨拶と乾杯だけで、派手な宴会をやるわけではない。)歩いた後は食事も酒もうまい。ほろ酔い加減で2次会カラオケに行ったが、眠気が襲ってきて10時半までつきあって先に部屋に戻らせてもらった。
 ホテルの窓から秀峰由布岳の双耳峰が格好良く聳え立っているのが見える。元気があれば明日あの山にも登ってみたいのだが、既に98%、ゆっくり寝て休む方向に心も体も傾いていた。
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降る法華院温泉 九重山(1日目)  平成21年10月22日

2009年10月27日 | 日本百名山
 平成21年10月22日 天候晴れ時々曇り

 職員旅行で今年は九州へ行くことになった。行程予定では1泊目が博多か唐津(いずれかを選択)、2泊目が由布院なのだが、折角九州まで行くのだからどこか山に登ってきたい。そういえば、昨年の職員旅行は東北、平泉の中尊寺だったが、私は1日早く自分の車で出発して那須岳の三斗小屋温泉に宿泊してきた。夜から雪(吹雪)になって結局那須岳山頂には立てずに終わっている。さて、今年は・・・由布院の近くというと日本百名山の九重山と、日本二百名山の由布岳がある。初日の宿泊地を九重山の山中にある法華院温泉にして、2日目に九重山に登って由布院で一行に合流するプランを立てた。山登りする職員数人に声をかけたところ、私の他に女性3人が集まり、計4人で九重山に行くことになる。
 さて、当初の旅行会社からの予定では福岡空港に11時15分飛行機到着なので、12時5分福岡空港発大分行きの高速バスを予約し、玖珠インターで下車して九重山長者原(ちょうじゃばる)行きのバスに乗り換える予定を立てた。ところが、実際の飛行機はこの予定よりも1時間近く遅い便で、福岡空港に到着したのは12時15分ごろだった。高速バス予約センターに行き、止む無く次の13時5分発のバスをとり、長者原行きバスには間に合わないので予め玖珠インターでタクシーに乗れるように地元のタクシー会社に連絡を入れた。バスは予定より5分ほど遅れて、14時25分玖珠インターに到着し、出口でタクシーが待っていてくれた。このタクシーが大正解、地元の観光案内をしてくれ、また途中にある日本一長い吊り橋、九重夢大橋を案内してくれ、写真もとってもらい、さらにタクシー代を6000円でカットしてくれた。飛行機とバスのトラブルはあったものの、おかげで気分良く九重山に入山でき、時間もバス到着予定とほとんど同じ15時20分に長者原に到着できた。

    九重夢大橋  日本一長い人専用の吊り橋


    長者原タデ原にて九重山をバックに.

 長者原のタデ原から九州自然歩道を歩いて法華院温泉に行くには約2時間かかる。休憩時間を入れると、到着は6時ごろになるだろうから、途中で日が暮れてしまうのは確実だ。それも、最初から覚悟のうえでの計画である。15時半、長者原を出発。ちょうど山の中腹が紅葉真っ盛りで、三脚を立てて写真を撮っている人たちの姿があちらこちらで見かけられた。タデ原から見上げる九重山はすがすがしさを感じ、明日の登山が楽しみだ。

    途中から見上げる紅葉の九重山  凄い紅葉だったが,日が陰ってしまっているのが残念.


    中間点を過ぎた雨ヶ池あたりで日が暮れてしまう.

 山裾を巻くようにつけられている九州自然歩道は、最初は林道のような広い道だが、やがて登山道に変わる。看板やロープがつけられ、木の階段道も整備されてはいるのだが、下山してきた人に聞いた話だと、5~6年前に来た時よりもずいぶんと荒れてしまっているという。確かに木の階段道が壊れていたり、一部崩落している場所もあったのだが、通行には全く問題ない、良い道だった。ガレた川筋から見上げる紅葉はまさしく真っ赤、赤い絵の具で塗ったような色をしていた。甲府ではあまり見かけられない鮮やかな色の紅葉だった。
 中間点を過ぎた雨が池という場所あたりで日が沈んでしまう。ここまでは昇りの道だったが、この先はなだらかな下りになっていた。林の中ですっかり暗くなり、ヘッドライトを点灯する。甲府では5時半にはもう暗くなってしまうが、九州は日没が30分近く遅く、6時少し前にヘッドライト装着となる。石のゴロゴロした暗い林の中の道を転倒しないように歩いて行くと、日没後の薄明かりの向うに突然大きな葦の湿原が広がり始めた。ラムサール条約登録地の坊ガツル湿原だ。ここまで来れば目指す法華院温泉小屋はもうすぐだ。少し歩くと車が走れる大きな林道に抜け、10分ほど林道を歩いて法華院温泉小屋に到着した。時間は18時20分、小屋の中では宿泊者たちがちょうど食事している最中だった。

    夕暮れの法華院温泉  空は雲でおおわれてしまう.

 受付を済ませて部屋に行くと、平日なので空いていたようで、女性3人用と私用に6畳の部屋を2間用意してくれた。目新しい畳のきれいな部屋で、広々とのんびり寝ることができる。さっそく食事に行くが、牛煮込み、鳥のから揚げ、サラダ、ソバ、ヨーグルトデザートなど、山小屋とは思えない豪勢な食事だった。2食と温泉付きでこの食事で9,000円は安い。山に登らずともこの温泉小屋は超おすすめだ。温泉はやや白く濁り目の温めのお湯で、自分の足で歩いてこそ入れる秘湯の名にふさわしい湯だった。お風呂のベランダから夜空を見上げると、先ほどまで曇っていた空が晴れ、きれいな星空が広がっていた。本日はオリオン座流星群が観察できる日だ。

    大船山側の空.明るいのはおそらく湯布院の明かり.星空の見えているところで30分で2個流星を観察した.

 お風呂から上がって一旦部屋に戻り、しばらく寝転がって休んでいたが、やはり外の星空が気になる。9時ごろ三脚とカメラを持って外に出てみると、一旦は星空が広がった空だったが半分以上は雲におおわれてしまっていた。雲のかかっていない空は星空の名所らしい、きらきらと輝く星空が見えている。オリオン座流星群を目当てに空を見上げている人たちが5~6人ほど空を眺めていた。ベンチに座って空を眺めていると、雲のかかっていない空にスーッと流星が流れていった。30分ほで2個見ることができたが、さらに雲が広がり始め、9時半にあきらめて撤退、寝ることにした。
 部屋は6畳1部屋独占なので、荷物を広げっぱなしで窓際の星空が見える場所に布団を敷いて、目を開ければ空が見えるようにして寝た。睡眠薬1錠飲み、10時にはもうすっかり眠りについていた。明日は6時出発予定なので、目覚ましは5時にセットした。

    南中するオリオン座と法華院温泉小屋


    星降る法華院温泉小屋  山の上にはカシオペア座が沈み始めている.


    オリオン座と冬の大三角形  この位置で流星を捉えたかったが,1個も写らず.

 ふと目が覚めると、窓ガラス越しにオリオン座の三ツ星が燦々と輝いているのが見えた。時間を見ると4時だ。窓を開けて空を見上げると、雲ひとつない快晴だ。服を着込んで三脚とカメラを持って外に出る。空は見渡す限り晴れ上がり、燦々と星の降る凄い空だった。オリオン座はちょうど南中していちばん高い位置に昇っている頃だった。空をじっと見ていると、流れ星が時折流れて行くのが見える。オリオン座流星群というのだからオリオン座の周辺に飛ぶのかといったらそういうわけではなく、放射の中心部がオリオン座付近にあるというだけで全天空に流星は舞う。しかし、できればオリオン座の入る位置で流星を捉えたいので、その方向にカメラをセットして再三シャッターを切るが、飛んでゆくのは反対側の北斗七星の方角だったり、また良い場所に飛んだと思えばシャッターが開いていない時間だったり・・・30カットほど撮影したが、結局流星は1度も捉えることができずに夜が明けてしまった。しかし、肉眼では1時間で6~7個見ることができ、満足できる流星群観察ができた。

    法華院温泉と薄明の空  この時間は空が青く写る.小屋の上にはプレアデス星団が輝く.白い筋は流星ではなく人工衛星.


    夜明け前のオリオン座と冬の大三角形  もう空は明るくなり始めた.流星の観察はここまで.

 さて、天気は良好、部屋に戻って朝食(小屋の朝食は6時45分からだが、弁当にして前夜にもらってある)をとり、準備して九重山目指して出発だ。
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槍の穂先からあの星は見えるのか? 槍ヶ岳(3日目)

2009年10月21日 | 日本百名山
 平成21年10月12日 天候晴れ

 前日重い荷物を背負っての南岳稜線歩きは結構疲れた。明日も休みをとってはあるのだが、上高地までの距離(約22km)を歩いて14日(水)から勤務(午前中から手術がある)となると、体力的に厳しいものがある。天気予報では明日も晴れそうなのだが、ここは本日撤退して明日は静養したほうが無難だ。食料が丸1日分余ってしまうので、前日私のテント場の向いにテントを張っていた若者3人組に相談したところ、快く岳ソバ1袋とソバ3束、それとカレーのレトルトパック1パックを引き受けてくれた。下山するならできるだけ荷物を軽くして下りたい。

    月光の槍ヶ岳と昇る北斗七星


    月の輪と槍ヶ岳

 さて、朝は3時に起床して3時半から行動開始した。テントから外に出ると、薄雲が広がり星空はいまひとつだ。オリオン座が南東の空に昇ってきているのが雲間から見える。半月を2日ほど過ぎた月が昇り、ヘッドライト無しでも歩けるくらいに明るい。まず西鎌尾根に向かうところに槍と小槍が見える絶好の展望台があるのでそちらに向かう。小槍の左手にちょうど北斗七星が昇ってきており、月光に照らされた槍ヶ岳の雪が白く光り、神秘的な風景が広がる。薄雲におおわれた月は輪をかぶっていた。

    月光に輝く薄明の穂高岳  槍ヶ岳山頂からの風景.ブログの写真では見えないが,奥穂高岳の右上,雲の間にうっすらとカノープスが輝いている.


    薄明の常念岳  予想以上に明るく,露出オーバーの写真となる.空にひときわ明るく輝く星は金星.

 4時半、いよいよ槍ヶ岳山頂に登る。この時間に登っている変わり者は私一人だった。月明かりに照らされた槍ヶ岳は、ルートを示す矢印が良く見え、難なく登ることができた。20分ほどで山頂に到着し、すぐに気になっていた南の空、穂高岳の上空を見つめる。南中した冬の大三角形を目印に、あの星、そう、この季節になると南の超低空に姿を現すカノープスを探すが、残念ながら低空に薄雲がかかり、肉眼では確認できなかった。カメラでは肉眼で見えない星も捉えることができるので、さっそく三脚を出して撮影にとりかかる。星は見えずとも、薄雪を纏った穂高岳から大喰岳の斜面が月光に照らされて白く光り、隠微な景色が広がっている。後に撮影した写真をプリントしてみると、奥穂高岳山頂のやや右上にうっすらとカノープスが写っており、槍の穂先からこの星が見えることがわかった。

    寒いと思ってたくさん着込んでいったが,さほど寒くはなかった.私の持っている温度計では気温-2℃.


    朝日射しこむ笠ヶ岳と影槍ヶ岳


    白き薬師岳  向うはかなり雪が降ったらしい.


    常念岳の上に朝日が昇る


    朝日射す穂高岳

 20分ほどすると、女性が単独で登ってきた。その後、5時半を過ぎて明るくなってきた頃からちらほらと登ってくる人が増えてきた。山頂は御来光を見る人であふれかえるのかと思っていたが、以外にも日の出の時には10人に満たないほどの人しかいなかった。夜明けとともにしだいに雲が晴れ、富士山も見えるようになってきた。眺望が良いし、山頂は空いていたので下りるのが惜しい気がしたが、本日下山するので、7時に山頂から下り、朝食をとってテント撤収する。

    殺生ヒュッテ付近から振り返ってみる槍ヶ岳


    槍ヶ岳を開山した上人がこもって念仏を唱えたとされるお洞

 8時半、下山開始する。下りは殺生ヒュッテ横のルートを下るが、ジグザグにうまくルートがつけられている。振り返っては槍ヶ岳を眺めて写真をとり、また少し歩いては振り返って・・・槍ヶ岳の眺望をなごり惜しみながら下山する。次はいつ来られるか、全くわからないが、表銀座や裏銀座も歩いてみたい。急ぐことなく、体調を整えるように自分のペースで歩き、午後4時半、無事に上高地に到着した。天候に恵まれ、雪を纏った槍・穂高連峰を見ることができた、素晴らしい3日間だった。

    槍沢に注ぐ滝と紅葉  下山しながら再写.
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紅葉の槍沢から天狗池を越えて 槍ヶ岳1‐2日目 平成21年10月10-12日

2009年10月19日 | 日本百名山
 10月10日(1日目) 天候曇り時々雨
 10月の連休、昨年は紅葉の涸沢を訪れたが、今回は槍ヶ岳に行ってみることにした。今年は紅葉が例年より2週間近く早く、涸沢の紅葉はもう終焉を迎えていると聞いた。おそらく槍沢の上、天狗原や天狗池ももう終わってしまっているのだろう。連休翌日の13日は遅い夏休みを1日とってあるので、3泊4日の予定で上高地から入山した。
 沢渡大橋に車を止めてバスで上高地に移動、混雑するかと思いきや、以外にもバスはがらがら、10人くらいしか乗っていなかった。8時45分、上高地バスターミナルから歩き始め、長い林道をひたすら歩いて11時半に横尾に到着した。元気があれば蝶ヶ岳から常念、大天井を越えて槍ヶ岳に入りたかったのだが、テントと4日分の食料等で20kg強の荷物を背負ってロングコースを歩く体力はとてもない。さらにこの日は天気がいまひとつで、横尾で休んでいると小雨が降り出した。この日はババ平のテント場で寝ることにする。

    横尾大橋 登山客が大勢訪れていたが、そのほとんどは涸沢に向っていった。


    槍沢ロッジ前の谷の紅葉

 その後も雨は降ったり止んだりで、上着だけカッパを着て凌ぐ。槍沢ロッジ前の紅葉はちょうど見頃を迎えていたのだが、雨混じりの曇りの天候で写真に撮ると色は映えなかった。ババ平には午後3時半ごろ到着したのだが、テント場はかなり満員状態で、いちばん端にスペースはあったのだが、景色はほとんど見えない場所だ。どうせ寝るなら夜空と景色が見える場所、と河原を見ると、2~3張テントが張られている。大雨で増水すると危険なことになり得るが、今日はそんな心配はなさそうだ。河原の真ん中近くまで移動していちばん槍ヶ岳寄りにテントを張った。槍沢の谷が良く見え、左から沢に落ち込む数本の滝、その向うには槍ヶ岳東鎌尾根も見渡せる良い場所だ。紅葉はやや過ぎているが、まだ十分に美しい。この日は山と谷に囲まれてテントの中で寝る。

    ババ平のテントを張った河原から見る槍沢の上部と東鎌尾根

 10月11日(2日目) 天候晴れ
 翌朝は3時半に起床し、テントの外を見ると、空はあいにくの薄雲がかかり、星はあまり見えていなかった。オリオン座が昇ってきていたので、雲の切れ間を見て何カットか撮影した。テント撤収し、未明4時半、天狗池目指して出発。日の出の槍ヶ岳が目的だが、途中東鎌尾根に沈んで行くカシオペア座や、槍沢の彼方に雲のように白く聳える山(この時は暗くてわからなかったが、日が昇ってから大喰岳とわかる)など撮影していると、あっという間に夜が明けてきてしまった。結局天狗原分岐に到着したのはもう夜が明けた6時40分になってしまった。

    空高く昇ったオリオン座  テントの前から。


    東鎌尾根に沈むカシオペア座


    白く雪を被った大喰岳  肉眼では白い雲が湧いているように見えた。

 この頃にはすっかり雲が晴れてほぼ快晴に近い空になっていた。ナナカマドの紅葉は盛期を過ぎ、やや茶色っぽくなってしまってはいるが、残っている場所もあった。ちょうど朝日が良い角度で槍ヶ岳を照らし、PLフィルターが無くても空が真っ青に写ってくれる。存分に写真撮影を楽しみながら天狗池を目指す。

    夜明けの中岳と大喰岳  薄雪を纏っている。


    天狗原分岐


    天狗原のナナカマドと槍ヶ岳

 途中急斜面があり、雪が数センチメートル積もっていた。下山してくる人がいたので道を空けて下で待っていると、足を岩にひっかけたらしく、転倒して3mほど転げ落ち、私の目の前で止まった。頭から突っ込んだが、顔に少々の擦り傷を負っただけで大事に至らず良かった。8時10分、天狗池到着。氷河公園の名の通り、若干雪渓が残っており、池には薄氷が張っていた。既に15人ほどの人たちが休んだり、写真を撮ったりしていた。この時間、ちょうど天狗池に朝日が差し込んでくる時間で、遅くなってむしろちょうど良かったかもしれない。やや風が吹いていたので湖面に逆さに映る槍ヶ岳は上手く撮れなかったが、噂通りの素晴らしい眺めが堪能できた。

    天狗池と槍ヶ岳  逆さ槍が映る有名な構図です。


    北穂高岳と前穂高岳  眼下のカールが登れれば南岳はもっと早く登れそうだが・・・


    南岳中腹から見上げる槍ヶ岳

 その先南岳の稜線までは急登が続く。鎖場や苦手のハシゴもあり、しかも雪で滑りやすい。登るたびに変わってゆく槍ヶ岳の眺望を楽しみつつ、転倒・滑落しないように慎重に登り、11時45分、南岳分岐に到着した。眼前に南岳山頂が迫り、ここから20分ほどで行けるのだが、予定よりも大幅に時間が遅くなった(予定では10時に南岳)ので、ここは立ち寄らずに槍ヶ岳方面に進む。下から見上げた時にはさほどアップダウンがある尾根には見えなかったのだが、実際には結構な下りと登りが続く。特に中岳から大喰岳への下りはハシゴと鎖がつけられた急下りで、雪がついていたのでかなり恐かった。その先の大喰岳への登り返しも結構辛い。

    雪と雲を纏った南岳


    常念岳(右)から大天井岳の稜線。元気があればあの稜線を歩きたかったが、かなり長いし、アップダウンもある。


    大喰岳の下りと槍の穂先  雪がついているので慎重に下る。


    雲巻く槍ヶ岳

 南岳分岐に到着したあたりから稜線上は雲が湧き始め、視界がしばしば遮られる状態になってきた。大喰岳から槍ヶ岳への稜線も雲に巻かれてあとどれくらいで槍ヶ岳に到着できるのか全くわからなかったのだが、突然雲が途切れた瞬間、眼前にドンと聳え立つ槍ヶ岳が見えるようになった。もうほんのわずかで到着ではないか。時間は午後2時40分、まだ早い。雲の流れを見ながら、大喰岳下りの斜面でシャッターチャンスを待つ。30分ほどカメラを構えたが、それでも槍ヶ岳テント場には3時40分に到着できた。

    槍ヶ岳山荘前から見る槍ヶ岳


    雲海に沈む夕陽  左手に頭を出しているのは笠ヶ岳


    夕暮れの大喰岳


    常念岳とearth shadow  水平線に地球の影が暗く映る。

夕方5時20分、西の空に夕陽が沈んでいった。雲は視界の下に沈み、見渡す限り一面に雲海が広がった。笠ヶ岳の山頂がちょこんと頭を出し、東の空には格好良い三角錐の常念岳が頭を出している。久しぶりに見る雲海上の夕暮れ、素晴らしい山上でのひとときだった。さて、明日は夜明け前に槍ヶ岳山頂に立つ予定だ。8時にはシュラフを被って眠りに着く。
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山陰遠征、伯耆大山  平成21年10月1日

2009年10月15日 | 日本百名山
 平成21年10月1日 天候晴れ

 学会で島根県松江市に行く機会があったので、ついでに鳥取の大山(いや、大山に登るついでに学会に参加?)に登って来た。当初は9月29日(火)の夜行バスで米子まで行き、翌日大山登山し、10月1日(木)から学会参加の予定だったのだが、30日は雨の天気予報だ。だとすれば、10月1日朝から登って早めに下山し、午後から参加ということになる。(学会は午後2時から始まる。)バスだと移動が面倒なので、9月30日、車で出発することにした。片道約650kmのロングドライブだ。
 午前8時半、甲府を出発。中央道、東名、中国道、米子道と乗り継いで約8時間かかって大山に到着した。大山寺周辺の駐車場は有料だが、ゲートのところに人はおらず、自由に止められるようだった。1ヶ所、大山夏山登山道下の駐車場は無料と書かれていたので、翌日はそこに車を止めて登ることにする。本日は車内泊、どこに止めるか大山寺周辺をドライブして回るが、霧が深くて眺望が全く利かず、大山を見ながら眠れる場所が見つからない。豪円山というスキー場になっている小高い山が眺望に恵まれていると昭文社地図に書かれていたので、その山の入り口を確認し、その近くの駐車場に車を止め、明日早朝、豪円山から大山の上に昇って来るオリオン座と冬の大三角形を狙うことにする。夜8時には早々に車の中でシュラフを被って寝る。

    大山の上に昇るオリオン座と冬の大三角形


    大山とおおいぬ座シリウス  薄明の時間の青い空が美しい。しかし、この頃からレンズに異変が現れる。


    朝の大山北壁  レンズが結露して画像が白っぽくなってしまう。

 朝3時半起床、4時から豪円山を目指す、といっても20~30分もあれば山頂まで到着できるはずだ。ヘッドライト点けてスキー場の中の林道を行き、途中で左に行く登山道があるのでそこを登る。一応刈り払われてはいるがずいぶんと荒れた道だった。5分ほど登ると草むらに突入、すっかり荒れている。さらに進むと、今度は背丈の1.5倍ほどあるカヤの草むらに突入、もうどこが道だかわからない。朝露に濡れた草むらを歩くため、ズボンも靴も服もびしょ濡れだ。山頂は目の前なので強行突破すると、方位板の立った広い山頂に飛び出した。しかし、残念ながら山頂周辺の高い木々に阻まれて大山は一部しか見えず、撮影はあきらめる。登って来た方向と反対側を見ると広い道が続いていた。おそらくは林道に続く道だろう。そちらに歩いて行くと、そのまま林道につながっていた。先ほどのヤブコギの苦労は何だったのだろう。下りて行くと途中に大山の眺望が良い小高い丘があった。時間は4時50分、山梨だとそろそろ朝焼けが始まる時間だが、西日本なので夜明けが遅く、暗い空の中にオリオン座が燦々と輝いていた。ここでようやく三脚を立てて撮影できた。日の出過ぎまで粘って朝日射す大山北壁を捉えたかったのだが、朝露と朝靄でレンズが結露し、何度拭き取っても画像が白くボケてしまう。どうやらフィルターではなく、内部のレンズが結露してしまったらしい。6時過ぎ、大山に陽が差し込む前にあきらめて撤収し、車に戻る。

    大山夏山登山道入り口


    夏山登山道沿いにある金色堂(だったかな?名前が間違っているかも。)


    美しいブナ林の中を整備された木の階段道が続く

 車内で朝食をとり、7時、前日見ておいた夏山登山道入り口近くの駐車場に移動する。既に4~5台の車が止まっていた。7時15分、大山向けて出発する。最初はセメントで固められた道、その先は木の階段で作られた道、整備の行き届いた道が続く。中腹のブナ林は植林などの手が入っていない自然のままの姿で保存されていて見事だった。レンズの調子が思わしくなく、覗いてみると内部レンズの1枚が完全に結露してしまっている。これでは使い物にならない。残っているのは星空撮影用の15mm fisheyeだけだ。止むなし、そちらに付け替えて撮影する。

    5合目の元谷方面分岐。道標や案内板が随所に整備されている。


    大山の案内板。fisheyeの画像なのでフレームが歪んでいる。

 6合目避難小屋を過ぎたあたりから傾斜がややきつくなるが、相変わらず階段状に整備された良い道が続いている。山は色付き始めてはいるが、紅葉にはまだ3~4週間ほど早そうだ。8合目を過ぎ、頂上部の傾斜が緩くなったあたりからは木道になり、あたりにはハイマツのような低木が一面に生えている。大山特有のキャラボク林だ。木道は登山者からキャラボクの林を守るために設けられたものだ。

    8合目上のキャラボク林


    キャラボクの木と赤い実


    大山弥山山頂から見る最高点の剣ヶ峰  稜線上は崩落著しく、通行禁止になっている。(15mm fisheye画像)


    島根半島と三保湾の眺望(15mm fisheye画像)




    同、17-55mmレンズ、PLフィルター画像

 山頂直下には立派な大山山頂避難小屋が立ち、そのすぐ向うが大山山頂(弥山山頂)だ。10時半に山頂に到着した。最高点は剣ヶ峰で、その先に見えるのだが、頂上稜線の崩落が著しく、現在通行止めになっている。しかし、何人か縦走している人も見かけた。結露したレンズはまだ使えないが、天気が良かったので日の当たる場所に出して乾かしておいたところ、約40分で復活した。周辺が歪むfisheyeよりも自然に写り、PLフィルターもバッチリ効く。おかげで山頂ですっかりのんびりとしてしまい、下山開始は11時半になってしまった。

    元谷と避難小屋


    元谷から見る大山北壁

 下りは5合目から右に曲がって元谷から大山北壁を眺め、大神山神社奥宮を回り、大山寺に下山した。ここの参道は日本一長い石畳の道だそうで、歴史を感じるしっとりした味わいのある道だった。

    大神山神社奥宮


    奥宮に続く石畳の道

 予定より2時間近く遅れてしまったが、午後2時に下山、汗臭い体はウェットティシューでとりあえず拭き、ワイシャツとネクタイ姿に変身して学会場へ急いだ。聞きたかったシンポジウムには余裕で間に合ったのだが、英語講演は何を言っているのかさっぱりわからず、すっかり夢心地だった。(翌日は朝から真面目に学会参加しました。)
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東北遠征2 雲の上の会津磐梯山  平成21年8月30日

2009年09月04日 | 日本百名山
 平成21年8月30日 天候曇り

 前日西吾妻山から下山後、川上温泉の露天風呂で汗を流し、夕食を済ませ、会津磐梯山で最も人気のある(というか、楽に山頂に行ける)八方台登山口に移動する。到着したのは午後6時半ごろで、そろそろあたりが暗くなってきた頃だった。車が1台止まっていたが中に人はおらず、上の小屋に宿泊しているらしい。明日は早朝出発、できれば日の出を山頂で迎えたい。約2時間の行程なので、出発時間を午前3時半に設定し、7時半にはシュラフをかぶって車の中で寝る。
 携帯電話をうっかり自宅に置き忘れてきてしまって、目覚ましがセットできなかったが、2時半にぱっと目が覚めた。車の外に出ると、新たに2台車が止まっており、私と同じようなことをやっている人がいるようだ。空を見上げると曇り空だが、その隙間から時々星空が透けて見える。どうやら雲は薄いようだ。予定通りに午前3時半、八方台駐車場を出発する。

    中の湯から見上げる夜の会津磐梯山.右の三角錐が磐梯山.


    お花畑と弘法清水分岐あたりから見上げる会津磐梯山

 林道のような広い道を30分ほど歩くと硫黄臭のする中の湯温泉跡地に到着する。池らしきものの先に何か建物が建っているようだが、真っ暗で何も見えない。遥か先に何か尖った山影がうっすらと見えるが、あれが磐梯山山頂なのだろうか?中の湯の先は木道と木のステップがついた歩きやすい道が続く。傾斜がややきつくなったかと思うと、今度は水平に巻くような道になり、夜間真っ暗な中を歩いていると大きなピークの山腹をぐるりと半周くらい回るような錯覚を覚える。そしてまた登りになり、4合目弘法清水直下のお花畑に5時30分に到着した。そろそろ日の出の時間でもうすっかり明るくなっているが、空は雲におおわれて、東の空が少しだけピンク色に染まるだけで日の出は拝めそうにない。山頂での日の出はあきらめる。

    4合目岡部小屋と弘法清水  (帰り際に撮影)


    山頂直下から吾妻連峰を望む

 弘法清水の看板に従って進んでゆくと、岡部小屋という4合目の小屋があり、小屋の前に弘法清水が流れ出ていた。小屋の方にあいさつして、そのまま山頂に向う。ここから先は急登となるが、木の階段が整備されている。中腹からは眼下一面に雲海が広がっており、曇り空ながら昨日登った吾妻山も見ることができた。山頂に6時半、本日一番乗りで到着した。向こう側の猪苗代湖は完全に雲の下、桧原湖も雲におおわれている。向いの櫛ヶ峰は頭の上だけ出してその下を雲が流れて行く、雲の上の世界に飛び出した。思いもよらぬ景色に出会うことができ、1時間近く山頂に居座ってしまう。

    雲海寸光  雲の隙間から一瞬だけ雲海に陽が射し込む.頭を出しているのは櫛ヶ峰.


    この雲の下には大きな猪苗代湖が隠れている.


    雲が飛ぶと,隣の櫛ヶ峰はこんな風景.

 帰りは岡部小屋から右に回ってお花畑を歩いてみると、植生保護のためロープや木の境界が設置され、アキノキリンソウやヤマハハコなどが一面に咲いていた。三脚を立ててあちらこちらで写真を撮り、ここでも30分以上時間を費やしてしまう。下山し始めたのは8時半になってしまった。

    ミヤマアキノキリンソウのお花畑と会津磐梯山


    中の湯跡地.池に溜っているのはお湯・・・ではなくて水でした.熱いお湯が沸き出している場所もあります.

 中腹あたりから続々と登山者がやってくる。中には知的障害者のグループもいた。中の湯の手前で下山中の地元のご老人と一緒になる。いろいろと話を聞きながら下山するが、現在は廃業している中の湯はかつてたくさんの人で賑っていたそうだ。確かに、建物を見ると大きな建物が3棟ほど建っている。道は現在の八方台からの道ではなくて、裏磐梯スキー場のほうから延びていたらしい。現在そちらの道は崩落してしまって通行不能になっている。道が良くなりすぎて日帰りで簡単に行けるようになってしまったので廃業してしまったのか、詳細は不明だが、良い温泉場が使われずに放置されてしまっているのはもったいない気がする。
 9時までには下山して甲府に出発の予定だったのだが、結局八方台の登山口に到着したのは、9時45分になってしまった。高速道路をひた走り、渋滞に巻き込まれることもなく、甲府には午後4時、予定通りに到着できた。片道6時間の車の運転はちょっと辛い。
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東北遠征1 デコ平から西吾妻山へ  平成21年8月29日

2009年09月03日 | 日本百名山
 平成21年8月29日 天候曇り時々雨

 天気予報では前線が南下して関東・甲信越地域は週末雨の予報だ。北に行くほど天気は良さそうなのだが、30日(日)の選挙と回診を考えると午後5時までには甲府に戻りたい。となると、行けそうなのは会津あたりか、高速で行ける蔵王あたりまでだ。28日(金)は夜9時に早々に寝て、未明1時起床、さっそく出発する。
 中央道から圏央道を走り、いったん高速を降りて一般道を通り、加賀インターで東北自動車道に乗りなおして北を目指す。栃木県に入ったところで睡魔に襲われ、サービスエリアに逃げ込んでちょっと車の椅子を倒して横になると・・・気がつけばもう2時間近く時間が過ぎ、あたりは明るくなっていた。時間は5時半、もう陽が昇る。思ったよりも空は晴れている。福島あたりでも天気は持ってくれそうだったので、本日の行き先は西吾妻山に決定。登り口がいくつかあるので、地図を確認し、まずグランデコロープウェイ駅に行き、運行時間が良ければロープウェイを使うことにする。8時に到着すると何人かの人が準備をしていた。案内の看板を見ると本日は8時半から5時まで運行している。ちょうど良い。出発の準備をしていると放送があり、8時20分にはもうゴンドラリフトが動き出した。片道1000円だが、往復で購入すると1500円だ。天気はどんより曇り空に変わり、ロープウェイに乗るとすぐに雲の中に突入、視界がきわめて悪い。天気が持ってくれれば良いのだが、ちょっと心配だ。

    まるで雲の中に入って行くような感じ。グランデコゴンドラリフトから。


    デコ平のヨツバヒヨドリで吸蜜するアサギマダラ。向こうに見えるのはリフト山頂駅。

 15分ほどで標高1480mの山頂駅に到着する。ゴンドラリフトの中にあった解説本によると、7月下旬から8月にかけてこのデコ平周辺にはアサギマダラという蝶が集結し、ヨツバヒヨドリで吸蜜している姿が見られるという。アサギマダラは長距離を移動する蝶で、ここでマークされた蝶が2100kmも離れた与那国島で確認されたという。何故そんな長距離を移動するのかはわかっていない。山頂駅を降りて右に進むと登山道入り口がある。登山道に入るとすぐにヨツバヒヨドリの大群落があり道はその中を這うように登って行く。解説書で見たとおり、アサギマダラが乱舞しているが、なかなか良い場所にとまってくれない。吸蜜風景を撮るためにお花畑の中を行ったり来たり・・・2組のペアに追い抜かれる。

    草モミジの紅葉と西東山  西大巓直下から。


    西大巓山頂。向こうに見える西吾妻山は雲に巻かれる。このあと雨が降り出す。


    オヤマリンドウと山頂付近のお花畑。このあたりは池塔が点在する。


    ウメバチソウ(白い花)とウサギギク?(黄色い花)

 ヨツバヒヨドリの群落を過ぎると今度はツガの林に入る。やや薄暗い林だが、登って行くにつれて木が低くなり、ダケカンバの混じる明るい林になる。一旦平らになってその先は見上げるような急登が待っており、登りつけば西大巓・・・と思いきや甘かった。西大巓のピークはその先だった。直下には西吾妻山を眺望する抜群の場所があり、イワイチョウとバイケイソウの紅葉が見られた。

    吾妻神社


    天狗岩側から見る西吾妻山

 時間は11時、山頂駅から西大巓までに費やした時間は2時間弱だ。小休止後、西吾妻山を目指す。この辺りから西吾妻山山頂にかけてお花畑が広がっており、ウメバチソウやオヤマリンドウなどがたくさん咲いていた。一旦コルに下るが、道は稜線よりもかなり下につけられており、結構下る。途中で雨が降り出し、カッパを着てカメラは一旦ザックの中にしまう。笹原の中の道を登りつくと、木道がついており、ほどなく西吾妻小屋の横に到着する。山頂はここで右に曲がれば良かったのだが、立派な西吾妻小屋に気をとられてそちらの方向ばかり見て歩いていたところ、知らないうちに分岐点を過ぎてしまった。そのまま進んでゆくと山頂からどんどん遠ざかって行き、その先に石を積んだ祠らしきものが見えてきた。行ってみるとそこは吾妻神社だった。休憩中の人に道を聞くと、その先から山頂に行く道があるとのことで、戻るようにして山頂に進む。(梵天岩はもう少し先にある。今回は立ち寄らず。)山頂直下は植生保護のため木道が設置され、地面には藁のむしろが敷かれていた。大切に管理されている様子が伺える。

    西吾妻山直下のお花畑と木道。天狗岩側を振り返る。


    吾妻連峰最高峰、西吾妻山山頂。樹林の中の静かなピーク。

 山頂には12時半に到着した。吾妻連邦最高峰は林の中の地味なピークだった。展望は悪いがここで昼食(本日は松屋の牛丼を持ってきた)をとって休憩する。下ってゆくと木道があり、西吾妻小屋の分岐につながっていた。ついでに小屋を拝見してきたが、2階建ての立派な小屋で50人は宿泊できそうだ。水場はないがトイレがついている。寝具を持ってゆけば快適に眠れそうだ。
 来た道をたどって下山、明日のことを考えて下りもゆっくりと行く。13時小屋を出発し、デコ平山頂駅には15時15分に到着した。相変わらず、ヨツバヒヨドリの周りにはアサギマダラが乱舞していた。

    デコ平のヨツバヒヨドリ群落  小野川湖が右下に見える。

 さて、下山後は川上温泉の露天風呂につかり、体をもみほぐす。熱いお湯が苦手の私にとっては温くてちょうど良い湯だった。明日は会津磐梯山を予定しているが、ちょうど磐梯山に登って来たという人たちとお風呂で一緒になったので状況を聞くと、登りやすい人気の山で、団体客や学校の集団登山などでお昼ごろの山頂は人がいっぱいだったという。混雑を避けて明日は早朝日の出前に登ることにする。おかみさんにラーメン屋を紹介してもらい、喜多方ラーメンを食べた後、会津磐梯山八方台口に向う。この日はシュラフをかぶって車内泊だ。
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巡礼の山、御嶽山  平成21年8月23日

2009年09月02日 | 日本百名山
 平成21年8月23日 天候晴れ

 7月に所属する山岳会嶺朋クラブで御岳登山があったのだが、時間的都合で参加できず、今回単独で行くことにした。主な登山口が5か所ほどある御嶽山だが、今回選んだのはその中でも最も早く切り開かれた巡礼の道(開かれたのは1,785年)、御嶽ロープウェイを利用しての黒沢口からの道を選んだ。
 朝4時前に甲府出発し、中央道を伊那インターで降り、権兵衛トンネルを通って御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅に7時40分到着した。既にロープウェイを待っている人が10数人ほどいた。本日は8時から運行を始め、最終が17時(通常は9時から16時まで)、普通に行けばゆったりと山頂往復できる時間だ。8時にロープウェイに乗り、7合目の飯森高原駅の展望台に真っ先に行き、ここからだけ見られるという幻の大滝をまず眺める。解説を見ると、この規模の大きな滝では日本最高所のものらしい。

    ロープウェイ鹿ノ瀬駅の花壇から見上げる御嶽山。咲いているのは蕎麦の花。


    御嶽山幻の大滝。この規模の滝では日本最高所の滝。


    植物園の隅にある御嶽社。この裏に道が続いており、そちらに行ったのがそもそもの間違い。

 飯森高原駅の周辺は植物園になっており、紫色の濃いタカネマツムシソウが咲いていた。そのほかの植物園に植えてある花の名前を見てビックリ!テカリキリンソウ?さらにハヤチネウスユキソウまであった。これは盗掘じゃないのか!?と少しばかり腹がムカつく。その先に御嶽社という神社があり、その裏側に道が続いていたので、てっきりそれが登山道だと思って登って行くと・・・ロープの張られた整備された道、しかし途中で二手に分かれていて何かおかしい。もう一つおかしいのは誰も歩いていないし、声も聞えない。なにか変・・・と思いつつ20分ほど登ると、二手に分かれた道が合流してその先は・・・ロープが張られていて行き止まりになっていた。どうやら神社の裏の遊歩道らしい。30分ほど時間をロスしてしまい、登山道入り口の7合目行場山荘を9時15分に通過した。

    御嶽ロープウェイ利用の場合、登山道の入り口とも言える7合目行者山荘。


    8合目女人堂までは巡礼の道らしい木の階段道が続く。


    樹林帯を抜け、女人堂が見えるようになってくる。このあたりから眺望が良くなる。



    歴史ある信仰の山らしい様々な建造物が立っている。

 この先8合目女人堂までは巡礼の道らしい木の階段の道が続く。子供連れの人たちや、巡礼の白装束を纏った人たちなど、たくさんの人たちが登ったり、下りてきたりする。1時間ほどで8合目女人堂に到着、ここで一気に視界が開け、目指す御嶽山山頂や、北側の乗鞍岳・北アルプス、東から南側には八ヶ岳から南アルプス、そして中央アルプスの峰々がずらりと見えるようになる。曇り空ながら、遠くまで見渡すことができた。このあたりには西国開基、刀利天王像、御嶽全山総霊神之碑といった霊山らしい建造物がいくつも立っている。登山道は石のゴツゴツした道に変わるが、踏み固められていて浮石などは少ない。黒岩という溶岩の大岩を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり、石室山荘の横を通り過ぎて11時40分ごろに覚明堂に到着した。

    石室山荘直下のオンタデ群落。この花は最初に御嶽山で見つけられたためこの名がある。


    山の斜面を見下げるとハイマツの根が白く露出している。気象の厳しさがうかがえる。

 20分ほど休憩して軽食をとり、山頂に向う。二の池分岐の福仙大菩薩像あたりから山頂を見上げると、昼食時ということもあってたくさんの人でごったがえしているように見える。そこで山頂手前にある鳥居の立つ小ピークに立ち寄り、そこで写真を撮ることにした。こちらはロープの張られた登山道からちょっと外れるので立ち寄る人も無く、人を気にせずに三脚を立てることができる。空は晴れ始め、青空が見え始めた。中央アルプスのその向うに並ぶ南アルプス、さらにその向うに富士山まで見渡すことができた。のんびりしすぎて、時間は午後1時近くになってしまった。

    二の池分岐、福仙大菩薩像から見上げる御嶽山山頂(左側の建物が立つピーク)。


    山頂手前の鳥居が立つ小ピークから見る中央アルプス方面の眺望。南アルプス塩見岳の横に富士山が立っているのが見える。


    一の池と秋の空。3000mの山の上はもう肌寒い。


    二の池と乗鞍岳。その向こうには左に笠ヶ岳、右に槍・穂高が見える。

 山頂直下の立派な階段を登ると、山頂は予想通りたくさんの人たちが記念撮影をしたり、昼食をとったりしていた。ここは記念撮影だけさせてもらってさっさと退却し、二の池に下りる。ここで時間は1時半、三の池を回るとなると、トラバース道を使ったとして三の池からロープウェイ駅までは少なくとも2時間は見ておかないといけない。地図で確認すると、二の池から三の池までは約1時間、休憩時間を入れると、5時ギリギリといったところだろうか。急げばなんとか・・・と三の池を回ることにしたのだが、ここでまた道を間違えて真直ぐに二の池新館方向に行けば良いものを御嶽お鉢巡りコースに入ってしまったため、10分ほど時間をロスしてしまう。

    この立派な階段を上ると御嶽山山頂。


    御嶽山山頂。たくさんの人がくつろいでいた。


    ちょっとだけ記念撮影させてもらう。


    二の池のほとりから見る御嶽山頂上。

 サイノ河原は広々としたお花畑で、花期は過ぎていたがチングルマの綿毛がたくさん生えていた。サイノ河原避難小屋から見下ろす三の池はかなり下にあるように見える。実際に歩いてみると、やはりかなりの急傾斜で、四の池への分岐から下は大きな岩のゴロゴロした道だった。2時35分三の池のほとりに到着し、ここで遅い昼食を急いで食べる。

    サイノ河原。チングルマの実がたくさん生えている。花の時期にはお花畑が広がっているのだろう。


    サイノ河原避難小屋から見下げる三の池。御嶽山最大の池。ずいぶん下に見える。


    三の池。信者さんたちがお経を唱えた終わった直後に到着。

 サイノ河原避難小屋の看板情報によると、この先のトラバース道はまだ雪渓が残っているらしい。踏み跡を見ると、足跡がしっかりと残っているので何人も通過していったことは間違いない。2時45分、出発。石がゴツゴツしていて決して歩きやすい道ではない。途中急下りのはしご状の階段あり、そこは工事の人が修復作業中だった。通過には全く問題なく、石がゴロゴロした沢を過ぎると次は雪渓のある谷、しかししっかり踏み固められていて通過には全く問題なかった。雪渓を過ぎると今度は登りだ。急傾斜ではないが、結構登る。そしていくつかの尾根を越えてよやく7合目女人堂が見えてきた。と思ったらまた谷と尾根を回り込み、見えているのになかなか到着しない。3時50分、ようやく女人堂に到着した。

    トラバース道のガレた沢を越える。


    続いて雪渓のある谷。通過には支障なし。


    歩いてきた道を振り返る。山腹を這うように道が続いている。

 ほとんど休憩無しで歩いてきたので、ここで5分ほど休憩し、水を補給する。1時間あれば、ロープウェイ駅には十分到着できるだろう。登りがゆっくりだったので、足の疲れはあまりなかったので、この先は久しぶりに少し足早に(軽く走るくらいに)飛ばしてみた。15人ほど追い抜いただろうか、登り1時間かかった七合目行場山荘まで20分で下り、4時半にはロープウェイ駅に到着した。ちょっとばかり膝に来た。
 ロープウェイ鹿の瀬駅に降りて車に向おうとしたところ、60才過ぎと思われる男性に声をかけられた。バスで木曽福島駅まで行くはずだったのだが、乗り遅れたらしい。休日のロープウェイは5時まで動いているが、バスは平日と同じ運行で4時20分が最終なのだ。この方は腎不全で人工透析を受けており、明日透析に行かないと生命的に危険なことにもなりかねない。東京在住とのことで、方向が同じなので甲府まで送ってゆくことにした。この方は山歴40年以上の大ベテラン、バリアンスルートのこともよくご存知で、槍ヶ岳北釜尾根のほか、二王子岳から飯豊山までのルート(道は無いはず!)も歩いたことのある凄い人だった。透析しながらも毎週のように山歩きをしている山大好き人間で、たいへん参考になり、また励みにもなった。おかげで帰り道は白馬岳で知り合ったアッキーさん夫妻の時と同様、睡魔に襲われず楽しく帰ってくることができた。
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雨と風にさらされた白馬岳(大池まで)  平成21年7月18‐19日(2日目)

2009年07月27日 | 日本百名山
 平成21年7月18‐19日 天候ほとんど雨時々大雨

 蓮華温泉ロッジに宿泊した翌朝は3時半に起床。外に出てみると、ひとまず雨は止んでいる。空を見上げると西の空に傾いた木星が薄い雲を通して透けて見えている。これならなんとか行けそうだ・・・とこの時は思った。4時半、カッパを着てヘッドライト点灯のうえ出発。道は明瞭な1本道で暗くても迷いそうなところはなかった。時折小雨がぱらつくがすぐに止んでいた。夜が明けて空が見えるようになってくると、青空が見えるときもあるのだが白馬岳から雪倉・朝日岳の稜線には真黒な雲がかかっている。

    雲間から一瞬陽が射す.虹も出現した.


    天狗の庭到着.ここでは強風と豪雨に見舞われ,一時は下山を考えた.


    天狗の庭から見上げる小蓮華・雪倉岳方面.黒い雲がかかる.

 6時40分、天狗の庭という眺望の良い場所に到着したが、そこでは凄い強風と雨に見舞われた。大池から白馬の稜線上はおそらくは同様の強風・豪雨に見舞われることだろう。ここで引き返すかどうか、かなり迷い、一旦は蓮華温泉に引き返し始めた。しかし、時間はまだ早い。悪天候ながら白馬大池まではなんとか行けるだろう。そこで天候を見ながら山頂まで行くかどうかを決める・・・というプランで、再び登り始める。その先で白馬岳山頂から下山してきた人と出会い、上の様子を聞くとやはり雨と風が強いという。しかも、山頂小屋で聞いた天気予報では午後から大雨・雷警報が発令されているという。この情報を聞いて、本日は大池までで引き返すことに決めた。大池直下の登山道は水があふれて小川のようになっていた。8時15分、白馬大池山荘到着、予想通りの風と小雨が降り、青いイメージだった大池は真黒になっていた。

    白馬大池到着.大きな雪渓があり,お花畑にはチングルマやハクサンイチゲ,ハクサンコザクラ,コイワカガミなどが咲いていた.


    ハクサンコザクラ群落と雪渓


    ハクサンコザクラ

 小屋の休憩室に逃げ込み、ここで朝食。荷物を軽くしたかったので、いちばん重そうなレトルトカレーを温める。暖め始めて気付いたのだが、そういえば昨日の昼食もカレーだった。山に来ると食事はカレーとラーメンが圧倒的に多くなるのは私だけだろうか。私の席の向かいにのんびりと休まれている男性がいた。昨日は大池にテント泊し、風と雨でかなり大変だったそうだ。しばらくすると(超美人の)奥様が登場。明日は天候回復するかもしれないが、本日の天候悪く、下山するかもう1泊するか迷っていたようだ。私は本日蓮華温泉に下山し、車なのでそのまま甲府まで帰るので一緒に行くかどうかお誘いしたところ、同行することになる。悪天候の中を1人で歩くより3人のほうが心強い。車の運転も同様だ。

    あっという間に大雨が降り出す.以後カメラはずっとザックの中.

 大池周辺にはチングルマやハクサンコザクラ、コイワカガミなどのお花畑が広がる。ハクサンイチゲも少しだけ残っていた。折角来たので三脚を担いであたりの写真を撮り始めると、あっという間に豪雨が降り始める。強風が吹き始め、一張テントが池のほとりまで飛ばされて行くのが見えた。まさか・・・と思っていたがそのまさかで、その飛ばされたテントは同行するご夫妻のテントだった。幸いにして池の周囲に張られたロープにひっかかって事なきを得たが、一歩間違えたらテントは池の中だった。無事テント撤収し、10時に下山開始。雨は降ったり止んだりだが、時々強い雨と風にさらされる。特に天狗の庭あたりは風の通り道になっているらしく、凄い強風と横殴りの雨が降っていた。そんな天気でも時として青空が見えることもあるので、山の天気には騙されてしまう。3時間ほどで蓮華温泉ロッジ到着。その頃雨足は弱まっていたのだが、昼食(ご夫妻におごっていただきました)をとってお風呂に入っている頃から土砂降りの大雨になってきた。バケツでぶっかけるような本降りの雨が延々と降り続く。この時間に歩いていなくて良かったとつくづく思った。気温が低ければ大雪山トムラウシの遭難事故の二の舞になりかねない。
 温泉につかってゆっくり休んだ後、3時少し前に甲府に向けて出発する。相変わらずの大雨が続いていたが、大町を過ぎたあたりから雨が止み、青空が広がってきた。しかし、振り返って見ると白馬方面は真黒な雲におおわれていた。ご夫妻は千葉県(私の生まれ故郷)から来られた方で、登山歴は私と同じ4年くらい。2人で北海道の羅臼岳に登った(しかも普通の運動靴で)のがきっかけで山にはまり、週末のたびにどこかの山に登っているらしい。山梨県内が中心の私と違って、全国の山のことにかなり詳しかった。驚くべきは旦那さんの体力だ。鳳凰山をテント担いで夜叉神峠から早川尾根小屋まで1日で歩いたという。私はせいぜい薬師小屋まででギブアップだ。さらに自転車ロードレースもやっていて、千葉から新潟の糸魚川まで400km以上も1日で走る。山に登ると体重が増えて帰ってくる、というのもうなずける。そんな山の談義をしながら楽しくドライブし、睡魔に襲われることもなく無事に甲府に到着した。
雨と風にたたられた白馬岳、山頂を踏むことも、雪倉から朝日岳稜線のウルップソウやタカネヒカゲ(蛾のような真黒な蝶)を見ることも来年におあずけになってしまった。しかし、それでも楽しい山行ができたのは、山のすばらしさと同行いただいたご夫妻のおかげだと感謝している。
コメント (6)
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