山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

笊ヶ岳(2日目、平成19年10月7日)

2007年10月09日 | 南アルプス
 笊ヶ岳 2日目 10月7日 晴れ
 目覚まし時計を早朝4時に合わせておいたが、3時30分に目が覚める。テントの寒気窓から外を見ると、下弦の月と星(金星か?)が輝いている。外に出てみると、なんと素晴らしい景色、一面の雲海とそこに浮かぶ富士山、空には満点の星、今度は昨日とは逆に北東の空に北斗七星が昇っている。思ったよりも寒く、ダウンジャケットを着てさらにカッパを着て食事の準備をする。バルブ撮影もしたかったのだが、悪いことに電池を1個忘れてきてしまい、持ってきたスペア電池は充電していなかったらしく、使い物にならない。バルブ長時間撮影は電池の消費が大きく無理なので、Iso感度を1600まで上げて夜空の撮影を試みる。ここのところ山に登るたびに試みている撮影だが、まだ全くうまく撮れずにいる。月と星を入れた1枚だけはそこそこに見せられるものが撮影できた。
 やがて富士山の裏側の空がオレンジ色に焼け始め、しだいに色鮮やかに焼けてゆく。5時47分、富士山の左裾から太陽が昇り始める。雲海上の静かな日の出だ。ふと裏側の荒川三山を見ると何やら大きな山影が見える。均整のとれた見事な三角錐、影富士だ。ポジション移動、日の出の一時はいつも忙しい。そんなことをしながらあちらこちら撮影していると6時過ぎ、おはようございますと元気な声がする。昨日一緒に布引まで登って来た2人組のご夫婦。既に60歳は過ぎていると思われるご夫婦だが、実に元気、健脚だ。昨年も笊ヶ岳を目指して絵横手山まで登ってテントを張ったそうだが、雨のため下山し、今回はリベンジ登山だそうだ。裏に見える荒川三山も登っているそうで、小屋の位置など良く知っている。2~30分遅れてもう一組の3人組が到着。計6人で山頂からの景色を楽しみつつ山の話で盛り上がる。こちらの3人も山の経験豊富、女性の方は甲斐駒ケ岳黒戸尾根から仙丈岳、仙塩尾根、塩見岳までのルートを何度かに分けて踏破しているという。大門沢から広河内岳、笹山へと南下する白根南稜ルートや、塩見岳から蝙蝠岳を経て二軒小屋に下るルートなど、あこがれているルートは皆同じだ。

    
      笊ヶ岳山頂の朝。月と星、一面の雲海、そして富士。


    朝の静寂。見事な雲海だった。


    富士の左裾からの日の出


    荒川三山と影富士。右から荒川岳、赤石岳、聖岳が間近に見える。


    雲海上の日の出。昨年は雲が出て見られなかった風景。


    白根三山(左)と鳳凰三山(右)。尖った北岳が格好良い。


    八ヶ岳方面の眺望。山頂は360度の大パノラマ。この日は昼過ぎまで雲海上の景色が楽しめた。

 1時間ほど山頂で情報交換し、5人は布引山に引き返して行った。私もテント撤収し、下山の準備をしていると今度は椹島側から2人組が登って来た。最近そちらのルートはだいぶ整備されたと聞いているので状況を聞いてみると、2時間ほど下ると立派なテント場があるらしく、そこで水が汲めるのだそうだ。コースには倒木があるらしいが、通過には支障なさそうだ。さて、午前9時、山頂出発、長い下山だ。昨日の疲れが残っていて足取りが重い。絵横手から先は果てしなく長く感じ、膝はガクガク、踏ん張る力が無くなってしまい、なんと、4度もスリップして尻餅をついた。1度は横方向に1回転、ちょっと危なかった。広河原に午後2時45分到着。ここには私の好きなニンジソウという花が咲いているので、花の写真を撮ろうと思って三脚とカメラを持って行くと、何ともない場所でまたもやスリップ。気を引き締めて沢沿いの道を歩き、午後4時30分、ようやく駐車場に到着した。もちろん翌日は筋肉痛。体力を要する山だが、山頂の景色は抜群、辛いが、何度でも登ってみたくなる山だ。


    布引のガレから見る聖岳と小河内岳。

     
       広河原に咲いているジンジソウ。この花に会うのも楽しみ。


 参考(にならない)タイム
1日目:早川町老平7:10-一軒家7:45-広河原8:55-山の神10:15-絵横手山13:15(昼食)-布引山16:00-笊ヶ岳18:00 計10時間50分
2日目:笊ヶ岳9:00-布引山10:15-絵横手12:00-山の神13:55-広河原14:45-老平16:30 計7時間30分
コメント (6)
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笊ヶ岳(平成19年10月6-7日)

2007年10月09日 | 南アルプス
 この季節は笊ヶ岳から富士山を見ると山頂近くに日の出の太陽が来るので、条件が良ければ真赤に焼けた朝空や雲海上の日の出とからむ富士が見られるはずだ。昨年はダイヤモンド富士を狙って登ったが日の出の時間に富士山の裏側に雲が出てしまい不発に終わっている。山頂からダイヤモンド富士になるのはあと3~4日遅い10日ごろなのだが、平日で行けないため、一足早く6日に訪れてみることにした。6月の鋸岳、9月の笹山に続いて今年スペシャリストの山3山目となるのだが、昨年登った時はどの山よりも体力的に大変だったという記憶がある。今年は果たして山頂まで行けるのか?累積標高差約2300mの長丁場だ。

 甲府を5時半に出発、コンビニに寄り、中央高速の双葉サービスエリアでガソリンを積んで行ったが、7時には老平の駐車場に到着した。中央高速から増穂まで行ける自動車道路ができたおかげで、早川町への移動はだいぶ早くなった。既に2台の車が停まっており、先に入山者がいるらしく、心強い。7時10分に歩き始める。林道終点の一軒屋まで約30分、ここから沢沿いの登山道になるのだが、広河原までの道は至って良く整備されている。ただ、タケ沢の吊り橋だけはグラグラ揺れてちょっと恐い。


    広河原への道。良く整備されている。


    タケ沢吊り橋。グラグラ揺れてちょっと怖い。

 順調に歩き、9時広河原到着し、徒渉する。水量は少なく、靴を少し濡らした程度で渡れた。対岸には先に入山していた1パーティー、3人組が休憩していた。軽く挨拶を交わし、3人組は先に出発していった。水を4Lほど汲み、10分ほど休憩して出発、いよいよ笊への登りだ。ザックもずっしりと重くなった。山の神まではジグザグのしっかりとした道があり、約1時間で到着。だが、その先から傾斜がきつくなる。頑張ってさらに1時間ほど登るとやや傾斜が緩くなり、ワイヤーやドラムが残されている造林小屋跡を通過する。このあたりで1ヶ所大きな倒木のため登山道が寸断されている場所があり、道がわかりにくいので注意が必要。さらに登って行くと、再び見上げるような急傾斜となり、そこを登りつめるとやがて緑鮮やかな苔が生い茂るシラビソやツガの林に入る。登山道の両側や古い倒木には苔がびっしりと生えており、踏むのが申し訳ない気さえする、静かで良い所だ。緩い傾斜を登って行くと、左手に2021m、桧横手山の看板が見えてくる。時間は午後1時15分、コースタイムよりは遅れているが、まあこんなものか。既にヘトヘト、布引山まではなんとか行けそうだが、山頂まで行けるかどうかかなり不安がある。広河原で会った3人組の前を行ったり後を歩いたり、ちょうど同じくらいのペースで登り、さらにもう一パーティー、2人組が桧横手山で追いついてきたので、計6人で布引山を目指す。


    山ノ神。広河原からここまでは良い道。ここから先が急登になる。


    桧横手山。テントを張るスペースあり。


    桧横手山の原生林。緑鮮やかな苔が生い茂る静かなトドマツやツガの林。

 絵横手から先は再び見上げるような急斜面だ。奮闘すること2時間30分、布引のガレの横を通過し、午後4時、ようやく布引山山頂に到着。5分ほど遅れて残り2パーティーも到着。みなさん布引山でテントを張るそうだが、私はどうしても笊ヶ岳山頂で富士山を見ながら眠りたいし、日の出の富士山を見たいという思いで、気力で笊ヶ岳山頂を目指す。布引からのコースタイムでは1時間20分ほどだが、布引のコル(標高2410m)から笊ヶ岳への登りはもう足が上らないくらいヘトヘト、なかなか先に進まない。5時半を回った頃には林の中はすっかり暗くなってしまい、ヘッドライトを点灯。こうなれば何時に着こうが同じ、と開き直り、しばし休憩を入れつつ登り、ジャスト6時、山頂に到着した。布引山からは1時間45分ほどかかった。
 西の空はすっかり日が沈み、うっすらと夕焼け空が残っている。東は一面の雲海で、時折大きな雲が流れ視界が遮られるが、小笊の上にうっすらと富士山も姿を見せている。空を見上げれば満点の星空、天の川が大きく流れ、北東の空にはカシオペア座、北西の低い位置には北斗七星が輝いている。明日の朝、雲海が残っていることを願いつつ眠りにつく。

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