山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

難峰、鶏冠山

2008年06月02日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成20年6月1日 天候晴れ

  山梨百名山のうち、スペシャリストの山と言われる山が4山ある。そのうちの一つである鶏冠山は標高差1000mあまり、日帰りで行ける山ではあるが、明瞭なルートが無く岩登りの技術を必要とし、技術的には最も難しい山である。技術のない私にとって、この鶏冠山は山梨百名山中、最も難しい山だと感じており、実際、初回の登頂も一人では登れそうもなかったので、ELKツアーに入れてもらって登頂している。あれから2年、果たして登れるのか?久々のおやじ登山隊出動だが、植田さんは勤務する営業所の成績が良かったらしく、会社のご褒美でハワイ旅行に出かけている。山口さんと2人で出かける。

    吊り橋から見る鶏冠山。すぐそこに見えるのだが…。

 西沢渓谷駐車場に朝6時集合、渡渉する格好で歩き始める。吊り橋を渡って少し登ったところから東沢に入る。かつてはここに入山禁止の看板が立っていたと思ったのだが、その看板は道を少し入ったところに立てられていた。道の切れたところで河原を歩き、徒渉、この季節はまだ雪解け水が流れ込むので、足先が麻痺するほど水が冷たい。かつては3回渡渉で済んだのだが、河原の地形が変わっていて4回徒渉することとなる。川にせり出した大きな木に「出合」の看板が取り付けられており、そこが取り付き口である。「鶏冠山登山口」と書かれた朽ちかけた木の看板があったのだが、もう無くなっていた。

    鶏冠谷出合の取り付き口。上のほうに看板が取り付けられている。

靴を登山靴に履き替え、準備して7時20分、登り始める。鶏冠谷に入ったところでスチール製の看板が目立たないように立てられている。尾根の道はごく普通の登山道、いきなりの急登だが、1時間ほど歩いて大きなツガの木が3本立ち並ぶあたりから傾斜は緩くなる。シャクナゲがドーム状に生い茂るあたりは倒木が多く、やや荒れている。そして再び木の根をつかみながら登るような急登となり、登り切って着いた尾根に「鶏冠山」「鶏冠谷出合」の看板が立っている。ここで一休み、ここから下ではもうシャクナゲは終わっていたが、このあたりから見頃を迎えていた。ここまでは迷う場所もなく、普通の登山道である。

    尾根道に咲くアズマシャクナゲ


    木の根につかまりながら崩落した急斜面(というか崖)を登る山口さん。

 道はコースを右向きに変え、細くてやや薮っぽい尾根道となる。ところどころ岩のある尾根を進むと、大きな岩に突き当たり、ここに「鶏冠山-広瀬」の看板があり、ここで道は中腹を巻くように左に向かう。ここは細い道だが、2年前はしっかりした道があった。ところが、地すべりをおこして斜面の木が倒れ、道は大荒れ状態、倒木の上を踏みながら歩くようなひどい道になっていた。前日の雨で斜面は滑りやすく、木の根につかまりながら慎重に通過、一部崩れた斜面を通過してチンネのコルと呼ばれる休憩に適した場所に到着する。ここにも「鶏冠山-広瀬」という古い看板がついている。ツガの木の隙間から向こう側に国師ヶ岳、北奥千丈岳の大きな山体が見える。


    第一岩峰から西沢渓谷を望む。ループ橋、ネトリ橋、吊り橋が見える。


    第一岩峰から見る鶏冠山


    山頂付近のアズマシャクナゲ。もうすぐ満開だが、当たり年ではない。

 時間は9時半、順当な時間だろう。ここで尾根は右(北向き)に進路を変え、ツガの林を抜けた後、いよいよ鶏冠山の核心部、第一岩峰、第二岩峰の岩登りとなる。第一岩峰の下にたどり着くまでの道は一部わかりにくいところがある。岩峰を右に巻いたと思えば急に道が無くなり、左の木にテープがついていて、急斜面を木の根につかまりながら登る場所や、道だか薮だかよくわからないところもあるが、2年前に比べるとこのあたりは道標のテープや矢印がすいぶん整備され、迷いにくくなっていた。そして岩の上に残置スリングがかけられた岩登り、結構苦労して登ったような記憶があるが、岩の割れ目が以前より大きくなったのか、あっさりと登ることができた。その先の矢印がついた岩も同様。そして山頂直下の第三岩峰に到着。強者はここを直登するらしいが、巻き道の看板があるので右側に回りこんで裏側から山頂に登る。しかしこの巻き道、下降点がかなりの傾斜あり、木の根っこにつかまりながら下りる。そして11時40分、山頂に到着。なんとか迷わずにザイルも使わずに登ることができた。眼下に見える東沢の切れ込みが凄い。たくさんの滝が流れ込んでいるのが見える。そして国師ヶ岳、黒金山の眺望、富士山が雲隠れしていたのが残念だったが、登頂した満足感と相まって他の山とは一味違う景色が楽しめる。

    東沢に注ぎ込むたくさんの滝。向こうの尾根は石塔(せきとう)尾根、その向こうの山は黒金山。


    東沢の滝


    山頂で記念撮影。後ろの山は国師ヶ岳。

 昼食をとり、大休憩して下山だ。岩峰の下りは足元が見にくいので、2回ほどザイルを出して通過。チンネのコルの先にある崩落箇所はザイル出さずに通ったのだが、濡れた斜面でスリップしてずるずると2mほど落下、木の根っこにつかまった時に右手親指を挟んで擦り傷を負う。それ以外は問題なく、午後3時半、出合到着、渡渉して午後4時半、西沢渓谷駐車場に到着した。入り口のところにある売店のよもぎ餅は有名で、以前立ち寄った時は2回とも売り切れだったのだが、今回はちょうど店頭で焼いているところだったので、2個ほどご馳走になってきた。甘さやや控え目のやわらかいよもぎ餅でおすすめである。同行した山口さん、これで山梨百名山残り5山となった。まだスペシャリスト2山、鋸岳と難敵笊ヶ岳が残っている。

    可愛らしいクモイコザクラの花。奥秩父、八ヶ岳と南アルプスの特産種。


参考(にならない)タイム
西沢渓谷駐車場6:10-鶏冠谷出合7:10-巻き道9:00-チンネのコル9:35-第一岩峰10:20-第三岩峰下11:10-鶏冠山山頂11:40
コメント (6)
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