山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

snow monster発育中,蔵王  平成20年11月21日

2008年11月29日 | 番外編
 平成20年11月21日 天候曇り,上は吹雪

 前日は強風と吹雪に見舞われた那須岳だったが,無事に駐車場まで下山でき,職員旅行のグループとは仙台の新幹線で合流できた.相変わらずの冬型気圧配置で中尊寺では小雪と小雨の混じる天候だった.
 一夜明け,本日は予定ではバスで山形県の山寺に行くはずだったのだが,車で行った私はそちらよりも蔵王に興味があった.相変わらずの気圧配置なのでひと山超えた山形側はおそらく雪.しかし,仙台の朝空は透き通った青空が広がっていた.午後からは天候が崩れるらしいが,午前中はなんとかなりそうだ.朝になってから添乗員さんには申し訳ないが,急遽予定変更,ロープウェイ2本を乗り継いで蔵王山頂駅まで行ってみることにした.

    蔵王ロープウェイ駅.雪がたくさん.


    ロープウェイから見下ろす蔵王の樹氷(下部)

 職員3人を誘い,高速を飛ばしてトンネルを抜けると(というかトンネルの手前から)すっかり雪景色.やはり北国はこうでなければ.秋田に住んでいた頃の冬の景色を思い出す.ロープウェイ駅に着くと,スキーやスノボーを担いでいるお客さんたちがちらほらと目につく.係員の人に聞いてみると,雪が降って昨日からスキー場がオープンしたばかりだそうだ.本日がオープン2日目となる.ロープウェイから下を見ると,下のほうでまだ木の枝に雪がついている程度だが,上に行くほど雪の量が増え,中腹の樹氷高原駅から上はもう立派な樹氷が完成しつつあった.

    蔵王山頂駅付近の雪と樹氷.吹雪で視界は10~20mほど.


    山頂駅の先にある標柱.エビのシッポができていた.

 高度が上がれば上がるほど風と雪が強くなり,山頂駅あたりはもう吹雪の様相を呈していた.それでも物好きに外を歩いてみると,あっという間に頭は雪だらけ,髪の毛は強風で鳥の鶏冠のように突っ立ってしまう.せっかくなので4人で記念撮影したが,吹雪舞う凄い1枚が撮れた.

    snow monster発育中


    吹雪の中で激写!

 山頂駅で12時を過ぎたので,ここで昼食をとってゆったりくつろいで帰路につく.1月・2月の樹氷が完成したころには夜のライトアップをやるらしい.さぞかし美しい樹氷の姿が見られることだろう.機会があったら訪れてみたい.

    樹氷高原駅付近のブナの樹氷.見事!

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秘湯三斗小屋温泉と吹雪の那須岳  平成20年11月19‐20日

2008年11月29日 | 日本百名山
 平成20年11月19‐20日 天候曇りのち雪

 職員旅行で東北の中尊寺や松島へ行く機会があった。バスと新幹線を乗り継いでの旅の予定なのだが、山に登りたい私は一人だけ旅行前日に休みをとり、車で甲府を出発。目指すは那須岳の裏側、那須岳ロープウェイ山頂駅から徒歩約2時間の三斗小屋温泉という秘湯だ。
 この日から冬型の気圧配置となり、強烈な寒気が入り込んでくるため、東北地方の日本海側は大荒れ、大雪の天気になる予報だ。栃木と福島の県境にある那須岳あたりならなんとか大丈夫だろうという甘い考えで中央道、圏央道、一旦一般道路に下りて東北道に乗りなおし、那須岳ロープウェイに到着したのは午後1時半だった。ロープウェイ駐車場で三斗小屋温泉大黒屋に電話すると、もう今年の営業は終了しているが、隣の煙草屋は営業しているという。そちらに電話すると話し中。2度目で電話がつながった。夕食が4時半なので、急いで来て欲しいと言う。さっそく準備にとりかかるが、ロープウェイ出発案内の放送があり、1時48分出発だという。時間が5分しかない。大急ぎでザックに荷物を詰め込んでなんとか間に合ったが、乗ってからザックの違和感に気づく。いつもより軽いのだ。水を1リットルしか持っていないのもあるが、それにしても軽すぎる。ザックを下ろして確認すると、カメラマンの命とも言うべき三脚を入れ忘れてしまった。それとカップラーメンやスパゲッティは持って来たのにバーナーとコッヘルが入っていない。ロープウェイを乗り返して取りに戻ることも考えたが、小屋に到着する時間が遅くなってしまう。空はどんより曇り空、たいした写真は期待できないこと、また三脚必須の星空撮影も今回は無理そうだ。三脚はあきらめて、今回は温泉を楽しむことにした。

    那須岳ロープウェイ山頂駅


    牛ヶ首から見る那須岳.薄雪を纏う.

 ロープウェイには7~8人の乗客がいたが、登山らしき格好をしているのは私だけ。時間と季節、それと平日ということもあり、登る人は少ないらしい。山頂駅から那須岳山頂を越えるコースと牛ヶ首という山の中腹を巻いてゆくコースがあるが、山頂は明日の朝楽しむことにして牛首コースを行く。ほぼ水平な道を20分ほど歩いて牛ヶ首到着。このあたりは那須岳の噴煙があちらこちらからモクモクと上がっていて、硫黄臭が強い。ここから峰の茶屋跡にやはり水平に巻き道が続いているが、わずかに進んだところで牛首から西に下る「山斗小屋温泉」の道標が立っていた。一旦そちらに下り始めたが、確かこっちの道は少し遠回りだったはず。地図で確認すると、やはり10分か20分くらい余計に時間がかかるので、戻って峰の茶屋跡からのコースを行くことにする。

    噴煙を上げる那須岳.牛ヶ首付近から.


    夕映えの那須岳.三斗小屋温泉避難小屋から見上げる.

 小雪が時折ぱらつくものの、寒さはそれほどでもなく、時折陽が差し込む天候だ。峰の茶屋跡には立派な避難小屋が立っているが、原則ここは宿泊禁止となっている。やや急な下りを下りてゆくと今度は山斗小屋温泉避難小屋が左側に立っている。ここは宿泊禁止とは書かれていなかった。4畳半ほどの部屋が2段式で左右にあり、20人ほどは宿泊できそうな小屋だった。ここから見上げる那須岳は格好が良い。その先は歩きやすい道となり、荷物が軽かったので途中はトレランの真似をして走ったりしながら、3時45分、思ったよりも早く三斗小屋温泉煙草屋旅館に到着した。

    三斗小屋温泉.宿泊した煙草屋と大黒屋の2件の宿がある.車では行けない秘湯.


    煙草屋旅館の露天風呂.


    露天風呂と脱衣所.混浴だが,午後3時~5時は女性専用となる.

 本日の宿泊客は男性3人のみ。旅館はおかみさん1人で切り盛りしており、週末に番頭さんたち数人が登って来るという。本日は3人だが、土曜日は予約で満室という、人気のある旅館だ。普段は午後3時から5時までは露天風呂は女性客専用となるのだが、この日は男性客だけなのでいつ入っても良いと言われ、食事の前にさっそく露天風呂に行く。ちらほらと小雪が舞う中、貸切りの露天風呂につかりながら雪化粧しはじめた山を眺める、う~ん、極楽極楽。4時半食事となり、ゆっくり食べて6時に部屋に戻り、7時には早々に布団にもぐり込んだ。その頃から雪が深々と降り始めていた。

    翌朝の那須岳.雪と風で白く霞む.


    強風と地吹雪

 翌日は職員旅行のグループと午後1時半、平泉中尊寺で待ち合わせの予定だ。ロープウェイ駐車場は9時ごろに出発しないと危い。雪道を歩くことを考えると、午前5時前に出発しないと山頂を踏んで駐車場まで行くのは難しそうだ。3時起床、カップラーメンを食べて(バーナーを忘れたのでここでしか食べる機会がない)もう一度露天風呂に入り、持って行った冬山装備と軽アイゼンを身に纏って、早朝4時半に旅館を出発した。旅館周辺は10~15cmほどの積雪、このあたりは谷間なのでさほど風は無かったが、上空はゴーゴーと風が吹く音がしている。上はいったいどうなっているのだろう。闇の中を歩きながら若干の不安がよぎる。三斗小屋温泉避難小屋あたりで朝6時となり、明るくなってきた。那須岳を見上げると昨日よりはずいぶんと雪がついている。足元の雪も20cmほどになり、雪の下に埋もれた石にアイゼンがひっかかって歩きにくい。さらに登って行くと、吹き溜まりでは腿から腰のあたりまで雪の積もっている場所もあった。強風が吹き荒れ、稜線直下は地吹雪が吹き荒れる。冬山装備でなかったらひとたまりもない。

    地吹雪吹き荒れる稜線直下


    峰の茶屋跡避難小屋と,遠く霞む那須岳

 6時50分、峰の茶屋跡避難小屋に到着。ここは風の通り道と呼ばれていて、谷からの風と両側の山から巻いてくる風がこの場所を通って流れて行く、強風の名所である。立っているのがやっとくらいの凄い風と地吹雪、山頂までは通常ならば30分ほどだが、遠く白く霞んでいる。とても登る気にはなれない。そのまま真直ぐに下山道を進むが、こっちの道は完全に吹き溜まりになっていて、延々と膝あたりまでのラッセルを強いられる。昨日の小屋で一緒だった2人は大丈夫だろうか?ちょっと心配になる。黙々と歩いて8時、駐車場に到着した。こちらは山の東側で風を受けないため、風も無く穏やかだった。

    那須岳ロープウェイ駅到着.山の東側になるこのあたりは風が吹かず穏やか.

 昨日から冬型の気圧配置になった東北地方、山はもうすっかり冬山だ。少しの雪を踏めればと思っていたが、とんだ吹雪になってしまった。麓の東北自動車道まで下りるとそちらは打って変わって青空の広がる好天。しかし那須岳には真っ白な雲がまとわりついていた。山をなめてはいけません。
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