山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

羅漢寺山から旧道を経て千娥滝へ(後編)

2011年05月17日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年5月8日

 昇仙峡の奥にある開墾地、千田集落から太刀の抜き岩、白山展望台、白砂山に立ち寄りながら4時間ほどかけて羅漢寺山弥三郎岳に12時半到着した。山頂直下で咲き始めたトウゴクミツバツツジを存分に撮影後、午後1時15分、下山開始する。弥三郎岳の直下に「非常に危険 注意」と書かれた看板が目に留まるが、通行禁止とは書かれていないので通れない道ではないのだろう。しかし、ここで滑落事故があったことも知っている。左腕の調子はまずまず、ならば・・・行ってみることにした。

    羅漢寺山山頂付近に咲いていたツツジと茅ヶ岳・曲岳・黒富士連山


    山頂直下から分かれるこの道を行く。
 最初は普通の登山道。展望台のような場所から下を見下ろすと、昇仙峡の集落が直下に見える急傾斜の斜面だ。道はここで左に曲がり、急斜面の尾根を下るようになる。尾根取り付きの手前に木で×印にゲートが設けられていて、通行禁止ということなのかもしれない。真新しい足跡が一つか二つあり、最近この道を歩いた人がいることを伺わせる。急勾配の尾根を下り始めるとすぐに壊れかけたハシゴがあり、これを通過して15分ほど下ると大きな岩に突き当たった。ここで道は2方向に分かれているように見えた。左の道をのぞいてみると、ほんの数メートル行っただけで道は崖のようになった樹林帯の中に消えていた。右の道に行くと、真直ぐ進もうとするととても道とは思えないような急下りの斜面に続いていて、下りられそうも無い。その先を良く探してみると、一段昇って先ほどの大きな岩の裏側を巻くようにしてほぼ直角に道が曲がり、左方向に道が続いているのを発見した。おそらく滑落はここでルートを見失うために起こるのではないだろうか。

    展望台のような場所から見下ろす昇仙峡の建物。崖から見下ろすように見える。


    壊れかけたハシゴが2本


    大きな岩に突き当たる。ここはルートがわかりにくい。


    こんなところにカイイワカガミ。たくさんあった。

 そちらの方向に進むと、再び道は明瞭となり、相変わらずの急下りが続く。大きな岩から30分ほど下ったところで今度は完全に壊れて両脇の木だけが残ったハシゴに出くわした。ここは横の岩につかまって下りる。直下には昇仙峡の売店の屋根が見える。そこから10分ほど行くと大きな岩にワイヤーが取り付けられており、これは昇仙峡の川にかかる影絵の森美術館の吊り橋を支えているワイヤーだった。駐車場が直下に見えるのだが、そこからの下山道がわからない。最後の10mほどの壁が下りられないのだ。そのまま進むとトンネルがあり、そこから下りられるかと思ったがその先は急傾斜の崖だ。戻って良く見ると、斜めに傾いたフェンスの横に黄色いテープがついているのが見えた。まさかこのフェンスの横を通過するのか・・・と思いながら、フェンスを押しのけながら下りて行くと、その下の別のフェンスにまた黄色いテープがついている。昇仙峡を散策しているたくさんの人の目が気になったが、このフェンスにしがみついて道に下りることができた。時間にして約1時間の行程だった。

    変わった形の岩。何かの石碑かと思ったがただの岩だった。


    だんだんと昇仙峡の建物が近付いてくるが、相変わらずの急傾斜。


    壊れたハシゴを振り返る。ハシゴとしては機能しておらず、左側の岩につかまって降りる。


    岩に固定されたワイヤーロープ。影絵の森美術館の前にかかる橋を支えるもの。


    下山口わからず。先に進むとトンネルがあった。が・・・


    トンネルの先を降りるのは難しそう。

 本当にここが登山口なのか?こんなところでは知らなければ絶対に取り付けない。他の入り口は無いのか、道路沿いを探したがそれらしいものは見つからなかった。影絵の森美術館の橋のところで監視をしている地元の方がいたので、旧道の登山口はあそこなのかと聞いてみたところ、まさにそこが登山口で他には無いという。悪路なのでここからは入山しないようにという配慮なのだろう。

    出たのはこんな看板の裏側のフェンス。黄色いテープがつけられている。


    この看板の裏が登山道入り口。知らなければここからは入山できない。


    千娥滝 面白かったです。羅漢寺山。低山とて侮るなかれ!

 羅漢寺山はルートが整備されたハイキングコースと言って良い低山ではあるが、中・上級者向けの面白い道もあるのだ。羅漢寺山の面白さを存分に楽しんだ1日だった。


    今回歩いたルート(右回り)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千田集落から羅漢寺山へ(前編)

2011年05月17日 | 南アルプス
 平成23年5月8日

 羅漢寺山は昇仙峡の上にある花崗岩が露出した美しい山である。昇仙峡の景勝地のひとつ、覚円峰もこの山の一角にある。昇仙峡から昇るロープウェイがあり、その裏側には許可車のみ通れる林道もついていて、メインのルートは非常に良く整備されている。しかし・・・岩でできたこの山は整備されていない難しいルートもある。そのひとつが平成20年12月に嶺朋クラブメンバーで歩いた旧羅漢寺のルートだろう。ほとんど歩く人がおらず、中~下部はルートが不明瞭になっているところがある。そしてもう一つ、羅漢寺山山頂(弥三郎岳)から仙娥滝に至る古い道、何件か事故が起きていて命を落とした人もいる「非常に危険」と書かれたルートである。写真が多いので、山頂までの前編と下山の後編の2部に分けてお届けする。

    昇仙峡の駐車場から見上げる新緑の羅漢寺山

 昇仙峡の奥にある開墾地千田集落からのルートはあまり人が歩いていないマニアックなルートだ。その分、静かな山歩きが楽しめる。羅漢寺山を周回するために、昇仙峡の駐車場に車を止めて昇仙峡の散策路と千田に行く林道のような道を歩く。新緑真只中の昇仙峡散策路はツツジや藤の花が咲いてすがすがしい。1時間ほど歩いて千田の集落に到着する。

    (新)羅漢寺とそこにかかる橋


    夢の架け橋


    ふぐ岩 新緑の昇仙峡遊歩道は楽しい。しかし、車がどんどん走って来るのはいただけない。ほとんどが山梨ナンバー。


    千田集落。住んでいるのは3~4軒らしい。昇仙峡の馬車を引く馬はここで飼われている。


    千田のみょうが畑

 登山道の入り口は看板も何も無いのでわかりにくいが、人家の蔵の横から入ってその裏を左に入ると登山道に入れる。(真直ぐ行くと竹林になってしまう。その手前で曲がる。)道はあるが踏み跡は少なく、何本か倒木が道を横切っている。やがてルートを示す看板が見えるようになってくる。30分ほど歩いたところで尾根を1本越えるが、ここにある看板に従って天神森方向に進むと遠回りすることになってしまい、斜めに逆戻りするように尾根に沿って登って行くとやがて道は明瞭になり、天神森側から来るルートと合流する。この尾根の取り付き点は看板が無いので注意が必要だ。

    千田からの登山道は正面に見える建物の右脇の道を入ってすぐに左に曲がる。


    倒木が数本あり。


    看板がつけられている。この看板のところを戻るようにして尾根に入る。

 天神森側から合流する場所にある微妙な方向を示している「見晴し台」の看板、その示す方向にもわずかな踏み跡があり、そこを登ると大きな岩につきあたり、その上が太刀の抜き岩見晴台になっている。岩に沿って左方向に進むと、あっさり普通のルートに出てしまったが、上から見るとこの岩を右側に回りこむと太刀の抜き岩に直接行けるようだ。(ルート未確認ですが、簡単に行けそうです。)

    天神森からの合流点。微妙な方向に見晴らし台を示す看板あり。


    細い踏み跡を行くと岩につきあたる。左に行くと登山道に合流するが右に行くと直接太刀の抜き岩に出られるようだ。

 天気は良かったが富士山は春霞に巻かれ、見えてはいるもののすっきりとはしなかった。太刀の抜き岩は鉾先のように尖った岩と並んで富士山が見える絶景地だが、周辺の松の枝が伸びてきて以前に比べて写真が撮りにくくなりつつあった。

    太刀の抜き岩とその右に富士山


    太刀の抜き岩、および獅子平への分岐点

 ここから先は遊歩道のような明瞭で歩き易い道になる。20分ほど歩くと左側に白山展望台がある。ここは風化した花崗岩の白い砂の向こうに茅ヶ岳、曲岳、黒富士の山々が並び、南側には南アルプス連山がずらりと並んで見える絶景地だ。さらに30分ほど行くと右側に白砂山展望台がある。ここからは羅漢寺山のゴツゴツとした岩肌と昇仙峡の深い谷が見渡せる。

    白山展望台から見る茅ヶ岳(左)と太刀岡山(右)


    白山展望台から見る南アルプス


    このあたりのミツバツツジはもうほとんど終わっており、代わりにトウゴクミツバツツジが咲き始めていた。


    白砂山


    白砂山から見る羅漢寺山 左のピークの下に見える大きな岩が鎧岩。

 10分ほどで旧羅漢寺への分岐となるコルに到着する。羅漢寺を示す古い看板は錆び付いていて文字が読めなくなってしまっているが、昇仙峡側の谷に続くルートが落ち葉にまみれてついている。羅漢寺山へはそのまま真直ぐ進んでロープウェイ山頂駅のあるパノラマ台へ登れば道は明瞭なのだが、ここにもまた「くらかけ山」と記された微妙な方向を示す看板があった。見れば尾根に向う踏み跡らしきものがあり、そこを尾根に添って登って行くと大きな岩の下に出た。ステップの切ってあるその大岩の間を抜けて登ると、山頂手前のピーク直下に出た。そこは寝そべられるような白い岩の台になっており、向いには先ほど居た白砂山が見え、その左側に富士山、右側には南アルプスが見える絶景地だった。すぐ上の展望台やロープウェイ山頂駅あたりはたくさんの人の声がするが、この場所を知る人は少なく、人が居ないのが良い。時間は12時、ここで昼食にする。

    「くらかけ岩」の看板に従って踏み跡の少ない尾根道を登ると、大きな岩の下に出た。この岩の上が絶景地。


    岩の上から見る白砂山と富士山

 その先は踏み跡が何本もあり、登るとすぐに大きな標柱の立つピークに出た。弥三郎岳山頂はその先だ。登山の格好をしている人が多かったが、ロープウェイを使って普通の運動靴で来ている人も見かけた。ルートが整備されているので、登山装備で無くてもこの山には来られる。

    弥三郎岳山頂と神社


    山頂から見る荒川ダムと能泉湖

 さて、下山。当初の予定では楽をしてロープウェイで下ろうと軟弱な考えを持っていたのだが、弥三郎岳直下の看板を見て気が変わった。「非常に危険 要注意」、いったいどんな道なのだろう。入り口だけ見れば普通に道がついているように見える。この道を下山してみることにする。(後編に続く)


    「非常に危険 要注意」この道を下山する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする