山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

高妻山に流れる天の川、笹ヶ峰から火打山へ 

2011年09月28日 | 日本百名山
 平成23年9月23日

 山梨百名山は約1年半で制した。かつ、スペシャリストの山と言われる鋸岳、笊ヶ岳、笹山(黒河内岳)、鶏冠山の4山は、鋸岳登頂2回を除けばいずれも3度登った。山梨百名山は既に2周半くらい登ったといっても良いかもしれない。しかし・・・それでもまだ満足していない。それは、まだ歩いていないルートがあるからだ。甲斐駒ケ岳から鋸岳のルート、まだ鋸岳第2高点には立っていない。農鳥岳から笹山のルートも、鶏冠山から甲武信ヶ岳のルートも、そして伝付峠から笊ヶ岳のルートもまだだ。いずれも難しいルートだが、これらを踏破しなければ山梨百名山を制したとは言えないのではないだろうか。
 今年の9月、2度の3連休があったが、前半は演奏会と日直で、間に金峰山に登って終わった。後半、第一候補は農鳥岳から笹山のルートだった。奈良田から笹山へのダイレクトルートが数年前に切り開かれ、昭文社の新しい地図にも掲載されるようになった。奈良田を起点に2泊で周回(1泊でも十分に可能)できる。ところが、台風16号の大雨により奈良田に至る道は早川橋の近くで通行止め、かつ、夜叉神から広河原ルートも、伊那側のルートも使えなくなった。それを知ったのが連休前日の木曜日、どこに行くか決まらないまま、アウトドアショップエルクに行って地図を眺める。とりあえず北へ行くことだけ決め、持っていなかった妙高・火打山の地図を買った。
 水曜日の当直疲れが抜けないまま、金曜日、連休初日の朝を迎える。いつもなら目が覚めないのに、不思議とこの日は5時半に目が覚めた。お風呂に入り、それから登山の準備、とりあえずテント泊の装備をザックに詰め込み、7時自宅出発して中央道に乗る。台風が過ぎ、すっきり晴れの天気になると思っていた予想ははずれ、空はどんよりとしている。長野方面に向かって走って行くと、南アルプスは雲に覆われているが八ヶ岳は見え始めていた。ならばできるだけ北へ、ということで、ここで妙高・火打山にテント泊で行くことに決める。

    笹ヶ峰の火打山登山口


    整備された木道が続く


    川を渡る。この先から傾斜が強くなってくる。


    中腹のブナの森


    ブナの森を過ぎるとオオシラビソの林に変わる。

 妙高山への登り口はいくつかあるが、火打山にも行きやすい笹ヶ峰のルートを選択し、駐車場に向かう。10時半に到着、準備して11時に出発した。テント場のある高谷池、あるいは黒沢池まで、約4時間の行程だ。整備された木道がしばらく続き、川を渡ったところで急登りになる。十二曲がりというジグザグの急登を登り切り、ここで緩くなるのかと思ったら本当の急登はその先にあり、崖のような岩が待っていた。ここを登ってしまうと高谷池(火打山方面)と黒沢池(妙高山方面)の分岐となる。山頂までの時間は火打山のほうが早かったので、ここは高谷池に行くことに決める。

    高谷池(火打山方面)と黒沢池(妙高山方面)の分岐


    小雨が降り、雲に巻かれる火打山。右に見える小屋が高谷池ヒュッテ。


    高谷池周辺は笹とシラビソの森。


    テント場から見る高谷池と火打山


    反対側から見る高谷池ヒュッテとテント場

 分岐を過ぎたあたりで雨が降り出した。天気予報はあてにならないものだ。スパッツを持ってこなかったので、ズボンの裾は泥だらけになってしまった。3時、ほぼ予定通りに高谷池のテント場に到着した。テント場はほぼ満杯で、一番奥にようやく2張ほどできるくらいのスペースが空いているだけだった。テント設営し、4時少し前から火打山山頂を目指して出発する。約2時間で山頂、となると下山してくるのは夜7時を回る。が、それも計画のうちだ。山頂からどんな夜景が見えるのか見てみたかった。

    色付きはじめた火打山


    同上


    天狗の庭展望所


    火打山を映す天狗の庭の池

 当然の如く、この時間から山頂に登って行くのは私だけだった。天狗の庭という湿原は少しだけ紅葉し始めており、火打山を水面に映す心洗われるような美しい場所だった。下山してくる人たちとは10人くらいすれ違った。最後に出会った2人の若者男女が、山頂直下で雷鳥に出会ったと教えてくれた。もともとはこの山には雷鳥はいなかったはずなのだが、どこからか飛んで来たらしく、住み着くようになったと聞く。夕陽の差し込む天狗の庭と登るほどに姿を露わにする妙高山を振り返っては写真を撮りつつ、山頂を目指す。

    火打山中腹から見る夕暮れの天狗の庭と妙高山


    山頂直下で出会った雷鳥


    きれいなEarth shadowが出た妙高山


    日没を少し過ぎた午後6時、山頂到着。雲に巻かれて真っ白。


    東側に広がる町灯り。


    雲が巻く夕暮れの妙高山

 山頂まであと10分ほどのところで足元から雷鳥が姿を現した。私の姿を見ると足早に逃げ去ってしまい、10mほど離れた場所でなんとか撮影することができた。山頂に到着したのはちょうど6時ごろだった。流れ行く雲に覆われてしばらくは何も見えなかったが、待っていると時折雲の切れた隙間から高妻山が見えた。日本海側はやや厚い雲がかかり、まずいことに雷鳴が時折響いてくる。町明かりが灯り始める頃まで寒い中を辛抱して空を眺めていたが、なかなか晴れず、あきらめて下山し始めた。10分ほど下りたところで妙高山がすっきりと見え始めた。さらにその南から西側を見ると、雲がすっかり飛んですっきりと空が見え始めていた。再び山頂に戻ってみると、南西の空に傾いたさそり座が全容を現していた。夕暮れの青い空に天の川もうっすらと見え始めている。再び三脚を構えて待っていると、7時を過ぎた頃から目を見張るような星空が広がった。高妻山から昇る白い天の川が頭の真上を横切り、夏の大三角形を貫いている。久しぶりに見る夏の天の川だ。撮影に熱中するが、南アルプスと同様、こんな北の山に来ても飛行機がたくさん飛び交い、これをカットすることができない。

    夕暮れのさそり座と天の川  左下に見える山は高妻山・戸隠山山塊。


    高妻山に流れる天の川


    火打山の星空  カシオペア座を狙ったが、一部画像に入りきらず。右手に光るのは雷雲。


    妙高山と町灯り


    高妻山を流れる天の川  このカットを最後に雪が舞い始め、下山する。

 7時半ごろ、雲が増えてきたかと思ったらあっという間に山頂は雲に巻かれてしまった。さらに雨、ではなくて小雪が舞い始めた。ここで撮影は終了、止む無く下山する。木道はうっすらと雪を被り、スリップするため、木道の横の石のところを歩いて下山する。途中に2~3人用のテントが張られていたのには驚いた。テント場がいっぱいで張れず、おそらくここまで登って来たのだろう。許されるなら、私も天気の良い日に山頂で一夜を過ごし、この山からでもひょっとしたら見えるかもしれないカノープスを眺めてみたいと思った。
 8時半、無事にテント場到着。それから夕食をとって寝たのだが、その夜はずっと小雨と小雪が舞っていた。いつも条件の悪い場所でテント設営しているため、私のテントの底には小穴がたくさん開いてしまっている。そこから雨水が入り込み、テントの中はえらいことに・・・(翌日の妙高山に続く)
コメント (3)
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