平成23年9月13日
中秋の名月は十四夜の月で、例年ならば若干欠けている月なのだが、今年は満月になった。この日は午後から休みをとってあり、当初は午前の業務を早めに切り上げて七面山に行く予定を立てていた。しかし、予定通りには行かないもので、終わってみればもう12時を過ぎており、今から七面山に行ったとしても月の出に間に合うかどうか難しい時間になってしまった。ならば、予定変更、猪之頭林道に行くことにする。ここならば車で行けるので、5時半の月の出には余裕で間に合う。途中栗林先生のところの「写ば写ば」に立ち寄って(残念ながら先生はおらず)コーヒーをいただいてから予定地に向かったが、余裕で3時に到着した。
撮影に良さそうな場所にはもう車が何台も駐車されており、三脚が立てられていた。猪之頭トンネルすぐ手前から狙おうと思って現場に行くと、既に3~4人の先客がおり、三脚が立てられている。その後からも数台車が到着、場所取りで三脚だけ立てて車を別の場所に置きに行く人もいた。場所は余裕で確保できるのだが・・・撮影者の顔ぶれは高齢の方ばかりだ。やはりこういう場所は歩けなくなって山に登れなくなった時のために残しておくべきだろう。この上の稜線は樹林帯で眺望が悪いということは聞いていたのだが、木々の隙間を探して山の上から狙うことに決めた。
猪之頭林道から猪之頭峠に登る獣道のような細い道
猪之頭峠直下の林の中から見る富士山。こんな感じでの撮影も有りかなと考えながら登る。
猪之頭峠から見る富士山 急な登山道から撮るので足場は決して良くはないが、撮影場所はある。
トンネルの脇を右に行く細い道があり、急登を登って行くと30分ほどで猪之頭峠という場所に登り付く。かなりの悪路で、登るには良いが闇の中を下山するとなると道迷いを起こしかねない細い道だ。峠で左に曲がって登って行くと、笹と低木でやや視野が遮られるものの、十分に撮影可能な場所があった。さらに登って行くと、見上げるような急登りとなり、ツガの樹林帯に入る。このあたりはほとんど景色が見えないが、急登が少し緩やかとなって山頂まであと少しというところで森の切れ目を発見。左右の視野に制限があるが、富士山を切り抜くには十分の視界が得られる。ここで中秋の名月を撮影することに決める。
熊森山に登る中腹から、振り返れば毛無山の山塊が見える。かなり遠い。
熊森山山頂直下の林の切れ目。富士山と朝霧高原が見える。ここから月を狙うことに決める。
その先、数分で山頂に到着した。その山の名前は・・・熊森山。名前は凄いが、至って静かな平らな山頂だった。三角点のところにあった看板はこの名前ではなくて「雲守山」というロマンチックな名前がつけられており、そちらのほうが山の雰囲気に合っているように思った。山頂で道は二手に分かれていた。ここは毛無山から長者ヶ岳に行く縦走路で、あまり歩く人がいないマイナールートである。予想していたよりもコース状況は良く、普通に歩けそうだ。もう1本の左手(南東側)に向かう道はおそらく猪之頭林道に直接降りる道だろう。昭文社地図には載っていない道なのでどうなっているかわからないが、分岐点で見る限りでは明瞭な道だ。
熊森山山頂。平らで穏やか、熊の森のイメージではない。看板には「雲守山」とロマンチックな名が書かれていた。
こちらの標柱には「熊森山」と書かれている。
さて、山頂から少し戻ったところで三脚をセットして富士山頂に月が昇るのを待つ。現在地は標高約1,500m、平地での月の出は5時半ごろだったので、6時頃に山頂に昇ってくるだろうと予想して待つが、なかなか昇ってこない。富士の残照が消え、6時を過ぎてもまだ昇らない。携帯電話で七面山ライブカメラを見てみると、こちらはもう富士山の遥か上まで月が昇っていた。10分以上は時間差があるようだ。そして6時9分、待望の富士山頂からの月の出を迎える。雪の無い夏富士だが、これもまた面白い。ただ、想定していた残照の時間帯に昇る月ではなかったのがちょっと悔やまれた。
三脚をセット、月を待つ。ついでに時間は早いがヘッドライトをセット。
夕暮れの雲海と富士
山頂近くに黒っぽい雲が湧き始めたと思ったら・・・
あっという間に富士山は雲隠れ。このままダメかと思ったが、10分ほどで雲は晴れる。
雲が晴れ、いよいよ月が昇りはじめる。
中秋の名月昇る富士Ⅰ
中秋の名月昇る富士Ⅱ
月が富士山頂の真ん中を越えたところで撮影を止め、斜面を一気に降りて猪之頭峠付近の撮影適地に行く。焦って2度ほどスリップしたが、10分くらいで駆け下り、予定地に到着。うまくすれば富士山真上にある月が撮れるかと思ったのだが、若干遅れた。雲の中に隠れた月が輝きまた面白い写真が撮れた。
富士山上に輝く中秋の名月Ⅰ
富士山上に輝く中秋の名月Ⅱ
月が富士山頂を離れたところで、6時50分撮影終了。三脚とカメラをザックにしまい込み、本日一番の難関、峠から林道に降りる道を行く。暗闇の急下りはやや怖かったが、登りながら念入りにチェックしてあったので、迷うことなく15分で猪之頭林道に下り立つことができた。林道ではまだ撮影している人の姿がたくさんあった。
なかなか空が晴れない今日この頃だが、気温が下がらないこの時期にしては抜群の月が見られたと思う。予定していた場所とは2度も違ったが、一度登ってみたいと思っていた猪之頭峠稜線、かつ撮影場所があるということがわかったことは、大きな収穫になった。
(今回の中秋の名月は、さっそく先日開催された「山と花と星の奏でる演奏会」で上映させていただきました。)
中秋の名月は十四夜の月で、例年ならば若干欠けている月なのだが、今年は満月になった。この日は午後から休みをとってあり、当初は午前の業務を早めに切り上げて七面山に行く予定を立てていた。しかし、予定通りには行かないもので、終わってみればもう12時を過ぎており、今から七面山に行ったとしても月の出に間に合うかどうか難しい時間になってしまった。ならば、予定変更、猪之頭林道に行くことにする。ここならば車で行けるので、5時半の月の出には余裕で間に合う。途中栗林先生のところの「写ば写ば」に立ち寄って(残念ながら先生はおらず)コーヒーをいただいてから予定地に向かったが、余裕で3時に到着した。
撮影に良さそうな場所にはもう車が何台も駐車されており、三脚が立てられていた。猪之頭トンネルすぐ手前から狙おうと思って現場に行くと、既に3~4人の先客がおり、三脚が立てられている。その後からも数台車が到着、場所取りで三脚だけ立てて車を別の場所に置きに行く人もいた。場所は余裕で確保できるのだが・・・撮影者の顔ぶれは高齢の方ばかりだ。やはりこういう場所は歩けなくなって山に登れなくなった時のために残しておくべきだろう。この上の稜線は樹林帯で眺望が悪いということは聞いていたのだが、木々の隙間を探して山の上から狙うことに決めた。
猪之頭林道から猪之頭峠に登る獣道のような細い道
猪之頭峠直下の林の中から見る富士山。こんな感じでの撮影も有りかなと考えながら登る。
猪之頭峠から見る富士山 急な登山道から撮るので足場は決して良くはないが、撮影場所はある。
トンネルの脇を右に行く細い道があり、急登を登って行くと30分ほどで猪之頭峠という場所に登り付く。かなりの悪路で、登るには良いが闇の中を下山するとなると道迷いを起こしかねない細い道だ。峠で左に曲がって登って行くと、笹と低木でやや視野が遮られるものの、十分に撮影可能な場所があった。さらに登って行くと、見上げるような急登りとなり、ツガの樹林帯に入る。このあたりはほとんど景色が見えないが、急登が少し緩やかとなって山頂まであと少しというところで森の切れ目を発見。左右の視野に制限があるが、富士山を切り抜くには十分の視界が得られる。ここで中秋の名月を撮影することに決める。
熊森山に登る中腹から、振り返れば毛無山の山塊が見える。かなり遠い。
熊森山山頂直下の林の切れ目。富士山と朝霧高原が見える。ここから月を狙うことに決める。
その先、数分で山頂に到着した。その山の名前は・・・熊森山。名前は凄いが、至って静かな平らな山頂だった。三角点のところにあった看板はこの名前ではなくて「雲守山」というロマンチックな名前がつけられており、そちらのほうが山の雰囲気に合っているように思った。山頂で道は二手に分かれていた。ここは毛無山から長者ヶ岳に行く縦走路で、あまり歩く人がいないマイナールートである。予想していたよりもコース状況は良く、普通に歩けそうだ。もう1本の左手(南東側)に向かう道はおそらく猪之頭林道に直接降りる道だろう。昭文社地図には載っていない道なのでどうなっているかわからないが、分岐点で見る限りでは明瞭な道だ。
熊森山山頂。平らで穏やか、熊の森のイメージではない。看板には「雲守山」とロマンチックな名が書かれていた。
こちらの標柱には「熊森山」と書かれている。
さて、山頂から少し戻ったところで三脚をセットして富士山頂に月が昇るのを待つ。現在地は標高約1,500m、平地での月の出は5時半ごろだったので、6時頃に山頂に昇ってくるだろうと予想して待つが、なかなか昇ってこない。富士の残照が消え、6時を過ぎてもまだ昇らない。携帯電話で七面山ライブカメラを見てみると、こちらはもう富士山の遥か上まで月が昇っていた。10分以上は時間差があるようだ。そして6時9分、待望の富士山頂からの月の出を迎える。雪の無い夏富士だが、これもまた面白い。ただ、想定していた残照の時間帯に昇る月ではなかったのがちょっと悔やまれた。
三脚をセット、月を待つ。ついでに時間は早いがヘッドライトをセット。
夕暮れの雲海と富士
山頂近くに黒っぽい雲が湧き始めたと思ったら・・・
あっという間に富士山は雲隠れ。このままダメかと思ったが、10分ほどで雲は晴れる。
雲が晴れ、いよいよ月が昇りはじめる。
中秋の名月昇る富士Ⅰ
中秋の名月昇る富士Ⅱ
月が富士山頂の真ん中を越えたところで撮影を止め、斜面を一気に降りて猪之頭峠付近の撮影適地に行く。焦って2度ほどスリップしたが、10分くらいで駆け下り、予定地に到着。うまくすれば富士山真上にある月が撮れるかと思ったのだが、若干遅れた。雲の中に隠れた月が輝きまた面白い写真が撮れた。
富士山上に輝く中秋の名月Ⅰ
富士山上に輝く中秋の名月Ⅱ
月が富士山頂を離れたところで、6時50分撮影終了。三脚とカメラをザックにしまい込み、本日一番の難関、峠から林道に降りる道を行く。暗闇の急下りはやや怖かったが、登りながら念入りにチェックしてあったので、迷うことなく15分で猪之頭林道に下り立つことができた。林道ではまだ撮影している人の姿がたくさんあった。
なかなか空が晴れない今日この頃だが、気温が下がらないこの時期にしては抜群の月が見られたと思う。予定していた場所とは2度も違ったが、一度登ってみたいと思っていた猪之頭峠稜線、かつ撮影場所があるということがわかったことは、大きな収穫になった。
(今回の中秋の名月は、さっそく先日開催された「山と花と星の奏でる演奏会」で上映させていただきました。)