かつては秘密の花園と呼ばれていた奥秩父の山中にあるフクジュソウ自生地であるが、雑誌に載ったことがきっかけでその存在が知れ渡ることとなり、今では多くの登山者が訪れるようになり秘密の花園では無くなってしまった感がある。ネットで検索するとGPS軌道まで掲載されている記事があり、容易に場所が特定できるようになってしまっている。そのおかげで私のような奥秩父などほとんど歩いたことの無いような者でも行くことができるわけだが、反面多くの訪問者やさらにツアー客までが入山するようになり、花園がだいぶ踏み荒らされているという話も聞く。決して踏み荒らさないように、撮影には細心の注意を払って、200mm望遠を含めて3本のレンズを持って入山する。
人が来る前に一番乗りで花園到着、かつ朝の斜光線で花を撮るというのが今回の最大の目的である。まだ暗いうちにスタートしたいので、前日は秩父市のホテルに宿泊する。その前にルートの入り口だけ確認しておきたいので、午後3時にルートの下見に行き、沢に入るルート、さらに尾根の鉄塔のあたりを散策しておいた。都合良く山梨の知人の方たちのグループが下山してきたところだったので、ルート状況や開花状況など情報を得ることができた。沢に入ってからのルートが意外と長いと伺った。
当日は4時半起床、ルート入り口近くの駐車場には5時に到着した。予定通りまだ暗い5時20分にヘッドライト点灯して出発する。6時過ぎにはもう明るくなってくるのでヘッドライトは不要となる。当初の予定では尾根を登って目的地に向かって下降し、沢を下りてくる計画だったが、空模様が悪く、天気予報よりも早く天候が崩れてきそうな気配である。雨の中を沢ルートを下るのは避けたいので、予定を変更し、沢を登って尾根を下る逆回りのコースに当日の朝変更した。沢に下りるまでのルートは想定していたよりも良い道だった。
まだ暗い5時20分出発。橋を渡る。
沢に下るまでは予想以上に良い道だった。
埼玉県トラック協会の協力でルート整備が行われたそうだ。
下に沢が、突き当たりに目指す山域が見えて来た。両脇の木が折られているのはルート整備のためなのだろうか?
道の脇に咲いていたエイザンスミレ
タチツボスミレ
湿った岩の環境から、あるのではないかと思っていたが、やはりあった。ハナネコノメ。
折角の花なのに、小雨でレンズが曇ってしまった。
こちらはユリワサビ。高尾山まで行かなくても・・・というのはまだ行ったことの無い私の負け惜しみ。
7時沢筋に下り立つ。小雨がやや強くなってきたので、ここでザックカバーと上半身だけカッパを着る。途中では少し青空が見えた時もあったが、もはや空はどんより曇り空、朝の斜光線で花を撮影することは無理そうだ。沢から先はほぼバリアンスルート、明瞭な踏み跡も無くなる。二股に分かれた沢を登り間違えると尾根を隔てた反対側の場所に行ってしまうので、GPSで確認して沢筋に入る。あとはこの沢をひたすら登れば目的地に到着するはずだ。
二股になっている沢の分岐。
右の沢には小さな滝がある。青いテープがやや紛らわしい。
入るのは左の沢。ここからは沢登りになり、踏み跡は無いか、あっても薄い。
沢沿いの岩にはハナネコノメがちらほらと咲いている。こちらはムカゴネコノメソウ(だと思う)。
苔の生えた美しい沢。テープも何も無く、あまり人が入っているようには見えないのだが・・・。
かつてはワサビ田があったらしい。
沢の源頭。こんな綺麗な水で作られたワサビならばさぞかし美味だっただろう。
沢の流れが無くなり、もうすぐ目的地。踏み跡が見えて来た。
到着、秘密の花園。噂通りの斜面が黄色く見えるほどのフクジュソウ群落。
ほぼ予定通りの9時、秘密の花園フクジュソウ自生地に一番乗りで到着した。花園の中に踏み込まないように、お花畑の周辺を回るようにして写真を撮る。満開と聞いていたのだが、この花は天候が悪いと開花してくれないようで、ほとんどが蕾のようにしぼんでいる。曇り空で光が差し込まないため、鮮やかな色が出ないのが残念である。
斜面一面がフクジュソウでいっぱい。
フクジュソウの咲く斜面
同上
これほどの花が自生しているとは驚きである。200mm望遠レンズ画像。
同上
凄い!
同上
花園を回り込んだつもりだったが、その後ろ側の斜面にも咲いていた。
上部から見下ろすフクジュソウ群落。花園の中心を横切るように踏み跡が出来てしまっている。通路が出来ているからといって踏み込まないで欲しい。
1時間ほど撮影に熱中していると、10時を過ぎた頃に沢沿いから鈴の音が聞こえてきて、登山者がやって来た。毎年この花園を訪れているそうで、私のブログのことも知っていて驚いた。この花園が世間に知られるようになり、訪問者が増えて踏み荒らされることが多くなったため、地元の愛好家の方たちが目印となるテープ等は全て取り払ったと聞いた。しかし、場所を隠すのは既に時遅しといった感が無きにしもあらずだ。都合良く、この花は毒があるために鹿の食害からは逃れたためにこのような花園が残っており、最大の敵は人間ということになるのだろう。マナーの良い訪問者が来るのならば良いのだが、今後はロープを張る等の保護活動をする必要が生じて来るかもしれない。
訪問者が数人到着したところで軽食をとって撤退する。時間は10時半。尾根に登る道はスズタケの籔登りを想定していたのだが、以外にも踏み跡のあるまともな道だった。急登、かつ雨で滑り易く、途中から一時みぞれも混じるようになって来た。尾根に登り着いてあとは尾根通しにひたすら下るだけだ。間違えそうな尾根分岐が2ヶ所あるが、事前に地図で十分に検討してきたので全く間違うことは無かった。
尾根に登る途中から見下ろすフクジュソウ群生地。
スズタケの籔を想定していたが、意外とまともな道だった。
大ドッケはこんもりしたピークで、ここで尾根が分かれている。下山時は注意が必要。
下部ルート脇には面白い湾曲した地層が見られる。
ルート入り口は鷹が見張っている。
午後1時駐車場に到着。例の如く、下山して来ると青空が見えているが、山の上は雲がかかっている良くあるパターンだった。駐車場は7台ほど止まれるが満車状態だった。下山途中の尾根で出会ったのは単独登山者2人だけ、そのうちの一人はテント装備を持って大平山を越えてその先の七跳山界隈の尾根を散策するという上級者だった。地味ではあるがかなり面白い山域であるという情報をいただいた。
今回のフクジュソウは天候が悪かったためか開いておらず、写真の彩度が悪いのがきわめて残念だ。おそらく来週は天候の如何にかかわらず満開となっていることだろう。花は八分咲きくらいがいちばん見頃だとは思っているが、今回の撮影はいまいち、と言わざるを得ない。今季もう一度行くか、来年も訪れるかどうか、等、まだ全く未定である。願うことは、この花園が踏み荒らされること無くこれからもずっと在り続けて欲しいということである。
人が来る前に一番乗りで花園到着、かつ朝の斜光線で花を撮るというのが今回の最大の目的である。まだ暗いうちにスタートしたいので、前日は秩父市のホテルに宿泊する。その前にルートの入り口だけ確認しておきたいので、午後3時にルートの下見に行き、沢に入るルート、さらに尾根の鉄塔のあたりを散策しておいた。都合良く山梨の知人の方たちのグループが下山してきたところだったので、ルート状況や開花状況など情報を得ることができた。沢に入ってからのルートが意外と長いと伺った。
当日は4時半起床、ルート入り口近くの駐車場には5時に到着した。予定通りまだ暗い5時20分にヘッドライト点灯して出発する。6時過ぎにはもう明るくなってくるのでヘッドライトは不要となる。当初の予定では尾根を登って目的地に向かって下降し、沢を下りてくる計画だったが、空模様が悪く、天気予報よりも早く天候が崩れてきそうな気配である。雨の中を沢ルートを下るのは避けたいので、予定を変更し、沢を登って尾根を下る逆回りのコースに当日の朝変更した。沢に下りるまでのルートは想定していたよりも良い道だった。
まだ暗い5時20分出発。橋を渡る。
沢に下るまでは予想以上に良い道だった。
埼玉県トラック協会の協力でルート整備が行われたそうだ。
下に沢が、突き当たりに目指す山域が見えて来た。両脇の木が折られているのはルート整備のためなのだろうか?
道の脇に咲いていたエイザンスミレ
タチツボスミレ
湿った岩の環境から、あるのではないかと思っていたが、やはりあった。ハナネコノメ。
折角の花なのに、小雨でレンズが曇ってしまった。
こちらはユリワサビ。高尾山まで行かなくても・・・というのはまだ行ったことの無い私の負け惜しみ。
7時沢筋に下り立つ。小雨がやや強くなってきたので、ここでザックカバーと上半身だけカッパを着る。途中では少し青空が見えた時もあったが、もはや空はどんより曇り空、朝の斜光線で花を撮影することは無理そうだ。沢から先はほぼバリアンスルート、明瞭な踏み跡も無くなる。二股に分かれた沢を登り間違えると尾根を隔てた反対側の場所に行ってしまうので、GPSで確認して沢筋に入る。あとはこの沢をひたすら登れば目的地に到着するはずだ。
二股になっている沢の分岐。
右の沢には小さな滝がある。青いテープがやや紛らわしい。
入るのは左の沢。ここからは沢登りになり、踏み跡は無いか、あっても薄い。
沢沿いの岩にはハナネコノメがちらほらと咲いている。こちらはムカゴネコノメソウ(だと思う)。
苔の生えた美しい沢。テープも何も無く、あまり人が入っているようには見えないのだが・・・。
かつてはワサビ田があったらしい。
沢の源頭。こんな綺麗な水で作られたワサビならばさぞかし美味だっただろう。
沢の流れが無くなり、もうすぐ目的地。踏み跡が見えて来た。
到着、秘密の花園。噂通りの斜面が黄色く見えるほどのフクジュソウ群落。
ほぼ予定通りの9時、秘密の花園フクジュソウ自生地に一番乗りで到着した。花園の中に踏み込まないように、お花畑の周辺を回るようにして写真を撮る。満開と聞いていたのだが、この花は天候が悪いと開花してくれないようで、ほとんどが蕾のようにしぼんでいる。曇り空で光が差し込まないため、鮮やかな色が出ないのが残念である。
斜面一面がフクジュソウでいっぱい。
フクジュソウの咲く斜面
同上
これほどの花が自生しているとは驚きである。200mm望遠レンズ画像。
同上
凄い!
同上
花園を回り込んだつもりだったが、その後ろ側の斜面にも咲いていた。
上部から見下ろすフクジュソウ群落。花園の中心を横切るように踏み跡が出来てしまっている。通路が出来ているからといって踏み込まないで欲しい。
1時間ほど撮影に熱中していると、10時を過ぎた頃に沢沿いから鈴の音が聞こえてきて、登山者がやって来た。毎年この花園を訪れているそうで、私のブログのことも知っていて驚いた。この花園が世間に知られるようになり、訪問者が増えて踏み荒らされることが多くなったため、地元の愛好家の方たちが目印となるテープ等は全て取り払ったと聞いた。しかし、場所を隠すのは既に時遅しといった感が無きにしもあらずだ。都合良く、この花は毒があるために鹿の食害からは逃れたためにこのような花園が残っており、最大の敵は人間ということになるのだろう。マナーの良い訪問者が来るのならば良いのだが、今後はロープを張る等の保護活動をする必要が生じて来るかもしれない。
訪問者が数人到着したところで軽食をとって撤退する。時間は10時半。尾根に登る道はスズタケの籔登りを想定していたのだが、以外にも踏み跡のあるまともな道だった。急登、かつ雨で滑り易く、途中から一時みぞれも混じるようになって来た。尾根に登り着いてあとは尾根通しにひたすら下るだけだ。間違えそうな尾根分岐が2ヶ所あるが、事前に地図で十分に検討してきたので全く間違うことは無かった。
尾根に登る途中から見下ろすフクジュソウ群生地。
スズタケの籔を想定していたが、意外とまともな道だった。
大ドッケはこんもりしたピークで、ここで尾根が分かれている。下山時は注意が必要。
下部ルート脇には面白い湾曲した地層が見られる。
ルート入り口は鷹が見張っている。
午後1時駐車場に到着。例の如く、下山して来ると青空が見えているが、山の上は雲がかかっている良くあるパターンだった。駐車場は7台ほど止まれるが満車状態だった。下山途中の尾根で出会ったのは単独登山者2人だけ、そのうちの一人はテント装備を持って大平山を越えてその先の七跳山界隈の尾根を散策するという上級者だった。地味ではあるがかなり面白い山域であるという情報をいただいた。
今回のフクジュソウは天候が悪かったためか開いておらず、写真の彩度が悪いのがきわめて残念だ。おそらく来週は天候の如何にかかわらず満開となっていることだろう。花は八分咲きくらいがいちばん見頃だとは思っているが、今回の撮影はいまいち、と言わざるを得ない。今季もう一度行くか、来年も訪れるかどうか、等、まだ全く未定である。願うことは、この花園が踏み荒らされること無くこれからもずっと在り続けて欲しいということである。