山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

世紀の天体ショー、金環日食  毛無山

2012年05月24日 | 山梨百名山
 関東地方でこの金環日食が見られるのは、私が生きている間にはこれが最初で最後となる。かつ、富士山と一緒にこの日食を撮影できるのは、次は300年も先になるらしい。天気予報では曇りだが、雲間から日食は見られるだろうとの予報だった。雲が多いとなると下から見上げる富士山は不利。そこで富士山外輪山の中で最も標高の高い毛無山で朝を迎えることにした。標高1,945mの三角点ならば雲が出ても富士山山頂は見えるのではないか、うまくすれば雲海が広がるかもしれない、そんな思いを抱きつつ、前日の5月20日、毛無山に登る。

 5月20日
 河口湖周辺でトレイルランの競技会が行われると聞いていたので、朝霧高原側のルートを避けて久しぶりに下部側ルートから登ろうと思い、下部温泉から猪ノ頭林道に入ると、かなり手前のゲートで林道が閉鎖されていた。登山口までは1時間以上はかかってしまう。林道の崩落があったらしく、いつ復旧するかは未定のようだ。あきらめて本栖湖をまわって朝霧高原に向かう。ところが、本栖の交差点を曲がって国道に出たところで車は大渋滞。トレイルランの影響かと思ったらそうではなく、本栖ハイランド、芝桜公園に右折する車で渋滞しており朝霧高原通過に30分も費やしてしまう。そして、ふもとっぱらの草地のところを通過すると明朝の金環日食観察のために訪れたテント泊の人たちがたくさんいた。麓の毛無山登山口駐車場は10数台車が止まっていたが、それほど混雑していなかった。今回はカメラ2台、三脚2本、レンズ3本にテント泊装備、水3.5リットルという重装備で、久しぶりに20kgを超える重さとなる。しかも出発は午後1時を回ってしまい、午後6時山頂到着を目標に歩き始める。


    新緑の不動の滝


    9合目付近の富士山展望台から望む富士山

 足に疲れを残さないように2合目登るごとに休憩しつつゆっくりと登る。そしてほぼ予定通りの午後6時10分、毛無山山頂に到着した。空は曇っていたが、富士山はくっきりと見えており、明日の日食への期待がふくらむ。テント設営の前に明日の撮影構図を考えつつ場所を下見する。そして三角点ピークの少し下で2本の木の上で金環日食となる構図で撮影することに決める。


    毛無山山頂


    明日はこの構図で金環日食を狙う。


    就眠前、午後8時過ぎの富士山

 空は曇っていて星は見えないが、富士山ははっきりと見えていた。明日の相手は太陽なので、このくらいの雲ならば十分に観察できるはず。明日の朝を楽しみに、8時半に眠りにつく。


 5月21日

 日の出前の午前4時起床し、テントの外に出る。そして空を見て唖然とした。前夜とは全く空模様が変わり、真黒な雲が富士山に巻いている。裾の一部が見えるだけで富士山山頂は全く見えない。それどころか、この厚い雲では日食の観察すら危うい状態だ。一瞬でも良いので、日食と富士山が写し込めることを期待してカメラをセットする。1台は広角レンズにND8+ハーフND4フィルター装着し、前日の構図でカメラ固定、タイマーで20秒~10秒間隔でシャッターが切れるようにセットする。そしてもう1台は望遠レンズ、300㎜までズーム可能だが、最大300㎜はピントがやや甘くなるようで、250㎜にしてピントを合わせセロテープで固定、こちらにはND400フィルターを装着する。広角で景色を入れて撮影、望遠で日食だけを切り抜くという2段構えだ。あとは日食と富士山が出てくれるかどうか・・・パンで軽く朝食を済ませ、空模様を心配しながら時を待つ。


    朝の空。富士山方向から真黒な雲が続々と流れてくる。


    そろそろ日食が始まっている頃だろうが・・・雲で光が拡散、見えない。

 7時を過ぎた頃、ようやく望遠レンズの視野で欠けた太陽が見えた。一瞬だけですぐにまた黒い雲に隠れてしまう。広角レンズ側の画像を確認してみると、光が拡散して太陽が見えない。シャッタースピードを上げて露出を下げる。しかし、なかなかうまく映ってくれず、かつ、富士山はますます雲が増え、ほぼ絶望的だ。広角側はほぼあきらめてタイマーにお任せしてシャッターを切り続け、望遠レンズ側は太陽が現れた時だけシャッターを切る。風景写真には程遠く、日食の記念撮影程度にしかならないのは承知だったが、これしか撮れなかったというのが本音だ。
 

    7時過ぎ、ようやく捉えた日食


    露出を切り詰めてなんとか映った日食


    広角レンズ側で捉えた金冠日食。欠けて行く様子を空に合成する予定だったのだが、全く無理。

 富士山が全く見えず、あきらめて位置を変えて何枚か撮影したが、その時には金環日食は既に終わっていた。その後は再び厚い雲に空が覆われ、太陽はほとんど姿を現さなくなってしまった。隣の大見岳付近にテント泊していた若者が一人おり、金環食が終わって間もない頃に「ダメでした」といって下山していった。


    

    場所を変えて撮影。金環は既に終わっている。


    金環日食の推移  望遠レンズで撮影できたものを合成。

 映像を期待していた方も多いかもしれないが、今回の日食は残念ながらお見せできるような映像は皆無といって良い。山の上よりも平地のほうが今回は良い条件で観察できたのではないだろうか。私の山仲間が素晴らしい映像を撮っているので、下記でお楽しみいただきたい。
    
 「望の富士山:金環日食

 8時半下山開始。この頃から若干空模様が回復しはじめ、富士山展望台から少しだけ富士山が見えた。11時半、駐車場到着。意外と足取りは軽かった。



 残念な結果に終わってしまったが自然相手の写真とはこんなもの。またいつか、どこかで日食撮影の機会が来るだろう。

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1 コメント

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金環日食の時間推移 (ヨッシ-)
2012-05-29 09:08:39
 お気付きの方も多いかと思いますが、金環日食の推移を合成した写真、時間がずれています。実際にはもう少し早い時間に金環になっていたはずですが、カメラの時間が狂っており、いずれはズレ時間を修正したものを掲示します。当面はこれでお許しください。
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