前日大菩薩嶺から縦走し、小金沢山山頂でテント泊となった。富士山の上に立ち上がる天の川を狙っていたのだが、空は霞んでいて星は見えなかった。
5月6日
予定通り未明3時に起床する。テントの外に出てみると、スーパームーンは西の空、甲府の夜景の上に傾いていた。星は全く見えず、富士山も見えない。狙っていた天の川は不発に終わる。
甲府盆地に沈む月
富士山は霞んで見えない。
一旦テントに戻って横になり、今度は5時少し前に他のメンバーを起こして朝食をとる。テント撤収し、6時10分、小金沢山を出発する。この先、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、川胡桃沢ノ頭と越えて行くが、展望の良い笹原の斜面が広がる気持ちの良い場所がいくつもある。危険個所は無いが、倒木が何本もありやや歩きにくいところもあった。そして黒岳の森に入るとツガ林となり、一旦景色は見えなくなる。快適な稜線を2時間ほど歩いて、8時15分、林の中にある黒岳山頂に到着した。
山梨百名山2山目、小金沢山山頂。出発前に記念撮影。
笹原の中の道を行く。向こうに見えるのが牛奥ノ雁ヶ腹摺山。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山
牛奥ノ雁ヶ腹摺山の笹原。向こうに見えるのがこれから登る黒岳。富士山が並んで見えるはずだが、この日は姿現さず。
気持ちの良い笹原の稜線。向こうに見えるのが川胡桃沢ノ頭。
川胡桃沢の頭。読みは「くるみさわのかしら」だが、字の頭には「川」が付いている。
黒岳山頂。林の中で眺望は無い。
山頂から少し下ったところにある黒岳の広葉樹林帯はやまなしの森100選に選ばれているきれいなところだが、4年ほど前の雪の積もる冬に来た時に道に迷った思い出がある。その時は白谷ノ丸側に林を抜けて、膝上ほどある雪を強引にラッセルして進み、白谷ノ丸ピークに登り着いたことがある。雪の無い季節に来てみると、林の中を登って小ピークを越えて進む道がついていた。その先で見下ろす白谷ノ丸周辺の草地は広大で綺麗だった。道の無いこの草地の中を突き進んだのかと改めて思い知る。青空が見えてはいるが富士山は雲隠れしており、白谷ノ丸は立ち寄らずに湯の沢峠に下りる。
やまなしの森100選、黒岳の広葉樹林
黒岳稜線から見下ろす白谷ノ丸とその周辺の草原。膝上ほどの雪の積もる中、この草地を進んだということだ。
湯の沢峠。すぐ下に避難小屋があり、5分ほどで水場に到着できる。
水が足りなければここで水場に立ち寄るつもりだったが、植田さんが多量に水を担いで来てくれたおかげで十分あったため、そのまま大蔵高丸に向けて進む。緩い登りだが、前日からだいぶ歩いてきたので結構疲れる。10時、大蔵高丸到着。ほぼ予定通りの時間だが、相変わらず富士山は見えず、空には少しずつ雲が増え始めてきた。
大蔵高丸山頂。山梨百名山3山目。
ハマイバ丸への草地の稜線。初夏にはお花畑になる。
もうすぐハマイバ丸。空には黒い雲が広がり出す。そして遂に・・・ゴロゴロという雷鳴が・・・。
小休憩してハマイバ丸への稜線を進む。植生保護のためにロープが張られ、笹が刈り払われていて快適な稜線だ。しかし、しだいに空には黒い雲が広がり出し、遂にはゴロゴロという雷鳴が轟き出す。とにかく標高を下げなければ。休憩無しにハマイバ丸を越えて急ぎ足で斜面を下り、米背負い峠に向かう。しかしその途中、標高1,600mあたりで遂に雷雲につかまる。向こうに見える大谷ノ丸の上に大きな稲妻が落ちるのが見えたかと思ったら、冷たい雨と風が吹きつけるようになる。そして、見渡す空一面、稲光と雷鳴が轟きわたる。稜線上にザックを置いて笹原の低木斜面に下りて身を潜めて雷雲が通り過ぎるのを待つ。大粒の雹がザーッと降り着け、向かいの山に稲妻が2~3発落ちるのが見えた。こうなると、もうこっちに来ないでと祈るしかない。幸いにして雷雲中心部の直撃は避けられ、20分ほどで天候は回復した。
ハマイバ丸。空はあっという間に真っ暗、雷鳴が轟き出す。
雷雲去った後に、地面からモヤが立ち昇る。
雷雲が通り過ぎるとあっという間に青空が広がった。温まった地面からはモヤが立ち昇った。米背負い峠までは少し下れば到着すると思っていたが想定外に長く、小ピークを2つ3つ越えてようやく到着した。スミレの花が咲き始めており、アケボノスミレ、エイザンスミレ、タチツボスミレなどの他に、またしてもヒゴスミレを見つけることができた。茅ヶ岳で見たよりもこちらのほうがたくさん咲いていた。さらに、咲き始めたばかりにオキナグサにも出会うことができた。
アケボノスミレ
エイザンスミレ
ヒゴスミレ 茅ヶ岳に続いて発見。
こちらのほうが茅ヶ岳よりたくさんあった。
オキナグサ
咲き始めたばかりのオキナグサ。周囲には蕾が頭を持ち上げている。
雷雲の避難と想定していたよりも長かった距離で、1時間ほど予定時間より遅れて11時50分に米背負い峠到着した。もう目の前に大谷ノ丸が見え、あと2時間も歩けば滝子山に行けそうだ。しかし、本日は天候が不順、かつ時間制限があり、米背負い峠から沢を下って大蔵林道に下りる。かつて林道が崩落する前はこの道を歩く人も多かったが、林道が閉鎖されてからはほとんど歩く人がおらず、だいぶ荒れてしまっている。道標の看板がついてはいるが、ところどころわかりにくい場所もある。45分ほど沢伝いに下り、午後1時林道に出た。
米背負い峠からの下山道。黄色い杭の向こうに行くと左手に明瞭な道がある。
朽ちかけた橋を渡る。ところどころ道が壊れている。
大蔵林道に出る。ここからが長い。
ここからはくねくね曲がった長い林道をひたすら歩くだけだ。5~6kmくらい距離があるのではないだろうか。林道下部で本日2度目の雷雨に遭い、ヒノキ林の中で再び身をかがめて雷雲が去るのを待つ。そして午後3時、ようやく天目温泉のトンネル脇に停めた車に到着した。午後からの雨はそのまま止むことは無く、大菩薩湖の臨時駐車場に車を回収に行った頃には本降りの雨になっていた。
かつてから行きたかった大菩薩ー小金沢連邦の縦走、全山縦走では無かったが、これで滝子山までの稜線は繋がった。雷に遭った時は生きた心地がしなかったが、無事に歩くことができ、花にも出会えて満足できる山行だった。
5月6日
予定通り未明3時に起床する。テントの外に出てみると、スーパームーンは西の空、甲府の夜景の上に傾いていた。星は全く見えず、富士山も見えない。狙っていた天の川は不発に終わる。
甲府盆地に沈む月
富士山は霞んで見えない。
一旦テントに戻って横になり、今度は5時少し前に他のメンバーを起こして朝食をとる。テント撤収し、6時10分、小金沢山を出発する。この先、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、川胡桃沢ノ頭と越えて行くが、展望の良い笹原の斜面が広がる気持ちの良い場所がいくつもある。危険個所は無いが、倒木が何本もありやや歩きにくいところもあった。そして黒岳の森に入るとツガ林となり、一旦景色は見えなくなる。快適な稜線を2時間ほど歩いて、8時15分、林の中にある黒岳山頂に到着した。
山梨百名山2山目、小金沢山山頂。出発前に記念撮影。
笹原の中の道を行く。向こうに見えるのが牛奥ノ雁ヶ腹摺山。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山
牛奥ノ雁ヶ腹摺山の笹原。向こうに見えるのがこれから登る黒岳。富士山が並んで見えるはずだが、この日は姿現さず。
気持ちの良い笹原の稜線。向こうに見えるのが川胡桃沢ノ頭。
川胡桃沢の頭。読みは「くるみさわのかしら」だが、字の頭には「川」が付いている。
黒岳山頂。林の中で眺望は無い。
山頂から少し下ったところにある黒岳の広葉樹林帯はやまなしの森100選に選ばれているきれいなところだが、4年ほど前の雪の積もる冬に来た時に道に迷った思い出がある。その時は白谷ノ丸側に林を抜けて、膝上ほどある雪を強引にラッセルして進み、白谷ノ丸ピークに登り着いたことがある。雪の無い季節に来てみると、林の中を登って小ピークを越えて進む道がついていた。その先で見下ろす白谷ノ丸周辺の草地は広大で綺麗だった。道の無いこの草地の中を突き進んだのかと改めて思い知る。青空が見えてはいるが富士山は雲隠れしており、白谷ノ丸は立ち寄らずに湯の沢峠に下りる。
やまなしの森100選、黒岳の広葉樹林
黒岳稜線から見下ろす白谷ノ丸とその周辺の草原。膝上ほどの雪の積もる中、この草地を進んだということだ。
湯の沢峠。すぐ下に避難小屋があり、5分ほどで水場に到着できる。
水が足りなければここで水場に立ち寄るつもりだったが、植田さんが多量に水を担いで来てくれたおかげで十分あったため、そのまま大蔵高丸に向けて進む。緩い登りだが、前日からだいぶ歩いてきたので結構疲れる。10時、大蔵高丸到着。ほぼ予定通りの時間だが、相変わらず富士山は見えず、空には少しずつ雲が増え始めてきた。
大蔵高丸山頂。山梨百名山3山目。
ハマイバ丸への草地の稜線。初夏にはお花畑になる。
もうすぐハマイバ丸。空には黒い雲が広がり出す。そして遂に・・・ゴロゴロという雷鳴が・・・。
小休憩してハマイバ丸への稜線を進む。植生保護のためにロープが張られ、笹が刈り払われていて快適な稜線だ。しかし、しだいに空には黒い雲が広がり出し、遂にはゴロゴロという雷鳴が轟き出す。とにかく標高を下げなければ。休憩無しにハマイバ丸を越えて急ぎ足で斜面を下り、米背負い峠に向かう。しかしその途中、標高1,600mあたりで遂に雷雲につかまる。向こうに見える大谷ノ丸の上に大きな稲妻が落ちるのが見えたかと思ったら、冷たい雨と風が吹きつけるようになる。そして、見渡す空一面、稲光と雷鳴が轟きわたる。稜線上にザックを置いて笹原の低木斜面に下りて身を潜めて雷雲が通り過ぎるのを待つ。大粒の雹がザーッと降り着け、向かいの山に稲妻が2~3発落ちるのが見えた。こうなると、もうこっちに来ないでと祈るしかない。幸いにして雷雲中心部の直撃は避けられ、20分ほどで天候は回復した。
ハマイバ丸。空はあっという間に真っ暗、雷鳴が轟き出す。
雷雲去った後に、地面からモヤが立ち昇る。
雷雲が通り過ぎるとあっという間に青空が広がった。温まった地面からはモヤが立ち昇った。米背負い峠までは少し下れば到着すると思っていたが想定外に長く、小ピークを2つ3つ越えてようやく到着した。スミレの花が咲き始めており、アケボノスミレ、エイザンスミレ、タチツボスミレなどの他に、またしてもヒゴスミレを見つけることができた。茅ヶ岳で見たよりもこちらのほうがたくさん咲いていた。さらに、咲き始めたばかりにオキナグサにも出会うことができた。
アケボノスミレ
エイザンスミレ
ヒゴスミレ 茅ヶ岳に続いて発見。
こちらのほうが茅ヶ岳よりたくさんあった。
オキナグサ
咲き始めたばかりのオキナグサ。周囲には蕾が頭を持ち上げている。
雷雲の避難と想定していたよりも長かった距離で、1時間ほど予定時間より遅れて11時50分に米背負い峠到着した。もう目の前に大谷ノ丸が見え、あと2時間も歩けば滝子山に行けそうだ。しかし、本日は天候が不順、かつ時間制限があり、米背負い峠から沢を下って大蔵林道に下りる。かつて林道が崩落する前はこの道を歩く人も多かったが、林道が閉鎖されてからはほとんど歩く人がおらず、だいぶ荒れてしまっている。道標の看板がついてはいるが、ところどころわかりにくい場所もある。45分ほど沢伝いに下り、午後1時林道に出た。
米背負い峠からの下山道。黄色い杭の向こうに行くと左手に明瞭な道がある。
朽ちかけた橋を渡る。ところどころ道が壊れている。
大蔵林道に出る。ここからが長い。
ここからはくねくね曲がった長い林道をひたすら歩くだけだ。5~6kmくらい距離があるのではないだろうか。林道下部で本日2度目の雷雨に遭い、ヒノキ林の中で再び身をかがめて雷雲が去るのを待つ。そして午後3時、ようやく天目温泉のトンネル脇に停めた車に到着した。午後からの雨はそのまま止むことは無く、大菩薩湖の臨時駐車場に車を回収に行った頃には本降りの雨になっていた。
かつてから行きたかった大菩薩ー小金沢連邦の縦走、全山縦走では無かったが、これで滝子山までの稜線は繋がった。雷に遭った時は生きた心地がしなかったが、無事に歩くことができ、花にも出会えて満足できる山行だった。
目の前に雷が落ちるなんて、想像するだけでも恐ろしい。現場にいらした3人はどれほどの恐怖感だったのでしょう。
南大菩薩縦走のこのコースは早朝に大菩薩峠出発で試したことがありますが、湯ノ沢峠から降りました。
テント泊装備で貼るかに重いザックを背負いながら歩かれるのはスゴイとしか言葉がみつかりません。
今度お会いした際に詳しいことを教えて下さい。
次は秋に牛奥ノ雁ヶ腹摺り山に泊ってやろうかと思ってます。町明かりがカットでき、おそらく富士山と黒岳のコルのところにカノープスが見えるはず・・・。
オフ会は夕方から予定が入ってしまい、途中まで参加とさせていただきます。