山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

渓谷の岩壁に咲くセッコク  令和1年6月5日

2019年06月06日 | 山に咲く花
 着生ランのセッコクは木に着生するものだと思っていたのだが、山梨県の渓谷の岩壁に着生しているセッコクがあると聞いた。高尾山のセッコクが見ごろを迎えたことだし、こちらのセッコクも咲いている頃だろう。距離的にかなり離れた位置が予想されるため、双眼鏡を片手に渓谷に入ってみる。レンズは70‐200㎜の他に570㎜も持って行く。


    こんな岩壁に着生しているはずだが・・・。


    ピンク色の塊が見える。


    570㎜望遠。セッコクが咲いている。


    トリーミング


    今度は少し近い位置で発見。


    白いセッコク。


    こちらはピンクと白が並んでいるがピンクのほうはもう終わりである。


    遥か上の岩壁に着生していたセッコク。


    こちらはもう終わりかけ。


    本日一番の大株。中央部には大きなイワヒバが着生している。


    トリーミング


    岩棚に咲いていたセッコク

 個体数は少ないだろうと予想していたのだが遥か高いところの岩壁を双眼鏡で覗き込んでみるとそれなりの個体数が生育しているのが確認できた。聞くところによるとかつてはもっと低いところにもあったそうだが、釣り人の振りをした採取者が釣り竿の先にフックを付けて盗掘が相次いだそうである。実際にネットの通販サイトを見るとセッコクの『〇〇峡』という株が売られている。現在残っているのは命がけでクライミングしなければ行けないような岩壁にしか生育していない。


    渓谷の道端になにげなく咲いていたこの花は?


    ナガミノツルキケマンに類似しているが花期が違う。


    この時期に咲くのはヤマキケマンかと思うのだが種が曲がっておらず違うような気がする。正体不明のキケマンの仲間。

 
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七丈小屋の朝と黒戸尾根に咲く花たち 令和1年6月1日‐2日

2019年06月04日 | 山に咲く花
 前日クタクタになってたどり着いた七丈小屋は知り合いの山岳会のメンバーが泊まっていたこともあって8時の消灯時間近くまで山や花談義が尽きなかった。そのグループはアイゼンにピッケル持ちの冬山装備で来ているのでもちろん甲斐駒ケ岳山頂まで行くであろうが、私はチェーンスパイクしか持って来ていないので良くて8合御耒迎場までである。狙っていたのは夜明けの甲府盆地の上に昇って来る金星と細月であるが8合目までのルートに結構な雪が残っているそうでルート自体がはっきりしていないらしい。そこを暗いうちにチェーンスパイクだけで登って行くのは困難であろう。一応は登ることも考えつつ8時に寝る。

 明朝目が覚めたのは未明3時だった。外に出てみると頭上に少しだけ星が見えるが空はほとんど雲に覆われていて甲府盆地の明かりも少ししか見えない。これは月と星を撮影するのは困難なのであきらめて2度寝入りする。目が覚めたのは5時でもう明るくなっていた。弁当になっている小屋の朝食をいただき、6時に小屋を出る。


    七丈第2小屋のデッキから見る鳳凰山。


    鳳凰山と富士山。空には雲がかかったが富士山はなんとか見えてくれた。


    霞に浮かんだ八ヶ岳


    6合目付近から見る鳳凰山と富士山


    富士山

 どんよりとした空だったがなんとか周辺の山々と富士山は姿を見せてくれた。しかしそれも朝のうちだけで、9時ごろにはガスが湧き上り景色は見えなくなってしまった。

 花を探しながら歩いていると、途中の見えにくい岩場の影にもクモイコザクラが咲いているのが目に付いた。急斜面を下りて見に行ってみると岩肌にクモイコザクラがたくさん咲いていた。


    クモイコザクラ咲く岩壁


    この場所にもそれなりの個体数があった。日当たりが良い場所なのでほぼ満開である。


    クモイコザクラ

 針葉樹林の苔生した林床にはそろそろ咲き終わりのバイカオウレンがあちらこちらで咲き残っていた。まだ盛期に訪れたことが無いオサバグサの葉もそれなりの数があった。花を探して写真を撮りながら、存分に黒戸尾根を楽しみながら下山する。


    バイカオウレン。ほとんど花は終わっていた。


    タケシマラン


    ウスギオウレン再写。今度はマクロレンズを使って少し芸術的に。


    ウスギオウレン


    少し痛み出していた。


    刃渡りのミツバツツジは8分咲き。


    岩場に咲くコイワカガミ


    まだ咲き始めたばかり。


    アスヒカズラ(ヒカゲノカズラ科) 山梨県絶滅危惧Ⅱ類のシダ。


    驚いたのがこれ。ピンク色のコミヤマカタバミ。


    山梨県ではこの色の花は見られないと思っていた。


    ベニバナコミヤマカタバミ。初めての出合い。

 岩陰や樹林の中などあちらこちらを散策しながら竹宇駒ケ岳神社の駐車場に到着したのは午後1時半だった。登りも下りも一緒になった神奈川県から来られたカップルと駐車場の売店でソフトクリームとコーヒーを味わいながら山談義して今回の山行は終了となった。毎度大変な黒戸尾根だが、それに見合うだけの景色や植物との出会いがある。もし元気があるならば、オサバグサが咲く頃に訪問してみたい。

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甲斐駒ケ岳黒戸尾根のクモイコザクラ  令和1年6月1日‐2日

2019年06月03日 | 山に咲く花
 例年よりも若干遅れて黒戸尾根5合目付近のクモイコザクラが開花したらしい。甲斐駒ケ岳七丈小屋の情報を見ると先週までは黒戸山付近に残雪があったようだがそれは溶けて小屋まではもうアイゼン無しで行けるようになったようだ。今回は七丈小屋に一泊させていただき、クモイコザクラを見に行くことにする。所属する嶺朋クラブのメンバーと2人で竹宇駒ケ岳神社から出発したのだが相方は体調不良で横手分岐までで引き返すことになり、単独で七丈小屋を目指すことになる。


    竹宇駒ケ岳神社から登る。


    尾白川にかかる橋を渡る。


    新緑眩しい尾根道


    ヤマツツジが散り始めていた。


    笹の平のお地蔵さん


    ジンバイソウの葉。毎年数が減っているがそれでも100株近く確認できた。


    星になったヒメイチゲ


    ウスバサイシン


    針葉樹林の森に入る。


    やっと刃渡り。ここまで5時間かかった。


    刃渡りの岩場に咲くコイワカガミは咲き始めたばかり。


    ミヤマヤナギと鳳凰山

 刃渡りを過ぎて刀利天狗への登りはハシゴが続く急登になる。何度も登っている場所ではあるが毎度のことながら息が上がりっぱなし、刀利天狗はまだか?と思ってしまう。刀利天狗で一休みした後は黒戸山への緩い登りになるが、この登りが結構長くて辛い。


    ハシゴ登り


    ハシゴをひと頑張りすると刀利天狗に到着する。


    黒戸山の周辺はマニアの植物の宝庫。今年はイチヨウランが当たりのようだ。


    ウズラ葉のイチヨウラン。蕾にもウズラ模様が入っている。


    セリバオウレンは黄緑色でおそらくウスギオウレンと思われる。


    ウスギオウレン


    5合に到着。甲斐駒ケ岳が姿を現す。目指す七丈小屋は右のピークを越えてさらにその先だ。


    5合目の祠とハシゴ。この先にまた心折れるような激登りが待っている。


    ハシゴ


    ハシゴを登って平坦になってまた眼前に立ちはだかる山とハシゴ。


    鉄剣


    ハシゴ登り


    急傾斜の激ハシゴ。この上にはさらに鎖場の激登りが続き、それを過ぎてやっと七丈小屋だ。

 7時に竹宇駒ケ岳神社を出発し、予定では午後4時前に七丈小屋到着予定だったが到着したのは4時半だった。足が遅いのもあるのだが三脚を出して花の写真を撮影するのに時間を費やしていたことも大きい。出来るだけ疲労しないようにゆっくりペースで歩いてきたがそれでも激疲れだ。痛めていた右足首も少し痛みがひどくなり、痛み止めを飲もうとしたところ見つからず、幸いにして小屋に止まっていた山梨県岳人会のメンバーの方から痛み止めを分けてもらうことが出来た。

 さて、目的のクモイコザクラであるが花は咲き始めたばかりで5分咲きから7分咲きくらいの新鮮な花に出会うことが出来た。


    咲いていました。クモイコザクラ。


    咲いたばかりの新鮮な花。


    岩の隙間に咲くクモイコザクラ


    まだ蕾の株も多かった。


    こちらは咲き始めたばかりの色の濃い花


    岩場に咲くクモイコザクラ


    背高ノッポの株


    雌しべが突出している雌花


    葉はやや大き目、切れ込みは3分の1までは行かない。葉先は尖っているが先端部が少し内側に丸まっていて、葉にはやや毛が多い。

 この場所のクモイコザクラの葉は八ヶ岳のものよりもやや毛が多く、葉先が少し内側に丸まっており十二ヶ岳で見たものにやや近い印象を受ける。分類上は南アルプスに咲いているものなのでクモイコザクラとして良いであろう。個体数も十分にあり岩の崩落が無ければ絶滅の心配はまず無いと思われる。

 明朝は金星と細月が接近している日で、天候が良ければ9合目あたりまで登りたいのだが、8合までの残雪が多く持って来たチェーンスパイクで夜間に登るのはきわめて難しそうである。空模様もいまひとつだし、既に90%諦めモードである。とりあえずは登ることも視野に入れつつ、8時の消灯時間には眠りについた。


    
コメント (2)
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