山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

梅雨の合間のパール富士 竜ヶ岳林道  令和1年6月16日

2019年06月18日 | 月富士
 気温が上がった日中は富士山周辺に雲が湧いてしまったが、夕方になると雲が晴れてスッキリとした富士山が姿を現した。梅雨時の夕方にしては珍しい透明度の高い綺麗な富士山である。この日は朝霧高原の山梨県側のほうでパール富士が見られるのだが残照のパール富士を狙うには距離が近過ぎる。カシミール3Dでいろいろ計算してみると竜ヶ岳林道の奥からだと日没約5分前の良い時間に月が山頂に現れる計算になる。竜ヶ岳林道は意外と長く、ゲートから詰めまでは1時間少々時間がかかる。パール富士の時間は6時58分、逆算して5時半前に歩き出せば間に合う・・・はずだった。5時にゲート到着出来るようにスズランの森を出発したが朝4時起きの疲れが運転中に出てしまい強烈な眠気が襲ってきた。道路脇のスペースに車を止めてシートを少し倒して休むと・・・30分も意識を消失して眠ってしまっていた。急がねば!結局ゲートからスタートしたのは5時40分になってしまった。とにかく急がねば。黙々と歩いて5時35分に林道詰めに到着出来た。撮影地はそこから斜面を上に登った林の切れ間である。


    林道途中から見る富士山。富士山の斜面にまだらな雲の影が出ており、西側は雲が多いようだ。


    竜ヶ岳林道終点。急ぎに急いで55分で到着。


    本日のパール富士はこの林の切れ間から狙う。


    残照富士。大きな雲の影が出てしまっている。


    西に出た雲のために残照パール富士は難しそうな気配である。


    予定ではこの時間に残照で赤富士になっているはずだったが、陽が当たらなくなって2分後に月が現われた。


    残照パール赤富士は失敗。


    しかしそれでも十分に美しかったパール富士。


    もう1台のカメラ。


    梅雨の合間のパール富士


    この季節にこれだけの月と富士山が見られれば上出来である。


    裾野がうっすらと夕焼けに染まった。


    素晴らしき月の出だった。

 ヘッドライト点灯して林の斜面を下りて林道に下り立つ。あとはこの美しい月を眺めながらのんびりとゲートまで戻るだけである。


    梅雨の月


    明るい星が剣ヶ峰の脇に昇って来た。木星。


    林の切れ間から垣間見る月と木星


    精進湖に立ち寄る。月明かりが反射して湖面がキラキラと輝いていた。

 1時間少々かかって8時半に林道ゲート到着した。早朝から撮り歩いたので疲れが出たが、その分充実した1日を過ごすことが出来た。貴重な梅雨の晴れ間をうまく使えたと思う。
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芦川スズランの森を訪れる  令和1年6月16日

2019年06月18日 | 里に咲く花
 黒岳で出会った何人かの登山者がスズランの森を見てきたがもうスズランは咲き終わっていたと言っていた。スズランは終わってしまったとしても、他に見ておきたい花が何種類かあり、もうひとつ、管理人さんと意見交換をしておきたかった。スズランの森から外れた場所で花を探していたら私を見かけた管理人さんが訪ねて来てくれた。昨年植物保護のことで1時間近く意見交換したことを覚えていてくれて声をかけてくれたのだ。おいしい蕎麦をいただきながら今年の花の咲き具合や植物保護の苦労などを聞かせていただき、黒岳から下山してきた登山者たちが皆カモメランが綺麗に咲いていたと喜んでいたと、嬉しそうに話してくれた。植物保護を行っている者同志、自然に対する思いは同じであることを強く感じた。


    芦川スズランの森


    少しだけ咲き残っていたスズラン


    タカネグンナイフウロ。大部分もうが散ってしまっていた。


    アヤメがちらほらと咲いている。


    ヤマオダマキは咲き始めたばかり。


    以外にもそれなりの数があったセイタカトウヒレン。秋にはまた違う景色を見せてくれそうである。


    何だか分からなかったこの細い葉の草。


    調べてみればキジカクシ(ユリ科クサスギカズラ属)という花だった。とてもユリ科の花とは思えない。


    見ておきたかった花のひとつがこれ。もうそろそろ咲いている頃だろうと思ったのだが小さな葉のみで花穂が見えず。今年は咲いてくれるのだろうか?


    そしてもうひとつ、どうしても確認しておきたかったのがこの草。


    以前は1株しか確認できなかったが今回は8株ほど確認できた。花を見ないと確信は出来ないがこれはオオヤマサギソウだろう。

 オオヤマサギソウはかつて黒岳山頂付近や釈迦ヶ岳中腹にそこそこの個体数があったのだが鹿の食害によりほぼ壊滅状態である。2005年山梨県レッドデータではⅠB類だったが2018年版ではⅠA類に格上げとなった貴重な花である。この場所は人が行き来することが多いのであまり食害を受けていないようであるがこれからスズランのオフシーズンになって人の出入りが少なくなるといつ被害に遭ってもおかしくない状況である。スズランの森の保護柵の外に生育しているため、保護ネットの設置について検討しているところであり、管理人さんの承諾も得ている。どんな花が咲いてくれるか楽しみであるが同時にどのように保護するかも考えなければならない。
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カモメラン満開 令和1年6月16日

2019年06月18日 | 山に咲く花
 畳んであった保護策を展開してから3週間が経過した。この時期の花の開花は例年より1週間から10日ほど遅れており、開花の遅れているカモメランもそろそろ見ごろを迎えているはずである。保護柵の損傷が無いかを確かめることもあるのだが今年のカモメランが無事に咲いているかどうかを確認するために訪問してみた。保護柵は3ヶ所に設置されているがそのうちで一番心配しているのがいちばん上にある鹿の食害を直接受けて花数が半分以下に激減してしまった場所である。昨年囲ってなんとか葉は出してくれたがそれでもかなり少なく、花は5株くらいしか咲かなかった。かつては100株以上の花を咲かせていたこの山一番の群落であるが、少しは回復してくれただろうか?


    いちばん下の柵内に咲いたカモメラン。


    固まって10株ほど、周辺を含めると15から20株くらい咲いている。昨年とほぼ同じくらいの数である。


    保護ネットギリギリのところに咲いた花


    カモメラン


    近くに咲いていたツルシロカネソウ


    真ん中の保護策内に咲いたカモメラン。昨年よりも確実に花数を増やしている。


    この場所には黒岳特有の唇弁のウズラ模様が濃いカモメランが生育している。

 保護策内はシカの食害は皆無で人に踏まれた様子も無いが、一部写真撮影に邪魔なために草の葉がむしり取られている場所があった。カモメランの植生に与える影響はほとんど無さそうである。それでは保護策の外にあるカモメランはどうなのだろうか?かつては登山道脇に普通に見られたのだが今はほんのわずかしか見ることが無くなってしまっている。


    保護策の外に辛うじて咲いてくれたカモメラン。周辺の葉数は10枚くらいしか見当たらず、花は2株のみだった。


    こちらは昨年葉数が30から50枚、花が5株くらい咲いた場所だが今年の花は3株のみ、そのうち2株は花芽が食べられていた。


    花も葉も食べられた株。葉数も15枚ほどしか無く消滅寸前である。

 心配していたいちばん上の場所はどうだろうか?柵の上からのぞき込んでみると昨年よりも明らかに葉の数が増えている。そして花もだいぶ咲いてきてはいるが食害前に比べるとまだ遠く及ばない。


    だいぶ復活してきた葉と花


    昨年は5本くらいしか咲かなかったが今年は15本まで復活してくれた。


    陽を浴びるカモメラン


    昨年は100枚に満たなかった葉数だったが今年は200枚程度まで復活してくれた。

 一昨年の夏に起きた食害後、昨年の春に保護柵を設置したいちばん上の保護地だが、小葉を含めて今年は200株程度まで葉の数が復活してくれた。おそらく葉は食べられてしまったが根が残っていたために復活してきてくれたのだろう。まだ花数は少ないがおそらくは年々数を増やしてくれることを期待している。保護柵設置にはそれなりの苦労があったが、復活しつつあることはこのうえない喜びである。いつかまた、以前のように目を見張るようなたくさんの花を咲かせてくれることを願っている。

コメント (2)
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