八丈島ではいろいろ驚くような体験をしましたが、漁船が皆立派で、天然の良港に恵まれていることも驚きの一つです。上の写真は奥深い入り江の八重根漁港で、江戸時代には島役所が近所にありました。島の反対側には神湊魚港があり、どちらも水深が深く、溶岩の岬に囲い込まれていて、台風が来ても見るからに安全そうです。
島の歴史民俗資料館を案内してくれた細谷昇司さんに聞きました。「快速漁船のようなので、取れた魚をそのまま東京、築地魚河岸へ直送するのですか?」
「答えはあとでメールで送ります。漁業組合へ行って調べて送りますから」
後日、漁業組合で調べてくれたことをメールで送ってくれました。
漁船は3トンから20トン位で総数180隻位あり、皆個人所有だそうです。取れる魚は売上金の多い順に、カツオ、トビウオ、キンメダイ、ムロアジ、マグロ類(カジキ)、メダイ までが主なもので、他にシイラ、アオダイ、ハマダイ、カマスサワラなどだそうです。
また少しだけ採れる地魚としてオナガダイ、バイショーイカ、アオゼ、キツネ、エースなどがあり、刺身にしたり、島寿司に使われています。これらの地魚を刺身にして、島焼酎を飲めば楽しい夕食になると思いついつついにそのチャンスに恵まれませんでした。島に居た1月27日から31日までは、荒れ模様の夜が続き、とてもホテルの外には出られませんでした。
八丈島の漁船は島の周囲、70、80Kmの範囲(北は三宅島、南は青ケ島付近まで)で魚を取るそうです。船内冷蔵装置が無いので取った魚は東京まで直接は運べないそうです。冷凍や冷蔵にしてコンテナに入れ、東海汽船の「さるびあ丸」で東京へ運ぶそうです。
トビウオを干物にしたり、ムロアジはクサヤにしたりして加工品としても出荷します。シマアジやトコブシの養殖もしているそうです。
八丈島の周りは豊かな太平洋に囲まれ、四季折々、いつ行っても新鮮な魚があります。特に地魚は美味。島でないと味わえない美食で、その上、廉価なので是非お試し頂きたいと思います。つまらない記事ですが、魚好きな方々に少しでもご参考になれば嬉しく思います。
(終わり)
@高山植物の花々が裏庭にー1972年、スウェーデン、エケトルプ先生との会話ー
イワカガミ、コマクサ、ミヤマウスユキソウ、チングルマに良く似た花々が裏庭一面に咲き乱れているスウェーデンの初夏。
「エケトルプ先生、驚きました。日本では高山にしか咲かない花々が低地の野原に咲くのですね」「緯度が高いのでそうでしょう。でも良く見ると花々は日本のものとは違う筈です。植物は気候と土地の違いによって同じ種類でも違った外見に育ちます。名前も地方によって違うのが普通です」
「西洋の花々は色鮮やかで派手な花が多いのにこんな素朴な美しさを持っている花々もあるのですね?」
@可憐な美しさと、対照的に豪華な桜の花々
「日本人は野生のニホンサクラソウやスミレ、ナデシコのように小さくて可憐な花が好きです。西洋人は薔薇やチューリップ、ガーベラのように派手で装飾的な花が好きなのですね。日本人の美意識は余計な装飾的なものを削ぎ落としたものに美の極致があると感じるのです。洗練された感覚と思います。西洋人には理解出来ない境地です」
「藤山さん、そう決め付けないでください。東京の花屋さんには派手で大きな薔薇やランの花々が並んでいましたよ。サクラソウなんて今日始めて聞く名前です。日本人の花の好みも欧米人と同じですよ。その上満開の桜の花々を熱狂的に愛しているではありませんか!」―――そう言って、エケトルプ先生は続けて話す、
「この裏庭に可憐な花を咲かすには苦労が多いのです。雑草を根気良く取ったり、花々に合った肥料を秋の間に撒くのです。すると次の年の初夏にこのように一斉に咲くのです。小さな可憐な花も豪華に咲く花々も両方大切にすることは民族の違いによらないと思いますね」
夕食後の庭は白夜で暗くならない。ほの明るい中、一面の花々が高山のお花畑のように輝いている。スウェーデンの初夏の夜。
@人類は皆、花々が好き
花の咲かない砂漠や極寒の地に住む人々は別にして、世界中の民族はそれぞれの花を大切にしている。太古に人間が死者を悼むようになるのと同じ頃から花を好きになったのではないか? ただ好きな花とその楽しみ方は民族によって少しずつ違うと思う。
春爛漫の川沿いに豊かに咲き誇る桜並木の美しさ。大勢の人々がその下で花見酒を楽しむのは日本人だけであろう。花の美しさに酔い、酒に酔う。酒と花を組み合わせて楽しむ民族はそんなに多くは知らない。東洋人だけと言ったら間違いになるであろうか?
上の3枚の満開の桜の写真は都立小金井公園で昨年の3月31日午後2時に撮影した写真です。今年も、もう少しで桜も咲きます。待ち遠しいです。
今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。 藤山杜人