最近、読売新聞の一面左に「国益と国民の幸は一致する」という評論が出ていまた。執筆したのは東京大学のある教授(国家准公務員)でした。こういう考え方には大きな虚構が組み込まれている場合があります。
国益の意味をわかり安く言い変えると、「国会議員と国家公務員の利益」という意味になる場合が多いのです。国民の幸とは民間の人々の幸と置き換えてみると分かり易いと思います。
そうすると、「国益と国民の幸福」は「国会議員・国家公務員の利益と民間人の幸福」と読み替えることが出来ます。第二次世界大戦は国益を守るために日本の軍人(もちろん国家公務員)が始めました。その結果民間人の大多数が酷い悲劇に巻き込まれたのです。
終戦後も「国益を守る為に」、政治家や国家公務員がいろいろな政策を実行しました。もちろんそのうちの幾つかは民間人の利益を増大しました。しかし多くの政策や施策は国会議員の政治資金の増加に役立ちました。国家公務員の権力の増大に役立ちました。国益を守るために中央省庁は実に多くの許認可制度を作り上げました。民間人は規制強化で身動きが出来ません。お役人は許認可権という権力を持つことが出来ました。
従って「国益」という言葉が出たら、国益の意味を具体的に定義しないと、何時の間にか民間人が酷い目にあう危険があるのです。国益という言葉ほど危険な言葉はありません。国の権力者は民間人を搾取して自分たちが利する場合が潜んでいるのです。
このようなことに気がついたのは自分が国家公務員を止めて民間企業で働き始めてからです。実にお恥ずかしい話です。政治家・国家公務員と民間人の考え方の違いに驚いたのです。前者は権力指向的であり、後者は経済力指向的です。そして「国益」という言葉は前者が好んで使います。後者は使いません。
皆様は「国益」という言葉がお好きですか?また具体的にはどのよう意味でお使いでしょうか?
ご意見をお聞かせ下さい。(終わり)