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老境は気楽で楽しいことを多くありますが、やはり悲しいものです。
今日は初冬の陽射しの明るい村山貯水池の堤防の上を歩きながら昔、楽しく遊んでくれた叔父叔母の事を思い出しました。みんな消えてしまっています。
大変お世話になった恩師もみんな旅立ってしまいました。もう二度とお会い出来ません。
特に今年は、目黒の大岡山の大学で一緒に研究をした斉藤さんも亡くなりました。所沢でお葬式がありました。
その上、私より15歳も若かった京都大学の岩瀬教授も60歳で亡くなりました。先日、奥様から丁寧な手紙と京都のお菓子が送られてきました。それに対するお礼状を書いて、ポストに入れてから村山貯水池に行ったので、親切だった岩瀬さんと一緒に散歩したような気分でした。散歩の間中、彼の若い頃の顔を思い出しながら話しかけましたが返事が返って来ません。
老境になると私に優しくしてくれた懐かしい人々が次から次へと先だって行きます。周りには誰も居なくなるのです。初冬の風が一段と寒く感じます。
明るい陽射しの中ですが散歩していると肩のあたりに寂寥感がかぶさって来ます。
そんな私の足元へヨチヨチ歩きの男の子が寄って来ました。「こんにちは」と私が挨拶すると嬉しそうに、「こんにちは」と挨拶を返してきたのです。
これで何故か元気になって車を運転して帰って来ました。家では老妻が一人で大掃除をしていました。それにしても老境はやはり悲しいものです。
広々した貯水池の写真をお楽しみ頂ければ嬉しく思います。(終り)