今年は大震災や原発の事故など不幸な事が起きました。被害に遭った人々の苦しみは簡単には癒されません。
その一方で、人々は不景気や就職難で苦しんでいます。日本の運命が急に下向きになり、社会全体が衰弱する方向に動いているようです。何か暗い雰囲気が漂っています。
しかしそのような世の中にもかかわらず明るく賢明な人生を送っている人もいます。
その方は50歳台に人生の舵を大きく切りました。都会での生活を一切捨て、山林の中に、自分で山荘を作り、そこへ移住してしまったのです。移住してから20年になります。
「北杜市・自然の中で」というブログを書いている鬼家雅雄さんです。
私の山の小屋に近いので時々訪問してみます。寂しい山林の中で、独身を通して住んでいるのですから、さぞ寂しいだろうと思います。しかし何時行っても楽しそうにしています。田舎暮らしにあこがれて都会から移住し、不幸になった人も居ます。生活の不便さに負けてしまったのです。しかし鬼家さんは人生がますます幸せになったようです。昨日、その理由をいろいろ聞いて来ました。
人生には選択肢が多いものです。間違って選んで不幸になる人もいるのです。
鬼家さんは人生の舵を大きく切る前に準備を丁寧にしたのです。物心両方の準備です。今日は山の中で幸せに暮らす方法を書いて見たいと思います。
まず暗い松林の写真をご覧下さい。
鹿やイノシシや猿が棲んでいる森の奥にある松林です。彼の山荘を訪問する時にはこの写真の暗い林の中の道を歩いて行きます。私の車は入れません。
青いウッドデッキの向こうに山荘が広がっています。左の2つの屋根の見える部分は鉄筋コンクリート製の建物で、右の方の建物は木造です。
鉄筋製の建物と木造の家の2階が丈夫なコンクリートの橋で繋いであります。この橋を行ったり来たりすると気持ちが晴れ晴れするのです。
昨年作ったウッドデッキです。夏の宵にビールを飲んだり、寝苦しい夜にはテントを張って眠る場所です。
鬼家さんが20年前に横濱の家を処分して、移住する前に準備した事は老後の一人暮らしを続けるための充分な貯金をしたことです。これは絶対に必要な準備です。自給自足の生活をしようとしてはいけません。山林の中は猿やイノシシが多すぎて農作物が作れないのです。その事を充分に考えて貯金をしたのです。
趣味として自分で家を作ればお金がかからないと考えては大間違いです。材料費とその運搬の費用が意外に大きいのです。
兎に角、お金の準備をします。
そして間もなく雪に埋まる山荘のことを考えて燃料の薪を2年分位作っておきます。
その上、昨日見せてもらったのですが、越冬のための食料品が多量に貯蔵してあるのです。種類別に分類し、キチンと収納箱や冷蔵庫にしまってあります。それを私に見せながら鬼家さんはニコニコしています。
山林の中で幸せに暮らすにためのもう一つ重要な条件は精神力です。何時も自分の気持ちを明るく保つ気力です。
彼は体の都合で昨年から車の運転は止めました。いろいろな自転車を3種類買ってその性能を調べています。登りの多い山道ではマウンテンバイクが良いが、舗装道路では普通の自転車が良いです。電動アシスト自転車は意外に電池がすぐ無くなり、使いにくいものです。こんな感想を言っていました。
車の運転が出来なくなるとガッカリして落ち込むものです。しかし彼は一向にめげません。気力が強いのです。すべてを前向きに考え、解決するのです。
彼は極寒の地に独り放り出されても生きて行けるのです。幸せそうに生きて行ける人間なのです。彼と話をしていると私まで元気になり、松林の中の道を帰ってきます。人生いろいろです。自分で選んだ道は自分で責任をとるのです。その心構えをすると幸せな人生になると思います。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(藤山杜人)