東京都薬用植物園は小平市の西端にあります。広い畑にはケシなどの薬草の花々が美しく咲いています。後ろには武蔵野の林があります。入場無料で駐車料も無料です。
四季折々よく散歩に行って楽しんでいます。昨日も行きました。流石に冬です。薬草の花は一切ありません。かわりにヤマジノギクと温室のブーゲンビリアだけは花を咲かせていました。
しかし薬用植物園は空気が新鮮で陽射しも暖かく楽しいのです。老妻とともに散歩しながら写真を撮って来ました。その風景写真をお送りいたします。
現在の日本人は薬草を干して煎じて飲んだりしません。薬屋に行って飲み薬を買って来ます。しかし第二次大戦頃までは薬草をそのまま生薬として使っていたのです。
例えばゲンノショウコは古来より下痢止めや胃腸病に効能がある薬草として有名でした。煎じて飲むとその効果がすぐ現れるのです。日本では玄草(げんそう)という名でも流通しています。
そしてドクダミは昔から民間治療で重宝されていた薬草です。私も子供の頃、庭のドクダミを傷に貼り付けて化膿を防ぎました。その毒ダミには10の効能があるので「十薬」とも呼ばれています。
ドクダミの生葉の臭気の成分は、デカノイルアセトアルデヒドといい、殺菌作用があります。このため昔は生葉を火傷や化膿、傷の治療に用いてきたのです。乾燥させたドクダミも煎じて飲めば利尿や便通など様々な解毒効能があり生薬として広く用いられていたのです。
また水仙の根は外用薬としては非常に有効です。はれもの、乳腺炎、乳房炎や肩凝りに、生の球根をすりつぶして、小麦粉と酢でねり、紙に厚くのばして貼ります。すると効果てきめんです。
しかし水仙の根に含まれるリコリンやプソイドリコリン、タゼテインなどのアルカロイドは有毒なので間違っても飲んではいけません。誤食すると昏睡、虚脱、痙攣、麻痺などを起こして死に至ることもあるのです。決して服用してはいけません。
このように薬用植物は昔からの経験によって適切に使われて来ました。しかし適切な使い方が難しいのです。
ですから最近は専門の製薬会社が薬用植物をいろいろな薬の原料として栽培し使用しています。
その薬の原料になっている植物を植えて花々を咲かせていついるのが東京都薬用植物園なのです。
しかし一見するとその薬用植物はごく普通の草花です。ケシの花以外は普通見られる植物です。
しかし薬用植物一覧が出ている以下の資料を見ると納得します。
「家庭用薬協会」のHP、https://www.hmaj.com/
「日本薬局方に収載される代表的な薬用植物」、https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantidx1.html
その他いろいろな資料があります。
私は薬用植物の世界が広く深いことに驚いています。日本で昔から使われてきた「漢方薬」も薬用植物の世界の一部なのです。西洋にもアフリカや南米にも薬用植物の世界があるのです。これこそ人間の知恵です。人間の文化です。
今日は昨日撮って来た東京都薬用植物園の風景写真を示しました。そして広く深い薬用植物の世界の一端をご紹介致しました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)