九州へ逃れるため、義経一行は大物浦の渡海屋で出船を待っています。しかし、渡海屋の主人銀平は、実は壇ノ浦の合戦で死んだはずの平知盛。女房のお柳は典侍の局、娘お安は安徳帝で、義経を待ち伏せていたのです。知盛は船出した義経一行を襲いますが、返り討ちに。帝の身を守護するという義経の言葉に安堵した典侍の局は自害、知盛も帝を義経に託すと、瀕死の体に碇綱を巻きつけ、海中へと身を投げるのでした
(「」より)
「渡海屋内の場」。
中村勘九郎(当時)
魚の名などを入れ込んだ掛け合いが面白い。
義経(中村福助)一行の出立。
すると銀平(実は知盛の亡霊=こういう設定が歌舞伎らしい)が装束をただして
片岡仁左衛門。
「大物浦の場」。
幕が揺れ、荒海に。
左は弁慶(左團次)。
碇綱とともに海中に身を投げる。
壮絶かつ豪快な場面。歌舞伎らしい迫力満点。この場面は何度か他の役者でも観たことがありますが、鬼気迫る演技に圧倒されてしまいます。