左手、住宅地の中に「万葉歌碑」があるようなので、行ってみます。
万葉歌碑。
多麻河伯爾左良須テ豆久利佐良左良爾 奈仁曽許能児乃己許太可奈之伎
『万葉集』巻14の東歌の一首「多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの児の ここだ愛しき」が刻まれた歌碑で、松平定信の揮毫になります。文化2年(1805)に猪方村字半縄(現在の猪方4丁目辺り)に建てられましたが、洪水によって流失しました。大正時代に玉川史蹟猶予会が結成されると、松平定信を敬慕する渋沢栄一らと狛江村の有志らが協力して、大正13年(1924)、旧碑の拓本を模刻して新碑が建てられました。
解説文。玉川碑「万葉歌碑」。
「万葉通り」。
堤に戻ると、奥に水神。
さて、多摩川歩きを再開。足もとを見ると、
「絵手紙発祥の地 狛江」と。この先もいくつか発見。
下流に「多摩水道橋」。
狛江市立西河原公園。
「海から24K」。
「多摩水道橋」。
初代「多摩水道橋」の碑。
初代の多摩水道橋は、道路と水道が併用する橋として、多摩川のこの地に昭和28年(1953)12月に完成しました。以来、相模川の水を川崎市長沢の浄水場を経て都内に供給するための水管橋として、また東京都(狛江市)と川崎市(多摩区登戸)とを結ぶ「登戸の渡し」に替わる道路橋として重要な役割を担ってきました。・・・
カヤックの練習中?
「小田急線橋梁」。
対岸が「登戸駅」。
絵手紙。
木陰で休む人。こんな穏やかなお天気。
この地は、かつて大きな水害に見舞われました。
「多摩川決壊の碑」。
碑文。
昭和49年(1974)8月31日深夜から9月1日夕方にかけて、台風16号の影響をうけ、上流氷川を中心にした多量の降雨のため、多摩川の水位が上昇を続けました。この出水により、1日昼頃、二ヶ領宿河原堰左岸下流の取り付け部護岸が一部破壊されたのを発端に、激しい迂回流が生じたため高水敷が浸食され、懸命な水防活動もむなしく、午後10時過ぎには本堤防が決壊し、住宅地の洗掘が始まりました。迂回流はその後も衰えを見せず、本堤防260mを崩壊させたうえ、1日深夜から3日午後までの間、狛江市猪方地区の家屋19棟を流失させる被害をもたらせました。・・・被災住民は、国家賠償法に基づき、提訴し、河川管理の瑕疵について改めて指摘された水害ともなり、平成4年4年(1992)に判決が確定しました。
再建された「二ヶ領宿河原堰」。
あれからもう半世紀の年月が経っています。
全景。
ところで、この水害をもとに、今も話題に残るドラマができました。
『岸辺のアルバム』
1974年の多摩川水害が背景にある。この水害で多摩川の堤防が決壊して19棟の家屋が崩壊・流出したが、家を失ったことのほかに家族のアルバムを失ったことが大変ショックであったという被災者の話を脚本の山田太一が聞き、そこから作品の構想が生まれた。ラストの水害で家が流されるシーンは、実際の報道映像が使用されている。
主演の八千草薫は、和泉多摩川駅の向かいのホームに佇む美しさに惹かれたといって電話をかけてきた竹脇無我と家族に隠れて不倫する主婦を演じ、それまでの良妻賢母的なイメージを打ち破り、新たな役どころを開拓。関川夏央は「貞淑を絵にかいたような八千草とラブホテルの組み合わせは衝撃的だった」と評する。小説では39歳だったが、脚本では42歳に直されている。八千草の実年齢は46歳だった。八千草はテレビ大賞主演女優賞を受賞。また、この作品でデビューした国広富之はゴールデン・アロー賞放送新人賞等を受賞した。
当時の平均視聴率は14.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とそれほどでもなかったが、その後評価が高まり、テレビドラマ史に残る名作という評価が定着している。山田は「脚本家を志す学生から『早春スケッチブック』と並んでこの作品が最も質問を受ける」と語っている。
このドラマは、前述のように実際に東京都狛江市で起こった水害を題材に、平凡な中流家庭の崩壊を描いた作品である。それまでの「家族で食卓を囲んで最後はハッピーエンド」というホームドラマの殻を打ち破り、辛口ホームドラマというジャンルを確立した点で、革命的な作品であり、日本のテレビドラマ界に与えた衝撃は大きかった。
そのストーリーと共に特筆すべきは、オープニングの映像である。平穏に見える川がある日突然濁流に変わり平凡な家庭を飲み込んでいくという、この作品のテーマを見事に象徴している。特にジャニス・イアンの甘く気だるい歌声と、マイホームが濁流に飲み込まれていく実際のニュース映像が鮮烈に印象に残る。
(「Wikipedia」より)
1977年に放送されたTBS制作のドラマ。
一見平和で幸せそうな中流家庭の崩壊と再生を描く。
出演:八千草薫、杉浦直樹、中田喜子、国広富之、竹脇無我、風吹ジュン、新井康弘、村野武範、原知佐子、津川雅彦、沢田雅美、山口いづみ ほか
山田太一脚本のテレビドラマ史に残る名作「岸辺のアルバム」。淡い水彩画のような、おっとりしたタイトルとは裏腹に、このドラマはあえて「衝撃の家庭ドラマ」と銘打っている。激情的な人間模様、生臭い話、どろどろした性の問題を内包した作品だ。またその一方で、このドラマは「家庭とは何だろう?」「親と子の関係はどうあるべきか」といった普遍的な難問と正面から取り組んでいる。東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭を舞台に、初回放送当時のホームドラマでは一切タブーとされてきたエピソードが次々と展開される。
【ストーリー】
東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。
母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。
(この項、「TBSチャンネル」HPより)
(「YouTube」より)
この付近の今昔。
2010年代のようす。左が小田急線の鉄橋。
1970年代のようす。