今回から、「《荒川》を遡る」の続きを。
3月20日(春分の日)。晴れ。
「西浦和」駅を出て、西に向かい、「彩湖」の北端へ。ここから出発。
下流を望む。
「彩湖」案内板。
「荒川第一調節池竣工記念碑」。
菜の花が咲く堤。
実はこの堤、「荒川横堤(よこてい)」という堤です。以下、「Wikipedia」による。
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横堤の特徴として本堤に対して横方向に築かれた堤防であることが挙げられる。横方向に築かれた堤防は、かつて旧熊谷堤に存在した万平出しがある。万平出しが築かれた当時は関東流の堤防であり、増水時には対岸の堤防決壊を引き起こし紛争の種であった。紀州流を取り入れ広い河川敷を設けることにより、遊水機能と流量調節がある横方向に築かれた堤防こそが横堤であり、荒川独特の治水施設である。そのため2008年度、土木学会選奨土木遺産に選定された。
横堤
27本の横堤(右岸側13本、左岸側14本)が建設され、2017年現在25本の横堤が存続されている。開平橋より上流側は右岸側に造成され、それより下流側は主に左岸側に造成されている。横堤の位置は交通要路である県道と一致させたため、橋梁の接続部分となっている横堤も少なくない。
彩湖道満グリーンパークの北側に現存しているが、先端部分は彩湖にかかるため削られている。
写真の堤が、上記の「横堤」です。この後も、こうした「横堤」を見ることになります。
この先、この横堤の脇を進んで、荒川に近づこうとしましたが、護岸工事のため、通行止め。ぐるりと迂回して進むことになります。
そのまま、荒川の流れを直接見ることなく、歩き続けます。(この時点ではまさかそうなるとは思ってもいませんでした。)
その後、荒川の土手(本堤)を左奥遠くに望んで歩きますが、近づけるような道は護岸工事のため、通行禁止。結局、この日は一回も荒川の流れそのものを見ることなく、歩くことになります。
「荒川」に合流する「鴨川」。
「さくら草橋」。
「昭和水門」。
一番のお目当て、「さくら草公園」に。
「秋ヶ瀬橋」。
車道から下って行くと、「国指定天然記念物 田島ヶ原サクラソウ自生地」。
碑の足もとに「さくら草」。
一面、広大な敷地。
遠くに「さくらそう水門」。一面、ノウルシの花。その間にちらほらとさくら草が可憐な花を咲かせています。自然のままのようす。
解説板。「田島ヶ原サクラソウ自生地」。
国指定特別天然記念物「田島ケ原サクラソウ自生地」
天然記念物指定 大正9年7月17日
特別天然記念物指定 昭和27年3月29日
サクラソウが群生する田島ケ原は、わが国で初めて天然記念物に指定された由緒ある場所です。
広さは第一次指定地と第二次指定地とを合わせて約4.12haあり、そこに100万株以上とも言われるサクラソウと、250種余りの野草が生育する国内最大規模のサクラソウ自生地です。
サクラソウの生育地は、冷涼な気候の山地や高原に多く、ここ荒川低地のように標高の低い温暖な地に大群落を発達させている例は少ないのです。田島ケ原は夏・秋には人の背丈を超すオギやヨシが茂る原野になります。昔、人々はそのオギやヨシを茅葺屋根や葦簀に使うため、冬に刈り取ったので、春には地面に日差しが良く当たりました。このことが、春から初夏に日差しを受けて育つサクラソウとうまく一致して、大繁殖したのです。現在は、冬に火入れや刈り払いを行い、春に地面に日差しが当たるように管理しています。
かつて荒川流域にあった多くのサクラソウ自生地が、開発などで失われた今日、大都市近郊に往時の姿を留めて残っていることは奇跡ともいえます。また、江戸時代には荒川流域のサクラソウを原種として、多彩な園芸品種が育てられました。その遺伝情報を田島ケ原のサクラソウは保持しているのです。
以上の理由で、「田島ケ原サクラソウ自生地」は、世界的にも貴重な存在となっています。
サクラソウ自生地としては唯一の国指定特別天然記念物です。
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約4.1ヘクタールの指定地には、サクラソウをはじめ、ノウルシやチョウジソウなどの希少な植物も生育しています。
埼玉県の花、さいたま市の花「サクラソウ」は、この田島ケ原のサクラソウに因むものです。
田島ケ原のサクラソウは、例年3月下旬から咲き始め、4月上旬から中旬にかけて見ごろを迎えます。
(この項、「」HPより)
サクラソウ、ノウルシの他、さまざまな草花が咲き乱れるようです。
足もとにサクラソウ。少し時期が早かったようです。
奥の方にサクラソウ。一面、「ノウルシ」。
ノウルシ(野漆 学名:Euphorbia adenochlora)は、北海道から九州の河川敷や湿地に生育する高さ30 - 50センチメートルほどの多年草。和名の由来は、茎葉に傷をつけるとウルシ(漆)に似た白乳液が出ることからきている。有毒植物の一つ。
葉の形は、楕円形ないし披針形で縁に鋸歯(ギザ)はなく、生え方は、互生。茎先に輪生した5葉をつけ、その葉の脇から5本の散形枝を出し、その先に杯状に3つの総包片をつけ、各総苞片の腋から細枝を出し、その先に更に2つの黄色い苞葉を出し、またその腋から各々細枝を出し、花序という淡黄色の1本の雌蕊からなる雌花と1本の雄しべからなる多数の雄花が頂生する。1つの総苞の中に6つの所謂「花」が咲いているように見える。この黄色く花びらのように見える杯状の総苞の中に1つの雌花と多数の雄花が収まった様子を杯状花序という。果実(蒴果)には、イボ状の突起がある。
(この項「Wikipedia」参照。写真も。)
この周辺、自然の景観がよく保たれています。