ヴィオラの音色は好きですが、ソロで聴く機会がほとんどないので、長野市芸術館で行われた篠﨑友美さんのリサイタルに出かけてきました。
(出 演)
ヴィオラ:篠﨑友美
ピアノ:石野真穂
篠﨑さんは、1997年ミュンヘン国際コンクール第3位入賞、2002年より新日本フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者。ソリスト、室内楽奏者として内外のフェスティバルに出演するほか、紀尾井ホール室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなどのメンバーとしても活躍しています。石野さんは、パリでコレペティトゥーアの研鑽を積み、帰国後はオペラ公演に多数関わるほか、新国立劇場オペラ研修所ピアニストなどを務めています。
(曲 目)
フンメル:幻想曲 ト短調 Op.98
ヴォーン・ウィリアムズ:「グリーンスリーヴス」による幻想曲
山本友重:ふるさと幻想曲
R. クラーク:古いイギリスの調べによるパッサカリア
B. ブリテン:ラクリメ -バウランド歌曲の投影 Op.48a
〈休 憩〉
ブルッフ:ロマンス
加藤昌則:未在の庭
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ D.821
ドヴォルザーク(クライスラー編曲):スラヴ幻想曲 (アンコール曲)
レーガー:ロマンス (アンコール曲)
(感 想)
後半の最初にトークコーナーがあったのですが、篠﨑さんは、ヴィオラのリサイタルの機会は、ほとんどないと話していました。それだけに、当日の選曲や演奏にはかなり力を入れてくれたようです。全体に清々しい素晴らしい演奏会になりました。
このリサイタルのために篠﨑さんは、山本友重(東京交響楽団)さんに委嘱して、童謡「ふるさと」のメロディを元にした「ふるさと幻想曲」を作曲してもらったそうです。演奏は難しそうですが、おなじみのメロディも登場し、楽しく聴けました。加藤昌則さんの「未在の庭」も演奏してくれて、邦人作曲家の作品を取り上げていたのも好印象です。
篠﨑さんの音色は高音から低音までフルに鳴っている美しく迫力のあるもので、ブルッフの「ロマンス」といったロマンティックな曲もよかったのですが、ブリテンの「ラクリメ」が変化に富んだ曲想と技巧を凝らした演奏で最も面白かった。
石野さんのピアノ伴奏も余裕のある感じで、初めての共演だそうですが、なかなかよいコンビです。アンコールを2曲もサービスしてくれ、しかも、篠﨑さん選定の「ぷちスイーツ」をもらい、お得感もいっぱいでした。