茂木大輔著「拍手のルール」を読みました。クラシック音楽の中身ですが、かなり面白いです。
著者の、茂木大輔さんはミュンヘン国立音楽大学大学院修了(オーボエ専攻)。シュトゥットガルト・フィルを経て1990年より2019年3月までNHK交響楽団首席オーボエ奏者。96年から指揮活動を開始。「のだめカンタービレ」のクラシック監修やコンサートの企画・指揮も行っている方です。
コンサートの際にもらったサイン。
(目次)
(感 想)
クラシック音楽とコンサートへの入門書ではありますが、演奏者、指揮者という実体験を元にした記述は、なかなか深いものがあります。第3章は「拍手のルール」で、コンサート会場における拍手を考察し、類型にわけたり、あるべき拍手のあり方が書いてあり、この本の中心的な部分で、共感するところ大でした。
フライング拍手は、音楽の余韻に浸れないのでやめるべきだという主張は、僕もコンサートで感じるところです。その章の付録に「フライング拍手要注意曲目リスト」があり、チャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』が挙げられていますが、僕の経験でも第3楽章で予期せぬ拍手が起こって驚いたことを覚えています。
『素晴らしい曲でタイトルがないために損をしていると思われる交響曲を指揮するときに、勝手にタイトルをつける』』ことを著者はやっているようです。例えば、モーツァルトの第19番に「クリスマス・キャロル」とつけているようです。独創的な試みで、実際、この曲を聴きたくなりました。
指揮者の仕事や調性のこともわかりやすく述べられていて、最初から最後まで楽しく読める本です。