安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ギタリストの福田進一著「6弦上のアリア」(Gakken)を読みました。

2020-01-09 20:01:33 | 読書

先月、平野啓一郎原作の映画「マチネの終わりに」を観ましたが、ギタリストが主人公でギターによる音楽が流れていました。その演奏の大部分は福田進一さんが担当し、曲や演奏が良かったので、サントラのCDと書店で目についたこの本を購入しました。

   

(著者について)
福田進一さんは、1955年大阪船場に生まれ、12歳よりギターを始め、1977年に渡欧し、パリ・エコールノルマル音楽院を首席で卒業。イタリア・キジアーナ音楽院にてオスカー・ギリアに師事。1981年パリ国際ギター・コンクールで優勝。帰国後は、国際的な演奏活動を続ける一方、教育活動にも力を注ぎ、その門下から鈴木大介、村治佳織、大萩康司ら実力派スターを輩出している。

(内  容)
1981年(25歳)でパリ国際コンクールで優勝するまでを綴った自伝、福田さん本人へのインタビュー、友人6人との対談です。対談相手は、工藤重則(フルーティスト)、野平一郎(作曲家、ピアニスト)、渡辺香津美(ギタリスト)、逢坂剛(作家)、奥田政行(イタリアンシェフ)、平野啓一郎(作家)という顔ぶれで、交友範囲が広いのに驚かされました。

(感 想)
パリ留学時代の話は面白く、音楽院におけるレッスンから留学生同士の交流までの日常が描かれています。福田さんは、夏の講習会で師事した先生に納得がいかず、無断で別の先生の講習会へさっさと行っているのですが、このあたりの見極めの早さが的確、見事で、のちの成功につながっているように思いました。

6人との対談もそれぞれ興味深く読みました。著者と工藤、野平さんとは、留学時代から交流し共演を行っていて、ギターという楽器はいろいろなことができるのを知りました。平野さんとの対談でも出てきますが、ギター音楽は現代でも盛んに新曲が作られ、コンサートで演奏される稀有な分野だという話も印象に残りました。

付属のDVDや巻末のディスコグラフィーなど参考になることも多く、特にギターがお好きな方には有益な本ですが、ギター音楽に関心を持ち始めた僕にも面白く読めました。

DVDには、本書のために新たに撮影・録音された演奏が収録されています。

   

ディスコグラフィーの一部。全部で90以上ものアルバムを出しています。最近のものでは、元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターのライナー・キュッヒルさんとのデュエット作品や映画「マチネの終わりに」のサウンドトラックがあります。

【CD 映画「マチネの終わりに」サウンドトラック】

ギターには馴染が薄かったのですが、いい曲が入っていて、もっと聴いてみようと思わされたCDです。福田進一、荘村清志と俳優の福山雅治さんの演奏が収録されています。映画「マチネの終わりに」感想へのリンク(拙ブログのページです。)