安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ロザンナ・ヴィトロ「LISTEN HERE」、今村翔吾著「くらましや稼業」(ハルキ文庫)

2022-04-21 19:30:00 | ヴォーカル(L~R)

今村翔吾著「幸村を討て!」が良かったので(その感想記事)、同著者の「くらまし屋稼業」(ハルキ文庫)を読んでいます。池波正太郎著「藤枝梅安シリーズ」を想起させる内容で、本格的な歴史小説ではないですが、面白い。本格派ヴォーカルを。

ROSEANNA VITRO ロザンナ・ヴィトロ)
LISTEN HERE (Skyline 1982年録音)

   

ロザンナ・ヴィトロ(vo, 1951年生)は、ヒューストンのロックバンドで歌っていたところを、アーネット・コブ(ts)に勧められて1980年にニューヨークへ。ライオネル・ハンプトン楽団で活動し、以後活躍しています。本作は彼女の初リーダー作で、最近、初めてCD化されたので購入しました。

メンバーは、ロザンナ・ヴィトロ(vo)、ケニー・バロン(p)、バスター・ウィリアムズ(b)、ベン・ライリー(ds)、アーネット・コブ(ts, 3曲のみ参加)、Bliss Rodrigeez(p, 3のみ)、Scot hardy(g, 6のみ)、Duduka Da Fonseca(per, 1と6のみ)。ケニー・バロンやアーネット・コブら豪華な伴奏陣です。

曲目は次のとおり。

1  No More Blues (Antonio Carlos jobin, Vinicius de Moraes)
2  You Go To My Head (J. Fred Coots, H. Gillespie)
3  Centerpiece (Jon Hendricks, Harry Edison)
4  Love You Madly (Duke Ellington)
5  A Time For Love (Johnny Mandel, Paul Webster)
6  This Happy Madness (Antonio Carlos Jobin, Vinicius de Moraes)
7  Listen Here (David Frishberg)
8  It Could Happen To You (Johnny Burke. James Van Heusen)
9  Easy Street (Alan Rankin Jones)
10  Sometime Ago (Sergio Mihanovich)
11  You Took Advantage Of Me (Richard Rodgers, Lorenz Hart)
12  Black Coffee (Sonny Burke, Paul Francis Webster)
A・ C・ ジョビン作のボサノヴァ2曲、エリントンやフリシュバーグ作のジャズオリジナル、「You Go To My Head」や「It Could Happen To You」、「Black Coffee」といった有名スタンダード曲が選曲されています。

声量があり、音域が広く、スキャットも自在で、ディクションも明快など、ロザンナ・ヴィトロの活きの良い歌唱が圧巻です。「Black Coffee」などはスキャットを用いたかなり奔放な歌唱ですが、ボッサの「No More Blues」やバラードの「You Go To My Head」や「A Time For Love」」では抑え気味で、曲により歌い方を変えています。アーネット・コブ(ts)が参加した「Love You Madly」はブルージーで、ヴィトロの歌、バロン(p)のソロとユニットとしても楽しめます。

【ロザンナ・ヴィロト ホームページ】

Roseanna Vitro (squarespace.com)

(参考)ロザンナ・ヴィトロが歌う「You Go To My Head」

You Go To My Head - YouTube

【ロザンナ・ヴィトロが紹介されているジャズ批評2021年11月号】

   

「スィンギン・ビューティーズ」は、医師でジャズ評論の後藤誠一さんが、ジャズ批評誌に17年間、100回にわたり連載した記事です。1回に一人の女性歌手を取り上げて、プロフィールとアルバムについてまとめています。

   

ロザンナ・ヴィトロに関するページ。「Listen Here」も紹介されています。

【今村翔吾著「くらましや稼業」(ハルキ文庫)】  

   

表紙

(帯裏にある紹介)

   

(感 想)

「くらまし屋」と呼ばれる堤平九郎の稼業を描いています。「くらまし屋」とは、今の自分の姿を消して、新しい土地で新しい姿で人生をやり直したいという依頼人の望みを叶える仕事で、江戸の町からの出奔を成功させることが中心のようです。

主人公は、剣術の達人でもあり、人の動きが派手で、全体に劇画向きです。破天荒な設定ですが、小説中の人物が動き出すと、そういうこともあるかなという気分にしてくれます。気軽に読めるので、第2巻以後も読んでみるつもりです。