佐々木譲著「警官の血」と「警官の条件」を読みました。前者は、2008年このミステリーがすごい(宝島社)第1位、後者は、2012年の第8位に入っています。韓国で映画化されました。著者の略歴は次のとおり。
(警官の血 上巻)
(警官の血上巻あらすじ)
(警官の血 下巻)
(警官の血下巻あらすじ)
「警官の血」感想など
上下巻ともにページ数が多く、厚い文庫本なのですが、緊迫したストーリーの面白さ、映画のような早い場面転換、文章のわかりやすさと、本の厚さを感じる暇もなく、読了しました。
主人公は、安城家の親、子、孫という3人です。戦後から現代に至る時代を背景に、3人の警察官としての軌跡(生き方)が綴られています。捜査の場面など警察内部のことも、いかにもありそうで、納得させられます。
警察官になりたての安城民雄が、北海道大学に入学し、左翼をスパイした部分は、当時の日本赤軍の事件を念頭においていましたが、学内や学生運動の様子がよく書けていて、あの時代を思い出しました。
(警官の条件)
(あらすじ)
「警官の条件」感想など
「警官の血」の続編といってよく、孫の安城和也の活躍を描くものです。麻薬などの捜査において、暴力団員などから、いかに情報を得るか、違法的な捜査はどこまで許容されるかといった、命題を含んでいます。
加賀谷仁と安城和也という、いわば捜査の師弟が、対立したり、対立を超えてお互いがわかりあっているというストーリー展開は、厳しくて泣けてきます。現場の捜査官の労苦が真に迫ってくる一遍です。
本作は、多分に、アクション的醍醐味も感じられ、映画は見ていませんが、こちらの「警官の条件」が実際には韓国映画の原作として扱われたかもしれません。
(韓国で映画化されています)
日本では、昨年(2022年)11月に封切られたようです。僕も原作をその時に読んでいれば観に行ったと思います。見逃していましたが、この4月にDVDが出るようなので、どちらかで借りて、この映画を観るつもりです。