『「空気」の研究』 山本七平著
これは大変な名著である。金子光晴氏の「絶望の精神史」とは雲泥の差の「日本(人)論」であり、ロングセラーとなっているのも頷ける。
「対象の相対性を排してこれを絶対化すると、人間はその対象に支配されてしまう」(p63)
というのは的確であり、「公害」を絶対化して失敗した日本の環境行政に対する批判として、これ以上のものを見たことはない。ちなみに、環境破壊と経済発展とを対概念として把握したうえで両者の調和を目指すのが、「サステイナブル・ディベロップメント」という学問分野なのである。
これにとどまらず、山本氏は、対象を「対立概念でとらえる」発想を、一神教の思想から導き出し、日本的アニミズムと対比している。要するに、「空気」はアニミズムの所産だというのである。
こうなると、一本取られたと言わざるを得ない。
これは大変な名著である。金子光晴氏の「絶望の精神史」とは雲泥の差の「日本(人)論」であり、ロングセラーとなっているのも頷ける。
「対象の相対性を排してこれを絶対化すると、人間はその対象に支配されてしまう」(p63)
というのは的確であり、「公害」を絶対化して失敗した日本の環境行政に対する批判として、これ以上のものを見たことはない。ちなみに、環境破壊と経済発展とを対概念として把握したうえで両者の調和を目指すのが、「サステイナブル・ディベロップメント」という学問分野なのである。
これにとどまらず、山本氏は、対象を「対立概念でとらえる」発想を、一神教の思想から導き出し、日本的アニミズムと対比している。要するに、「空気」はアニミズムの所産だというのである。
こうなると、一本取られたと言わざるを得ない。